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〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か? そして又、〔世界の終り〕の街から〈僕〉は脱出できるのか? 同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか!?
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Posted by ブクログ
ファンタジーの世界観と現実世界が見事に融合していく表現力に脱帽した。 高い塀に囲まれ、一角獣の一生を見届けながら素敵な女の子と穏やかな生活を送る「私」の世界と、 かたや暗く殺伐とした世界で刺客に追われながら、無慈悲に与えられた使命を全うする「僕」の世界が並行して進んでおり、全く逆の世界が交互に展開...続きを読むしていく所が面白い。 遠い世界の話に思えるが、資本主義的な世界でこき使われている「僕」は、現代で生きている我々の苦しみと通ずるところがあるし、その苦しみから解放されたいが故の楽園『世界の終り』があると捉えると、実は現代社会を生きる我々にフォーカスされている物語だと分かる。 穏やかな世界だけを享受したいという願いは全ての人類が抱くものであろう。作中の「私」もまた同じ願いを抱いている。ただし、楽園世界に存在しつづけることで「心」を失ってしまうという制約がある。たとえ穏やかな世界であっても、感情を失うことは幸せなことであるのか。現実に向き合い、楽園からの脱却を図るか、はたまた世界の終りの住人として生きていくのか。その葛藤は辛い世界を生きる現代人にも考えさせられる部分であり、その選択こそが本作品の根幹をなすものである。 マジックリアリズム的手法が散りばめられており、一見して我々世界の現実社会とは無関係のように思えるが、主人公が置かれている状況や生き様によってじわじわと現実世界へ落とし込まれていく過程が面白く、村上春樹らしさを存分に感じられた。特にラストは、映画「インセプション」を思わせるような、現実か夢か判然としない終わり方だった。主人公の選択を読者に委ねるような構成となっており、考察のしがいがあった。
面白い。物語を通じて生きるとは、人生とは、世界の終わりに向けて自分はどれくらいたくさんのものを見落としているんだろう、、、と思わされた。 要約したりどんな話しか?そんなことをするのは無粋かな、読んで感じて余韻に浸る。読む人それぞれ味わい方が違うんじゃないかなと思う。 ただ、一つ事実として驚いたこと。...続きを読む この作品が発表されたのが40年以上前ということ。 もちろん作中にはスマホもなければカーナビもない。 だけど、文体や世界観に古さを感じさせず、現代でも通ずる人間らしさが描かれている気がして、 村上春樹の魅力ってこういうところも一つ挙げられるのかなと思った。
「心がない」ってどういうことなんだろう?「目的がない」って、ある意味とても純粋なことではないのだろうか?穴を掘っては掘った穴を埋める、を繰り返すおじいさんの話が印象的だった。
下巻も、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドが交互に章立てされている。 僕は、老人とチェスを刺しながら、ただただ運命として死んで行くこと、影を失い、自分の過去と思い出を犠牲に、影のない完璧な世界に行くことに疑問を抱く。攻殻機動隊、MATRIXでも描かれている、人間のユートピア的な状態。しかし、...続きを読むそこに少しずつ違和感を覚えていく僕の心が、壁の外に向かい始める。 僕と私が交錯するポイント、この2つの物語が収束して行く場所を求めて、物語は進んでいく。一つひとつの物語があるのだけれど、それぞれに終わり方を作っていくように、進んでいく感じ。とどまって、あえて日常の何気無いことが、ものすごく特別なことのように思えて、それでいて幸せという概念さえも包含する。世界の終わりにいる最後の光、僕の決断は、そして僕が街だったことで、全ての問題が明らかになっていく。僕が作った街であり、街は僕であり、僕は私。複雑な関係性を物語それぞれで紡いでいく、本当に凡人ではたどり着けない名著。 シンガポールで開催された、藤原竜也主演の舞台を見に行った。凝縮された村上春樹の世界観に、多くの、特に欧米系の方々が笑い、涙していたのが印象的だった。それだけ、力のある小説であることを改めて理解した。感じ方というのは少し違うのかもしれないけれど、普遍的であることとはそういうことだ。
うわぁ〜凄かった…。何この世界観。 すっごく面白かったです。 今活躍している小説家さんたちって、残らず村上春樹を読んでいて、かつ強い影響を受けてるんじゃないかとさえ思う。これを40年も前に書かれていたなんて。 物語は下巻。博士に会えてからようやく、一気に種明かしが始まる。二つの世界が一体何で、どの...続きを読むように交錯していくのか。 ところが仕組みは分かったものの、物語がどう行き着くのか最後まで全く予想が付かないまま駆け抜ける。そして膨大な想像力で描かれたストーリーが、大きく余白を残して幕を閉じる、といった感じです。私たちの想像力まで試されているような。この余韻まで計算し尽くされているんだろうな。 100人いたら100種類くらい感銘を受ける箇所が人それぞれ違うんじゃないかな。それだけ物語は複雑に入り組んでいる。 私は今の私の世界を知っているからこそ「影」の言葉に共感しました。ユートピアには絶望もなければ愛も存在し得ない。不完全な完全性。 でもそこでまだ主人公は「心」を持つ。愛する人の心を取り戻したいと願える。微かだけど希望の兆候は確実に読み取れる。 そもそも計算士なんていう謎の職業が出てきたり勝手に脳を操作されたり、何なんだよ!っていうのがここでの現実世界なのに、その物語に引き込まれてしまう。古い小説なのに斬新。それってこの物語で語られていた、日々進化していくものと不変で普遍的なものとがあって(後者は料理とか音楽とかとも言いたいのかな?)…この小説自体がそんな要素をギュッと詰め込んだ不思議な存在なんじゃないかな、って思いました。 世界中で評価されているのが分かります。
再読。10代の頃は幻想世界が退屈でハードボイルド・ワンダーランドばかり真剣に読んでいたが、作者の比重はむしろ幻想世界、世界の終りにこそあったと理解できた。 虚構を生み出し生きるとはどういうことなのか、そこで失い、得るものとは何なのか。作家業に対する自己言及であり、当時の作者の自問自答を見守るような...続きを読む切迫感、そして開放感のある読書体験だった。この小説に、今再び出会えて幸運に思う。
人間らしさとは正しく生きられない不器用さであり、終わりが見えてはじめて世界の美しさに気づくという矛盾を感じた。目の前の悲劇も、俯瞰すれば愛おしく、美しい。そんなやるせなさと希望が胸に残った。
電子化万歳
この作品を電子書籍で読めるとは……。 上下巻を旅行に持ち歩いたり、喫茶店で静かにページをめくったり、寝る前のベッドでずっと読んでしまったり、いろんな思いではあれど電子化が素直に嬉しい
#切ない #深い
判断に迷った作品。読み終えた直後は星3として可でも不可でもないというか好きな部分と嫌いな部分があるという印象だった。序盤から終盤にかけての面白さはあるのだが、最終的な着地はイマイチだったからだ。最後に大きな波が無かったと言ってもいい。 加えて、「街とその不確かな壁」と本作の「世界の終り」編は同じ舞台...続きを読むで話の大まかな流れは同じだったから、最終的にとる行動は分かっていて特に新鮮では無かったのである。 ただ、読み終えて少し時間を置いて冷静に振り返ると(村上春樹の作品は間を開けたらなぜか評価が変わりやすい気がする)、道中の続きに対する期待はミステリーと冒険ものに通じるワクワクさがあり、独特な職業がもたらすSF的な要素が含まれた世界観は圧巻であった。この独特な発想は創作者としての勘が冴えていて唯一無二性を備えており、一読者としては安心して続きのページを捲れる。 また、主人公は中盤に一定時間小便をしていないことに気づき、それを凄く気にするシーンがある。そんなに気にすることか?と読んでいるときは軽く受け取っていたのだが、読み終えてから思い返すと、序盤の頃の主人公がとる思考パターンとあまりそぐわないため、脳の思考パターンが無意識的に変化していることを描写しているように思える。そう考えると、気づけていなかっただけで細かな仕掛けは多分にありそうだ。要は再読する楽しさを秘めているということだ。
ラストが少し期待違いだったけどいい作品 重くなったり苦しくなったりすることはあるけど、音楽を美しいと思ったり人を愛することができるのは心があるから、だから無くしてはいけない、という台詞がとても印象的。 世界の終わりが来ることはあらかじめ決まっていたのかもね 選択肢があったとしても
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(新潮文庫)
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