村上春樹のレビュー一覧

  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    描写が素晴らしくて、情景が鮮やかに伝わってくる。音楽もスマホで探して聴きながら読んだりして、それも新鮮で、すご〜く楽しめた。うーん、たぶん沙羅とは結ばれなかったかなーって思う。

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    2025年06月10日
  • 猫を棄てる 父親について語るとき

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    ネタバレ

    父の心に長いあいだ重くのしかかってきたものを-息子である僕が部分的に継承したということになるのだろう。人の心の繋がりというのはそういうものだし、また歴史というのもそういうものなのだ。その本質は〈引き継ぎ〉という行為、あるいは儀式の中にある。その内容がどのように不快な、目を背けたくなるようなことであれ、人はそれを自らの一部として引き受けなくてはならない。もしそうでなければ、歴史というものの意味がどこにあるだろう?【P63】

    たとえば僕らはある夏の日、香櫨園の海岸まで一緒に自転車に乗って、一匹の縞柄の雌猫を棄てにいったのだ。そして僕らは共に、その猫にあっさりと出し抜かれてしまったのだ。何はともあ

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    2025年06月10日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

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    村上春樹はエッセイや紀行文がいいぜ!というのを言われたりそこここで見かけたので、読むぜ!の気持ちで手に取った。

    大変良いものでした。
    びっくりした。思っていたよりもずっと良い。
    私はウイスキーには全く明るくないし飲んだことがあるものもボウモアくらいで、本の中で表現されるような味の雰囲気や表情を理解することはできないわけだが、この饒舌さは実に楽しい。好きなものを言葉を尽くして語る様子は気分があかるくなるね。
    注釈の8割が本筋にはちょっと関係ないけれどどうしても言っておきたい事って感じの内容で、そこも良かった。

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    2025年06月08日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    言わずと知れた大御所の作品だ。
    こう表現するのは烏滸がましいけれども、僕自身の断片みたいな内省的で瞑想的な人物が次々に出てきて、妙に居心地が良い。

    はるか昔はこの絶え間なく続く省察が堪らないものだったが、今や僕自身がそのような人間になったせいだろう、穏やかな気持ちでスラスラと受け止めることができた。
    歳を重ねていくとはそういうことなんだろう。分からなくなることはあるが、分かるようになることもあるのだ。

    終盤ではクロに共感した。多崎つくるとクロ。長い紆余曲折の果てに、それぞれが失ってきたものはきわめて多い。
    特にクロの言葉には限りなく切ないものがあり、彼女の悲しくも優しい喪失感は読者の胸を強

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    2025年06月08日
  • ねじまき鳥クロニクル―第2部 予言する鳥編―(新潮文庫)

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    何度か読み返している本書を数年ぶりに再読した。
    今回は前回よりも深く物語を理解できたような気がする。
    クミコからの長い手紙に彼女の真摯さのようなものを感じ、
    笠原メイからは、現実から違う世界に行こうとする岡田亨をなんとか引き留めようとするいじらしさのようなものを感じ、
    カティサーク飲みたいなぁと感じた。
    また、数年置いて読みたいなと。

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    2025年06月06日
  • 走ることについて語るときに僕の語ること

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    村上春樹の小説は何冊か読んだことがある。彼がランニングをしていることやランニングについての本を書いていたことも、少しは知っていた。けれども、それほどのランナーではないと勝手に思っていたので、本書をずっと読まずにいた。
    しかし、読み終えてもっと早く読んでおくべきだった、と後悔している。
    私もランナーだ。約20年のラン歴がある。フル・マラソンは15年以上の経歴があり、昨シーズン(2024)は5レースに出た。フル・マラソンランナーとしての彼が言っていることは、良く理解できた。だから彼のことが凄く身近に感じた。

    いくつか心に残り、響き、突き刺さる言葉があった。
    「僕らにとって最も大事な物事は、ほとん

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    2025年06月04日
  • 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

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    暴力、そして『ねじまき鳥クロニクル』の副読本
     ユングとか河合隼雄とかの怪しさはいったん脇に置いておきます。
     村上春樹の無意識的・形而上的な創作技法が多少なりともつまびらかにされてをり、それは氏には珍しく赤裸々に開陳されたものだと思ふのです。
     特にこの対談のメインとなってくるのは、暴力についてです。それは氏が『ねじまき鳥クロニクル』を書き終へたばかりといふのもあるし、それが氏にとって体から出てきた(頭で考へただけではない)物語だからです。
     同じく暴力を扱った作家として、村上龍と大江健三郎の名前もすこしだけ出てきます。

     河合隼雄の心療経験の話が面白く、それがうまく村上春樹と噛み合ってゐ

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    2025年06月08日
  • 村上T 僕の愛したTシャツたち

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    Tシャツの写真をみてるだけで楽しい。最後のインタビューは蛇足っぽいけど、トニー滝谷の正体が判明したりするので侮れない。

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    2025年06月04日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

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    再読

    村上春樹の作品にはいずれも共通した、独特の世界観のようなものがあり、「騎士団長殺し」もその例に漏れませんでしたが、他の作品と比べても圧倒的に読みやすいと思います。

    じわりと身体の隅々まで文章が行き渡り、ラストもとても綺麗にまとまって、読後感は最高でした。

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    2025年06月02日
  • 風の歌を聴け

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    この20世紀後期感、その時代を生きた訳ではないので実際の雰囲気は分からないが、この時代に創られた良質な作品(小説に依らない)に共通するムードがこれ以上ないくらいに感じられる。

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    2025年12月28日
  • ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)

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    ねじまき鳥クロニクルを読むのは三度目か四度目になるかと思う。初めて読んだ時からもう二十年くらい経つ。読むたびに自身が感じることが変わり、面白いと思うポイントが変わってきている。これは私の読解力が少なからず成長しているということなのか。
    電話の女、加納マルタ、加納クレタ、そして本田さん…。魅力的なキャラクターが次々に登場するのがとても楽しい。そしてそれらが重なり合って物語が進むのですが、文章や世界観に自分の脳がゆらゆらと揺らされているような感覚になり眠くなる。そう村上春樹は眠くなるのです。この眠くなるという点は、何度読んでも変わらない。
    作者と同じ時代を生きて、作品を読めるということに感謝。だっ

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    2025年05月31日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)(新潮文庫)

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    上巻から一気に怒涛の展開。
    どちらかというと上巻は癒し系の話かと思ったのに、全然違うかった。
    でも最後の4章は本当に涙無しでは読めなかった。

    世界には涙を流すことのできない悲しみというものが存在するのだ。深い哀しみというのは涙という形をとることさえできないものなのだ。

    誰の心にも諦めたもの、閉ざしてしまったものがあり、でもその諦めたものの、澱のようなものが少しでも残っているならばそれで生きていくことができるのだ。

    世界の終りのラスト、影と私の会話は、自分の心のなかにずっと留め続けたいと思う。この本のことは絶対に大事してゆきたい。

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    2025年05月31日
  • 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)(新潮文庫)

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    冒頭から惹きつけられる。
    ハードボイルドワンダーランドと世界の終りが交互に綴られていく展開にグイグイ引っ張られて。
    おそらく現代(ハードボイルドワンダーランド)の硬く無機質な世界観と、世界の終りの牧歌的で美しい風景。
    2つの世界の僕と私の2人にとても好感が持てる。
    主人公以外の登場人物全て、わりと良い人。
    下巻がとても楽しみになる。
    村上春樹の最初の長編なんですね。やっぱりすごいな!

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    2025年05月31日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    考えても知りようのないことは、また知っても確かめようのないことは、考えるだけ無駄というものだ。そんなものは所詮、君の言う仮説のあぶなっかしい延長にすぎない。

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    2025年05月30日
  • カンガルー日和

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    100%の女の子に出会うの話と
    とんがり焼きの盛衰が特に好みだった。
    「僕」の作った、とんがり焼きが食べたい。

    どれもよく分からないのに、さっと読めて楽しめる。
    そして「やれやれ」があちらこちらに。

    サクッと村上春樹を楽しみたいときに良い文庫本だ。

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    2025年05月28日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

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    めちゃくちゃ前に読んで、面白かったなあという気持ちだけしか残っていなかったので、改めて読んだ。
    村上春樹さんの本は、10年前くらいにこの本も含めていくつか読んだのだけど、全て(面白いと思ったのだけど、どんな話なのか理解できていない。説明できない。)と感じたのを覚えている。
    今回も、そうかもしれない笑
    全部、理解しきらんというか、自分の感覚の中にはまだない感情とか表現がわりと多い気がする。
    でもその一方で、この気持ちは自分の中のこの感覚や、みたいな共感もそれなりに多くある。
    それこそ、多崎つくるの(自分には色がない、空っぽ)みたいな気持ちは、自分にもあるなあと思う。

    で、自分なりに今回読んでみ

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    2025年05月28日
  • レキシントンの幽霊

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    秀逸な短編が収められた短編集である。緑色の獣などは非常に模範的な短編であり、オチの付け方、過不足ない情景描写に文章表現、隅々まで緻密に作り上げたのだろうか、しきりに感心してしまった。他タイトルも総じて村上春樹らしさが存分に味わえる物語で、彼に傾倒している私にとって至福の時間を与えてくれたことは最早言うまでもない。

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    2025年05月26日
  • 女のいない男たち

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    いちばんかもしれないと思える作品だった。
    村上春樹の文章には読者のための「スペース」が用意されていて、各々の過去を思い出しながら自分なりに共感することができる(少なくとも私は強い共感や親近感を感じている)点がひとつの大きな魅力だと思っている。本作は、強く思いをかけた女性を失うことという主題で、その色が比較的強く現れていたと思う。
    イエスタデイが1番好きだった。

    『そしてあるときには、一人の女性を失うというのは、すべての女性を失うことでもある。』

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    2025年05月25日
  • TVピープル

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    加納姉妹の話大好き!
    眠れない女性の車のシーンずっと覚えてる。アンナカレーニナ読もうかな,とあれからずっと思ってる

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    2025年05月24日
  • 辺境・近境

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    ネタバレ

    確か高校の現代文の先生が読んでいたので、本書の存在は知っていた。個人的にも香川、西宮など、ゆかりがある場所が多く出てくるのでそれだけでも楽しく読めたが、加えてこれからある意味での旅に向かう自身にとって響く言葉が多かった(詳細は以下、多くなってしまった)。
    改めて、何かを問うとき、問われているのは自分自身なのだと感じる。どこかへ行くとき、災難に見舞われるとき、発見するのは自分自身なのだと思う。旅とは、ある種の諦念(思い通りにならないこともそりゃ沢山ある、という姿勢)を獲得する過程であり、これを獲得するからこそ、逆説的ではあるが、それでも不変なもの(どうにも変えられない自分の一部、等)に目を向けら

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    2025年05月22日