村上春樹のレビュー一覧

  • アフターダーク

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    白川やカオルにとっては日常である「夜」であっても、
    高橋やカオルやコムギ、コオロギとの出会いがあったマリにとっては、この一夜が今後生きてく上で必要な「記憶」であり「燃料」となったのではないかなと思った。
    夜の持つ危うさと魅力が存分に表現されており、その非現実的な世界に読者も引き込まれる中、
    夜明けとともに、「マリは、芝生の庭や、防犯アラームに護られている。」という一文で一気に現実に戻される感覚が印象に残った。

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    2026年05月10日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    毎日走ること、苦しくても続けること、少しずつ衰えや限界を受け入れながら前に進むこと。
    黙々と走り続けている人にとって刺さる内容で、自分がやっていることに意味があると感じられるし、また少し誇らしく感じることが出来た。

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    2026年05月10日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    ネタバレ

    久々に夢中になって読んだよ。この孤独感はわかる。急に縁切られて絶望する。20代ならでは。
    自分には何もないと感じることも。
    でもつくるには、駅をつくってきたキャリアがあるじゃん。
    沙羅とどうなるか、一緒にいたおっさんは?シロが妊娠した時の父親や殺した人は誰?疑問が残ったまま終わります。
    「私はあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。その思いがそのままどこかに虚しく消えてはしまうことはない」
    私にとってのあのころは、出産のため仕事を辞めた時。

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    2026年05月09日
  • 国境の南、太陽の西

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    この作品は、一般的に言われるような単純な「恋愛小説」ではないと思った。
    人を好きになるとか、過去の恋人を忘れられないとか、そういう言葉だけでは説明できない、“人生の欠落”や“魂の飢え”のようなものを描いた作品だと感じた。

    主人公のハジメは、家庭も仕事もあり、世間的には幸福な人生を送っている。
    しかしその内側には、どうしても埋めることのできない空白が存在していた。
    その感覚は、自分自身の体験と強く重なった。
    一度変わってしまった心は元には戻れない。
    この小説は、自分にとって単なるフィクションではなかった。
    ハジメが家庭へ戻った“もう一つの人生”を見ているような感覚があった。
    もし自分が別の選択

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    2026年05月07日
  • 1973年のピンボール

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    初期三部作の2作目。風の歌を聴けは書くとについて書かれていたけれど、2作目はしっかりと始まりと終わりのある物語。僕は小さな成功者として、鼠は過ぎていった過去にこだわって燻っている。2人と主人公の両面的な話。
    ピンボールは僕の青春のマジックリアリズム的な役割として意味している。双子の存在が何を意味するのかは曖昧。

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    2026年05月06日
  • ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)

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    村上春樹を遅ればせながら読み始めている。
    主人公の境遇が少しだけ自分の状況に似ているなと思いながら読み進めた。

    主人公の妻の兄貴に、石ころのように価値がないと揶揄された際に「自分は自分の価値観で生きているので貴方の価値観で判断して欲しくない」的な内容で返す場面に自分も社会の価値観を気にしすぎているなと感動を覚えた。

    自分も社会の昇進ルートからちょこっと外れたなと感じていて疎外感をら感じていたので自分を深掘りする良い機会になった。

    中巻と下巻で主人公がどのように自分と向き合って対処していくのご楽しみである。

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    2026年05月05日
  • スプートニクの恋人

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    これは村上春樹が、割と初期に書いた小説らしいのだが、名前だけは知っているものの、なかなか読むに至らなかった。「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」という、彼のインタビューを集めた本を読んだとき、何度もこの本の名前が出てきたことで、これは読まなければ、と思ったのだった。

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    2026年05月04日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

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    「心がない」ってどういうことなんだろう?「目的がない」って、ある意味とても純粋なことではないのだろうか?穴を掘っては掘った穴を埋める、を繰り返すおじいさんの話が印象的だった。

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    2026年05月04日
  • TVピープル

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    TVピープルは人間のようで縮尺が少し小さい
    何かのメタファーっぽい。僕と妻の関係性の終わりを告げに来た

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    2026年05月04日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    春樹の長編作品の中でも物語の構成は特に素晴らしい作品の一つ。ノルウェイの森に次いで死について考えさせられる作品。春樹の曖昧な表現や描写が嫌いな人は拒絶しそうな作品だけど、春樹が好きな人なら絶対好きな作品だと思う。考察は捗る

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    2026年05月03日
  • 村上春樹 雑文集(新潮文庫)

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    冒頭の「自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)」が東京にある某私立高校の今年の入試問題に出た、というので読んでみた。村上春樹の文章は一見平易だが、中身は難しい。小説は、比喩の構築物であり、大人でも知識が浅いと意味を連想できない。村上自身が書いた小説論は、中3に歯が立つだろうか。以下、私自身の意訳も含めた本文の解釈だ。

    小説家は、自分とは何かという問いかけに対し、多くを観察して仮説を積み上げ物語化する職業だ。その問いかけへの最終的な答えは読者に委ねている。
    そもそも、何を書いたとしても、自分自身との関係を自動的に記録してしまうのが書くという行為だ。だから、何でも書けばいいのだ。それ

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    2026年05月03日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

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    下巻も、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドが交互に章立てされている。
    僕は、老人とチェスを刺しながら、ただただ運命として死んで行くこと、影を失い、自分の過去と思い出を犠牲に、影のない完璧な世界に行くことに疑問を抱く。攻殻機動隊、MATRIXでも描かれている、人間のユートピア的な状態。しかし、そこに少しずつ違和感を覚えていく僕の心が、壁の外に向かい始める。
    僕と私が交錯するポイント、この2つの物語が収束して行く場所を求めて、物語は進んでいく。一つひとつの物語があるのだけれど、それぞれに終わり方を作っていくように、進んでいく感じ。とどまって、あえて日常の何気無いことが、ものすごく特別なこと

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    2026年05月01日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(新潮文庫)

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    このタイトルを見たときに、一体なんだろうこの話は?だった。村上春樹という、大好きな作家の長編、ゆっくり読んでいったのを覚えている。久しぶりに手にとったのは、舞台、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドがシンガポールで公演されるからで、藤原竜也が「私」を演じる。僕と私、2人の主人公が、どのように結びつくのか、この世界をつなぐブリッジがなんなのか、そして私とは一体だれで、僕は何者なのか。
    夢を読む僕は、影を失い、葛藤する。影を捨て、過去の記憶を外して仕舞えば、完璧な世界に住める。この壁に囲まれた世界では、すべてが完璧だった。
    一方で、計算司として、シャッフリングという技術をもつ、暗号化やコード

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    2026年05月01日
  • 国境の南、太陽の西

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    一人っ子のミステリアスな女性、島本さんと12歳の頃からその子に恋心を抱く、既婚者である主人公の物語。

    久々に素晴らしい小説を読んだ。『国境の南』というのは、自分が信じた偶像の先に存在する理想郷のようなものを示していると同時に、実際にはそこが空虚でありそこを追い求めて破滅すると言うことを示唆している題名のようにも思える。

    「でも僕は島本さんのそうした外見の奥に潜んでいる温かく、傷つきやすい何かを感じとることができた」

    これはまさしく国境の南、を示していると思う。

    『太陽の西』の説明におけるヒステリア・シベリアナは今までの自分のある部分を殺して彷徨い続けるシベリアの農民を指すが、この物語で

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    2026年04月30日
  • スプートニクの恋人

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    小説家を目指す知性ある女性すみれと、すみれを好きになってしまった主人公、そしてすみれが恋心を抱いてしまったアセクシャルな女性、ミュウという三つ巴の関係性。互いが互いに思うことが混濁し、やがて夢との境界がわからなくなる。そんな小説。

    意外と読むのに時間がかかってしまって、感想を書くために本を見返すことになりました。

    題名の「スプートニク」は、ソ連が打ち上げた人工衛星の事を示している。スプートニクの恋人とは、結婚式でビートニクと誤用したエピソードから名付けられたミュウのあだ名である。物語序盤では上記の意味合いしか説明されない為ただの語感の話かと思っていたけれど、そもそもスプートニクの和訳は「旅

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    2026年04月30日
  • 一人称単数

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    ネタバレ

    「しかしたとえ愛は消えても、愛がかなわなくても、自分が誰かを愛した、誰かに恋したという記憶をそのまま抱き続けることはできます。それもまた、我々にとっての貴重な熱源となります。」

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    2026年04月29日
  • 海辺のカフカ(下)(新潮文庫)

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    この下巻を読むと、上巻はいかに大掛かりな仕掛けを体にくくりつけて、それを起動させるかをただ書き連ねた様なものに思える。そしてこの下巻で物語は大きく立ち上がり始める。

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    2026年04月29日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉後編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    天吾の居場所と牛河の存在を発見した青豆は、タマルの協力と理解を得て天吾との再会を果たし、この世界から抜け出すためにもう一度降りようとして発見できずに命まで断とうとしたあの階段を、逆に昇っていく。たどり着いた世界は元の1984年なのか、第3の世界なのかはわからないが、生き抜く覚悟を決めて終わる最後は、シリーズ通しての伏線回収がされて、満足いくものだった。ずっと月を見上げてきた2人が、最後の最後は、夜が明けて月が消えていくまで眺めていた、で終わるのも希望を感じさせた。

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    2026年04月29日
  • スプートニクの恋人

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    わたしは村上春樹が好きだ。
    この世界観に惹き込まれたらなかなか抜け出せないのを自分で分かっているので、1Q84以降簡単には手を出せなかったのだけれど、
    過去作を読みたい衝動に駆られて…手に取ったこちら。
    どこか儚く繊細で素敵な1冊でした。

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    2026年04月29日
  • 1973年のピンボール

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    5年ぶりの村上春樹作品。初期作だったからか以前よりも遥かに読みやすく感じた。登場人物の奇天烈で脱力したスタイルと卓越した表現力、説明しすぎない余白のある物語構成に多くの人が惹かれ、研究の道に走るのもよくわかる。深入り危険ってやつだ。

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    2026年04月26日