村上春樹のレビュー一覧

  • 村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた(新潮文庫)
    「村上朝日堂」シリーズ(シリーズと言っていいのかな?)
    マサチューセッツ州ケンブリッジ(ボストンの隣)に住んだ、1993年から1995年にかけての滞在記で、村上さん44歳から46歳のころ。
    日記であり、紀行。
    紀行文好きの私としては、村上さんの紀行文が読めて、とても楽しかったです。

    安西水丸さんが...続きを読む
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)
    ◯生
    第一回路=ハードボイルド・ワンダーランドの私
    第二回路=影
    第三回論=世界の終わりの僕

    ◯死

    第一回路の私は失われ、第三回路に融合した?


    『ねじまき鳥クロニクル』の井戸(=id)しかり、『ノルウェイの森』の直子しかり、分裂症的世界観よく描かれる
    人生は深い悲しみに満ちていて、別れや人...続きを読む
  • みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)

    村上春樹の解体新書

    村上春樹さんがどのように物語を紡いでいるのか、何を大切にしているのか、どのような手順で推敲しているのか。そういうあらゆる興味深いことを同じ作家の川上未映子さんが余すことなくインタビューし、それを包み隠さず村上春樹さんが答えているという濃厚なインタビュー。

    そしてこのインタビューを通してわかったこと...続きを読む
  • 街とその不確かな壁
    思ったより分厚くて怯んだけれど、中身は私が一番馴染んでいた頃の村上春樹だった。もちろん「世界の終わりと」もだけれど、ページを捲っているとよくユミヨシさんと五反田君のことを思い出した。「ダンス・ダンス・ダンス」の、寒い北海道と、親密な空気と、ちょっとした料理と。
    きっと、いろんな世界が実は全て繋がって...続きを読む
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)
    映画を初めて見て、違和感を感じてしまったので原作を読んでみたら、とても好みだった。そう!ホリーは永遠に手に入らないひと、掴めない自由さ!

    それを悲しく思ったり淋しく思ったり切なく思ったりするのも、きっと凝り固まってるの 人の幸せなんて決められないのに 自由ってわるいこと?

    なんだか、映画では「間...続きを読む
  • 遠い太鼓
    村上春樹のどの作品よりも何度も読み返した。
    ヨーロッパ旅行記、というイメージと異なり、全体の雰囲気は暗い。純文学作家として順調にキャリアを伸ばしながら、連載や短編の執筆に追われ、40歳になる前に変わらなければならないという強迫観念めいた衝動で経済的には不安を抱えてイタリアにたどり着くところから始まる...続きを読む
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
    主人公・多崎つくるは高校時代に四人の親友(アカ・アオ・シロ・クロ)と多くの時間を共にしていたが、大学二年のときに理由もなく突如グループから追放されてしまう。つくるは大変なショックを受け、一時は自殺を考えるほどの失意に暮れていた。あれから16年。あるとき現在の彼女にその過去を打ち明ける。彼女から今のつ...続きを読む
  • スプートニクの恋人
    かなり好きな一冊です。
    読後感がよかった。
    再読の機会があればきちんと感想書けたらいいな。

    特に好きなセリフ↓(こんな言葉、実生活で言う場面ないだろうけど、言ってみたい。)

    「あなたってときどきものすごくやさしくなれるのね。クリスマスと夏休みと生まれたての仔犬がいっしょになったみたいに」
  • 遠い太鼓
    1986年秋から1989年秋までの3年間、村上春樹さんがギリシャ、イタリアで過ごした日々の記録。

    村上さんの見たものを想像し、村上さんの感じたものを感じ、村上さんの紡ぐ言葉を味わえる、大好きな作品です。
    久しぶりの再読。
    奥様とのやりとりが好き。

    時が経っても、その当時の村上さんの語りを聞いてい...続きを読む
  • ねじまき鳥クロニクル―第3部 鳥刺し男編―(新潮文庫)
    ノモンハンのところがいつも怖くて、しばらく読んでいなかったのだけれど、再読。

    ああ、本当に引き込まれて、ここではないどこかに連れて行ってくれる壮大な冒険ができてやっぱり素晴らしい。
    なかなか得難い深いどきどきはらはら感です。
  • 国境の南、太陽の西
    どうして、村上春樹の書く文章ってすごく自然にぬくぬくその世界に入り込ませてくれるんだろう。
    おもしろかった、時間が経ったらもう一度読みたい本。
    「僕」は良くないことをしてるけど悪人とは言えないかんじ、
    登場人物それぞれに「誠実さ」を感じた。
    わたしは、僕も有紀子も島本さんもいい加減な人ではなく、それ...続きを読む
  • 女のいない男たち
    美しい文章と、語られるラブストーリー。
    結論は出ない。けど余韻が残っている。
    この余韻がすごく好き。
    それぞれのお話に出てくる男たちが魅力的でした。
    「ドライブ・マイ・カー」と「イエスタデイ」が特に好き。
    「女のいない男たち」では失ってしまった「女」についてのみをこれほど多く語れるのが素晴らしいと思...続きを読む
  • 国境の南、太陽の西
    言葉、文章の流れ、すべて
    心にぎゅっときて好きだな〜。
    本を閉じてもリズムの余韻が残って、
    これまでの人生において失われた時間について、いろいろと思う。

    時がたって読みかえすたびに、失われた時間や物事に対する受け止め方が自分の中で少しずつ変わったりするのも、楽しみだったりします
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―
    本当に村上春樹さんの紀行文は最高。
    好奇心も心も満たされる

    ちょうど読んでいたとろに、ロシアのウクライナ侵攻のことで、息子に「日本はどこの国とも地続きで国境を接していないから感覚としてわからないけれど、地続きで隣り合う国があるってどんな気持ちなんだろう」というようなことを話しかけられました。
    村上...続きを読む
  • 一人称単数
    人生には分岐点がある。

    とある出来事(他人の言動や何かしらの経験)がその後の人生を分けたり、はたまた長い時を経てその意味が後から分かることもある。そのような出来事は誰しもいくつか経験しているだろう。

    この本を読んで、他人の(筆者の)「人生の象徴的な出来事」を走馬灯のように振り返っているような気持...続きを読む
  • 一人称単数
    久々の村上春樹作品。やっぱり素晴らしい。
    心に留まる言葉や文章。更に深読みして考察が次から次へと頭の中で交錯して、いくらでも語れてしまう。
    今まで長編も短編もエッセイもほぼ網羅してきた私としては、ここに来て、すごいの出してきたな、という感想。

    若き時代から年老いた今までを思い返している。
    エッセイ...続きを読む
  • スプートニクの恋人
    ⚫︎登場人物少ないのに面白い

    最後の解釈を読者に任せ過ぎているという感じが、
    作者っぽさを感じれてとても好きだった。
    情景描写が綺麗。読みやすさはピカイチ。

    「ミュウが観覧車で見た光景」が「スプートニクから宇宙を見るライカ犬」と対比されている事を知った。

    好きな人を追いかけ過ぎて喪失してしまう...続きを読む
  • 神の子どもたちはみな踊る(新潮文庫)
    何もかも放り出したい時。
    世界なんか壊れてしまえばいいのに。
    ふとそんなことを考える時。
    それが実際に起こると、

    阪神淡路大震災。
    人間の小ささを感じる。
    一度の地震により、一瞬で崩壊。

    こちらの本ではさまざまな視点から、
    有像無像を交えた物語集。
  • 街とその不確かな壁
    面白い!けどコーヒー屋の女店主が何者なのかとか、最終的になんでイエローサブマリンのパーカーの少年と一体化するのかとか、なんのために夢を読む必要があるのかとかよくわかんなかった。解説探しに行く。
  • 国境の南、太陽の西
    激しく激しく心を揺さぶられた。

    「東京に向かう新幹線の中で、ほんやりと外の風景を眺めながら、(中略)僕は生まれて初めて自分に対して激しい嫌悪感を感じた。でも僕にはわかっていた。もしもう一度同じ状況に置かれたとしたら、また同じことを繰り返すだろうということが。僕はやはりイズミに嘘をついてもその従姉と...続きを読む