【感想・ネタバレ】アフターダークのレビュー

あらすじ

「エリは今、眠っているのよ」とマリは打ち明けるように言う。「とても深く」「みんなもう眠ってるよ、今の時間は」「そうじゃなくて」とマリは言う。「あの人は目を覚まそうとしないの」真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。4人の男女はそれぞれの場所で、夜の闇のいちばん深い部分をくぐり抜ける。村上春樹の転換点を示す長編小説。

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Posted by ブクログ

私が一番好きな作家は村上春樹である。
これまで、ほとんどの長編を読んできたが、その理由を的確に言語化できないでいた。

しかし、今回この本を読んで、何が私を村上春樹に向かわせるのか、理解できた気がする。
結論から言うと、物語を自らで再構築することだ。
村上春樹の作品は不思議な世界で良く分からず、村上ワールドと良く言われるが、この分からない程度が程よく心地よいと考察する。分からなすぎたら、興味をなくすが、このちょうど良い塩梅の分からなさを、自らで再構築し、物語を作り上げていく、その過程が愉しいのだ。
何度も何度も読み返して、自分に染み込ますように味わっていきたいと毎回読むたびに思わされる。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

とある都会の一晩を複数の視点から描いた物語。村上春樹らしいと言えばらしいが、他作品とは一風変わった空気感のある構成だった。個人的にはハッピーエンドと読み取ったが、ある登場人物の言動には疑問を感じる点もあった。本当の闇はどこに潜んでいるのか、そして我々我々がちょっとした隙に落ち込んでしまうような、そんな近いところにいるのではないか、と不安を覚えた。確かに悪と呼べるようなもの、どうしようもない仕組みが身近にはある。ただ、それはそれとして時間が過ぎ去れば夜が明ける、そんな希望を感じるお話だった。

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2025年06月27日

Posted by ブクログ

真夜中から夜明けまでの都会で、少女が様々な人と出会い、疎遠な姉との関係を見つめ直す物語。

村上春樹の小説は「僕」の一人称視点が多い印象があるので、三人称視点の作品は珍しいと感じた。

登場人物の誰もが自己について思索し、話し相手に打ち明ける。夜はそういう時間であるということを描き出している。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

初期作を色々読んでいる途中に本書を読んだため、これ本当に作者同じなの…?と思ったような記憶。読後感爽やかで、歯切れの良い感じです。生々しいシーンも少ない。個人的には初期作の雰囲気…なんというか昔のフランス映画っぽいというか「え、だからどうしたの?」という感じ…も好きなのですが、そういう要素は控えめな気がする。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

morgenさんが紹介していたので読んでみた。

ときおり画面越しに眺めるような描写が入り、不思議な感覚に浸りながら読み進めた。
真夜中から空が白み始めるまでの間に、自分が想像のつかないようなことがひっそりと、しかし確実にあちこちで起こっているのだと
感じるような作品だった。
終盤に高橋がマリに言ったセリフには響くものがあった。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

現代と近代、洋風と和風、秩序と無秩序、重ね合わせることはできなくても、ならべることで、新しい雰囲気が生まれる。

長編小説など、その羅列が長いほど個性が出るし、同じものは生まれない。きっと同じ人がもう一度書いても。

そして、そのバランスがどうも絶妙で、他の人が 安易に触れることができないような、コツのいるものだから、近づいて、何度も見たくなるのかもしれない。

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

たった一晩を一冊にギュッと。新鮮な構成。
夜の生活を営む人々とマリの交流で物語が進む。
終わりはフワッとした感じで終わったけど、不思議とモヤモヤは無く最後まで心地よかった。

それにしてもマリの一晩濃すぎる。。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

ある一夜の出来事で、その中で繰り広げられるシチュエーション映画のような物語。
ファミレスやラブホ、Bar等で、登場人物たちの心の触れ合いが描かれるわけだが、そこでの会話が村上春樹さんの文体でお洒落さがある。
明けない夜はないし、一人でしかできないことも二人でしかできないこともある。そのバランスが必要なのだと、皆の心に残る台詞が忘れられない。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

初めて読んだ村上作品とても読みやすかった。

深夜のデニーズから始まる物語
読後には光の兆しと仄かな闇みたいな

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

この本でエドワード・ホッパーを知りました。村上春樹とデヴィッドリンチは何か似てる…とかねがね思っていたけれど、リンチのマルホランド・ドライブのアマプラの画像が、どうみてもエドワード・ホッパーの絵のオマージュなのに気づいて、やっぱり…繋がっている…と嬉しくなりました。

内容は、、いいですね。よるーって感じがして。
しかしこの本、持っていたのになぜか読んでいなかった…気づかずにもう一回買ってしまった。年を感じますね…余談ですけど。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

うん、良い。代表作!みたいのとはテイストが違くて良い。
よく陰キャ陽キャと人は言って、そのイメージ通りの生き方をしようとするけれど、どっちでもない、というよりどっちでもある、という人がほとんどだとは良く思う。

好きな人と話してる時、ヒールを履いて街に出る時のはつらつとした私。
夜中に絵を描いている時、1人で泣いている時の暗闇のわたし。
どっちも大事な自分の一部だと。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

初めての村上作品、アフターダークを選んだ。選んだ理由は、アフターダーク、と言う響きが好きだったから。
自分は昔から、人々の生活を覗き見してみたいと言う欲望があった。それを叶えさせてくれるような作品であった。自分的にとても面白くさらさらと読める作品だと思う。
いい意味で結末が曖昧で続きが気になる作品。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

完全初読の村上春樹作品、相当久しぶりでは。
いつもながらさらさら読めてしまう。
これは一体なんの話なのか、何を描いていてなにを言いたい小説なのか、あまりよくわからない。
でも今あえて突き詰めようとは思わないかな。
その時々の自分の問題意識や心のありようと連動するものだから、読み返してピンとくる時はいずれあるだろう。
今回はたださらさらと楽しく読む。
これからも、なんとなく疲れていてたださらさらと何かを読みたいとき、村上春樹はいつも私の人生に登場してくれるだろう。

春樹くんの書く朝の描写はとてもきらきらしていていいね。朝と夜の対比についてなんかぼんやり考えさせられる休日の朝でした。

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2025年02月22日

ネタバレ 購入済み

視点

視点とは何者だったのだろうか。
この空間に漂う素粒子のようなものだろうか。

彼らに朝は来るのだろうか。
完全な新しい時間の中に生きることはできるのだろうか。

答えが出なかった。
ヒントももらえなかった。
慎重に歩んできた進路を,鋭利なナイフでさっと切り捨てられてしまったような,そんな終わり方。

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2020年08月03日

匿名

購入済み

 都会の真夜中のエリとマリと高橋と白川とそれに関わる人々を描いたエピソード的な中篇作品。神話的であり、呪術的である。都会の真夜中の質感が巧みに描かれている。

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2019年11月27日

Posted by ブクログ

この何も解決してない感じが自分の生活に溶け込むようで余韻が残る

フランシスレイが流れるような日常いいな

夜を肯定する

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

わたしにとって初の村上春樹。ずっっっと面白かったんだけど読み終わった瞬間の感想は「は???」だった。余地が残されまくってて、ピリオドがない物語って感じ。最近流行りのストーリー性のあるMVを見てるような気分にもなった。考察しがいがあるというか。他の村上春樹作品もこんな感じなんかな?なるほどこういう作風ね〜で納得しといていいのかが不安…。他の作品も読んでみなきゃな…。(これで村上春樹ワールドに引きずり込まれるのかな。)

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

いろいろ未解決なまま話が終わってしまった。エリマリ姉妹の関係、ミュージシャンとマリ、犯人の動機やその後。それらを見つめる、私たちと言われる語り手。

モヤモヤ感。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

今まで読んだ村上春樹作品で1番分からなかった。
第三者視点で進んでいくような話は新鮮だった。
1晩をじっくりと1冊で描いているのもおもしろかった。
夜という閉鎖された空間の中は、寒くて暗いような感覚になったが、そこでの人との関わりの中に温かみを感じることができる。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

柔らかく暗い、でも不思議と不気味ではない暗さを湛えた話だった。深夜のファミレスにいる人はみんなきっと何かしらの物語があるだろうなという呟きから辿ってきた一冊。
記憶を燃料にしたり、明るさと暗さの中間地帯にある陰影を認識し理解する。時間と労力と、夜を重ねる。今日はどんな夢を見るかなとふと気になった。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

今までで一番不可解な村上小説で、ある意味いろんな人と語りたい一冊だった。恐らく一回読んだだけでは理解し難いのだろう。
読んで時間が経ってからの感想を投稿しているので、具体的な疑問点や考察は書かないが、結構頭の中は「?」が浮かびながら、どう伏線回収していくのだろうかと読み進めていたが、疑問が拭えないまま終わった。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

特に特徴的なシーンや盛り上がりがある訳でもなく、ただ淡々と物語が進んでいく。村上春樹の小説にしては単調で、少しつまらなかった。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

不思議な内容で特に盛り上がりがあるわけでもなく淡々と話が進むけど読む手は止まらなかった。
デニーズでの場面から始まりある1日の夜が描かれているがマリの孤独感みたいなのが夜と相待って印象的だった。
白川はこの後マフィアに捕まってしまうのか、それともコオロギのように逃げ回るのか気になる。
エリの話は結局どういうことなのか、さっぱり。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

都市の闇に潜む孤独とつながりを、登場人物それぞれの視点から静かな語り口で描いた物語。夢と現実の境界線が美しい。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

都会の一角の真夜中から朝のお話だった?

私は、村上春樹がよくノーベル賞候補になる人ということしか知らない教養不足の人間です。初めて彼の本を読みました。
白川が捕まることもなく、浅井エリが目を覚ますこともなく、オチなしでびっくりしました。読み終わって???ってなりました。こういう小説もあるのですね。
加えて、カメラの私が結局誰だったのか?第三者の目線から光景が見えていたという認識であっているのかな?

結局何がいいたいのか分からなかったが…
最初は特に物語がどう進むか全く予測できなかった。ただ、途中から話が理解できてきて、一気に読むことができた。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

なるほどな。って思ったセリフ(コオロギ)

p.250-251
「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないかな」

「大事なことやらしょうもないことやら、いろんな記憶を時に応じてぼちぼちと引き出していけるから、こんな悪夢みたいな生活を続けていも、それなりに生き続けていけるんよ」

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

裏表紙だけ読んだ時は
映画『ナイトオンザプラネット』的な
ストーリーかと思ったが、
もっと暗くて
どこか諦観を感じさせる内容だった。

哲学や不条理を
村上春樹らしい
センスある言葉のチョイスで描いている。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

星は3つであるものの、良かったと言える。

淡々と深夜の一部分が切り取られ、描かれている。

エリについて、どう捉えれば良いのか分からないが、全体として読んで良かった気がする。

会話のシーンが、好きだ。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

家にあったので、手に取り読んでみた。村上春樹作品は実はあまり読んでおらず、読んだのはドライブマイカーと多崎つくる、ノルウェイの森ぐらい。
久々の村上春樹作品でしたが、驚いたのはあまりの読みやすさ。さらさらと読めてしまう。情景描写が細やかでありありと想像でき、気づけば最終ページ近くになり、あれ?このページ数で伏線回収できる?と思ったら、案の定回収されず。もしや、されてたのか?理解力がないだけ、、?読者に委ねているということなのかも。こういう本も悪くない。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

村上春樹作品を時系列に読んできて

途中この作品だけ手元に文庫本があったので

読んでしまったが

正直何を言いたいのか読解力がなくて

わからなかった…

情景はありありと浮かぶけれど

そこから何を読み取ればいいのか…

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2025年03月31日

Posted by ブクログ

大学生の頃、村上春樹として初めて手に取った作品。その時完読できたのかは覚えていない。ただ、あまりハマらずそれからあまり村上春樹に興味が向かなかった。ノルウェイの森を読んで、また手に取ると2時間程度で一気に読んだ。まるで映画を見ているように読者の画角が細かく書かれる。最後まで白川とエリの関係性はわからず。ただ、夜中に活動する数少ない人間たちはどこかで繋がっている。孤独から逃れようともがきつつ頑なに閉じこもる人、それをこじ開けようとする人。それらが実際に関わり合いを持つことで少しずつ人が、世界が変わっていく。
この物語の転換点は、記憶が人生の燃料というコオロギのセリフ。マリのエリとの記憶も蘇る。人生に詰まった時に突き進む燃料が多くなるような経験をしたいし、子供にもさせよう。

ところどころに散りばめられた夜と朝の表現がとても好み。
ただ、全体的に話はあまり展開が少ないので評価は低め。
早朝の静かな時間に、本に出てくる音楽と共に振り返り再読したい。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

現実に違う世界が混じるエッセンスは今作にも取り入れられています。

真夜中から夜明けまでの、ある19歳の女性を中心としたお話。
そんなに劇的なストーリー展開があるわけでもない。
もっと長編ならば伏線になりそうな場面も何ヶ所かあるのだが、
大きな展開をせずに収束していく。
面白いことは面白いんだけど、ちょっと物足りなさを感じましたね。
それと、これを読んでいて思い出したんだけど、村上春樹の小説での
男の会話表現って、なんか微妙に違和感を感じるんですよね。
これって、あまりに都会的な表現で、僕が田舎者だからかとも
思ったんだけど、今読んでいる小説にはそれを感じないので、
やっぱり村上春樹の小説のひとつの特徴なんでしょうね。
ま、それほど気にしないことはできるんだけど…。

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2025年06月06日

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