村上春樹のレビュー一覧

  • 村上朝日堂の逆襲(新潮文庫)

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    取るに足らないこととして見逃してしまいそうな出来事が面白おかしく書かれていてずっと読んでいたくなる。
    自分のことで悩みすぎたときにこれを読んでクスッと笑いたい。

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    2026年02月14日
  • ねじまき鳥クロニクル―第2部 予言する鳥編―(新潮文庫)

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    第二部を読み終えて強く印象に残ったのは、
    出来事が起きることよりも、
    むしろ「次々と人が去っていく」ことだった。

    猫が消え、
    妻がいなくなり、
    加納クレタが離れ、
    笠原メイもまた距離を取る。

    主人公の周囲は何かで満たされていくのではなく、
    静かに空白によって形作られていく。

    それは劇的な別れではなく、
    説明のつかない形で
    関係そのものが剥がれていく感覚だった。

    世界との接続が、
    一つずつ抜かれていくような印象が残る。

    第一部で感じられた「空洞」は、
    第二部ではより明確に、
    外界とのつながりの喪失として現れていた。

    その流れの中で、
    井戸というモチーフが持つ意味が
    より深く立ち上がってきたように思う。

    井戸の底へ降りる行為は、
    一見すると異世界や夢の世界へ向かう入口のように見える。
    しかし実際に起きているのは、
    外の世界への移動ではなく、
    自分自身の深層へと降りていくことだった。

    横に進むのでも、
    上へ向かうのでもなく、
    ただ「下へ降りる」。

    それは、
    社会的な自分や他者との関係から切り離され、
    より根源的な自己へ近づいていく動きと重なっている。

    周囲の人々が去っていくことと、
    井戸へ降りていくイメージは、
    互いに無関係ではないように感じられた。

    外界との接点が失われていくほど、
    人は内側へと向かわざるを得ない。

    井戸は逃避の装置ではなく、
    必然的に訪れる下降の象徴として現れている。

    第二部は、
    何かを得る物語ではなく、
    むしろ喪失によって世界が静かに変質していく過程を描いていた。

    その中で井戸は、
    異世界への通路ではなく、
    自己の深層へと通じる入口として機能している。

    読み終えたときに残ったのは、
    出来事の印象ではなく、
    外界から切り離されながら
    内側へと降りていく感覚そのものだった。

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    2026年02月13日
  • 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫)

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    2.3回読み返した。少し前に読んだ時とは違う視点が増え、とても好きになった。個人的にはタイランドとアイロンのある風景が好きだな。

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    2026年02月12日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編―(新潮文庫)

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    10年以上前に読もうと思って買っていた本に手を伸ばした。なぜか、当時は第1章の「青豆」から先に進むことができなかったが、今回気がつくと読み終えていたような感じすらある。ヤナーチエックの『シンフォニー』をかけながら読み始め、途中から普段聴かないクラシックをかけながら読んでみた。「青豆」と「天吾」が交互に出てくる物語の進行、未だ交差することのない2人が今後関わってくることがあるのか、最後まで読み終えた時に、BOOK1の意味がわかるのかなと思っている。

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    2026年02月11日
  • ねじまき鳥クロニクル―第2部 予言する鳥編―(新潮文庫)

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    最初のカフェから面白くてかなり期待したら、井戸がやや長すぎた。だが加納クレタ以降はまたかなり面白い。

    ふかえりを彷彿とさせる描写がちらほら。
    産まれたて。意識の中で。

    クロニクル感は、まだない。

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    2026年02月10日
  • 一人称単数

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    自分は情景描写やセリフの意図や意味を追ってしまう。けど、一人称単数の最後のようにどんなに完璧な正解を出されても納得できないような展開があるのが面白いようで、しばらく読まなくてもいいかなと思ってしまう理由になる。

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    2026年02月10日
  • ねじまき鳥クロニクル―第3部 鳥刺し男編―(新潮文庫)

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    村上春樹の小説は4作品目だが、一番抽象的でかつ面白く感じた。最後の一冊は駆け抜けるように話が進んでいき、村上春樹らしい表現でストーリーが進んでいきおもしろかったです

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    2026年02月04日
  • ロング・グッドバイ

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    主人公の視点で物語が進んでいく。

    めっちゃ嫌味言うし無駄に武闘派。

    読みながら「そんな言う?」って
    何回か言った。

    この人にしか無い味がある。

    ・夏のカリフォルニアは酒を飲むのに適した土地柄ではありません。ニューヨークではここの四倍の量の酒を飲めるし、それでいて二日酔いは半分ですむ

    この言い回しが好き。
    結局飲んでるしね。

    26.02.01-24冊目

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    2026年02月03日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    いろいろとその後の想像が膨らむ物語。
    小さい頃から感じてた自分を上から見て操る自分がいるような感覚を思い出した。

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    2026年02月01日
  • やがて哀しき外国語

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    人生で初めてエッセイというものを読んだがかなり面白かった。本書は、村上春樹流の語り口調で、彼自身の海外での暮らしを書いた作品。文豪のイメージがあったので堅苦しい人なのかと思っていたが、意外とその辺にいるおじさんの様な感性があり、共感が持てた。

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    2026年02月01日
  • 回転木馬のデッド・ヒート

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    まあ村上春樹自身がそう書くように、人物メモなのでここに物語はない。けど何故か引き込まれる。印象に残っているのはp.57「プールサイド」、人生の折り返し点を決めた男性の話。こっち側かあっち側なのか。

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    2026年01月30日
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)

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    有名だけどあらすじ含めて何も知らない古典は読んでおきたい、と思って手に取った。翻訳が村上春樹というのも読んでみたくなった理由のひとつ。映画も一切観たことはないのだけれど、オードリー・ヘップバーンの写真だけは流石に観たことがあるので、そのイメージが離れずに困った。(原作者のイメージとも翻訳者のイメージとも全然ちがう、との評価を、先にあとがきで読んでいたので。)

    主人公ホリー・ゴライトリーの奔放さにはあっけに取られた。あれだけ好き勝手やっても、助けてくれる男たちに事欠かないのがすごい。

    一番かっこいいシーンは、ホリーが捕まった後、自分を結果的に連絡係として使っていた麻薬王兼囚人のサリー・トマトを、いいやつと弁護するところ。

    一番悲しいシーンは、出国前に逃した猫を思い直してもう一度探し出そうとするところ。

    ホリーがその後どうなったのか、は直接は書かれておらず、冒頭の木彫の件で間接的に示唆されるのみ。最後まで謎のまま終わる方が美しい、ということだろう。

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    2026年01月29日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    少年の登場からさらに加速し、
    物語の構成が複雑化して、
    次元がひとつ増えたように猛烈に面白くなった。

    どちらが影か本体かなどは関係がない。

    意識、私、存在の周辺領域。
    あちらとこちらとその狭間。
    強く信じること。

    空を見上げて、
    自らが私へと降ってくる空想の中で、
    生きる実感を得られるような読後感。

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    2026年01月28日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    ネタバレ

    村上春樹がどんな人なのかを知りたくて手に取った本。

    ランニング、執筆への向き合い方がメインで書かれているのだが、習慣化のtips が散りばめられており、学びも多かった。以下引用

    このような能力(集中力と持続力)はありがたいことに才能の場合と違って、トレーニングによって後天的に獲得し、その資質を向上させることができる。これは前に書いた筋肉の調教作業に似ている。日々休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、自分という人間にとって必要なことなのだという情報を身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。そして少しずつその限界値を押し上げていく。気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。

    村上春樹の小説以外がいつも面白いのは、この継続の賜物なのだとひしひしと感じた。

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    2026年01月28日
  • ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)

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    『ねじまき鳥クロニクル』第一部を読んでいると、
    物語を追っているだけのはずなのに、
    心が勝手にこれまでの人生を整理し始めるような感覚に陥った。

    猫の失踪、仕事を辞めた主人公の日常、
    奇妙な電話や不可解な人物たち。
    表面的には淡々とした出来事が続いているだけなのに、
    読み進めるほどに、
    自分自身の内側が静かに揺さぶられていくのを感じた。

    第一部でとりわけ印象に残ったのは、
    間宮さんが語るノモハンでの体験である。
    涸れ井戸の底に落とされ、
    一日に数秒だけ差し込む光を浴びた瞬間、
    彼は「自分の人生はそこで終わった」と感じたという。
    助かった後の人生は、
    生きているのに生きていない、
    死んでいるのに死んでいないような感覚だったと語られる。

    その一節を読んだとき、
    それは決して極限状況に置かれた他人の話には思えなかった。

    大学時代や精神科病院で働いていた頃、
    私自身もまた、
    何かに全身全霊で打ち込めるものを見つけられず、
    心を燃やす対象もないまま、
    ただ「死んでいないだけ」の状態で
    日々を過ごしていた時期があったからだ。

    第一部に登場する主人公もまた、
    仕事を辞め、目的を失い、
    どこか世界との接点を見失ったような状態にある。
    本田さんから受け取る中身のない箱は、
    彼の空洞化した生を象徴しているように感じられた。

    また、加納クレタの語る
    「痛みを失った瞬間から、生を実感できなくなった」
    という言葉も強く印象に残っている。
    痛みから解放されたはずの彼女が、
    引き換えに世界の手触りそのものを失ってしまったように見えたからだ。

    間宮さん、加納クレタ、そして主人公。
    第一部に描かれる彼らの姿は、
    形こそ違えど、
    「生きているのに生を実感できない」という一点で
    静かにつながっているように思えた。

    私はもともと、
    自分の感情に敏感な人間ではない。
    面倒な感情には蓋をして、
    深く考えずにやり過ごしてきた。
    それでも第一部を読み終えたとき、
    その蓋が少しずつこじ開けられ、
    押し込めていた感覚が
    表に浮かび上がってくるのを感じた。

    『ねじまき鳥クロニクル』第一部は、
    不思議な物語というよりも、
    自分の中にあった
    「生きているのに生きていない感覚」に
    輪郭を与える読書体験だった。

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    2026年01月29日
  • 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

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    「めくらやなぎと眠る女」は短編映画化して欲しいし、「踊る小人」に出てくる象をつくる工場はいつ読んでも気になる。笑

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    2026年01月25日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    相変わらずの喪失の物語。淡々と静かに進む物語が心地いい。冷凍保存された喪失に対する長年の静かな固執。いい加減大人になって前に進めよとも思うが、そのために必要な時間と必要なピースは人各々。

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    2026年01月25日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉後編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

     頭の中で思ったことは、外へ漏れ出る。書き直された完成度の高いフィクションも、現実の世界にあふれ出る。
     一見、荒唐無稽な企てとも呼べるが、文学に助けられた人ならこの展開をあるリアリティーをもって呑み込むことができるだろう。
     痴呆の進んだ育ての親に、天吾が自分にとって大事なことを語り続けるシーンは生きていくことそのものだと感じた。人は応答のない世界で自らの大切なものを自分で握っておかなければならない。
     残りの2冊、ラストの淡い希望が楽しみ。

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    2026年01月22日
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)

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    4つの話の評価を全部足して割ったら3.6/5くらい。
    思ってたティファニーで朝食をよりも全然話違くてびっくりだけど僕とホリーのあの距離感が話としては美しい。そして片想いしていて嫉妬心を抱いてる僕が愛おしい。

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    2026年01月21日
  • 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫)

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    その間の恋愛感情の有無とかは少しずつ異なっているが、「蜂蜜パイ」の淳平は少しだけボクだと思った。この地面のすぐ裏はきっとぽっかり空洞になっていて、そこには〈みみずくん〉に等しい闇が棲み付いていると僕は思う。ソレを怒らせてはいけない。これは迎合ではない。あくまで共生であるべきだ。私たちは慎ましく生きねばならない。さもないと僕たちは食べられてしまう。ぱくっと、丸呑みだ。戦争と地震は近しいのだろうか?

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    2026年01月18日