村上春樹のレビュー一覧

  • 海辺のカフカ(下)(新潮文庫)

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    上下巻あっという間に読んだ。カフカ少年の周りに現れる人々、佐伯さんや大島さんに実際に会えた気がする。ナカタさんの冒険もわくわくした。星野青年になりたかった。

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    2026年06月13日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    冷えたビールを飲みながら、静かな夏を待つ午後に、村上春樹の『街とその不確かな壁』を読んだ。ポッカリと空いた空虚が、僕をただ見つめていた。影と自分が溶け合い、ひとつになる。そこに救いはあるのか。影と一体になるプロセスは興味深かったが、心を激しく揺さぶられるような感動はなかった。遠くから警笛がなっているような、しかしそれはどうしても無視しきれないような、奇妙な読後感だった。やれやれ。

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    2026年06月13日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

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    面白い。物語を通じて生きるとは、人生とは、世界の終わりに向けて自分はどれくらいたくさんのものを見落としているんだろう、、、と思わされた。
    要約したりどんな話しか?そんなことをするのは無粋かな、読んで感じて余韻に浸る。読む人それぞれ味わい方が違うんじゃないかなと思う。
    ただ、一つ事実として驚いたこと。
    この作品が発表されたのが40年以上前ということ。
    もちろん作中にはスマホもなければカーナビもない。
    だけど、文体や世界観に古さを感じさせず、現代でも通ずる人間らしさが描かれている気がして、
    村上春樹の魅力ってこういうところも一つ挙げられるのかなと思った。

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    2026年06月13日
  • 草の竪琴

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    カポーティが紡いだ文章はそれがこの世に顕現したこと自体に畏怖を感じるレベルであり間違いなく唯一無二の作家なのだが、雰囲気先行すぎて内容が今ひとつ頭に残らないことも多い。
    その点この「草の竪琴」はプロットが非常にわかりやすく、それでいて文章の魔術的な魅力は他に劣らないため、これが個人的にカポーティの一番好きな作品である。

    文章を読んでいてその恐ろしい完成度の高さに打ちのめされた体験は思い出す限りでは夏目漱石の「門」の二人が恋に落ちる場面が真っ先に思い浮かぶが、この草の竪琴いちばんの見せ場である雨の降る森のシーンは、久々にこの打ちのめされる感覚を味わった。あまりに文章が上手すぎる。この美しさをぜ

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    2026年06月12日
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)

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    赤裸々で生々しい恋や愛情を描いているのに、まったくもって上品さを欠かない......

    昔のアメリカがどういった状況か分からないから、大雑把に読んだ気がするけど、本当にホリーが自由な娘だったな。一糸なりとも束縛を許さない。

    また秀逸な比喩や言い回しがチラホラ。村上春樹チョイスなのかわかんないけど感動した。簡潔で分かりやすく、雰囲気も崩さない。

    読み返さないと、カポーティからしか得られない物がある

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    2026年06月12日
  • スプートニクの恋人

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    ネタバレ

    はああ〜何度読んでも好きすぎる。なんて寂しくて耽美でロマンチックで優しい気持ちなれる作品なんでしょう。

    2つの軌道が重なり巡り合い、また離れる。次出会った時すみれがすみれであるという、KがKであるという根拠はない。それはミュウにしてもガールフレンドにしてもそうで。
    またいつか出会うでしょうね、燃え尽きない限り。仮に出会えなくてもその記憶と共に生きていける。

    素敵なフレーズが散りばめられてて宇宙みたい。

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    2026年06月11日
  • 村上ラヂオ(新潮文庫)

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    再読。
    雑誌『anan』に毎週一年間にわたって連載されたエッセイ。
    村上春樹さんの小説は何冊か読んだことがあるが、小説とのギャップが激しくて、あまりのゆるさに驚かされた。小説と違ってリラックスして気楽に読めるところがいい。
    大橋歩さんの版画も村上さんの文章に合っていてステキ。
    個人的には、童謡『赤い靴』の歌詞について書いた話、チンドン屋の演奏するビートルズの『オブラディ・オブラダ』にはサビの部分がなかった話、たった1時間のフライトの間に次から次へと集中が妨げられた話、コロッケとの蜜月の話、ゴルフをやらず走ることが好きな理由、体重計の話が面白かった。

    心に残った言葉
    何が正しくて、何が正しくな

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    2026年06月09日
  • 一人称単数

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    最後の表題作「一人称単数」のパンチがすごかった。やはり村上春樹は「他者」の描き方がすぐれている。まったくの部外者でなく、逆に全くの身内でない他者。心当たりはないのに、邪顕に出来ない。それでいて自分に意味を持つ他者。

    同じことは「クリーム」にもいえる。ピアノの演奏会に招いた女の子。公園でまっすぐに告げるおじいさん。他者。

    「石のまくらに」。なぜ、まくらが漢字ではなく、ひらがななの?短歌の中の言葉だから?五感と語感?

    「品川猿の告白」。この本全体に回想、記憶がテーマ。猿に背中を流してもらい、猿とサシでビールを飲む。昔話のような雰囲気。なにがおきても受け入れられる。我慢できない猿。名前を盗む。

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    2026年06月09日
  • 遠い太鼓

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    村上春樹さんのエッセイが好きなのを再確認しました。イタリアのお話が特に面白かったです。旅に出て、実際に体験しているからこそのリアリティに胸が躍りました。

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    2026年06月07日
  • 一人称単数

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    初めての村上春樹作品でした。言葉の選び方というか、言い回しというかとっても素敵でした。重かったしちょっと疲れたけど、こんな作品をずっと求めていたような気がします。不思議だけど心に刺さる話ばかりでした。おもしろかった!!

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    2026年06月06日
  • レキシントンの幽霊

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    若い頃何度も読み返し、手元にあったのはボロボロになっていた。

    何度目かの大々的な断捨離で「もう不要だ」と手放したものの、痛烈に呼ばれたので本屋さんで新品を購入。

    読むたびに、違う感触を得るのがとても面白いところ。

    今回は、とても痛い所をキリで突かれた。


    度々論争になる、村上春樹
    「分かる派」対「分からない派」問題。

    彼の文章は、読む者の無意識を刺激して、日常生活では使われていないある種の回路を発動させる仕掛けになっていると思う。

    なので、因果関係が明快なエンターテイメントとして読むと「分からない」。
    ツルツル滑る、眠くなる。

    ここではない、どこかへタッチさせてくれる寓話として読

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    2026年06月05日
  • 中国行きのスロウ・ボート

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    凄く面白い短編集だった。
    今まで、蛍その他短編集、パン屋再襲撃、女のいない男たちを読んだが、パン屋再襲撃の次に好きな短編集となった。

    内容としては相手の奥行きを測り損ねてしまう、正確には覗き込もうとするがその輪郭は当事者にしか掴めないということを多面的に述べていた短編集だと思う。

    タイトルにもなっている、中国行きのスローボートや午後の最後の芝生、土の中の彼女の小さな犬など、初期の村上春樹が持つ物語を曖昧に操作する力が上手く働いた作品が多かったと思う。

    輪郭が曖昧で、道が川のようにスルスルとしており、それこそ風の歌を聴けのように全体の空気感とファクター、小物でニュアンスを操作しているものが

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    2026年05月31日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    久々の村上春樹ワールド新作(の文庫化)

    やはり村上春樹は哲学である。

    自分とは何なのか。

    選ぶ現実と選べない現実、その狭間で何をどうすればいいか。

    そんなところだろうか。

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    2026年05月29日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉後編―(新潮文庫)

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    私はこれからの人生であと何度読み返すことができるだろうか。

    何が現実で、何がニセモノなのか
    論理が通じない世界から戻ってこれるのか?
    最期まで一気読みしてまいました。

    クライマックスにつれて
    情景描写や比喩の表現が多彩になっていくのも、読者の期待を高めているのだろうと感じた。

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    2026年05月29日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉後編―(新潮文庫)

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    村上春樹さんの作品、私は好きだなあと思う。(まだカフカしか読み切ってないけど)

    このあと青豆と天吾の運命が重なるようにストーリーが進んでいくんだろうけど、警察銃撃事件のこととかNHK のこととか断片情報万歳でこっからっていうこのミステリー感?が私はめちゃくちゃ好きです。
    割と一章ごとくらいに頭が疲れてしまうので一気読みはできないけど、先が楽しみすぎて最後まで読み切ってしまいそうな予感がしてる。

    青豆とあゆみの会話は卑猥よりむしろ上品に聞こえるまであるし、殺人を犯せる青豆も自死してしまった環もどこかおかしいんだろうけど、すごく共感してしまう部分もあったりする。

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    2026年05月28日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    色々伏線もあって、一度では解釈が難しい内容でした。

    主人公である肖像画家と秋川まりえ
    2人にしか見えない世界が見えることで、負の連鎖を断ち切る『輪を閉じる』迄の試練を各々に課されます。

    そのプロセスが余りにも表現だけの世界のようにストーリーの展開が遅く感じられましたが、
    人として完璧と思える免色さんには、大きな欠点が見えてきました。
    時折出てくる謎のスバルフォレスターの男も主人公の別の顔として登場しているではと思い至りました。
    なぜなら主人公は、肖像画家として描く前にモチーフと会話を通してじっくり向き合う時間を必要とし、本質を捉え作品にして行くからです。

    最後に秋川まりえが、苦手としてい

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    2026年05月25日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉前編―(新潮文庫)

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    村上春樹さんは
    女性のことを崇高し、大切にしている。
    それは、女性の登場人物に対する繊細な解説や艶やかな表現の言葉選びから見て分かる。

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    2026年05月24日
  • 海辺のカフカ(下)(新潮文庫)

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    本当に面白い小説だった。最初から独特の世界観が感じられて物語にぐいぐい引き込まれた。村上春樹の長編を読むのは初めてだったが、この人特有の比喩表現とか物語の展開が自分の好みにすごくあっているんだと思う。いろいろな意味深な表現や出来事がたくさん出てきすぎていて、すべての意味を理解するのはとても難しいと思うが、この物語は人間が心の隙間を埋めて自分を認められるようになるまでの過程を描いているのではないかと思う。さくらと佐伯さんはカフカの実の姉、母ではないとは思うが、カフカはそう自分の中で認められるような根拠を探し求めているように思えた。そうすることで呪いを受け、解放されることができるからだ。また、カフ

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    2026年05月24日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    面白くてページをめくる手が止まらなかった。

    青豆の話 - 一見は高身長のスラッとしたバリバリキャリアウーマン。しかし本当はお金持ちや悪人の首に細い針を刺して殺す人。これを知ってるのはとあるおばあちゃんとその手下だけ。最後東京のバーで女の子と知り合い、おじさんたちと飲んだがその後…?

    天吾の話 - 天吾は、ふかえりの書いた新人賞の小説に深く感動し、上司のアイデアでふかえりと協力して芥川賞を狙うことになった。しかしふかえりは本当はディスレクシアで、実際のところ彼女が口頭で話したことを血の繋がっていない姉に書いてもらっていた。ふかえりの両親はとある封鎖された所に何年もいるらしく、連絡がつかない。

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    2026年05月24日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉後編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ずっと不思議な読み心地だった。
    文章自体はかなり男性っぽいというか、めちゃくちゃわかりやすい論理的で即物的な文。一文一文は淡々としてるからこそ頭に入ってくる感じ。

    でも情景描写や比喩になると急に遠回しで柔らかい。
    月、雲、空気、いろんな夜、あの滑り台のある公園や人の孤独。そういうものの描き方がすごく繊細で、女性が書いたみたいな優雅さがある。冷たくないんだよね。独特の色気がずっと漂ってる。

    そのおかげで世界観の見せ方がほんと絶妙。
    最初ずっと「え、これ何?」ってなるのに、全部を説明しすぎない。なんか謎のオブラートに包まれたまま話が進む。でも読んでるうちに、バラバラだった違和感がだんだん繋がっ

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    2026年05月23日