村上春樹のレビュー一覧

  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    「ネイチャー」
    ワケなんていらない、そこに道があるから走るんだ
    同じランナーとして、共感しかないこの本
    村上春樹がこんなストイックな人だとは知らなかった
    とにかく言語化がすごい
    まるで自己分析してるみたいに、クリティカルに表現してくれるものだから、読んでて非常に気持ちが良かった

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    2026年04月15日
  • 職業としての小説家(新潮文庫)

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    いや〜、村上春樹さんはお名前だけ存じており、小説を読む前に自伝?である本著から入ってしまいました。それがいいことなのかわるいことなのかわからないのだけど、本著がとてもいい本であって、村上春樹さんの小説を読んでみたくなりました。名前だけ知っているとは言いましたが、名前と同時についてくる世間の風評なんかも耳にはしており、それが如何に的外れなものであるかも知ることができました。ご本人は自身の小説についてもご本人についても語りたがらない性格だそうですから、なかなか風評への弁明?の場もなかったようです。ご本人が40人くらいの聴衆を前に語るようなイメージで書いたという本著の文体はほんとうにやわらかく、とても心の優しい方なのだと思いました。ひとまずは本棚に一、二年刺さっている「海辺のカフカ」から読んでみようかな。とっても良い本でした。また読み返します。

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    2026年04月14日
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)

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    読んだ本 小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾×村上春樹 20260403
     これは不思議な体験です。
     村上春樹が小澤征爾とクラシック音楽について語り合う対談集なんだけど、村上春樹のマニアックぶりがすごすぎる。
     JAZZの本の時もそうなんだけど、その蘊蓄の深さの紹介のような気もしてくるぐらい。
     なんだけど、その造詣の深さは小澤征爾を圧倒するぐらいで、演奏者よりも深く音楽を理解するリスナーが果たしているのかって驚きました。
     深く聞き込むことと、それを言語化する能力が合わさって、そう聞くものなのか、そういう違いがあるのかって夢中になって読みました。
     なんだけど、全然理解はできてないんです。
     全く実感のない文字上の音楽体験。
     さすがに読んで感銘を受けたからって、マーラーの演奏をいくつも聞き比べる気はしないもんね。
     比べたってわかんないだろうし。
     相手が小澤征爾っていうのが素晴らしい。
     音楽家であり冒険家。

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    2026年04月13日
  • 街とその不確かな壁(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    主人公と共に、何か別の世界を旅したような気分になり、
    とても読後感がよかった。
    大げさなポジティブでもなく、シニカルなネガティブでもなく、どこか前向きに人生を捉えているような主人公に最後、力をもらえた気がする。

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    2026年04月13日
  • 一人称単数

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    フィクションが入り交じったエッセイとして読んだ。共感できるところ、書き口の独特さで読ませるところがあるなと思いながら読み進めたが表題作である最後の1編で突き放された。
    全然意味が汲み取れなかった。

    そもそもこれは小説だったのか(=フィクションだったのか)、私小説だったのか、なんだったんだろうと考えさせられた。

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    2026年04月12日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

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    なんでこんなに面白いんでしょうね!

    エピソード3、だんだんと登場人物たちが朧げに繋がってきました。宗教の白々しさ妖しさを表現するにはこう書けば良いのかと勉強になりました

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    2026年04月12日
  • 国境の南、太陽の西

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    水曜の朝、午前三時とかが好きならす刺さる一冊。大恋愛好きなら最後は尻すぼみかもしれない。
    今の生活には満足していても満ち足りない気もするという感覚は正直すごい分かる。でもその感覚を埋めるものを他人に求めてはいけないというのが1つハジメくんが出した結論なのかなと解釈した。
    でもハジメくんの気持ちもやっぱりすごく分かる。家庭を持つとどうしてもパートナーとの会話に正直刺激的なものはなくなる。概念的な答えがないようなことをしゃべるなんてことはない。それよりも明日どこ行く、何食べる、家のあれ修理しなあかんなとか現実的なことで埋め尽くされていく。そういう中で刺激的な会話ができる異性の存在ってすごく大きくて、だからこそ魅力的に思えるし、人によっては過去の関係もある人であればたらればを考えることもきっとある。それはでも結局実際にはパートナーになってない関係だから成り立つんだよねというところではある。その上でなお失うものへの葛藤、あの頃の自分なら迷わず動いてたのにそれが今はままならない感覚も勝手ながら共感した。

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    2026年04月10日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

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    読むのを止められなくて、
    昼休みはキーボードの下に本の読んでいるところを開いて置いて、お弁当食べながら読んでいる私。
    変人。

    匂わせしかしなくって、はっきりと説明してくれない人たちばかりがでてきて、まどろっこしくて…
    でもそのテンポが私は大好きです笑

    ずっと、
    「だからどういうこと〜?!!」
    と焦らされる気持ちとか、
    出てくるご飯の描写が洒落てて美味しそうなのとか、
    その他もろもろ、
    もうこの唯一無二な春樹ワールドが
    堪らないっ♡♡笑笑

    登場する音楽のことは、
    私は全く分からないのですが、
    出てくる文学、
    ドストエフスキーの『カラ兄』や
    オーウェルの『1984』は
    読んでいるので、
    「分かる〜〜!!!」
    と鼻息荒く読んでます。

    これからどうなるのか。

    「愛」が重要なテーマなのですが、
    なんだか春樹さんが書くと
    新鮮味のある感じになるのが、
    すごいなぁと思っています。

    では!!

    4に行って参ります!!!

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    2026年04月10日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉後編―(新潮文庫)

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    読むの止まらないです。
    さすがです。

    色々な話しが出てくるのですが、
    今回私が注目したいのは以下の3つのテーマです。

    ①男性から女性への暴力(事実婚なども含む家庭内暴力)と子供への性犯罪について
    ②新興宗教2世について
    ③一つの小説を複数人が携わり書き上げるということについて

    この『1Q84』は2009年に出版されたものだけれど、2025年の今でもまだ、①と②の話はニュースになったり、対策などが不完全な状況のままきてしまっていることだと思います。

    ①は各市がこの問題に対して、まだまだ政策を改善しようとしているところだと思います。相談窓口を設けたり、シェルターを提供したり、生活再建のサポートをしたり。ただ、まだ不完全なところも多く、随時改善しようとは試みていると思います。この作品の出版された16年前の状況よりは良くはなっているのかもしれないですが、まだまだ「昔の問題」とはなっていないのが現状だと思います。
    それをこの小説が出版された時点で、ここまで問題提起するのが、すごいことだと思います。

    ②新興宗教2世についての問題も、「安倍晋三銃撃事件」で話題に上がったり、私が個人的に新興宗教2世としての辛さなどを語る「道端ドコカ」さんポッドキャストを聴いていたというのもあり、「昔あったこと」では全くないと強く感じていることでした。現在でも新興宗教2世として苦しむ子供たちや、そういった過去をもつ大人たちがいるとは思うし、その問題に私たちはどう向き合うのか、そんなテーマを2009年に掘り下げようと試みているところに作家の力をとても感じました。

    そして③の一つ小説を複数の人が書くことについて、どうしてこんなにもタブーとされているのか、今まであまり考えたことがなかったなぁと気がつきました。映画や芝居は専門分野の違う複数の人が集まって作られるのは当たり前。漫画もアシスタントがいたり、なんなら絵画などの美術も昔から工房で弟子が手伝って描いたりするのも良くあること。
    小説という分野だけ、1人の作家が中身も文章も絶対に全て担わないといけない。中身を考えるのが得意な人がストーリーを考え、文章が技術的に得意な人がその中身に基づいて文章を書く、と言った合作はダメとされていますよね?!
    それによりたとえば芸術的に素晴らしい文学作品が生まれるとしてもタブー。なんでなんでしょうか。
    良いか悪いかの話は一旦置いておき、むしろこれからは、AIとの共作やプロット担当+文章担当などの役割分担のある作品もどんどん生まれる可能性がある訳ですよね?!
    そんなことを2009年に問題提起しているような小説を書く春樹はやっぱりすごい…と今なっている私です。

    さぁ、続きを読むのが楽しみ!!

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    2026年04月10日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉前編―(新潮文庫)

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    春樹ー!!きたー!!!
    と叫びたい!!

    久しぶりー!!!!

    ちょっと続きを早く読みたいので、
    感想控えますが、

    もう春樹ワールド全開で最高です!!笑

    室内プールに通う30歳前後の、
    規則正しい生活を送る料理の上手い男性の主人公に、
    年上の人妻ガールフレンドがいるところが、
    もう本当に春樹すぎて、

    登場人物に向かって、
    よっ!久しぶりだな、お前!

    と心の中でつぶやいていましたね笑

    そして女性の胸の描写も、
    もう待ってました!!

    と思いました。

    あぁ、故郷に戻ってきたなぁ、
    という感情になり、
    私は春樹さんを求めていたことが分かりました笑笑

    ちょっと村上春樹を一度封印して、
    色々読んでいたというのがあり、
    もう嬉しさも100倍です。

    この、ほんっっとうに唯一無二な世界観に浸って、
    現実を忘れて、
    純粋な読書の楽しさを味わえる作品が、
    私にとっては村上春樹作品です。

    やっぱり、やっぱり。

    とくにこの『1Q84』は、
    ジョージ・オーウェルの『1984』を読んでから読むと、なおさら色々勝手に解釈したくなり楽しいです!!!

    そして確かにseaさんのいう通り、
    伊坂幸太郎の『さよならジャバウォック』が、
    時としてオマージュなのか?
    と思いたくなるほど『1Q84』に似たところがあり、
    びっくりしました!!
    それに気がついたseaさんすごいなぁ。

    私はやっぱり短編集より、
    長編派だ!!

    後5冊も文庫本続くのが楽しみ!

    ではまた行ってきます!!!
    久しぶりにテンション上がる読書です!!

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    2026年04月10日
  • ロング・グッドバイ

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    文体が好き。
    フィリップ・マーロウという主人公がいて、その一人称なんだけど、すごく三人称に感じたし、登場人物がものすごく近いように感じたところが良かった。
    訳者解説がすごく納得!

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    2026年04月09日
  • 遠い太鼓

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    自分はもともと春樹の文体や日常パート(ファンタジーとかジブリじみてない部分)が好きなんだけど、本書がまさにその良さが出ていた

    内容は彼が37歳から3年間、ヨーロッパで長く暮らした時に起きたアレコレ、酷い目に会ったり、新しい世界を見たり、人の優しさに触れたり、やれやれと言った感じで読んでてついニコニコしちゃうような一冊

    転職の有給消化で、親を連れて石垣に遊びに行ってる間に読んだ
    4泊5日
    時々親がホテルで休んでて、昼のビーチチェアで日に当たりながら、夜のビーチバーで1人ビール飲みながら本書を読んだ
    大切な時間に合う本だった。旅行中に何読むとなったら是非勧めたい一冊。あと本当に春樹らぶ

    ※ダンスダンスダンスでどうしてもピニャコラーダを海辺で飲んでみたくなり、飲んだ
    私はモヒート派ですね。いくらなんでもココナッツ嫌いがピニャコラーダはキツい。それはそう

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    2026年04月06日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

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    村上春樹氏のエッセイは本当にその地に行ったかのような感覚。
    ウィスキー好きには、サクッと読むのにちょうどいいサイズ。

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    2026年04月06日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

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    シングルモルトには、それぞれきりっとしたパーソナリティーがあり、アロマによって生産地が特定できるという。海藻香のアイラ島のシングルモルト。生牡蠣と合うらしい。ラフロイグのマネージャーイアン・ヘンダーソンの「おいしいウィスキーを時代にあわせてうまく造ることを目指しているんだ。」いつも新しいやり方を模索している。進取の気性。ベッシー・ウイリアムという女性が陣頭指揮をとり、大胆に新しいやり方を持ち込んで、ラフロイグの業績を伸ばしたそうだ。イアンは、「頭であれこれと考えてはいけない。能書きもいらない。値段も関係ない。多くの人は年数の多いほどジングルモルトはうまいと思いがちだ。でもそんなことはない。年月が得るものもあり、年月が失うものもある。エヴァポレーション(蒸発)が加えるものもあり、引くものもある。それはただの個性の違いに過ぎない。」ボウモアのジム・マッキュエン氏の口にしたアイラ哲学。「みんなはアイラ・ウイスキーの特別な味について、あれこれと細かい分析をする。確かにこの島では上質の大麦がとれる。水も素晴らしい。ピートも潤沢で、よく匂う。それは確かだ。でもそれだけじゃ、ここのウィスキーの味は説明できない。いちばん最後にくるのは、人間なんだ。ここに住んで、ここに暮らしている俺たちが、このウィスキーの味を造っているんだよ。人々のパーソナリティーと暮らしぶりがこの味を作りあげている。それがいちばん大事なことなんだ。」アイラ島行きたい。

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    2026年04月01日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    マラトンに着いた時の、鉢植えの花を切って小さな花束を作って渡してくれたスタンドおじさんが素敵

    たとえいくつになっても、生き続けている限り、自分という人間についての新しい発見はあるものだ。裸で鏡の前にどれだけ長い時間じっと立っていたところで、人間の中身までは映らない。

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    2026年03月30日
  • ロング・グッドバイ

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    本物の生きる屍に会う

    主人公の私立探偵マーロウは周囲の人間をスケルトンのように見ていて、彼らの醜い骸骨姿に唾を吐きかけながら接している。しかし、あるときテリーとアイリーンという本物の生きる屍に出会い、強く惹かれていった。魂が抜けた空っぽな人間であるテリーとアイリーン。そこに見たものは何だったのか。あとがきで訳者の村上春樹は、マロウがテリーに見出したのはマロウ自身だと指摘しているが、それはマロウ自身が空であることを述べているに等しい。マロウはたまらなく孤独な人間だった。ラストの場面は、再開した友人との触れ合いをも拒んだ。その徹底した孤独ぶりは、胸に深い読後感を残した。

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    2026年03月29日
  • 大いなる眠り

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    チャンドラーの知識ゼロで読み進めた私は

    レイモンド・チャンドラーの知識ゼロで本書を読み進めた私は、主人公マーロウを追ううちに、その人物像がかつて見た映画の探偵と重なった。当時大学生の娘がレポートを課されていた授業の題材で、私も横からちらちら観ていた映画だった。その探偵は、たばこを常にスパスパと吸っていて呼吸の8割は喫煙している感じで、紫煙を文字通り纏っていた。本書読後、その映画を早速探そうと、「映画」「探偵」「たばこ」の言葉でネットで検索した。記憶と重なるのがすぐに出てきた。映画のタイトルは『ロンググッバイ』。この映画の探偵もマーロウと呼ばれていたから、私が本を読んで想像した人物と同じだった。映画のマーロウは想像のマーロウよりやや軽い印象を受けたが、よく再現されていた(俳優さんはエリオット・グールドという人だったのですね)。有能、毒舌、独自の正義感、女にもて友情や尊敬を抱く男は一握りだ。松田優作とルパン三世を足して割ったような人物像だが、年代を考えると、彼らのモデルがマロウなのだろう。本書の筋となった事件は少々入り組んだ部分がある。できるだけ丁寧に読んだ方がいい。読み飛ばしや斜め読みはおすすめしない。かと思えば、作者の書き忘れもある。あとがきに訳者の村上春樹氏が紹介したエピソードが面白い(映画化にあたったハワード・ホークスが、原作者チャンドラーに電報を打って「○○の犯人は、いったい誰なのですか?」と尋ねた逸話はあまりにも有名だが「私は知らない」というのが著者の返した電文だった)。読者がいくら丁寧に読んでも報われない部分があるということだ。でも、マーロウに惹かれて、読み進めるアクセルをいつのまにか深く踏んでいる感じを味わえる。面白い作品に出会った。

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    2026年03月29日
  • リトル・シスター

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    饒舌全部で7冊あるマウロウものの長編の5冊目の作品。マウロウは4冊目の「湖中の女」や6冊目の「ロング・グッドバイ」に比べても饒舌で、もしかしたらシリーズで最高に漫談が面白い作品かもしれない。いくつかは声に出して笑ってしまうし、いくつかは気が利いた表現で感心させられる。アメリカン・ジョークは日本人の私には笑うどころか意味が通じないものも多いが、マウロウの呟きはわりに理解できる。日本のお笑いにない表現で、新鮮にも感じる。村上春樹氏の翻訳がうまいせいかもしれない。読みながら、筋はどう展開してもよいから、時間のある限り読み続けたいと思う不思議な作品であった。

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    2026年03月29日
  • さよなら、愛しい人

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    固茹
    「君に好意をもっているんだよ」「良い子だ。私の趣味ではないが」「良い子は気に入らんのか?」、彼は新しい煙草に火をつけた。そして手を振って、その煙を顔の前から払った。「私はもっと練れた、派手な女が好きだ。卵でいえば固茹で、たっぷりと罪が詰まったタイプが」「そういう女には尻の毛までむしられるぜ」とランドールはどうでも良さそうに言った。(本書より)たっぷりと罪が詰まったタイプ、か。フィリップ・マーロウのセリフは実に格好いいの一言に尽きるよ。

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    2026年03月29日
  • 水底【みなそこ】の女

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    抑制的なマーロウ

    『水底の女』のフィリップ・マーロウは、他作品と比べてやや抑制的な男として描かれている。挑発的な発言やアクションが少なく、女性に対する眼差しも薄い。正確に数えたわけではないが、タバコに火を付ける場面も少ないかもしれない。マーロウといえど、エネルギーに満ちた時期とそうでない時期があったに違いない。

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    2026年03月29日