【感想・ネタバレ】ロング・グッドバイのレビュー

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Posted by ブクログ

文章に酔える。
原作の世界観を残したまま村上春樹の文体/世界観も感じることができて最高の一冊。登場人物の多い海外文学への抵抗感もこの人なら消え去ってしまう。
自分に大きな影響を与えた作品を翻訳するって本当に凄い。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい話だった。そして題名の意味が最後の最後にわかるそのまとめ上げ方が最高だった。話の途中に、男同士の友情として描かれる一節がまさにハードボイルドで…そしてその場面があるからこその最後の最後に題名が効いてくる…染み渡る話でした。

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2024年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10代に挫折して本棚の肥やしになっていたものを引っ張り出して再読。

何を感想として残せばいいか分からないくらい、読んだ後に寂寥感に苛まれる。
人生を象徴するような出会い、別れ、非情さ、優しさが詰まっていた。マーロウに共感しながらも、同時に、役者あとがきにもあるようにその実何光年も離れたところにいる人間だろうという言葉に強く頷く。
優しさや誠実さは、時に深く人を刺し殺す。
もう彼とのギムレットは飲んでしまった。

この先この本が本棚から消えることはないだろうし、何度でも読み直す大切な一冊になった。
読むたびに味が変わるんだろうな

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2023年04月05日

Posted by ブクログ

私立探偵、フィリップ・マーロウのどこまでも冷静で、どんな事態におちいっても、ユーモアを忘れない、いわば超人的なナイス・ガイさにやられた。

事件も、網をくぐって、くぐったすえに、複雑な様相を呈している全体像に驚き、終わりも予想外だった。

会話も面白く、人物、一人一人に魅力があるので、読む者を飽きさせない。

傑作。

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2023年01月07日

Posted by ブクログ

村上春樹版の『長いお別れ』
こちらも大好きな本です。
とりあえず解説を堪能して、清水俊二訳と比較するといった楽しみもありますよね。
装丁のデザインは、なぜこんなにも簡素なのでしょう。

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2022年10月17日

Posted by ブクログ

古典的な名作を読んでみた。
まず当時の1ドルは現在のどれくらいになるのかと下世話な疑問から入ってしまった。村上春樹さんとしてはどうでも良いのかもしれないが。
翻訳を直すならもう少し分かりやすくして欲しかった。
こんな時代から道徳心のない女性、金持ちが描かれていたとは知らなかった。
事件の解決方法は今時ではないけど、キャラクターは楽しめたので、やっぱりいい作品なんだと思う。

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2022年02月03日

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"ミステリアスで終わらない、ちゃんとオチのある村上春樹"。めちゃくちゃ村上春樹なのに全然村上春樹じゃない不思議な感覚。ストーリーは特筆するようなところはない王道ミステリーでしたが、面白かったです。一気に読みました。

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2021年04月09日

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僕が知る限り、最も気取っていて、それでいて心地いい文章表現をした小説。

どのページをめくっても手が込んだ表現がちりばめられている。

村上春樹の訳はキザで冗長なのに奇跡のようなバランスで、渇いた世界観に自然と溶け込んでいる。

この小説の好きな表現をここに書き連ねようと思ったけれど、多すぎて書ききれないことに気付いた。

ストーリーやキャラクターは映画やドラマでも楽しむことはできるけれど、文章表現は小説でしか楽しむことができない。
そんなことを実感させてくれた作品。

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2021年03月14日

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今年は海外のミステリー傑作に何度か触れたけど今作もまたとんでもないクオリティを誇る作品であった。チャンドラーはミステリー作家として有名だが、訳者の村上春樹が言及しているようにミステリ以外の多くの作家に影響を与える文体を発明した。
村上春樹が訳しているので、彼の文体がいかにチャンドラーから影響を受けたのかと安易に錯覚するが、清水俊二訳のものと比べてもチャンドラーの文体は現代に通じる、魅力的で影響を受けない方が難しい程の力強さを持ち合わせていることがわかる。
タイトルの意味を示唆する場面には痺れた…

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2021年02月12日

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正月にダラダラ読んだ。
主人公がハードボイルド気取りになのに、
情に弱くきな臭いことに巻き込まれて、ボコボコにされるギャップがなんと愛おしいなと思った。
この辺りが村上春樹のキャラクターっぽい。

けど、強大な資本主義的なシステムに絡めとられそうになるけど、ずっと「友情」というものを信じて、
自分の筋を通そうとするところが非常に魅力的だった。

「ギムレットを飲むのはまだ早すぎる」はじめ名文・名台詞が次々と出てくる。
「さよならを言うのは少しだけ死ぬことだ」というのは本作に限らず、
普遍的な友や知人との別れに関する金言だなと改めて思う。

あと、ロバートアルトマンの映画版と比べると、フィリップマーロウとレノックス出会い、3人の医師を尋ねるくだりやハーラン・ポッターのお金やシステムに関する説法などカットするにはもったいない描写が数多くあったなあ。

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2021年02月07日

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時間は元には戻らない。あの頃の友には、もう会えない…
村上春樹の訳で文体が心地良い。ハードボイルド。
ミステリー劇もさることながら、人間関係の無常さが胸に刺さりました。

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2021年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
ハードボイルド作品は苦手だが、村上春樹が織りなす独特な文体を通してだと、不思議と違和感なく読めた。
特に、フィリップ・マーロウが自宅でメンディネス(ギャングのボス)と対峙する場面は心臓を鷲掴みされるような臨場感があり、一気に読んでしまった。
一読しただけではとても理解できない奥深い作品。日を改めて、また手に取りたい。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

探偵フィリップ・マーロウは、酔って駄目になっているテリー・レノックスに出会い、「なにか」に惹かれる。おそらくその「なにか」は彼にとって欠落というべきものだろうと思われる。その「なにか」がなんなのかについて彼自身がどのくらい理解しているのかは、小説を読む限りでは分からない。ただ、彼はその「なにか」のために、テリー・レノックスの死に執着する。その過程で、彼以外の、周囲の人の心にあるわだかまりは少し明らかになったりするし、事件の真相も明らかになる(予想以上にミステリ小説してたので驚いた)が、結局彼の欠落した「なにか」には1mmも近づかない。

最終的に、‪”‬ミステリ的な仕掛け‪”‬としてテリー・レノックスが生きていたことが明かされる。これで良かった、マーロウのレノックスに対する想いは報われるだろう、と感動する準備をしながら読んでいくとそうはならない。真相にかかった霧が晴れると同時にレノックスに付帯してマーロウとの繋がりを引き止めていた「なにか」も霧散してしまう(それはミステリ的な仕掛けのさらにその先に仕掛けられた非ミステリ的な真相だ)。そうして、真相が明らかになるのと逆行して、彼の欠落した「なにか」はより深くなっていく。
読み終わってもなお、フィリップ・マーロウが誰だったのか分からないままだった。

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2023年10月25日

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 チャンドラーの本は集中力が続かないことが多くて、最後まで読めないのが普通なのだが、このストーリーは気になって読破した。推理小説としてはとても上出来だと思う。

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2023年10月16日

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初のチャンドラー。良かった。なかなかのボリュームだけど村上春樹訳というのもあって、思いの外スラスラ読めた。元々ハードボイルドとか古典的なミステリーに惹かれるところがあり、私的には非常に満足度が高かったけど、好みは分かれるだろうなぁ。小洒落た言い回し、キザな台詞、無駄に細かい描写そのものを愉しめないと苦行かと思う。謎解きを求める方もハマらないに違いない。場面場面を愉しむ、夜中にJAZZの名盤を聴きながら、酒と煙草をお供に読みたい1冊でした。巻末の村上春樹氏の気合の入ったあとがきも読み応えあり。

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2023年04月16日

Posted by ブクログ

長旅だった。
ただいざ読み終えると寂しいものがある。
初のチャンドラー作品、楽しんで読めた。
寄り道エピソードが好き。

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2022年09月12日

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だいぶ前に清水訳を読んで以来の再読。内容については名著すぎて言うべきことはほとんどないが、村上春樹訳は、あっさりめだがくっきりはっきりと書かれていて細部がよく分かる印象で、作品そのものの文学性を味わうにはこっちの方がいいかも。

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2022年06月18日

Posted by ブクログ

セリフの返しが逸脱すぎた。
彼の語り口に惚れてしまう…
おもしろくない会話がひとつもない作品に出会ったのは、初めてかもしれない。

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

孤高の男探偵マーロウが、友人の死に隠された謎を解き明かしていく探偵小説。読みきった直後の感想は、長かった、、、でも、、、楽しかった。なにが一番楽しめたかというと、マーロウのハードボイルドかつウイットに富んだ長広舌だ。ミステリでありながら先の展開を待ちわびることなく(いい意味で)、その場の状況に釘付けにされていしまう。また、登場人物の描写に関しては、チャンドラーの圧倒的な筆力をひしひしと感じさせられた。こういった文体の魅力は、村上春樹訳だからこそ引き出されるところがあるのかもしれない。

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2021年12月31日

Posted by ブクログ

話の構成がよすぎで引き込まれるし、もしかして犯人はこの人かなーみたいのも当たったり当たらなかったりで読んでて楽しい。ハードボイルドといえはフィリップ・マーロウなんですか?こりゃ読んだらシリーズ読みたくなる感じ。
私の苦手な外人名ですが、先日読んだLAヴァイスはカタカナ名に完全閉口したが、これは全然大丈夫だったのでカタカナ苦手じゃなかったみたい。
ひとつ気になるのは、訳が春樹さんな点。春樹さん以外の訳本も気になる。何故ならば。文の細やかな雰囲気はどうしても訳者さんに左右されそうで。春樹さんがこの本が好きすぎるのが分かるし、影響相当受けたのではって全体的を通じて思ってしまった。はるき節が入ってるのではと穿っているので機会があれば他の訳者さんのも読みます。原本はちょっとこの内容だと私には無理そうなので汗

中高生新聞でお勧めされていて

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2021年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこが好きなのか分からないけど、どうしても惹かれる人がいる。そんな男を友人だと思い、彼の無実を晴らすためだけに、無報酬で方々走り回り、やっぱりボコボコにされるマーロウ。
なんだろう。マーロウが本当にさよならを言いたかったのは、きっと彼なんだろうと思うんだけど。そこであーだのこーだの言わないのは、マーロウのポリシーなのかそれとも職業柄なのか。でもそれって、あまりにもマーロウが報われないじゃないか…。

タフで皮肉屋で、よくボコボコにされるけど。
多分きっと、マーロウが一番やさしい。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

数ページで村上春樹がいかに影響をこの本から受けているのかがありありとわかる。
孤独、反権威主義、シニカルな主人公。それだけ聞くとただの嫌な人間だけど、マーロウは一貫して自分の行動指針を変えない。そこがただただかっこいい。

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2021年05月06日

Posted by ブクログ

【感想】
・カッコイイ気分になれる小説。さてたばこでも一服しようかって感じ。
・マーロウ、テリー、アイリーン、ウェイドの造形が際立っている。
・細かでストーリーに関係ない余計な部分がおもろい。
・はるか昔『長いお別れ』で読んでるけどすっかり忘れてるので再読。

【一行目】
 テリー・レノックスとの最初の出会いは、〈ダンサーズ〉のテラスの外だった。

【内容】
・酔いつぶれているテリーをマーロウは助け、次第に友情を感じるようになるが、彼は大金持ちの妻シルヴィアを殺害、逃亡先で自殺した。さまざまな勢力からその事件に深入りするなと脅されるがマーロウは言うことを聞かない。
・飲んだくれの作家ウェイドが行方不明なので連れ戻してくれと超絶美女の妻アイリーンに頼まれたマーロウはいやいやながらに関わっていくことになる。
・別件と思われた二つのできごとだが・・・


▼マーロウについての簡単なメモ

【アール】ガウチョ姿の若者。ブラス・ナックルをはめて殴りかかってくる。ドクター・ヴェリンジャーのところにいる。
【アイドル・ヴァレー】湖の周囲を金持ちの邸宅が取り囲んでいる地域。ただし金をもっているだけでは住めず人品賎しからずでないとアカンらしい。おそらく奥にいくほどステータスが高い。
【アイリーン・ウェイド】ロジャー・ウェイドの妻。ブロンドで、居合わせた男性たちの時間を停めてしまうほどの美女。娘時代に愛し合った男は戦争で死んだと思われるが死体は発見されていない。小説的にはだいたい生きてて登場人物の一人ってことだろう。彼のイニシャルは偶然PMのようでマーロウと同じだった。どこか歪んだところがある。登場人物の中ではテリーと並び最も印象的なので犯人(何の?)かもしれない。
【アメリカ人】マーロウ《アメリカ人はでかくて、荒っぽくて、金があって、向こう見ずな国民だし、犯罪というのは我々がその見返りとして支払わなくちゃならない代価なんだ。》p.552
【あるいは】《しかしそれはあくまで「あるいは」であり、どこまでいっても「あるいは」でしかない。》p.38。まあ、「もしも」の話はしてもしかたがないってこと。
【アルコール】《「アルコールは恋に似ている」と彼は言った。「最初のキスは魔法のようだ。二度目で心を通わせる。そして三度目は決まりごととなる。あとはただ相手の服を脱がせるだけだ」》p.39
【ヴァーリー】エイモス・ヴァーリー。ちょっと怪しい医師。大きな屋敷で診療しておりどうやら多くの自己判断が難しくなった老人を入院させており搾取しているのかもしれない。かつて麻薬関係で問題があったようだ。
【ウェイド】スペンサーが抱える流行作家。歴史ロマンスものを書くらしい。一冊読んだマーロウは「ひどい代物だ」と思った。フィッツジェラルドを好む。超絶美女、アイリーンの夫。自分の中に何かのしこりのようなものを抱えているようでおそらくそれが原因で飲んだくれている。
【ヴェリンジャー】ドクター。芸術家のコロニーのようなものをつくっていた。
【ヴュカニック】レスター・ヴュカニック。ちょっと怪しいことをやってるんじゃないかと思われる医師。マーロウの事務所があるビルよりおんぼろなビルで開業している。治療のフリをして調査に行ったマーロウは十ドルの治療費を踏み倒した。
【エイモス】リンダのとこの運転手。T・S・エリオットの詩集なら持っている。
【エディー・ダウスト】もとカーン機関の社員だが人間的だったので辞めた。
【エドワード・ローリング】→ローリング
【演技性】《張りつめた空気の中では、どんな些細なものごとも演技性を持ち、大事な意味を示す動きとなるからだ。》p.47
【エンディコット】スーウェル・エンディコット。弁護士。彼が地方検事をしていた頃にマーロウは会ったことがあるらしい。
【オールズ警部補】バーニー・オールズ。マーロウとは旧知。誠実で優秀。賭博嫌い。「おれは年をとってくたびれた、ぽんこつの警官なんだ。気持ちなんておさまるもんか」p.551
【オルブライト】市警本部長。事件に横やりを入れてきたようだがマーロウは面識もなかった。もっと偉い誰かと面識があったのだろう。
【カーン】「カーン機関」のトップ。元憲兵隊大佐。堅固な巨漢。《いけ好かない人物になるための方法は百九十ばかりあるが、カーンはその全てに精通している。》p.177。作中に登場はしない。
【カゴの鳥ファィル】カーン機関がつくっているちょっと怪しい連中のプロフィール等が記録されているファイル。わりと役に立つ。カーンはこういうものには金をかけることができるのでけっこう無能ではなさそうだ。
【彼女のため】テリー《そしてこの近辺では、欲得を抜きにして彼女のためを思う人間は僕のほかにいないんだ。しかしそのころには、僕は既にお払い箱になっているだろう》p.40
【鞄の中身】《中に何が入っていようが私の知ったことではない。》p.25
【空威張り】マーロウ《意味のない空威張りはごめんだ。本当に実力があるなら、そんなものは必要なかろう。》p.98
【ギムレット】マーロウ「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」p.586。うーん、「ギムレットには早すぎる」の方が印象的かな?
【キャンディー】ロジャー・ウェイド家のハウスボーイ。本名「ファン・ガルシア・デ・ソト・ヨ・ソト=マヨール」でチリ出身だと言うがメキシコ人かもしれない。ナイフ使い。ウェイドに対しては忠誠心を抱いているようだ。
【凶器】グレゴリアス《毎度おなじみの真鍮の彫像でな。独創的とはいえんが、道具としては不足ない。》p.75
【グリーン部長刑事】殺人課。灰色がかった金髪で気難しそう。マーロウとはけっこう気が合うんではなかろうか?
【グレゴリアス】その年の殺人課の課長。贅肉のつきかけたマッチョでかなり暴力的。後にクビになって馬に踏まれて死んだらしいが、マーロウが「取り調べ」を受けたときにはまだ生きていた。
【グレンツ】底意地が悪そうな、検事かな? スプリンガーの部下。
【結婚】マーロウ《百人のうち二人にとっては、結婚は素晴らしいものだろう。》p.568
【原則】《しかし何はともあれテリー・レノックスは彼なりの原則を守って生きているのだ。それがどんな原則であるにせよ》p.24
【コーヒーを淹れる】《細部をおろそかにしない男、マーロウ。なにをもってしても、彼のコーヒー作りの手順を乱すことはできない。》p.47。《大量のコーヒーを。深く強く、火傷しそうなほど熱くて苦く、情けを知らず、心のねじくれたコーヒーを。それはくたびれた男の血液となる。》p.500
【今夜】女「今夜みたいに?」/男「今夜は二度と戻らない」p.570
【作家が駄目になったことがわかる基準】ウェイド《インスピレーションを求めて、過去に自分が書いたものを読み返すようになったら、もうおしまいなんだ。》p.381
【さめた目】《私はしばらくそこに座ったまま、人生をさめた目で眺めてみた。それから何かおかしなことを考えて大笑いしようと思った。しかしどちらの試みもうまく行かなかった。》p.250
【さよなら】《さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ。》p.571。《警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない。》p.594
【シャンパン】女「何のためにとっておいたの?」/男「君のために」p.560。恥ずかしいほど気障で月並みな口説き文句やなあマーロウさん。
【定石】《定石どおりの行動をとるのは、好むところではない。》p.253
【ジョージ・ピーターズ】大手興信所「カーン機関」に勤めている。マーロウとは旧知の間柄らしい。全天候型。
【シルヴィア】大金持ちの女。大富豪ハーラン・ポッターの末娘。その結婚が社交界ニュースとなるレベル。男遊びが激しい。文庫カバーの内容紹介に書いてるので書くけど、殺されたと思われる。それも顔を潰されて。ミステリで顔が判別不能になるときはだいたい別人なのだが今回は? フルネームは「シルヴィア・ポッター・ウェスターハイム・ディ・ジョルジョ・レノックス」。
【新聞】ロニー《新聞社というのはね、金持ち連中によって所有され、経営されている。そして彼らはみんな、ひとつの社交クラブに所属しているようなものなんだ。》p.109
【信用】マーロウ「誰も私のことは信用しない。しかし私は君を信用しよう」p.496
【スター】ランデイ・スター。メンディーとともにテリーの友人らしい。やっぱりやくざな商売をしているようだ。どうやらヴェガスの市警本部長のやうな立場らしい。物静かな話し方をする。
【スプランクリン】地方検事局の人間らしい。《どっちにしても俺がとっちめられるんだよ。》p.94
【スペンサー】出版業者。相手から目をそらさないタイプ。すぐ隣に信じられないほどの美女がいるのに不自然。ウェイドの作品を出版している。探偵に頼むようなことではない依頼を持ちかけてくる。
【頭痛】《こういう女はいつだって都合のいいときに頭痛が起こるのだ。》p.142
【スプリンガー】地方検事。名を売りたい。
【退屈】テリー《僕は自分自身をすら退屈させている。》p.37
【チック・アゴスティーノ】メンディーの用心棒。
【デイトン】刑事。ハンサムで底意地が悪そう。遠くにいてもわざわざ近寄っていって殴り飛ばしたくなるタイプ。どうやらデイトンの方もマーロウに対して同じように感じているらしい。
【手遅れ】マーロウ《君のような人間はいつだって、手遅れになってからすまながるんだ》p.56
【テリー】酔いつぶれているところをなぜか放っておけなかったマーロウに救われたことが縁で親しくなる。大金持ちの妻シルヴィアと離婚しその後復縁。フルネームは「テレンス・ウィリアム・レノックス」。白髪で頬に傷がある(整形している)。ソルトレイク・シティの孤児院にいたらしい。文庫カバーの内容紹介に書いてるので書くけど、妻シルヴィア殺害で容疑者にされると考え逃亡、後に自殺したらしい。伝聞として劇的でない死なので、小説的には本当に死んだかどうかは怪しい。マーロウにとって《彼は長い船旅で知り合った誰かに似ている。とても親しくなるのだが、実際には相手のことを何ひとつ知らない。最後までそんな具合だった。》p.115。だが、《私の中には彼の一部が残っている。》p.115。《彼はそういう男だった。自分ではいつも正しいことをしようと思うんだが、結果的にはやらずもがなのことをやってしまう。》p.583。百ページほどで退場するけどこの作品のもう一人の主人公とも言える。
【逃避】マーロウ《誰だって何かから逃避しようとしている》p.274
【涙】《彼女は私に恋をしていたわけではないし、どちらもそのことは承知していた。私のために泣いているわけでもなかった。たまたま少しばかり涙を流すべき時期にあたっていただけだ。》p.570
【人間】マーロウ《どこにいようと人間さして変わりがあるわけじゃない》。ウェイド《しかし変わりはあるべきなんだ。そうじゃなかったら、救いがないじゃないか?》p.276。マーロウ《世間の多くの人々は、自分のエネルギーの半ば近くを、もともとありもしない威厳を護ることに費やしつつ、汲々と人生を送っているのです。》p.295
【値打ち】テリー《僕は値打ちのない男だって言ったじゃないか。》p.53。同様に思っている人は多いだろう。ぼくもそうだが。逆に自分には値打ちがあると思っている人はもっと多いだろう。で、だいたいの場合、両者の値打ちは同程度だろう。
【バーニー】→オールズ
【ハーラン・ポッター】大富豪。二メートルを越す巨漢。インタビューを受けることはほとんどない。《彼に会うのはダライ・ラマに会うのと同じくらい難しいのだ。》p.129。そういう珍獣のような人物とマーロウは合うことになる。リンダ《もし父が本心を打ち明けたなら――そんなことはこれまで一度もなかったし、これからもあり得ないでしょうが》p.260。冷酷な男、とテリーは言った。リンダは《しかしとても人間味のある人です。》と言った(p.259)。そしてテリーを好いていた、とも。マーロウは《彼はすべての物事を憎悪しているのだ。》と感じた(p.368)。
【腹が立つ】《腹が立つのはきまって些細なことなのだ。》p.116
【ハワード・スペンサー】コンマが多く混ざるしゃべり方をする男。
【ピーターセン】警察署長。馬好きのようだ。馬に乗りながら片手で煙草を巻くことができる。鷹のように細い顔立ちのハンサム。
【ビッグ・ウィリー・マグーン】風俗取締班の刑事。身長二メートル十、横幅一メートル二十はありそあうな巨漢。マッチョなチックを片手で投げ飛ばした。
【フィリップ・マーロウ】→マーロウ
【プライド】テリー《僕のプライドは、それ以外に何も持ち合わせていない人間のプライドなんだ。》p.23。プライドだけてもあるんならいい方かと。
【ヘルナンデス】警察の課長。冷静で有能で危険な男。
【法律】エンディコット《法律というものが本来目指しているのは、メカニズム以上の何ものでもないんだ。》p.90。マーロウ《法律というのは法律家の仕事をこしらえるためにあるようなものだ。》p.494
【ポール・マーストン】ロイ・アシュターフェルトがニューヨークで見かけたテリーとよく似た酔いどれの名前。イニシャルがマーロウと同じやね。
【マーロウ】主人公。小説の登場人物として最も有名な探偵の一人。クールなわりに、好みに合った相手にはお節介の世話焼きという珍しい属性。おそらくチカラを持つ相手にはとりあえず反発し、チカラのない相手には手を差し伸べるタイプかと。でも、強情で誰にも媚びず自分の意志を通す。素直に「yes」と言わないタイプ。扱いにくそうだ。他者を挑発し敵をたくさんつくりながら捜査する。《あなたの好みにあった音楽をかなでることは私にはできない。》p.262。《私は薄汚くよこしまな大都会に生きる方を選ぶ。》p.392。《私は独歩する死の時計なのだ》p.497。オールズ《君は収まりの悪いほつれなんだ。》p.508。《髪はダークブラウン、白髪が混じっている。目は茶色。身長は百八十四センチ。体重おおよそ八十五キロ。》p.85。フットボールでキックを受け鼻の中を手術したことがある。
【マイオラノス】シスコ・マイオラノス。「S」が寄越した男。おそらくメキシコ人。上品なところが鼻につく。
【間違い】《言うまでもないことだが、彼女はどこまでも正しく、私はどこまでも間違っていた。でもなぜか、自分が間違っているという気がしなかった。ただ割り切れぬ気持ちが残っただけだ。》p.27
【メイディー】クリス・メイディー。ネヴァダをほとんど取り仕切っている大立者。作中には登場しない。
【名誉】マーロウ《名誉ってのは盗人の隠れ蓑になるんだ――往々にしてね。》p.583
【メンディー・メネンデス】テリーの友人らしい。マーロウのことを「真っ赤なスクーターに乗ったターザン」と称した。褒め言葉ではなさそうだ。自称大物で金持ちで袖の下渡し。やくざのボスってとこか。悪党だがテリーに対する友誼は本物のようだ。なぜかマーロウを挑発する。マーロウいわく《タフぶっている人間というのは、だいたい話が退屈なんだ。エース札ばかりのトランプでゲームをしているみたいだ。》p.126
【ランディ・スター】→スター
【リンダ・ローリング】ヴィクターズでギムレットを飲んでいた女。シルヴィアの姉。とんでもなく鬱陶しい邸宅に住んでいる。
【ロイ・アシュターフェルト】カーン機関の社員。
【ローフォード】地方検事の代理として来た。
【ローリング】エドワード・ローリング。リンダの夫。医師。嫉妬深い。リンダ《エドワードは常にとても疲れているの》p.271。マーロウ《いつも手遅れになってからやってくる男だな》p.499
【ロジャー・ウェイド】→ウェイド
【ロニー・モーガン】「ジャーナル」紙の記者。190センチくらいの身長で針金のように細い。普段は市庁詰め。なんとなく疲れた雰囲気を醸し出している。
【ワイス】検死官の代理で来た医師。
【罠】《自分で自分に仕掛ける罠が、何よりたちの悪い罠なのだ。》p.137

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2021年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

準古典ミステリ文学の巨匠、レイモンドチャンドラーの最高傑作と言われている。
古い本なので、展開的にはそこまであっと驚かせるようなものはないが、古きアメリカの退廃した社会や、登場人物たちの清濁併せ持つありのままの姿を、主人公フィリップマーロウの視点から切り取る。
村上春樹のあとがきもすごい難しいこと言ってるけど、「自我というものを、
ブラックボックスとして、各人の行動に反映されたものとして捉えている」というコメントには同意できる。
村上春樹が似た作品として挙げている、フィッツジェラルドのグレートギャツビーも読みたくなる。
個人的にはマーロウやレノックス、その他の人々達も「どこかやりきれない」まま終わるのが味わい深くはあった。また、誰にでも言葉で噛み付くマーロウの知的さと獰猛さのバランスもハラハラさせてくれた。
狆、薹が立つ、アモンティラード、指物師など、難しい言葉も多数。小説からも学ぶことが多いなと思い、小説をさらに読むきっかけになりそう。

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2024年02月28日

Posted by ブクログ

最後まで主人公のマーロウは好きになれなかったが、登場人物は魅力的な人ばかりだった。そして推理を明かす場面はお見事。前半、マーロウの心情がよく理解出来なかったが、読み進めていくうちに彼の言動の意図がようやくわかってきた。「さよならは小さな死」という言葉がお気に入り。村上春樹訳は見事にこの時代特有の言い回しを表現している。

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2022年05月21日

Posted by ブクログ

長かった…読み終わるまでにめっちゃ時間かかった…
話の展開はよかったし、名作と言われる所以もなんとなく分かったけど、でもわたしにはマーロウの考え方が全然分からなかった。
肉体をあんなに酷使してまで、守りたいモノがあるんだなあ。

あとはこれはスコアには含めていないけれども、ハードボイルドまじで苦手民のわたしには、この作品は正直しんどかった…蹴ったり殴ったり、暴行はやめて……

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

村上春樹が受けた影響をそこかしこに感じる。細かい情景の描写、食べるシーンや酒を飲むシーンの多さとか。ストーリーも。

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2022年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーむ。うーむ。うーむ。うーむ、、、うーむ。むむむむむー。うーむ。

レイモンド・チャンドラーさん。フィリップ・マーロウさん。村上春樹さん。すみません。すみませんです。わたくし、、、この本、、、よお分かりませんでした!と、とりあえず、謝っておきます。

なんせ、ええ。ロングなグッドバイでっせ。長いお別れなんでっせ。ハードボイルド小説の金字塔にして超名作の名をほしいままにしている作品、でっせ。これぞ男のあるべき姿。これぞ探偵小説の究極。これぞ超傑作。その名声は比類するものもなき高さに。それを、あの、村上春樹が、訳す。完璧やん。カンペキやんか。それって。

でも、うーん。すみません。マジごめん。超正直に、言います。あんま、ピンと、きませんでした。すみません。どうやら、わたくし、そういう感性みたいです。すみません。とりあえず、謝っておきます。こんなねえ、グウの音もでないほどの超傑作に対してねえ、、、マジごめんやで。

でもアレですよ、自分は、ホンマに、村上春樹は超好きなのに、村上春樹が訳す海外小説は、悉く好きじゃない、というとても不思議な嗜好傾向がありましてね。マジほんま意味わからんのです不思議すぎて。

レイモンド・カーヴァー、謎。クレイス・ペイリー、意味不明。キャッチャーインザライ、なんだかなあ~。グレイトギャツビー、そんなにオモロイかコレ?犬の人生、まじ謎。恋しくて、俺は恋できねえ人間だわ。などなどエトセトラエトセトラ。村上さんが訳した海外小説は、読んでも読んでも、そんな感想ばっか抱くんですよ。で、ご多分に漏れず、このロンググッドバイも、、、うーむ。すまん。わからんかった。

主人公の、これぞハードボイルドの権化、全ての探偵の根源、みたいな存在であろう、フィリップ・マーロウが、まず、よおわかりませんでした。この人って、生身の人間なの?みたいなイメージ。機械みたいだなあ、みたいな。或いは、なんらかの意識そのもの、みたいな。生身の血の通った人間だと、思えませんでした。描写する機械、みたいな感じ?そしたら後書きで、村上さんもそれらしきことみたいなん書いてて、ああ、そーゆーことなのね。みたいな?そんな思い?みたいな。

フィリップ・マーロウって、日本映画界でいうならば、高倉健さん、みたいなもん?日本プロ野球界でいうならば、長嶋茂雄さんみたいなもん?もう、記号、象徴そのもの、みたいな、イメージ。なんか、そういうの、感じましたね。

話としては、うーむ。ああ、ハードボイルドってヤツだねえ、みたいな感じで、バーでああしてギムレットを飲むのは、そらもうマジで美味しいんだろうなあ、とか思うけど、ギムレット、キツいよね、実際。なんでアメリカの人は、あんなにショートカクテルとかウイスキー系のストレートとか、平気でカッパカパとくいくいと飲むの?一瞬で酔っ払うぞ?とか思いました。アル中の人がいっぱい登場するのって、そーゆーこと?とか思うんだが、、、うーむ。おっとろしいなあ。あと、飲酒運転が平常運転過ぎてパネエ。酒飲んで車ころがして当然っしょ、何が悪いんですか?みたいな世の中だったんだね、、、当時はね、、、っていう。パネエ。いやあ、、、俺は、お酒は、ビールと焼酎水割りとハイボールだけで、とりあえず、いいや、みたいな思いをいだきましたね、ええ。もうウイスキーストレートでくあーうめえ!って飲むとかショートカクテルかっこんかっこん青汁じゃないけどもう一杯!とかぱらっぱらぱらっぱ・テキーラ!なノリとか絶対無理無理。しんじゃうしんじゃう。

フィリップ・マーロウは、テリー・レノックスに対して、なんであんなに友情感じたんだろう?ってのが、さっぱり分からんのですが、そこはまあ、アレだ。ホンマに単純に「単にウマがあった」ということ、なんでしょう、、、なあ?そーゆーことですよね?それしかないですよね?「なんかよおわからんけど、、、俺、、、アイツの事、気にいってんねん!」ってこと、、、ですよね?世の中、究極は、ウマが合うか合わないか。それが全て。相性が全て。ってこと、、、ですよね?まあ、そういうもんだろう。マジで。とか思う。うん。それは真理だと思う。

で、そのテリー・レノックスが、金だけはありあまってるけどなんかとりあえず人生バーッと全部変えたい俺の人生サラピンにしたい!って思って、自分を偽造殺人したんだよ、ってのが、物事の全て、なのか?んで、なんか、フィリップ・マーロウは自分の人生哲学から「テリーよ、それはなんか、行いが、ちゃちいよ」って思っちゃったから、色んなことに首突っ込んで、ものごとを追求しまくって回った。という、、、それだけの話なのか?という。うーん。そういう、、、話?そういう、、、物語?うーん、、、すまん。よお、、、わからんかった。マジすまん。

あと、フィリップ・マーロウは、リンダ・ローリングとセックスしたのか?ってのも、よおわからん。あのマーロウの自宅で二人でシャンパン飲んでるあの場面、アレ、なんなん?アレ、いるの?とか思った。マジでアレ、、、わからんのだよ。アレがハードボイルド的なアレなの?男の美学的なアレなの?マーロウさん、散々、リンダ女史から「結婚しましょ」って言われてました、、、やん?結婚したらエエやんか。超大金持ちでハッピーライフ、、、やんか?それを受け入れるのは男の美学に反する的な、、、アレなのか?うーむ、、、わからん、、、わからんよ、、、結局、セックス、したのかね?ヤるこたヤッたのかね?

というわけで、世紀の超名作に対して、マジでこうバンバンな失礼な感想で終わったのですが、うーむ。マジですみません。ピンと来なかった!というそんな一作でした。マジこんな感想でごめんなさい。

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2021年07月06日

Posted by ブクログ

年齢を重ねたマーロウは随分と丸くなり、クセの強い登場人物が減るなど、前作からの大幅な変革を感じるが、独特の文体は飛躍的に洗練され、よりシャープな節回しに変貌。著者お得意の錯綜するプロットだが、この頁数を一気に読ませる筆力は健在で、今作を以てチャンドラー氏がひとつの到達点に辿り着いたことを実感出来る。過去五作品に比べてマーロウの振る舞いは柔和で少々面食らう部分もあるが、その人間味が出会いと別離の切なさ、そして遣る瀬無さをより一層際立たせている印象も受ける。本書が古典作品として扱われる所以は存分に堪能出来た。

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2021年01月13日

Posted by ブクログ

長い割に、『さよなら、愛しい人』よりテンポよく読めた。

ただ、村上春樹の訳者あとがきが冗長すぎる。
50ページもあとがきに割くってどうなんでしょう。
読後感…大事だよね。こういう作品の場合は特に。

2作読み終えて、それほどマーロウに興味を持てない自分がいる。
やっぱり男性人気が高いキャラなのだろうか、と。
個人的にもっと渋イイおじさんを期待してました。
終盤のご都合主義なロマンスには苦笑。
どうせなら男の友情一本でいってほしかった。

とはいえ、タイトルの意味を考えながら行き着くラストは楽しめたので、まぁいいかな。

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2023年08月02日

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