村上春樹のレビュー一覧
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イグアナの挿話にびっくり
こんなにもTシャツを豊富に持っていて、村上春樹は何て豊かな人生を送っているのだろう、と思う。 それに比べて自分なんて、なるべく持ち物を増やさないようにTシャツなんてまず買うこともなく、昔からある物をずっと着続けていて、擦り切れてきたのが多くなってきた。この本を読んだのを機に、箪笥の中のシャツは入れ替えても良さそうな気がしてきた。 実は、箪笥の隅に、袋から出していないTシャツが一つ眠っている。高校の同窓会で、記念Tシャツが大量に売れ残り、担当者が困っていたから見兼ねて買った物だ。売れ残るだけあって、本当にデザインが悪い。記念Tシャツでメルカリにも出せない。今となっては担当者が誰だっかも思い出せず、もう持ち続ける義理もないのだが、、。 なんて、つらつら考えてしまう本だった。 休日に、ゆっくり読む本です。 ちなみに、ダーウィンがイグアナを70分水に漬けて殺してしまったという挿話は、ちょっとびっくりした。村上春樹の本は時として、へええと感心する挿話に出会う。それがまたいい。 あと余計なことだが、最後のインタビューで、インタビューアーの「着れる」という言葉遣いが度々気になった。「着られる」ですね。いいですけれど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ6冊もあるが間延び感もなく、飽きることがなかったので読むのが遅い自分でも2ヶ月で一気に読めた。
物語は一言でいうと「1984年と1Q84年の間を彷徨う2人の純愛ラブストーリー」といった感じだが、一言で言い表せない部分が多すぎる。
ジョージ・オーウェルの「1984年」もやはり作中で触れられていて、「ビッグ・ブラザー」との対比で「リトル・ピープル」はなるほどと思った。
天吾と青豆の視点が交互に語られる形式だが、5巻から牛河の視点での語りが入り、(まんまと)おお!となった。
この牛河の描かれっぷりがよくこんなに表現できるなと思うほど本当に気持ち悪い(笑)のだが、本作で一番印象に残ったキャラクターだ。(天吾の牛河に対する心の声が面白かった)また、本作で一番心に残った言葉も牛河の「知識や能力はあくまで道具であり、それ自体を見せびらかすためのものではない。」という言葉だ。他にもっと心に残るようなフレーズがあったように思うけど、なぜかこれが一番だった。
他にはふかえりの宇宙人感が可愛いかった。それとNHKの集金人が怖すぎた。
あと物語の途中まで天吾に魅力を感じていなかったが、後半の方で青豆が天吾を20年ぶりに目にした時の恋する乙女の心の声を聞いているとだんだん天吾が魅力的に見えるようになったのが個人的に面白かった笑
こんな素晴らしい大作に対してこんな感想しか残っていないのは自分のせいなのか作品のせいなのかわからないが、とにかく面白いという一言に尽きる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ村上春樹の作品を初めて読んだ。
前から興味はあったが、好き嫌いが分かれるという声を聞いたのと、なんとなくハードルが高いイメージがありなかなか手が出せないでいたが、意を決して読んでみた。結果、なぜ今まで読まなかったんだと思うくらいとてもよかった。
「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」の話が交互に語られていく形式だが、全く異なる二つの世界の関係が途中で明らかになる。
思考回路のジャンクションの切り替えの話が斬新でとても面白かった。
ハードボイルドワンダーランド(現実世界)で主人公は老博士から第三回路(世界の終わり)に閉じ込められて永遠にそこから出られなくなる(=現実世界での事実上の死)ことを教えられる。それと並行して世界の終わりでは影が日に日に弱っていく。主人公は影と一緒に世界の終わりを抜け出すか、世界の終わりにとどまるかという選択を迫られる。
結局第三回路の主人公は自分は世界の終わりに残り、影を世界の終わりの外へ逃がして生かす道を選択した。この「自分は残る」というのは、現実世界で自分の意思に反して外部から強制的に与えられた「事実上の死」というやるせない状況に対して、自分を納得させるために自身で選択した結果なのだと再定義する意味づけのような選択として描かれている。そして印象的なのは、影を殺さないことに決めたところである。影は生きるうえでのノイズや煩わしい感情として描かれているが、筆者にとってはそういう煩わしく面倒くさい感情が生きる意味なのだと感じた。影は結局ハードボイルドワンダーランドへ逃げたのか?逃げた後どうなったのか?他の人の意識として生きていくのか?など気になった。
また、心情の描写も素晴らしいと思った。物語終盤の主人公の現実世界の終わりが近づいたときの描写がとても心に響いた。「感情のうねり」という表現が本当に的確だし、それを涙もでないままやりすごす苦しさが手に取るように感じられた。
また随所に見られる比喩表現も、独特でとても面白かった。意味ありげな描写やキーワードが沢山出てくるが、ほとんどが明確な意味が明かされることはなく、解釈が読者に委ねられている部分が多いところも魅力的だと思った。(もしかしたら特に意味がないものもあるかもしれない)こういうところは他のメディアではなく小説ならではの魅力だと思うが、本作にはそれがつめこまれており、読書の楽しさを感じられた。
ただ、舞台も見に行ったが、そちらはそちらで舞台ならではの演出がとても素晴らしかった。バレエでの表現が独特の世界観を作り上げていたし、藤原竜也の演技力と存在感がさすがという感じで、とても感動した。
これから村上春樹の作品を読み漁ろうと思う。
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前回の突然の離婚宣告に漂流する主人公が辿り着いた、日本画家の旧宅にて。
そこで顕現した身長60センチの「騎士団長」は、恐怖や不安を「やれやれ」と受け流すような、軽妙で頼もしい案内役の登場です。
(癒されるキャラクターです)
一方、『免色さん』の意図が見えぬまま、その「娘」らしき少女も登場し、物語は静かに加速していきます。
終盤は、離婚手続きを終えてもなお、意識・無意識の深層に刻まれた妻との回想は深い傷として残っていることが伝わってきました。
唐突に挿入された「ドイツ親衛隊の肖像画家」のエピソードが、この奇妙な物語とどう繋がっていくのか。
歴史と個人の深淵がどう交差するのか、胸がざわつきます。 -
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お酒はほぼ飲めない私が、島の名前に惹かれてたまたま古本屋で手に取ったこの本。
ぱらぱらと開いてみると、そこから何かがひらりと落ちた。拾ってみると地元酒屋の世界のウィスキーフェアのチラシ切り抜きだった。フェア開催日は2015年。10年以上前にこの本の持ち主の方が、「このエッセイを読んだらきっとウィスキーを飲みたくなるだろうよ」と言わんばかりに託してくれたメッセージに、なんだか心が温かくなった。結局古本を購入して、チラシと共にオーストラリアまで大切に持ち帰ってきた。
村上春樹氏のエッセイの言葉選びが好きだ。ウィスキーの味を、音楽や文学に例える村上氏特有の表現も読んでいて心地良い。一緒に旅をされた奥様の撮った写真が数ページおきに村上氏の文章と共に出てくるのも素敵。
いつかこの島にこの本を持って旅行に行き、ウィスキーを少しでも嗜めてみたいな。
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Posted by ブクログ
春樹さん、これは 好きすぎました!
カポーティ+春樹さん+山本容子さん= 私たちの大好物 ノスタルジックでイノセントな世界・・
母を失って、父が病んでしまってたぶん、育児放棄…されたコリンは
11歳の時に父の従姉妹、
ヴェリーナとドリーのタルボ姉妹のところに預けられた。
妹のヴェリーナは言わば南部の田舎町の実業家
姉のドリーはあまりにも純粋無垢がゆえに、町の人たちからは知恵遅れのように思われている。
コリンはドリーにまるで恋してるかのように惹かれている。(彼女は多分60歳くらい)ドリーの唯一分かり合える友だちのキャサリンは、両親の時代に雇われた黒人の子どもで、ずっとドリーたちと暮らしてきた。
ドリーとキャサリンと薬草とツリーハウス。そこに巻き込まれてゆく南部の田舎町の人たちとコリン。
ドリーが素敵すぎて、まったくお伽噺のようでした。。
春樹さんにとって、カポーティという作家はきわめて大きな意味を持つ存在で
この『草の竪琴』は「特別な輝きを放っている。」と、あとがきにあります。
春樹さんの訳で読めて良かった……
ほかに
『最後のドアを閉めろ』
『ミリアム』
『夜の樹』
と、3つの短編も入っています。
帯にあるように、『最後のドアを閉めろ』は『風の歌を聴け』のタイトルにインスパイアされた作品。
MONKEY vol.30に寄稿しています。
その時のあとがきにもあります。
柴田先生が聞き手のインタビュー
「カポーティは
僕にとってもとても大事な作家」でも
『草の竪琴』に触れていて
カポーティをまたすべて読み返したくなります。
読み終えて数日たちますが
いつでもあのツリーハウスに戻れそう……
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Posted by ブクログ
ネタバレこの4冊の長編小説を通して彼が我々読者に伝えようとしていることは
事実というモノの弱さ、そして、信じることの強さ
なんじゃないかと思った。
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正しい知識が人を豊かにするとは限らんぜ。客観が主観を凌駕するとは限らんぜ。事実が妄想を吹き消すとは限らんぜ。
私は揺らぎのない真実よりはむしろ、揺らぎの余地のある可能性を選択します
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作中にもこのような文章があるように、真実というモノの価値に一石投じるような作品だと思った。
そして主人公と免色の対比構造──確かなモノがないこの世で、信じることを望むか、その曖昧さに価値を見出すか──も、最後に明かされて今まで読んできた中で曇っていた部分が一気に風に吹かれて快晴になったように感じた。
そして度々出てくる風の歌を聴けなどの過去作品からのオマージュに、ハルキストはニヤけてしまうだろう。
とにかくすごく良かった。
長編小説の苦手な僕がすごく読み入ってしまった。
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルはもちろん知っていたけど、映画も小説もあらすじもなにも知らないままここまできた。
お金持ちの品のある人たちがティファニーで朝食を食べる話なのかと思ってたら全然違った。
ホリー・ゴライトリーは、美しいけど破天荒で謎が多く、でも彼女自身の芯をしっかりともっている女性だった。
小悪魔なようでいて純真なところもある。
男の人達が大量に近寄ってきて、常に誰かが近くにいた状態なのに、いざという時になると頼れる友達というのがいないというところは胸がキュッとした。
ラストのあたりの猫のシーンはグッときたし、終わり方は私好みだった。
ホリーがあのあとどうなったのかはわからないままだけど、最後まで読んだあととりあえず冒頭シーンを読み返した。
どんな場所であっても、猫のように安心できる場所でホリーらしく生きていたらいいな。
読み終わったあと、なるほどこのタイトルはそういう意味だったのかと。良いタイトルだなぁとしみじみと思った。
映画のあらすじも読んでみたけど、小説とは全然別物っぽい。逆に映画は実際どんな感じなのかも気になってきたので、機会があれば観てみたい。
他にも3編収録されているけど、どれも別れがある話だった。
どの話も私好みでよかったけど、一番好きだったのは「クリスマスの思い出」。
客観的にみたら、幸せな境遇とは言えないバディーと親友。
それでも犬のクイーニーもいて、そんな境遇の中でも幸せを掴めていた。
子ども時代の清らかで美しい思い出と、生きていく中でそういったものはどんどん周りから消えていってしまう様がとても苦しかった。
生きていく中で別れはつきものとはわかっているけど。
残された者は、旅立っていった者たちがただ安らかに天国で楽しくやっていることを祈るしかないんだよなぁ。
「ダイアモンドのギター」の、友だと思っていた人から裏切られて楽しかった思い出も色あせて、それでもきっぱりと忘れることができない様もよかった。