村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
Audibleにて耳読。20年ぶり(!)くらい前に読んでいたが、久しぶりに。いつの間にかこの本を執筆していたときの村上さんの歳を超えていた。私も3年間海外で暮らしていたのだが、こんなにも鮮明に、濃い日々を送ってもいないし覚えてもいない…。ギリシア、イタリアでの生活の様子が生き生きと描かれている。「ダンス・ダンス・ダンス」や「ノルウェーの森」は、日本から離れざるをえなかった、日本から距離を置くことでしか生まれなかったということがよくわかった。
それにしても、ジャズやクラシックを聴いて、どのような演奏だったか表現する村上さんの記憶力といったら!
エピソード一つひとつが本当に面白い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ免色はついに秋川まりえと対面する。
雨田具彦の過去がかなり明らかになる。弟の死が関係していそう。彼はなんでスタジオに現れたのか?主人公は雨田具彦と会うのか?会ったらどうなるのか?
ユズの懐妊と主人公の夢との関係は?空間を超越した移動はあるのか?
秋川まりえの肖像画、スバルフォレスターの男の肖像画、雑木林の中の穴、そして騎士団長殺し、どう絡んでくるのか?
まりえのお父さんの変な宗教が今後絡んで来るのだろう。
村上春樹の小説によく出てくる壁とか穴が、今回はなんの象徴となるのか?
第一部のプロローグで出て来た、肖像画を描いてほしいという、顔のない男が持っていたお守りのプラスチックのペンギンがついに出て来た。まりえの携帯に付けていたものだった。
どのような終わりになるのか?楽しみ。 -
Posted by ブクログ
わかりやすい構図、伝えたいこと、そんなレールに沿って語られる物語より、アトランダムに取り上げられた物語から出来上がった総体から、やんわりと感じられる何か、そんなものが私を惹きつける。
ジャーナリズムだって、その例外ではない。というか、ジャーナリズムこそ、そうあるべきなのかもしれない。
こんなに熱がこもっているのは珍しいくらいに、熱いものを感じるあとがきの「目じるしのない悪夢」は、今回のテーマを超えて、普遍的なメッセージとして心に響いた。
「…あなたが今持っている物語は、本当にあなたの物話なのだろうか? あなたの見ている夢は本当にあなたの夢なのだろうか? それはいつかとんでもない悪夢に転換していくかもしれない誰か別の人間の夢ではないのか?」 -
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ラオスに何があるというのですか?
村上春樹氏の絶品エッセイ集。JALのアゴラやクレアに掲載されたエッセイを再構成したものだ。
ボストンの町、マラソン、そして川沿いの情景。確かに、MITのあたりの桜を眺めながら散歩した日、コロナでまだマスクが義務付けられていた頃だ。歩きながら、ボートをやってる学生が目に入る。本当に、エッセイの中の情景だった。美味しい料理、決してクラムチャウダーだけじゃないボストン。なんとも田舎で、でも都会で、学園都市で、不思議な魅力がある。何度か行ったのだけれども、それなりに毎回楽しめた思い出だ。村上さんの文章は、本当に一つ一つが美しくて、時に面倒な、でも心に響く。なんでなんだろうな、といつも思う。
ポートランドは、食の話。とれたてのものを、創意工夫して作るレストランがたくさんできた。ナイキ本社が移ってきた頃から変わった、文化を海出す街。
ミコノス島での記載は、ノルウェーの森の最初の数行を書いた、という件がなんとも感動的だ。あの文章を、そうかミコノス等のなんとなく寂しげな景色と孤独感が書かせたのかもしれないなんて、勝手に思ったりする。
僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ハンブルグ空港に着陸しようとしているところだった。十一月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨合羽を着た整備工たちや、のっぺりとした空港ビルの上に立った旗や、BMWの広告板やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。やれやれ、またドイツか、と僕は思った。
飛行機が着地を完了すると禁煙のサインが消え、天井のスピーカーから小さな音でBGMが流れはじめた。それはどこかのオーケストラが甘く演奏するビートルズの『ノルウェイの森』だった。そしてそのメロディーはいつものように僕を混乱させた。いや、いつもとは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り動かした。
すごい。と思う。このたった数行は、反芻しても、反芻しても、この人しか書けないだろう。
ニューヨーク。やはり、ここではビレッジバンガードだ。オーナーとのお話が書いてあって、ジャズが好きだからこそ、タイムマシーンを引き合いに、演奏を聴いてみたいという話になっている。でも、実は過去の話をしながら、今のビレバン、ブルーノートのやっぱり素晴らしさ、自然に、すごく日常に、ジャズがある街だと。何度も何度も通ったビレッジバンガードは、何度行っても、2度と聞けないジャズが聴ける。一期一会と書いてくれている村上さんの表現。その通りだと思う。
熊本の2本のエッセイは、なんとも仕方なく書いている感があるのもすごく面白くて、筆に心が宿るとはこういうことなんだろうと改めて思う。 -
Posted by ブクログ
村上春樹のエッセイ本の中でも多分、トップクラスで文量が少ないエッセイ集だと思う。それでもこの短さの中にも村上春樹のユーモアが炸裂してて、読みやすくておもしろい。
一番印象に残ったのは、ベルリンの映画館で観たという、「クリスチーネ・F」。この映画は、とある商店街で買ったパンフレットのひとつ(それはまだ観たことなかったけど、ジャケットの白人の女の子に目を奪われて購入したもの)がその映画だった。観たいなーと思っていたらこんなところで出会うことになるとは思いもしなかった。(別に観れたわけではないけれども)。
でもこういうことって不思議とよくある。偶然なんだけど、それまでのことが伏線のように感じるぐらいにピッタリと時期が重なる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ貧しく人種差別も激しいアメリカ南部のある町。それぞれ熱い使命や思想、夢を持っている登場人物達が、聾唖の男シンガーにだけはその秘めた思いを語る。いつもは聞き役のシンガーも、啞のアントナプーロスだけには手を素早く動かし話しまくる。
人は、自分の話をまっすぐに受け止めてくれる人を求めている。語りたい、理解してほしい。
自分の思いが空回りして実現しない事は圧倒的に多い。それでも大半の人は生きていく。シンガーはなぜ死んだのか。皆、彼に話すだけ話して、彼を知ろうとはしなかったからか。
決して幸せな話ではなく、うるさくて静かで、なぜか心地良い読書だった。不思議だ。 -
Posted by ブクログ
映画『めくらやなぎと眠る女』が好みの映画だったので、数年ぶりに引っ張り出して読み直した。
村上春樹の作品のなかでは長編、短編含めて一番好きな作品かもしれない。
特に本作のなかで一番好きなのはイ・チャンドン監督で映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』だろうか。ミステリアスだがホラー的な要素もあって面白い。
そして『踊る小人』もシュールな怖さがあってとても良い。寓話のような、ファンタジーのような雰囲気もある。
『ノルウェイの森』の習作となった『螢』も良かった。何ならこっちのほうが良いかもしれない笑
読後、どこか空虚さを感じるのだが、この独特な空虚さを感じるのも村上春樹作品の魅力かもしれない。