村上春樹のレビュー一覧
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この本が素晴らしいのは、実のある夢のコラボレーション。小澤征爾さんは世界的な指揮者ですが、彼の音楽家としての実力は、われわれはいつもは、演奏される音からしか、うかがい知ることができません。
村上春樹さんは、素敵な小説家ですが、ノンフィクションライターとしての実力も、アンダーグラウンドなどで実証済み。この本でわかったことは、春樹さんは、それに加えて、小澤さんが活躍されるクラシック音楽についても、永く深く聴き込んでいたということ。ちょっと他にいなさそうな稀有なリスナーをインタビュアーに配して、さまざまな演奏を共に聴きながら発せられる質問や感想に刺激され、小澤さんは古い記憶もよみがえり、語り、それを -
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1999年文庫化。
たぶんこれも、文庫化してすぐ買ったっぽいけど、1999年て仕事してた頃だからきっと、上っ面だけ一回読んだだけだったんだろう………(ダンボールから発掘)
ぜんっぜん「面白!」って思った記憶ないし
まぁそりゃ20年も経てば、読んで響く部分も変わってきますよね。ていうかほんとに何を読んでいたんだろう。20年前。
全体的に軽めで馬鹿馬鹿しい(褒)んだけど、時々めっちゃ重いテーマをさらっと書いてて、そういうところも凄くよかった。割合的に。"本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ"ってコレよ。
言葉遣いが好きだーー本当。アンチ・クライマックスなのにカッコつ -
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村上春樹訳のハードボイルドミステリであるフィリップ・マーロウものの2作目。旧訳のほうは荒々しく削り出した巌を撫でて温度を感じるようのな無駄のない文体だが、今作の新訳のほうは、岩の成分を一つ一つ手で探ってフィリップ・マーロウというキャラクターを浮かび上がらせるような作りになっている。ハードボイルド、という単語から連想するような気取った感じはなく「こういう生き方しかできない」どこまでも不器用でたった一つの美学のみで突き進んでいくマーロウには男として憧れるものを感じる。事件の流れから最後で明かされた真相の読後感もさることながら、マーロウの身に起こる一つ一つの出来事に対してのレスポンスが一番の魅力だろ
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作者がどういうように小説を読みとっているかの解説本
横文字使うところは多いものの相当にわかりやすい
すくなくとも作者の小説を読むよりは
「僕らはその小説を書き上げ、「これは現実じゃありません。でも現実じゃないという事実によって、それはより現実的であり、より切実なのです」と言うことができます。そしてそのような工程を通して初めて、それを受け取る側も(つまり読者も)、自分の抱えている現実の証言をそのファンタジーに付託することができるわけです。言い換えれば幻想を共有することができるのです。それが要するに物語の力だと僕は思っています。」P101より -
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探偵フィリップ・マーロウが石油富豪一家の闇に探り込んでいく話。はっとするような比喩表現が散りばめてあり、それだけでも読んでいて面白い。それにしてもこの姉妹は現代のパーティピープルな米国セレブを描いているようだ。こういう人ってこの時代からいるんだね。
話の筋が時々分かりにくくなるけど、巻末の翻訳者・村上春樹の解説を読むとそれもOK!と思えてくる。
いくつかの殺人が話に出てくるけど、お抱えの運転手を殺したのは誰なのか?それが最後まで分からなかったなあ、よく読めばどこかに伏線があったのかなあ…と思っていた。
が、解説によると、当時チャンドラー氏に犯人を誰か聞いた人がいて、「私も知らない」と答えたそ -
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かなり面白かった。翻訳の持つ妙味が想像できた。
おかしかったのは、小説家でもある村上氏が「自分の小説を英訳された英文を読んだときに、『けっこう上手く書けているじゃないか』と思ってみると、自分の作品だった」というのが多々ある、ということ。
この人の自分の小説に対する距離感はわりに不思議で、「若い人たちのための短編小説」でも、「自分の小説だからといって、自分の解釈が唯一無二で正しい訳ではない」といった風なことを述べていたのと通じるな〜と、感じた。
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」はまだ読んでいないので、読んでから、翻訳夜話2を読んでみたい。 -
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"僕の小説が語ろうとしていることは、ある程度簡単に要約できると思います。それは「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけることのできる人は多くない。そしてもし運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。にもかかわらず、我々はそれを探し求め続けなければのらない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」ということです。"
【雑文集/村上春樹】新潮文庫 p477
誰もが意識的に、あるいは無意識のうちに「生涯において何かひとつ、大事なもの」を求めているとしたら -
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ワタシの中で「名訳者」の地位をゆるぎないものにしているお二人が出した本が、面白くないはずがない。あまりにハマってしまって、電車を乗り過ごしてしまいそうになった。
本書が出るきっかけとなった、柴田さんの持つ大学の授業への村上さんの登場がフォーラム1。聴衆を翻訳学校の生徒に換えて行ったのがフォーラム2。そして、お二人によるカーヴァーとオースターの短編競訳をはさんで、それについて若手翻訳者を前に語ったのがフォーラム3。
お二人の口から出てくる言葉や、そこから読み取れる感性がとても心地いいし、気づきも与えてくれる。特に競訳とそれについて語ったフォーラム3は秀逸。12年近く前に出た一冊だけれど、中味