あらすじ
「エリは今、眠っているのよ」とマリは打ち明けるように言う。「とても深く」「みんなもう眠ってるよ、今の時間は」「そうじゃなくて」とマリは言う。「あの人は目を覚まそうとしないの」真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。4人の男女はそれぞれの場所で、夜の闇のいちばん深い部分をくぐり抜ける。村上春樹の転換点を示す長編小説。
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Posted by ブクログ
深夜0時から夜明けまでの数時間の出来事を切り取った小説。眠り続ける姉・エリと、深夜の街を過ごす妹・マリのそれぞれの視点が描かれる。最後まで謎が明かされない顔のない男、娼婦オーナーの中国人男の脅迫発言、意味が明かされない内容が相変わらず多い。
ていうのも村上春樹はよく「物語は読者の中で完成するもの」って言ってるらしい。普段から物語の行く末を与えられてるものを見たり読んだりしすぎて、結末とかスッキリさを求める自分がいるけど、自分から物語の先を想像したり作り出したりする力って、情報社会の中で大事なのかなーって思ったり。
視点
視点とは何者だったのだろうか。
この空間に漂う素粒子のようなものだろうか。
彼らに朝は来るのだろうか。
完全な新しい時間の中に生きることはできるのだろうか。
答えが出なかった。
ヒントももらえなかった。
慎重に歩んできた進路を,鋭利なナイフでさっと切り捨てられてしまったような,そんな終わり方。
Posted by ブクログ
人々が眠りにつき、世の中が静まり返る時間に起きていること。それだけでどこか美しさのようなものを感じた。静けさの中にある一人一人の感情は、昼間を生きる人たちよりも濃く、人生の色がより鮮明に感じられるように思えた。
物語は全体的に淡々としていて、読んでいると真っ白で何もない部屋の中に閉じ込められているような、不思議な感覚にもなった。
作中にはさまざまな音楽も登場し、実際に曲を聴きながら読み進めた。タイトルの「アフターダーク」は日没後、暗くなってからという意味で、ジャズの曲に由来していることもこの作品を通して初めて知った。
読んでいるあいだ、ずっと「よく分からない」という感覚が続いていたが、その中で印象に残ったのは「欲望」というもののさまざまな形だった。ジャズはもともと性的な意味合いを持つと言われているが、この作中でも性的な欲望に関する描写が印象に残った。それもまた、夜という時間の持つ雰囲気とどこか重なっているように感じた。
また、姉妹の関係も印象に残った。お互いに思うことがありながら、それを言葉にすることはなく、距離だけが少しずつ開いていく。それでもどこかで互いを想っているような、そんな関係が感じられた。私自身にも優秀な姉がいるので、どこか自分と重ねて読んでしまう部分もあった。
特に印象に残った言葉がある。
「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、生命の維持にとっては別にどうでもええことみたい。」
どんな記憶も、人が折れずに生きていくための燃料になる。そんなふうに考えたことは今までなかった。自分を作り、自分を自分として存在させてくれる記憶は、自分を強くも弱くもさせる。とても大切なものなのだと感じた。
Posted by ブクログ
都会の一角の真夜中から朝のお話だった?
私は、村上春樹がよくノーベル賞候補になる人ということしか知らない教養不足の人間です。初めて彼の本を読みました。
白川が捕まることもなく、浅井エリが目を覚ますこともなく、オチなしでびっくりしました。読み終わって???ってなりました。こういう小説もあるのですね。
加えて、カメラの私が結局誰だったのか?第三者の目線から光景が見えていたという認識であっているのかな?
結局何がいいたいのか分からなかったが…
最初は特に物語がどう進むか全く予測できなかった。ただ、途中から話が理解できてきて、一気に読むことができた。