あらすじ
村上さんが愛してやまないジャズ・レコードについて語る極上のエッセイ
「僕の大好きなジャズ・レコード188枚のことを書きました」
チャーリー・パーカー、カウント・ベイシー、ビリー・ホリデイ、スタン・ゲッツ……ジャズの黄金時代に数多くのジャケット・デザインを手がけた伝説的アーティスト、デヴィッド・ストーン・マーティン。彼がデザインしたレコードを敬愛し蒐集してきた村上さんが、所有する盤すべてをオールカラーで紹介。
手にとって見ているだけで素敵な音楽が聞こえてくる、極上のジャズ・エッセイ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いつか、このレベルにまで達したい、と思った。
ライトなジャズファンであれば本作で紹介されている演奏家の曲を聴きながら、デヴィッド・ストーン・マーティンの絵を眺めてさらっと読む程度で十分であろう。
村上春樹の造詣の深さ、教養、頭の中を覗くことができる本。
Posted by ブクログ
ジャケデザインの素晴らしさから、ジャズの話をするという観点を捻った作品。自ら、「DSMのデザインしたレコードジャケットを手に取って眺めているだけでなんだか人生で少しばかり得をしたような気がしてくるのだ」と。好きなジャケットを眺めて、心を映す鏡のように見ている。そんな瞬間はレコード好きにはあるんだと思う。実際、自分も好きなジャケット、キースジャレットとかビルエバンスのジャケを見えるようにして置いているから。
エッセーのようで、でもレコード評のようで、村上さんはきっとクラッシックな、トラディショナルな演奏が好きなんだろうと思う。随所に見られるコメントが、そういうふうに感じさせてくれる。まるで、対話しているかのように。特に、というものはないんだけれど、ディキシーランドジャズの、「音楽環境は今みたいに演奏する人とそれを聴く人とにはっきりと分断されてはいなかったのかもしれない。」こんな表現をカバージャケットからできる人は村上さんを置いて他にいないだろう。美しいジャズの音色のような、言葉の束を味わう。
Posted by ブクログ
完全なる村上春樹氏の趣味本。いつも村上春樹氏の造形の深さに驚かされる。ジャズにしろクラシックにしろ、本業は小説家ですよね?というほど詳しく、自分の考えや意見があり、深く深く感じている。この本も、まるで美術館の展示を見ているような気持ちで拝読しました。
Posted by ブクログ
▼デヴィッド・ストーン・マーティンさんというのは、僕ははっきり知らなかったんですが、主にジャズLPジャケットのデザインをしたデザイナーさん。ノーマン・グランツという、まあともあれアメリカ・ジャズの黄金時代1940年代~70年代をリードしたプロデューサーさんがいて、その下で主に40年代50年代に作品を残しました。
▼村上春樹さんはもともとがジャズ喫茶の経営者だそうなんで。つまりはジャズLPを揃え聴かせるプロだった。というわけで造詣深く、この一冊は村上春樹さんが、
「僕が所有しているDSM(デヴィッド・ストーン・マーティン)がデザインしたジャズLPの好きなものを紹介して一言解説します」
という本です。深浅よりますがジャズ好きには、基本楽しい。僕はジャズは自分なりに好きですし、村上春樹さんの文章も好きなので、当然楽しみました。
▼本としては、変に気負いもなければ、変に「ジャズを知らない人にも分かってもらわねば」という気遣いも無い(笑)。それが素敵です。気負いのなさでいうと、終盤そして終わりに、「終わりにあたって」みたいな総括的な文章も全くないのが、潔くて好感。普通にとにかくLPを紹介し、雑談して、それが続いて、シュパッと終わります(笑)。「だってそれだけの本だもん」という感じです。
▼DSMさんのデザインには、「コスパ」というものが常についてまわって、それが故の自由であり興趣なんだなあとまとめてみると思いました。ウォーホールさんが手がけたジャズジャケットも、そういえばすごくDSMぽかった気が。ジャズというのも、予算産業規模でいうと、「アメリカ発(一部英国)のポピュラーなボーカル付き英語楽曲」に比べれば、本当に「アメリカの一部のローカル芸能」という感ですね。
Posted by ブクログ
かつてJazzバーを経営し、レコード収集家であることでも有名な村上春樹が、自身が保有するデヴィッド・ストーン・マーティンがジャケットデザインを手掛けたJazzレコードを紹介したもの。古きよきアメリカ的な雰囲気がしゃれている。長編『街とその不確かな壁』のあとの方の力を抜いた趣味の一作という感じ。
Posted by ブクログ
ほぼ、ジャケ買い。
というか、現物見る前に、新聞書評欄(毎日新聞だったか?)で見かけて、あ、欲しいな、と。
DSMの業績をまとめたものとして後世に残る?
「デヴィッド・ストーン・マーティン(DSM)のデザインしたレコード・ジャケットを手にとって眺めているだけで、なんだか人生で少しばかり得をしたような気がしてくるのだ。(…)本書はあくまで、DSMのデザインしたジャケットをひとつの柱として、僕がジャズへの想いを自由に語る本、という風に考えていただけると嬉しい」(まえがきより)
ということだけど、まだ拾い読み程度だけど(今後もそういう読み方をすると思う)、ジャズへの想いというか、脱線が少なく、比較的その作品、その作品のDSMのデザインについての言及が多い印象。
もう少し手元にDSMがジャケデザインした作品あるかと思ったが、そんなになかった。
でも、それだけ印象が強いアーティストなんだろう ・・・ ということが分かっただけでも、良かった。
本書の解説を読みながらJAZZを聴くのが楽しみだ。