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〈私〉の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した〈私〉は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。〈私〉の行く先は永遠の生か、それとも死か? そして又、〔世界の終り〕の街から〈僕〉は脱出できるのか? 同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか!?
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Posted by ブクログ
下巻も、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドが交互に章立てされている。 僕は、老人とチェスを刺しながら、ただただ運命として死んで行くこと、影を失い、自分の過去と思い出を犠牲に、影のない完璧な世界に行くことに疑問を抱く。攻殻機動隊、MATRIXでも描かれている、人間のユートピア的な状態。しかし、...続きを読むそこに少しずつ違和感を覚えていく僕の心が、壁の外に向かい始める。 僕と私が交錯するポイント、この2つの物語が収束して行く場所を求めて、物語は進んでいく。一つひとつの物語があるのだけれど、それぞれに終わり方を作っていくように、進んでいく感じ。とどまって、あえて日常の何気無いことが、ものすごく特別なことのように思えて、それでいて幸せという概念さえも包含する。世界の終わりにいる最後の光、僕の決断は、そして僕が街だったことで、全ての問題が明らかになっていく。僕が作った街であり、街は僕であり、僕は私。複雑な関係性を物語それぞれで紡いでいく、本当に凡人ではたどり着けない名著。 シンガポールで開催された、藤原竜也主演の舞台を見に行った。凝縮された村上春樹の世界観に、多くの、特に欧米系の方々が笑い、涙していたのが印象的だった。それだけ、力のある小説であることを改めて理解した。感じ方というのは少し違うのかもしれないけれど、普遍的であることとはそういうことだ。
うわぁ〜凄かった…。何この世界観。 すっごく面白かったです。 今活躍している小説家さんたちって、残らず村上春樹を読んでいて、かつ強い影響を受けてるんじゃないかとさえ思う。これを40年も前に書かれていたなんて。 物語は下巻。博士に会えてからようやく、一気に種明かしが始まる。二つの世界が一体何で、どの...続きを読むように交錯していくのか。 ところが仕組みは分かったものの、物語がどう行き着くのか最後まで全く予想が付かないまま駆け抜ける。そして膨大な想像力で描かれたストーリーが、大きく余白を残して幕を閉じる、といった感じです。私たちの想像力まで試されているような。この余韻まで計算し尽くされているんだろうな。 100人いたら100種類くらい感銘を受ける箇所が人それぞれ違うんじゃないかな。それだけ物語は複雑に入り組んでいる。 私は今の私の世界を知っているからこそ「影」の言葉に共感しました。ユートピアには絶望もなければ愛も存在し得ない。不完全な完全性。 でもそこでまだ主人公は「心」を持つ。愛する人の心を取り戻したいと願える。微かだけど希望の兆候は確実に読み取れる。 そもそも計算士なんていう謎の職業が出てきたり勝手に脳を操作されたり、何なんだよ!っていうのがここでの現実世界なのに、その物語に引き込まれてしまう。古い小説なのに斬新。それってこの物語で語られていた、日々進化していくものと不変で普遍的なものとがあって(後者は料理とか音楽とかとも言いたいのかな?)…この小説自体がそんな要素をギュッと詰め込んだ不思議な存在なんじゃないかな、って思いました。 世界中で評価されているのが分かります。
再読。10代の頃は幻想世界が退屈でハードボイルド・ワンダーランドばかり真剣に読んでいたが、作者の比重はむしろ幻想世界、世界の終りにこそあったと理解できた。 虚構を生み出し生きるとはどういうことなのか、そこで失い、得るものとは何なのか。作家業に対する自己言及であり、当時の作者の自問自答を見守るような...続きを読む切迫感、そして開放感のある読書体験だった。この小説に、今再び出会えて幸運に思う。
人間らしさとは正しく生きられない不器用さであり、終わりが見えてはじめて世界の美しさに気づくという矛盾を感じた。目の前の悲劇も、俯瞰すれば愛おしく、美しい。そんなやるせなさと希望が胸に残った。
中学生の時に習った水槽の中の脳の話を思い出した 村上春樹は冒険物語もいけるのか、読みやすいしおもろいし。一角獣が好きだね。
高校生のときに読んだ本作、40歳の今再読し、あまりの記憶のなさに笑った。きっと、当時理解出来なさすぎだのだろう。 本作に通底しているテーマは、「自己とは?」かなと思った。影というのはそのまんま、ユング心理学で言う"シャドウ"、頭骨から読み取る古い夢は、シャドウを生み出すきっか...続きを読むけになるような、幼少期の記憶やさらには仏教で言うカルマ、世代を超えて受け継がれる集合意識のようなもの、と気がつくと脳内変換しながら読んでいた。 最終的に主人公が選択するのはシャドウを生かすということ、ただしシャドウと一体化して無意識になるのではなく客体化してお互いに自立する道。それは森の奥に追いやられるような、孤独で、マイノリティで、想像以上に険しい道であることが示唆される。 複数の女性像が何を象徴しているのか、とか、シャフリングあたりの仕組みとか、理解出来ると面白味が増す層がまだまだ10層くらいありそう。年に一回くらい読み返したら、気づけることや理解の深さが増していくような、一生味わえる作品。 最後に、最近読んでどハマりした「世界99」との共通点を感じたのでメモ。 ・汚い、ネガティブな感情をなかったものにするためになにかに押し付ける(獣、ピョコルン) ・そういうものがない世界に生まれる別の歪みについて描かれる ・肉体の死とは別次元での認識層での無限の生(世界の終りで生き続ける、ピョコルンに生まれ変わる) 追記: 影のキャラクターが、少しせっかちさを感じるところや喜怒哀楽が割と分かりやすくて、人情や人間臭さがあって、好き。
電子化万歳
この作品を電子書籍で読めるとは……。 上下巻を旅行に持ち歩いたり、喫茶店で静かにページをめくったり、寝る前のベッドでずっと読んでしまったり、いろんな思いではあれど電子化が素直に嬉しい
#切ない #深い
手でつかもうとすると、スルスルと手の中を掻い潜っていつの間にか手にはそこにいたという実感だけが残るような物語だった。 物語は自分の内省に潜るようにできているかと思えば、社会に翻弄され生きている主人公はそれを出口の付いた犬小屋と例えた。 世界の終わりの中にする人々は、僕が失ったものかもしれないし、...続きを読むあるいは、世界を作ると言ううえで獲得せざるを得なかったものかもしれない。 とにかく、資本の中に自分という曖昧さを保ったまま観測者として、淡々と生き続ける主人公は社会との接点をある種見損なってしまったのかと思う。 それは、彼自身には社会と接続をするということだったのかもしれないが。 そのようにして形成された社会は世界の終わり、しかしそれは柔軟に完結し続けるというのはまさにだと思う。 村上春樹は、街というシステムで構築され、そこに過去の豊かさや、世界の曖昧さ不完全性を損なったものと、生きるということに直結をして生きていくシステムを失った自律的な空間森とを比較した。 そして、街を自分で形成したことを踏まえ、森を選んだ。 これは頭の中につくる僕たちの社会に対するシステムかもしれないし、あるいは誰かが既に定義をし、それを強引に僕たちに押し付けただけなのかもしれない。本当に産業革命があったと言い切ることができる人間はもうここには生きていないのだ。 みながシステムに生き、それでもそのシステムの中で揺らぎながら、社会という街の中で生きている。 それを、影、僕、私と存在を分離させ、まるでワンダーランドのように曖昧に線を引くことで描いた本作は力作出会ったように思える。 作中、線を引くのではなく、線を引かなければそれは曖昧さを失ってしまう 線は線としてそれ以上の奥行きを失ってしまう、と語った。 それはまさに彼の小説であり、ワンダーランド、世界の終わりという曖昧さこそが、何かを手繰り寄せそこに焦点を合わせる唯一の手段だったのであろう。 とても面白かった。 果たして村上春樹はこれをどのように作ったのだろうか、
今の自分をそのまま比喩表現しているきがした。 私は一通り目にしただけだけど、自分だけが苦しく生きているわけではないと思えたし、相手に深く入り込んでしまう 自分を追い詰めて落胆することが多い自分の人生の中で主人公達のセリフが物凄く印象的に残った。例え大切な人を失ったとしてもそれでも日常は進んでいく。そ...続きを読むのように人は生きていくのだから祝福して自分と他人を受け入れて生きていきたいと思えた。全部読むと堅苦しくなるので私はある程度の文を心に収めた。
いまだに何のジャンルをよく書く人なのか私はよくわかってない村上春樹なんだけど、やっぱSF面白い シャッフリングとそれにまつわる組織とか、物語独自の設定をこんなに論理的に作り上げて、その中で登場人物たちが動かせるのが本当にすごい これ読むとビール飲みたくなるよなあ
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(新潮文庫)
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