村上春樹のレビュー一覧

  • 草の竪琴

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    春樹さん、これは 好きすぎました!

    カポーティ+春樹さん+山本容子さん= 私たちの大好物 ノスタルジックでイノセントな世界・・

    母を失って、父が病んでしまってたぶん、育児放棄…されたコリンは
    11歳の時に父の従姉妹、
    ヴェリーナとドリーのタルボ姉妹のところに預けられた。

    妹のヴェリーナは言わば南部の田舎町の実業家
    姉のドリーはあまりにも純粋無垢がゆえに、町の人たちからは知恵遅れのように思われている。

    コリンはドリーにまるで恋してるかのように惹かれている。(彼女は多分60歳くらい)ドリーの唯一分かり合える友だちのキャサリンは、両親の時代に雇われた黒人の子どもで、ずっとドリーたちと暮らしてきた。

    ドリーとキャサリンと薬草とツリーハウス。そこに巻き込まれてゆく南部の田舎町の人たちとコリン。

    ドリーが素敵すぎて、まったくお伽噺のようでした。。

    春樹さんにとって、カポーティという作家はきわめて大きな意味を持つ存在で
    この『草の竪琴』は「特別な輝きを放っている。」と、あとがきにあります。

    春樹さんの訳で読めて良かった……

    ほかに
    『最後のドアを閉めろ』
    『ミリアム』
    『夜の樹』
    と、3つの短編も入っています。

    帯にあるように、『最後のドアを閉めろ』は『風の歌を聴け』のタイトルにインスパイアされた作品。
    MONKEY vol.30に寄稿しています。
    その時のあとがきにもあります。

    柴田先生が聞き手のインタビュー
    「カポーティは
    僕にとってもとても大事な作家」でも
    『草の竪琴』に触れていて
    カポーティをまたすべて読み返したくなります。

    読み終えて数日たちますが
    いつでもあのツリーハウスに戻れそう……

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    2026年03月10日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    純粋な野望と現実とのズレや、繋がりが感じられなかったり人生の不明瞭さに起因する孤独感、自分を理解してくれる人を盲目的に求める様が、読んでいて苦しくなるほど伝わってきます。
    救いは無いのかもしれませんが、なんとか微かな希望を持って明日を生きようとする姿に心が打たれました。

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    2026年03月10日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この4冊の長編小説を通して彼が我々読者に伝えようとしていることは
    事実というモノの弱さ、そして、信じることの強さ
    なんじゃないかと思った。

    ──────────────────────

    正しい知識が人を豊かにするとは限らんぜ。客観が主観を凌駕するとは限らんぜ。事実が妄想を吹き消すとは限らんぜ。

    私は揺らぎのない真実よりはむしろ、揺らぎの余地のある可能性を選択します

    ──────────────────────

    作中にもこのような文章があるように、真実というモノの価値に一石投じるような作品だと思った。

    そして主人公と免色の対比構造──確かなモノがないこの世で、信じることを望むか、その曖昧さに価値を見出すか──も、最後に明かされて今まで読んできた中で曇っていた部分が一気に風に吹かれて快晴になったように感じた。

    そして度々出てくる風の歌を聴けなどの過去作品からのオマージュに、ハルキストはニヤけてしまうだろう。

    とにかくすごく良かった。
    長編小説の苦手な僕がすごく読み入ってしまった。

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    2026年03月10日
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)

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    ネタバレ

    タイトルはもちろん知っていたけど、映画も小説もあらすじもなにも知らないままここまできた。
    お金持ちの品のある人たちがティファニーで朝食を食べる話なのかと思ってたら全然違った。

    ホリー・ゴライトリーは、美しいけど破天荒で謎が多く、でも彼女自身の芯をしっかりともっている女性だった。
    小悪魔なようでいて純真なところもある。
    男の人達が大量に近寄ってきて、常に誰かが近くにいた状態なのに、いざという時になると頼れる友達というのがいないというところは胸がキュッとした。
    ラストのあたりの猫のシーンはグッときたし、終わり方は私好みだった。
    ホリーがあのあとどうなったのかはわからないままだけど、最後まで読んだあととりあえず冒頭シーンを読み返した。
    どんな場所であっても、猫のように安心できる場所でホリーらしく生きていたらいいな。
    読み終わったあと、なるほどこのタイトルはそういう意味だったのかと。良いタイトルだなぁとしみじみと思った。

    映画のあらすじも読んでみたけど、小説とは全然別物っぽい。逆に映画は実際どんな感じなのかも気になってきたので、機会があれば観てみたい。

    他にも3編収録されているけど、どれも別れがある話だった。
    どの話も私好みでよかったけど、一番好きだったのは「クリスマスの思い出」。
    客観的にみたら、幸せな境遇とは言えないバディーと親友。
    それでも犬のクイーニーもいて、そんな境遇の中でも幸せを掴めていた。
    子ども時代の清らかで美しい思い出と、生きていく中でそういったものはどんどん周りから消えていってしまう様がとても苦しかった。
    生きていく中で別れはつきものとはわかっているけど。
    残された者は、旅立っていった者たちがただ安らかに天国で楽しくやっていることを祈るしかないんだよなぁ。

    「ダイアモンドのギター」の、友だと思っていた人から裏切られて楽しかった思い出も色あせて、それでもきっぱりと忘れることができない様もよかった。

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    2026年03月07日
  • 一人称単数

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    はじめての村上春樹。
    石のまくらに、「ヤクルトスワローズ詩集」
    かなりのヤクルトファンだということがわかった、風の歌を聴けを読みたくなった

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    2026年03月05日
  • 遠い太鼓

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    再読中
    面白すぎる。声出して笑うエッセイは春樹さんくらい。笑 すごおおおおおおく、面白い。笑 スペッツェス島。ゾルバ系ギリシャ人。ミコノス。27歳の時に読んだあの時の記憶が蘇る。夢中になって読んだなあ。ノルウェイの森とタンスダンスダンスが書かれた期間のスケッチたち。これを読んでからローマに行ったような。春樹さん、37〜40歳の文章のスケッチ。ゾルバ。死に犬現象、エーゲ海の法則。いやあ、名言が多すぎる。笑


    初回
    2018.4.20
    春樹さんのエッセイや旅のスケッチ的な文章がすごく好きだ。
    読んでいると肩の力が抜けるような、疲れた時のわたしのリフレッシュ的ツール。

    最高にツボな表現が多い一冊。。笑

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    2026年03月04日
  • 1973年のピンボール

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    鼠と僕、ビール、そしてピンボール。ただただピンボールをやり、そして店ごとなくなった。それは、ただ終了しただけのような、予定されていたかのようにふと消えることがある。ゆっくりと、ただ自分と向き合う主人公。そして、双子の女の子たち。
    ジェイズバーで、街の中にいる自分を外に持っていく決心をつける。一歩進む、その大事な、大切な一歩を推してくれたのは変の兆しを与えてくれたなんでもないもの。日常の本当に小さな何か、なんの変哲もない、何かが人生を変えることもある。じっくり、もっとじっくり読まなくては、、と思いながら流して読んでしまった。

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    2026年03月01日
  • スプートニクの恋人

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    ネタバレ


    まだ読んだことのない作品の方が多いけれど、今まで読んだ村上春樹作品の中でいちばんすき。日曜日の夜明け前にすみれが記号と象徴の違いを電話で僕に問う一連のやりとりがすごく気に入ってしまって、何回も読んだ。

    僕 がすみれに色んなこと(「何かを学ぶときに、 一度それはそうゆうものだと受け入れないと進まないことと、きちんと理解しないと進まないことがある。 」とか、 「簡単に説明できることには落とし穴がある。あまり急いで結論に飛びつかないほうがいい。」とか)昼夜問わず丁寧に言葉を選んで教えてくれるたび、純粋な心配からの忠告に感じたり、すみれに対する想いゆえの祈りに感じたりもした。でも、ずっと優しくて良い人だな、と思った。

    果たされなかった約束を、「美しい約束の多くがそうであるように、」と言ったり、好きな表現や会話がたくさんあった。終わり方も好きだった。

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    2026年07月09日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

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    再読。10代の頃は幻想世界が退屈でハードボイルド・ワンダーランドばかり真剣に読んでいたが、作者の比重はむしろ幻想世界、世界の終りにこそあったと理解できた。

    虚構を生み出し生きるとはどういうことなのか、そこで失い、得るものとは何なのか。作家業に対する自己言及であり、当時の作者の自問自答を見守るような切迫感、そして開放感のある読書体験だった。この小説に、今再び出会えて幸運に思う。

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    2026年02月23日
  • 国境の南、太陽の西

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    村上春樹氏のインタビュー記事を読んでいて、読み直したくなり手に取る。
    学生時代に一度読んだきり、内容はすっかり忘れていた。

    一人っ子の少年が、青年になり、中年になっていく物語。男の中には常にある女性が居て、孤独な時もモノを持ちすぎた時も中心には彼女がいる。
    成功譚でも、成長の物語でもない話が進んでいく。

    リズムよく読みやすい文体、洒落た語彙。スラスラとテンポよくページを進めていけた。
    物語に没頭し、喪失、孤独、加害を感じていった。
    素晴らしい読書体験だった。


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    2026年02月22日
  • アンダーグラウンド

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    著者が地下鉄サリン事件で被害にあった方々に、事件当時の様子を聞いてまとめたものが本書である。軽傷で済んだ人もいれば、偶然、当日に電車を利用することとなり、その結果、植物人間と化して家族が介護するというように、さまざまな人がいた。地下鉄でサリンがばら撒かれるという、治安がいい日本では、にわかには信じられないことが起きた。その為、医師を含めて大半の人はなにが原因で、電車内で大量に倒れて、なかには死に至る現象が発生したのか理解できなかった。そのこともあって、当時の日本では職場や家族から理解を得られない被害者もいた。このように、日本で前代未聞の出来事に出くわしたときの、人々の言動が本書を通して浮き彫りになる。

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    2026年02月21日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編―(新潮文庫)

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    ■刺さったところ
    ・青豆も天吾も幼少期、家族の温かさや友達に恵まれない境遇で育ち、
    そんな2人の心情心理描写が村上春樹節で表現されつつ、ミステリーが紐解かれていくので一気に読める

    ・天吾と青豆がどのようにして出逢うのか、楽しく想像を膨らませながら読めた。

    もっといっぱいあるけど、このくらいにしておきましょう

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    2026年02月20日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉後編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    一挙に物語がつながり、動き始めた。リーダーも青豆や天吾同様、望む望まないにかかわらず、1Q84の時間性に入り込んでしまい、そして青豆の手にかかり終わることを望んでいたことにまず驚いた。中身のなかった『空気さなぎ』を初めて読むことができて、今後青豆がどのように関わり続けてくれるのか、先を読み進めるのが楽しみでしかたない。

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    2026年02月20日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    オーディブルで少し前に拝聴していて
    最近2周目を聴いた

    オーディブルは主に片道20分間くらいの通勤の車の運転中に聞いていて
    あれこれ考えていると集中できないことも多々あるんだけど
    この作品は疲れているときでもなんだかすっと頭に入ってくる

    走ることについての本ではあるんだけど
    生き方として参考にしたいエッセンスが所々に散りばめられている

    すごい好きだから、紙の本も買いたいな

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    2026年02月16日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(上)―(新潮文庫)

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    日本の芸術、文学が出てきて他の作品とは異なる印象。特に絵画に触れるのは春樹にしては珍しいと思った。
    まだ全ては始まりにすぎない。免色のことは嫌いじゃない。

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    2026年02月15日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)

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    村上春樹の芸術感が前面に現れ始めている、起承転結の承の部分。
    小説を書くことが自己回復の手段である村上春樹と、絵を描くことで自身の深層にある暴力性と向きあう主人公。深層に向き合うきっかけとなった雨田の『騎士団長殺し』。
    様々な角度から自己に向き合う村上春樹の試行錯誤を感じ取れる。

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    2026年02月15日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(上)―(新潮文庫)

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    ねじまき鳥クロニクル、海辺のカフカと大きな流れは似ている。
    「caveat emptor。カウェアト・エンプトル。ラテン語で『買い手責任』のことである。」

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    2026年02月15日
  • 1973年のピンボール

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    青春小説だと思います。
    やるせない悲しみや逃げられない辛さに直面した鼠と主人公、二人を描いています。
    彼女に何も伝えず苦しみ抜いて街を出る鼠。何も生み出さないピンボールに多くの時間を費やした主人公。
    二人が具体的に何に苦しみ、悲しでいたのかは書かれません。おそらくそんな必要はないのでしょう。
    ただ美しい情景描写、印象的な会話、いくつかの感情表現が話を綴ります。

    ーこの土地には雪こそほとんど降らなかったが、そのかわりにおそろしく冷たい雨が降った。雨は土地に踏み入り、土地を湿っぽい冷やかさで被った。そして地底を甘味のある地下水で満たしたー


    ー時折、幾つかの小さな感情の波が思いだしたように彼の心に打ち寄せた。そんな時には鼠は目を閉じ、心をしっかりと閉ざし、波の去るのをじっと待った。
    夕暮れ前の僅かな薄い闇のひとときだ。波が去った後には、まるで何一つ起こらなかったかのように、再びいつものささやかな平穏が彼を訪れたー


    ーねえ、誰が言ったよ。
    ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね。
    鼠はジェイに向かって微笑み、ドアを開け、階段を上る。街灯が人影のない通りを明るく照らし出している。鼠はガードレールに腰を下ろし、空を見上げる。そしていったい、どれだけの水を飲めば足りるのか、と思うー


    ー僕は一人同じ道を戻り、秋の光が溢れる部屋の中で双子の残していった「ラバーソウル」を聴き、コーヒーを立てた。そして1日、窓の外を通り過ぎていく十一月の日曜日を眺めた。何もかもが透き通ってしまいそうなほどの十一月の静かな日曜日だったー


    何ももう苦しまなくていいんだ。全て過ぎ去ったことなんだ。全ては追憶なんだ。
    そんな安らぎを読者に与えてくれる稀有な作品だとおもいます。
    村上春樹の小説の中で1番好きな作品です。

    あなたにとってのピンボールはなんですか?

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    2026年02月15日
  • カンガルー日和

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    4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子と出会うことについて
    私の人生でこれ以上の小説に出会うことは多分ないと思う

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    2026年02月13日
  • 村上ラヂオ2―おおきなかぶ、むずかしいアボカド―(新潮文庫)

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    ⬛︎気楽なのにちゃんと沁みる小話たち

    前回『村上ラジオ』の1冊目を読んでとても面白かったので、2冊目も購入。
    なお村上春樹の小説は未読で、遠い昔に『ノルウェイの森』を途中で挫折したままです。

    冒頭のまえがきにある
    「ぼくのエッセイは「ビール会社が作るウーロン茶」みたいなものだと考えています」
    という表現。
    「そのウーロン茶が好きなのよ……」としっくりきました。

    なぜ村上さんの「ウーロン茶」が好きなのか考えてみると、文体の温度感がとにかく心地よいからなのだと思います。
    ハッとさせられる価値観や考え方が肩肘張らない自然体の文章で綴られ、そこにクスッと笑えるおふざけが差し込まれる。

    「真面目さ」と「おふざけ」の温度がちょうどよく、冒頭で書かれている通り「肩の力を抜いて気楽に書いている」トーンが、読む側にも心地よく伝わってきます。

    印象に残った話題は本当にたくさんありました。
    怒りの多くは「悲しい」に置き換えられるが、本当に怒っていいこともあり、それは静かに怒り続けていいという話。
    便利なものが一つ生まれると、それがない状態が「不便」になるという話(からの、寿司屋のビールは瓶ビール一択だ、という流れに思わず笑ったり)。
    「ガラスの家に住む人は石を投げないほうがいい」という、批判する側の覚悟の話。
    おひとりさまのカキフライから語られる、「誰かと食べたいご飯」の話。
    原子爆弾を作ってしまったことを悔いたオッペンハイマーの話。

    身が裂けるような悲しみのたびに音楽に救われてきた、という話では、つらいときに寄り添ってくれる存在は人それぞれあるのだな、と読みながら思いました。私の場合は音楽や漫画などの娯楽で、無心になれるものにずいぶん救われてきたことを思い出しました。

    今回もとても面白かったです。
    何巻まで出ているのだろう、続きがあるならまた読みたいと思います。

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    2026年02月11日