あらすじ
「良き音楽」は愛と同じように、いくらたくさんあっても、多すぎるということはない――。グレン・グールド、バーンスタイン、カラヤンなど小澤征爾が巨匠たちと過ごした歳月、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーの音楽……。マエストロと小説家はともにレコードを聴き、深い共感の中で、対話を続けた。心の響きと創造の魂に触れる、一年間にわたったロング・インタビュー。
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小澤征爾が亡くなって、未だに悲しい。昔読んだ本をまた読み返した。
村上春樹は本当に優しい人だとわかる。特に「スイスの小さな町で」がいい。
小澤征爾がもう少し若い時に語り合ったら、もっとエネルギッシュな話が聞けただろうな。
もうこれ以上、話が聞けないのが、また悲しい。
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音楽は殆ど知らないし、楽器も弾けませんが、それでも読んでいてすごくおもしろかったです。今度、子どもを連れてコンサートに行ってみようと思います。
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3回は読み返してるけど、毎回読んでよかったと思う。
何度も手に取ってしまう理由を言語化しようと試みたけど、諦めました(*´∇`*)
クラシックを鑑賞する面白さを理解したい。
小澤征爾の仕事(指揮者)を少し理解したい。
笑いたい。
そんな欲求を満たしてくれた素敵な本です。
二つ以上当てはまる方、ぜひ読んでみてください!
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クラッシック音楽の聴き方変わる。
「厚木からの長い道のり」に向けての物語のようだった。
村上春樹が見る小澤征爾の想いが胸を熱くさせた。
まさかこんなにすばらしい物語が読めるとは思ってもいなかったので、買ったまま本棚に置いたままで読むのを忘れていたのが残念でしょうがない。
p84 小澤「・・・墨田区のトリフォニーホール。あれが今、東京の中では、レコーディングするにはいちばん良いホールだと思います」
世界の小澤の褒めるホールがうちの近くにあるとは!
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この本が素晴らしいのは、実のある夢のコラボレーション。小澤征爾さんは世界的な指揮者ですが、彼の音楽家としての実力は、われわれはいつもは、演奏される音からしか、うかがい知ることができません。
村上春樹さんは、素敵な小説家ですが、ノンフィクションライターとしての実力も、アンダーグラウンドなどで実証済み。この本でわかったことは、春樹さんは、それに加えて、小澤さんが活躍されるクラシック音楽についても、永く深く聴き込んでいたということ。ちょっと他にいなさそうな稀有なリスナーをインタビュアーに配して、さまざまな演奏を共に聴きながら発せられる質問や感想に刺激され、小澤さんは古い記憶もよみがえり、語り、それを当代きってのノンフィクションライターが臨場感ある文章にしたのが、この本。演奏以外の形で、小澤さんの奥行きの深さを示しています。
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とても楽しく、そして為になる一冊でした。大西順子さんとのラプソディインブルーの経緯も詳しく書かれていました。私はテレビでこのライブを観たのですが、感動ものでした。
音楽を教える一人として確信を得たり、勉強になったりと読み終わって充実した気分です。いつまでも手元に置いておきたい一冊。
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文中に「○○は完璧な音楽だった」という記載があり、「完璧な文章など存在しない」という文章を過去に書いていた村上春樹が「完璧な音楽」という表現を使ったのに非常にグッと来た。
あと、今回は再読だったけど、初読の時に比べて違う角度で文章が読めた気がする。違う角度が入ったために、より深く本の内容を理解できた、というか。ともあれ無性にマーラーの音楽が聴きたくなってきた。
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タイトル通りの内容。小澤征爾さんと村上春樹さんが音楽について話をする。村上春樹さんの音楽好きさ加減がよくわかる。作家であることもプラスに働いて小澤征爾の活動を中心に語られる。オケが形になっていくプロセスを垣間見れる。これはいろんなことに通じていると思う。なので、読んでいて刺激的でとても面白かった。
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小澤征爾と村上春樹という、クラシック音楽と文壇の巨人による対談集。「マーラー」「オペラ」「バーンスタイン「グレン・グールド」というテーマについて、二人は縦横無尽に語り尽くす。あるときはレコードを聴きながら、あるときは村上の仕事場で。この二人にとって、バーンスタインの存在は大きいようだ。小澤征爾の若手音楽家に接する姿勢やリハーサルの仕方は、ほとんどバーンスタインのやり方をまねていると言っていいだろう。文庫化にあたり、日本を代表するジャズ・ピアニスト大西順子が、小澤指揮のサイトウ・キネン・オーケストラと2013年9月に共演したときの顛末が追加収録されている。 大西はこの公演の直前に引退を表明し。音楽とは関係ない仕事に就くことが決まっていた。ところがこの演奏を引き受けたことで、彼女はその仕事を断られてしまう。村上は淡々と事実をふり返るが、おそらく内心では、彼女ほどの実績を持つ人間が正当に評価されていないという憤りを感じているに違いない。
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今まで読んだ対談集の中で一番面白かった。村上春樹さんの知識と聞いた音楽の数は凄まじい。だからこそ小澤さんの忘れていたこともたくさん導き出せているのだろうな。村上春樹さんの作品は小説よりエッセイが好きなのだけれど、これから他のインタビューものも読んでみたくなった。
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指揮者自身は音を出さないが、大勢の奏者を躍らせて音楽を生み出す。
作家もまた一人で作中の登場人物を自在に操り物語を紡ぐ。
同業者同士の対話は、共通認識を語らず細部や流行に傾きやすい。
しかし異業種の対話では、むしろ幹が浮かび上がる。
小澤征爾と村上春樹のやりとりからは、音楽のディテールに加え、創作の根本や未来への視点までもが立ち現れてくる。
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お二人の対談形式で、小澤征爾氏のこれまでの演奏にまつわるエピソードや、様々な演奏のレコード(CD・DVD)を聴きながら、その演奏に対してマニアックなやり取り、想い出話が繰り広げられる。村上春樹氏がこんなにクラシックをはじめとした音楽に造詣が深いとは知らなかったが、お二人の会話のキャッチボールの中で、小澤征爾氏の音楽哲学や音楽への思い、お人柄が浮かび上がる。大西順子氏とのやり取りはとても印象的。
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47冊目『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(小澤征爾/村上春樹 著、2014年7月、新潮社)
稀代の指揮者と小説家による対談集。クラシック音楽に造詣が深い村上が聞き役に徹し、小澤が波乱に満ちた自身の音楽家人生を語るというインタビュー形式がとられている。
小澤がスイスで行っている若い奏者のためのセミナーや、ジャズピアニスト大西順子と組んで行われたGigのルポも収録。「良き音楽」が生み出されてゆく過程に迫る。
〈「良き音楽」は愛と同じように、いくらたくさんあっても、多すぎるということはないのだから〉
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小説家の村上春樹は、指揮者の小澤征爾も驚嘆するほどの鋭い耳を持っている。
そして、クラシックに関する造詣も深い。
時には、小澤も知らないような知識を披瀝して小澤を驚かせる。
村上春樹は、若い頃ジャズ喫茶を経営していたので、ジャズに関する知識は尋常ではないと思っていたが、クラシックに関しても同様だ。
音楽に対する、途轍もない情熱を持っているのだ。
その情熱が小澤征爾を刺激して、通常では語らないようなことまで語り出す。
ボストン•シンフォニーでのエピソード、師であるカラヤンとバーンスタインの差などが続々と出てきて「えっ、そうだったの」と感嘆しきり。
極付で面白い。
中でも、ジャズ•ピアニストの大西順子とのエピソードが感動的だ。
村上春樹が大西順子の引退コンサートに誘う。
演奏に感動した小澤征爾は「ブラボー!」と叫ぶだけではなく、楽屋に行き、大西に「引退を許さない」と伝えるのだ。
小澤征爾の面目躍如。
そのためにどうしたかと言うと、小澤は、松本でのサイトウキネンフェスティバルに大西を招いたのだ。
そこで競演したのが、「ラプソディ•イン•ブルー」。
その時の演奏はYoutube で観ることが出来る。
その緊張感あるピアノとオーケストラの掛け合い。
どう動くが分からない大西の演奏を、柔軟に臨機応変に受けてみせる小澤の懐の深さ。
大西が演奏継続を決めたのは、この演奏で受けた刺激のためだと言う。
村上春樹の取り持った感動的な出会いだ。
その前には、さりげなく、カズオ•イシグロとの交友が述べられている。
村上春樹は、東京でカズオ•イシグロと食事をした際、二人ともジャズもクラシックも大好きなことを知る。
カズオ•イシグロは長篇を書き終えたばかりだった。
彼はタイトルも内容も語らなかった。
日本のジャズ•ミュージシャンの話になったとき、村上春樹が推したのが大西順子だ。
そして、彼女のCDをプレゼントしている。
その後、イシグロはノーベル書を受賞する作品を発表するが、そのタイトルを見て、村上春樹は驚く。
タイトルは「Never let me go」。
それは、大西順子のCDに収められたジャズのスタンダード•ナンバーだった。
(「Never let me go」は、邦訳「わたしを離さないで」)
大西順子を挟んだ、村上春樹とカズオ•イシグロの麗しい関係が分かって楽しい一節だ。
小澤征爾の「征爾」という変わった名前が、小澤の生まれた満州で満州軍を指揮していた板垣征四郎の「征」と、満州事変を起こした石原莞爾の「爾」から取られているのは有名な話だ。
二人は小澤征爾の父開作の友人だったのだ。
それだけで、開作という男が只者ではないことがわかろうというものだ。
その父の血を受けて、アジアに夢を見るのではなく、世界に夢を見たのが小澤征爾だったのだ。
もう、小澤征爾がこの世界に居ない。
そのことが、どれほど悲しいことなのか、本書は教えてくれる。
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村上春樹さんの音楽の知識はすごいのだけれど、小澤征爾さんとの会話が本当に楽しい。それは日常が垣間見れるからではないかと思う。そう感じたのは、村上さんの家に小澤さんが遊びに来るシーンだ。村上さんが冷蔵庫から冷えたビールを何種類か出す。小澤さんはその中から懐かしいなあと言って一番安い外国製のビールを選ぶ。
「これこれ、これがうまいんだよ。貧乏をした時によく飲んだなあ」と言いながらグビグビと飲むその姿が目の前に見えてなんだかとても美味しそうに思えた。
音楽祭で若手の音楽家へのお二人の会話もクラシック音楽は素人に近い私でも音楽が聞こえてくるようで楽しかった。
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予想以上に面白かった。
やはり村上春樹は小説よりこういうインタヴューものやエッセイの
ほうが良いのではないだろうか。
それもクラシックオタクではなくもう評論家・研究家の域なので
小澤さんが知らないことや気づいていなかったことまで
深く掘り下げることができる。
指揮や楽器を学んだらそこそこプロとして活躍できたのでは
と思わせられるほどの注意力、洞察力がある。
題材は以下。いずれも素晴らしい曲ばかり。BGMにどうぞ。
マーラーの9番なんて泣けてきそうです。
・ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番
・ベルリオーズ幻想交響曲
・ブラームス交響曲第1番4楽章
・マーラー交響曲第9番4楽章、1番3楽章
小澤さんの指揮は5年前にウィーンフィルの公開リハーサルで見たきり。
リハーサルを聞きに来ただけと思っていたら突如舞台に立ちフィデリオを指揮。
闘病中と聞いていたので胸にグッとくるものがあるのを思い出しました。
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この本をきっかけに苦手意識のあったベートーヴェンを聴くようになった。ピアノコンチェルト3番が大好きになり丁度アニバーサルイヤーだった昨年生で聴けたのは感慨深く縁を感じた。ご本人達はおそらく" (レコード収集家の人たちには) 興味のない聴き方"といった話をされてたが自分は好きな曲や人軸で聴き比べするのがクラシックの醍醐味たる聴き方だと思っているのでこの本に出てきた曲をspotify podcastでプレイリストも作って色々と聴き比べている。マエストロの昔話を交えた前半の聴き比べをもっとやってほしかった。後半はどちらかというとマエストロの現在の活動(執筆当時)にフォーカスされているのだがおふたりの関係性の深さが読み進めるごとに感じられ、対談の形式ではあるがその場その場の寄せ集めではなく村上さんがマエストロの活動に足を運んでしっかり取材されており(取材という目的でやってるのではなく2人とも本当に好きなものに吸い寄せられてその場が生まれてる感じがまた良い)最後のハプニングには思わず吹いたしこの本のハイライト。またそれらの対談や取材を通してせまった "良き音楽""良き音楽家"は、村上春樹でさえも言葉にできないような、でもそれが真に感じられるようなエピソードだった。大好きな一冊。
私は、クラシックは好きでよく聴きますが、楽譜は全く読めません。第1回の「ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番をめぐって」は何か楽器でも出来ていれば、もっと楽しめたのかと思います。ただ、いつもは聴くだけの私ですが、スピーカーから流れてくる音楽の向こう側の世界が、少し垣間見られたようで面白かったです。
Posted by ブクログ
村上さんの音楽知識、音楽への誠実な向き合い方が伝わってきます。オーケストラにそこまで興味を持ったことがない人でも読後は聴きたくなること請け合い。音楽家っていいなって思いました。
Posted by ブクログ
2人のやりとりがものすごい。
マーラーのくだりが特に面白かった。
カラヤンやベームが、その雑多性や猥雑性、分裂性が生理的に我慢できなくて、自分の音楽に適した容れ物になるものしか演奏してないーとか、
ボストンの演奏はレベルの高いチームプレーでオケの音から外れるようなことはしないが、マーラーの場合は必ずしもそれが正しいとは限らないーとか、
リヒャルトはドイツ音楽を辿ってくればその流れで読めるけど、マーラーはまったく新しいアングルが必要になってくるーとか。
音楽教室の話は、自分もカルテットやクインテットをやるので、頷ける所が多く、気持ちが引き締まった所でもある。
早くチェロを弾きたくなった。
弦楽四重奏ができなければ、何もできない。
「みみずくは黄昏に飛びたつ(しかもこちらもインタビュー本)」を読んでいた時に行った梟書茶房で、案内された席になんと!設置されていたため、思わずその場で読破。
引きの強さというかなんというか。クラシックやってて春樹も好きな私としてはずっと気になっていた本ではあったのだけど、この出会い方には運命的なものを感じてしまった。
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小澤征爾という人は人を惹きつける不思議な魅力を持っているな。何を語るにも全く鼻に付くところが無い。
もっと多くの言葉を後世に伝えてほしい。
村上春樹のツウぶりには辟易するところもあるけど、彼の感性とそれを表現する力は認めざるを得ない。
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最初から最後までずーーっと音楽の話。
当然音楽オンチの私は、ちんぷんかんぷんだった。
あとがきにもある通り、村上春樹さんは音楽をよく勉強されている。感心した。小澤征爾さんに物怖じせず、時にはリードしながら音楽談義をされたなんて凄い。
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深い。深すぎてついていけない。
なんだ、この知識量は!
こんなふうに一つの曲を聴き比べたことなんてない。
ピアノ曲はさすがに弾く人によって違う、好き嫌いもあることが体感としてわかってきた。
でもオーケストラや指揮者の違い、プラスそのコンビネーション、さらにソロを取る人の組み合わせって計り知れない数になる。それらを飄々と語り合っちゃう二人、すごすぎる。
慌てることはない。
人生の最後までゆっくり音楽は楽しめばいい。
とは、思っているけどね。
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一流の音楽家(指揮者)と小説家の対談、どちらも自身の作品を通して自分自身を曝け出す商売だ。
音楽家は自らが歩みを人のつながりを通して語ろうとする、一方で小説家は音楽家の作品から感じ取れる意味を言語化しようとする。
時折ふたりの語りにすれ違いを感じることができることが本著の価値なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
同じかもしれないし、違うところもある、二人の話。
村上春樹のエッセイが好きだ。ジャズが好きなのは知っていたけれど、クラシックにも詳しいとは。レコードを聴き比べたことがないし、それほどオーケストラに思い入れもないけれど、二人の対談は色々と感心することが多かった。指揮者の話、小澤さんの考え方だけでなく、バーンスタインやカラヤンほかの指揮者、またソリストのことや、弦楽四重奏の魅力など、今まで注目していなかった世界を知ることができた喜び。
「良き音楽」とは。楽譜を演奏するとは。指揮とは。考えたら、楽譜を書いた作曲者の意図は、もしかしたら指揮者や演奏者が思っているのと、全然違うかもしれない。それは、作家が描いた物語が、全然意図していない、もしくは意図していたものを超えて、読者に読まれるのと似ているのかも。でも、音楽は、作曲者、指揮者や演奏者だけでなく、聴く人というポジションもある。
異なるかもしれないけれど、通じ合えるかもしれないところ。それを探すのは、ロマンだな、と。