大橋歩の作品一覧
「大橋歩」の「今日のわたし」「村上ラヂオ(1~3)合本版(新潮文庫)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
再読。
雑誌『anan』に毎週一年間にわたって連載されたエッセイ。
村上春樹さんの小説は何冊か読んだことがあるが、小説とのギャップが激しくて、あまりのゆるさに驚かされた。小説と違ってリラックスして気楽に読めるところがいい。
大橋歩さんの版画も村上さんの文章に合っていてステキ。
個人的には、童謡『赤い靴』の歌詞について書いた話、チンドン屋の演奏するビートルズの『オブラディ・オブラダ』にはサビの部分がなかった話、たった1時間のフライトの間に次から次へと集中が妨げられた話、コロッケとの蜜月の話、ゴルフをやらず走ることが好きな理由、体重計の話が面白かった。
心に残った言葉
何が正しくて、何が正しくないというような押しつけがましいことも、なるべく書かないようにしようと。だってある人にとって正しいことが、別の人にとって正しくないこともあるし、あるときに正しいことが、別のときには正しくないことだってあるわけだから。
Posted by ブクログ
⬛︎気楽なのにちゃんと沁みる小話たち
前回『村上ラジオ』の1冊目を読んでとても面白かったので、2冊目も購入。
なお村上春樹の小説は未読で、遠い昔に『ノルウェイの森』を途中で挫折したままです。
冒頭のまえがきにある
「ぼくのエッセイは「ビール会社が作るウーロン茶」みたいなものだと考えています」
という表現。
「そのウーロン茶が好きなのよ……」としっくりきました。
なぜ村上さんの「ウーロン茶」が好きなのか考えてみると、文体の温度感がとにかく心地よいからなのだと思います。
ハッとさせられる価値観や考え方が肩肘張らない自然体の文章で綴られ、そこにクスッと笑えるおふざけが差し込まれる。
「真面目さ」と「おふざけ」の温度がちょうどよく、冒頭で書かれている通り「肩の力を抜いて気楽に書いている」トーンが、読む側にも心地よく伝わってきます。
印象に残った話題は本当にたくさんありました。
怒りの多くは「悲しい」に置き換えられるが、本当に怒っていいこともあり、それは静かに怒り続けていいという話。
便利なものが一つ生まれると、それがない状態が「不便」になるという話(からの、寿司屋のビールは瓶ビール一択だ、という流れに思わず笑ったり)。
「ガラスの家に住む人は石を投げないほうがいい」という、批判する側の覚悟の話。
おひとりさまのカキフライから語られる、「誰かと食べたいご飯」の話。
原子爆弾を作ってしまったことを悔いたオッペンハイマーの話。
身が裂けるような悲しみのたびに音楽に救われてきた、という話では、つらいときに寄り添ってくれる存在は人それぞれあるのだな、と読みながら思いました。私の場合は音楽や漫画などの娯楽で、無心になれるものにずいぶん救われてきたことを思い出しました。
今回もとても面白かったです。
何巻まで出ているのだろう、続きがあるならまた読みたいと思います。
Posted by ブクログ
⬛︎思慮深くておちゃめなおじさま
村上春樹さんの小説は学生時代に読もうとして挫折し、それ以降遠ざかっていました。しかし、各所から「小説は苦手でもエッセイは好き」「氏のエッセイはいいぞ〜」というお声をたくさん聞いて今回拝読。結果、とっても面白くて、暑い日に飲むビールみたいにゴクゴクっと読んじゃいました!!
一つの物事を多角的な視点で見て考えを広げる様はもう流石というか。(柿ピーの話とか、きんぴら作りに合う音楽の話とか)それでいて文体はユーモラスで、クスリと笑ってしまう表現も多くて、なんだかそれが可愛らしい。おちゃめなおじさまという感じ。(怒られそう。すみません。とっても褒めています。)
印象に残ったのは冒頭のスーツの話。
ローマに居住していた頃に買った立派なスーツを、日本に帰ったら全く着なくなってしまった…というエピソード。
人間って、今日から変わろう!と思っても決意した何かがなくなればもとのかたちに戻ってしまう。決心なんて人生のエネルギーの無駄遣いだ…。しかし、一方で「変わらなくてもいいや」と思っていると、不思議と人は変わっていくもの…という文章に「真理だ…!」と思っちゃいました。
自分は変わってないつもりでも周りは変化しているから、価値観も何もアップデートしないと、やっぱり周りから見たら(それはおそらく悪い方に)変わったと思われてしまうんでしょうね。変化しない、なんて無理なんだ。
ほんとうに面白かったので、もっと彼のエッセイを読みたいなと思いました。