村上春樹のレビュー一覧

  • 国境の南、太陽の西

    Posted by ブクログ

    一人っ子のミステリアスな女性、島本さんと12歳の頃からその子に恋心を抱く、既婚者である主人公の物語。

    久々に素晴らしい小説を読んだ。『国境の南』というのは、自分が信じた偶像の先に存在する理想郷のようなものを示していると同時に、実際にはそこが空虚でありそこを追い求めて破滅すると言うことを示唆している題名のようにも思える。

    「でも僕は島本さんのそうした外見の奥に潜んでいる温かく、傷つきやすい何かを感じとることができた」

    これはまさしく国境の南、を示していると思う。

    『太陽の西』の説明におけるヒステリア・シベリアナは今までの自分のある部分を殺して彷徨い続けるシベリアの農民を指すが、この物語で

    0
    2026年04月30日
  • スプートニクの恋人

    Posted by ブクログ

    小説家を目指す知性ある女性すみれと、すみれを好きになってしまった主人公、そしてすみれが恋心を抱いてしまったアセクシャルな女性、ミュウという三つ巴の関係性。互いが互いに思うことが混濁し、やがて夢との境界がわからなくなる。そんな小説。

    意外と読むのに時間がかかってしまって、感想を書くために本を見返すことになりました。

    題名の「スプートニク」は、ソ連が打ち上げた人工衛星の事を示している。スプートニクの恋人とは、結婚式でビートニクと誤用したエピソードから名付けられたミュウのあだ名である。物語序盤では上記の意味合いしか説明されない為ただの語感の話かと思っていたけれど、そもそもスプートニクの和訳は「旅

    0
    2026年04月30日
  • 一人称単数

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「しかしたとえ愛は消えても、愛がかなわなくても、自分が誰かを愛した、誰かに恋したという記憶をそのまま抱き続けることはできます。それもまた、我々にとっての貴重な熱源となります。」

    0
    2026年04月29日
  • 海辺のカフカ(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この下巻を読むと、上巻はいかに大掛かりな仕掛けを体にくくりつけて、それを起動させるかをただ書き連ねた様なものに思える。そしてこの下巻で物語は大きく立ち上がり始める。

    0
    2026年04月29日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉後編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    天吾の居場所と牛河の存在を発見した青豆は、タマルの協力と理解を得て天吾との再会を果たし、この世界から抜け出すためにもう一度降りようとして発見できずに命まで断とうとしたあの階段を、逆に昇っていく。たどり着いた世界は元の1984年なのか、第3の世界なのかはわからないが、生き抜く覚悟を決めて終わる最後は、シリーズ通しての伏線回収がされて、満足いくものだった。ずっと月を見上げてきた2人が、最後の最後は、夜が明けて月が消えていくまで眺めていた、で終わるのも希望を感じさせた。

    0
    2026年04月29日
  • スプートニクの恋人

    Posted by ブクログ

    わたしは村上春樹が好きだ。
    この世界観に惹き込まれたらなかなか抜け出せないのを自分で分かっているので、1Q84以降簡単には手を出せなかったのだけれど、
    過去作を読みたい衝動に駆られて…手に取ったこちら。
    どこか儚く繊細で素敵な1冊でした。

    0
    2026年04月29日
  • 1973年のピンボール

    Posted by ブクログ


    5年ぶりの村上春樹作品。初期作だったからか以前よりも遥かに読みやすく感じた。登場人物の奇天烈で脱力したスタイルと卓越した表現力、説明しすぎない余白のある物語構成に多くの人が惹かれ、研究の道に走るのもよくわかる。深入り危険ってやつだ。

    0
    2026年04月26日
  • 海辺のカフカ(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    真顔でジョークを挟み込むユーモアに、何かを(それが何かは読者によって少しずつ変化する。)伝えようと真剣に訴えかけてくるような、きちんとした姿勢みたいなものを感じる。そしてなによりエンターテイメントとしても優れていて、田村カフカ少年とナカタさんという大きく分けて二つの視点を交互に進めていく形式ぇ、焦ったくも丹念に読み込んでしまう。再読。

    0
    2026年04月26日
  • 象工場のハッピーエンド(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    村上春樹は久しぶりに読んだけど、これぞという文章が読み心地がよかった

    村上春樹は長編も好きだけど中編、短編がより好き

    時に人生はカップ一杯のコーヒーが持つ暖かさの問題だ、とか引用なのだけど、こういう文を読んでる時が読書って楽しいなと思う

    0
    2026年04月19日
  • 職業としての小説家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    超有名な小説家なんて、さぞかしアーティスティックでクリエイティブな生活を送っているんだろうな、と思いきや…極めてフィジカルでプリミティブな生活を送っている。
    (海外に住んで専業作家をしている時点で浮世離れしていることはさておき)

    そんな地に足のついた、足腰土台がしっかりしている作家だからこそ、世界に共通の普遍的に愛される本が書けるんだろうなと思うなどする。

    0
    2026年04月19日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    うわぁ〜凄かった…。何この世界観。
    すっごく面白かったです。
    今活躍している小説家さんたちって、残らず村上春樹を読んでいて、かつ強い影響を受けてるんじゃないかとさえ思う。これを40年も前に書かれていたなんて。

    物語は下巻。博士に会えてからようやく、一気に種明かしが始まる。二つの世界が一体何で、どのように交錯していくのか。
    ところが仕組みは分かったものの、物語がどう行き着くのか最後まで全く予想が付かないまま駆け抜ける。そして膨大な想像力で描かれたストーリーが、大きく余白を残して幕を閉じる、といった感じです。私たちの想像力まで試されているような。この余韻まで計算し尽くされているんだろうな。

    1

    0
    2026年04月18日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

    Posted by ブクログ

    「ネイチャー」
    ワケなんていらない、そこに道があるから走るんだ
    同じランナーとして、共感しかないこの本
    村上春樹がこんなストイックな人だとは知らなかった
    とにかく言語化がすごい
    まるで自己分析してるみたいに、クリティカルに表現してくれるものだから、読んでて非常に気持ちが良かった

    0
    2026年04月15日
  • 職業としての小説家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    いや〜、村上春樹さんはお名前だけ存じており、小説を読む前に自伝?である本著から入ってしまいました。それがいいことなのかわるいことなのかわからないのだけど、本著がとてもいい本であって、村上春樹さんの小説を読んでみたくなりました。名前だけ知っているとは言いましたが、名前と同時についてくる世間の風評なんかも耳にはしており、それが如何に的外れなものであるかも知ることができました。ご本人は自身の小説についてもご本人についても語りたがらない性格だそうですから、なかなか風評への弁明?の場もなかったようです。ご本人が40人くらいの聴衆を前に語るようなイメージで書いたという本著の文体はほんとうにやわらかく、とて

    0
    2026年04月14日
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読んだ本 小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾×村上春樹 20260403
     これは不思議な体験です。
     村上春樹が小澤征爾とクラシック音楽について語り合う対談集なんだけど、村上春樹のマニアックぶりがすごすぎる。
     JAZZの本の時もそうなんだけど、その蘊蓄の深さの紹介のような気もしてくるぐらい。
     なんだけど、その造詣の深さは小澤征爾を圧倒するぐらいで、演奏者よりも深く音楽を理解するリスナーが果たしているのかって驚きました。
     深く聞き込むことと、それを言語化する能力が合わさって、そう聞くものなのか、そういう違いがあるのかって夢中になって読みました。
     なんだけど、全然理解はできて

    0
    2026年04月13日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公と共に、何か別の世界を旅したような気分になり、
    とても読後感がよかった。
    大げさなポジティブでもなく、シニカルなネガティブでもなく、どこか前向きに人生を捉えているような主人公に最後、力をもらえた気がする。

    0
    2026年04月13日
  • 一人称単数

    Posted by ブクログ

    フィクションが入り交じったエッセイとして読んだ。共感できるところ、書き口の独特さで読ませるところがあるなと思いながら読み進めたが表題作である最後の1編で突き放された。
    全然意味が汲み取れなかった。

    そもそもこれは小説だったのか(=フィクションだったのか)、私小説だったのか、なんだったんだろうと考えさせられた。

    0
    2026年04月12日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    なんでこんなに面白いんでしょうね!

    エピソード3、だんだんと登場人物たちが朧げに繋がってきました。宗教の白々しさ妖しさを表現するにはこう書けば良いのかと勉強になりました

    0
    2026年04月12日
  • 国境の南、太陽の西

    Posted by ブクログ

    水曜の朝、午前三時とかが好きならす刺さる一冊。大恋愛好きなら最後は尻すぼみかもしれない。
    今の生活には満足していても満ち足りない気もするという感覚は正直すごい分かる。でもその感覚を埋めるものを他人に求めてはいけないというのが1つハジメくんが出した結論なのかなと解釈した。
    でもハジメくんの気持ちもやっぱりすごく分かる。家庭を持つとどうしてもパートナーとの会話に正直刺激的なものはなくなる。概念的な答えがないようなことをしゃべるなんてことはない。それよりも明日どこ行く、何食べる、家のあれ修理しなあかんなとか現実的なことで埋め尽くされていく。そういう中で刺激的な会話ができる異性の存在ってすごく大きくて

    0
    2026年04月10日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読むのを止められなくて、
    昼休みはキーボードの下に本の読んでいるところを開いて置いて、お弁当食べながら読んでいる私。
    変人。

    匂わせしかしなくって、はっきりと説明してくれない人たちばかりがでてきて、まどろっこしくて…
    でもそのテンポが私は大好きです笑

    ずっと、
    「だからどういうこと〜?!!」
    と焦らされる気持ちとか、
    出てくるご飯の描写が洒落てて美味しそうなのとか、
    その他もろもろ、
    もうこの唯一無二な春樹ワールドが
    堪らないっ♡♡笑笑

    登場する音楽のことは、
    私は全く分からないのですが、
    出てくる文学、
    ドストエフスキーの『カラ兄』や
    オーウェルの『1984』は
    読んでいるので、
    「分

    0
    2026年04月10日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉後編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読むの止まらないです。
    さすがです。

    色々な話しが出てくるのですが、
    今回私が注目したいのは以下の3つのテーマです。

    ①男性から女性への暴力(事実婚なども含む家庭内暴力)と子供への性犯罪について
    ②新興宗教2世について
    ③一つの小説を複数人が携わり書き上げるということについて

    この『1Q84』は2009年に出版されたものだけれど、2025年の今でもまだ、①と②の話はニュースになったり、対策などが不完全な状況のままきてしまっていることだと思います。

    ①は各市がこの問題に対して、まだまだ政策を改善しようとしているところだと思います。相談窓口を設けたり、シェルターを提供したり、生活再建のサポ

    0
    2026年04月10日