あらすじ
公園のベンチで食べる熱々のコロッケパン。冬のゴルフコースをスキーで走る楽しさ――。オーバーの中に子犬を抱いているような、ほのぼのとした気持ちで毎日をすごしたいあなたに、ちょっと変わった50のエッセイを贈ります。柿ピーの諸問題、楽しいレストランでの大惨事(?)から、きんぴら作りに最適なBGM、そして理想的な体重計の考察まで、小さなドラマが一杯!
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Posted by ブクログ
⬛︎思慮深くておちゃめなおじさま
村上春樹さんの小説は学生時代に読もうとして挫折し、それ以降遠ざかっていました。しかし、各所から「小説は苦手でもエッセイは好き」「氏のエッセイはいいぞ〜」というお声をたくさん聞いて今回拝読。結果、とっても面白くて、暑い日に飲むビールみたいにゴクゴクっと読んじゃいました!!
一つの物事を多角的な視点で見て考えを広げる様はもう流石というか。(柿ピーの話とか、きんぴら作りに合う音楽の話とか)それでいて文体はユーモラスで、クスリと笑ってしまう表現も多くて、なんだかそれが可愛らしい。おちゃめなおじさまという感じ。(怒られそう。すみません。とっても褒めています。)
印象に残ったのは冒頭のスーツの話。
ローマに居住していた頃に買った立派なスーツを、日本に帰ったら全く着なくなってしまった…というエピソード。
人間って、今日から変わろう!と思っても決意した何かがなくなればもとのかたちに戻ってしまう。決心なんて人生のエネルギーの無駄遣いだ…。しかし、一方で「変わらなくてもいいや」と思っていると、不思議と人は変わっていくもの…という文章に「真理だ…!」と思っちゃいました。
自分は変わってないつもりでも周りは変化しているから、価値観も何もアップデートしないと、やっぱり周りから見たら(それはおそらく悪い方に)変わったと思われてしまうんでしょうね。変化しない、なんて無理なんだ。
ほんとうに面白かったので、もっと彼のエッセイを読みたいなと思いました。
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村上春樹さんの感性が好きです。
日常をこんな風に考察しながら楽しく過ごしてみたい。小話の展開がどれもクスっと笑えて面白い。細やかな表現もやはり美しい。
「僕はしばらく立ち止まって、そのつやつやとした精悍な羽と、クールでワイドな瞳にじっと見とれていた」/ (セントラル・パークのはやぶさ)
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1人でクスクス笑いながら読んだ本。
内容がどれも軽くて、重い話がなかったからスラスラ読めた。すごく面白かった。
「かなり問題がある」は、デビュー作「風の歌を聴け」がどのような気持ちで作られたのかが書かれていた。前にも球場で空を飛ぶボールを見ていると突然小説を書こうと思ったと言うのを見たのだが、やはり小説というのは突発的に書こうと思うものなのだろうか。
村上春樹の本は好き嫌いが分かれるし、ひどい言葉を言う人もいるがそう言う人は一度この「村上ラヂオ」を読んでほしいと思った。きっと村上春樹に対する思いが変わるはずだ。
「円周率おじさん」はおもしろすぎて、静かな図書室で一人で肩を震わせる変な人になってしまった。
老人になると600桁の円周率を覚えてしまうほど暇になってしまうのか。おそろしくもあるが、はやく歳を取りたいとも思った。
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小説ももちろん面白いですが、村上先生の小説以外のお話も大好きです。読んでいると明日もがんばって、生きていこうかなと気になれます。
コロッケの話には笑い転げてしまいました。
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ananに掲載されていたエッセイ。一つ一つは2分程度で読める。
クスリと笑っちゃうようなエピソードばかり。
もともと村上春樹のラジオ(音声のほう)を好きで聴いていたので、あの雰囲気の感じで脳内再生される。
そう、村上春樹さんって、普段の話し方も、村上春樹さんの文章の雰囲気ままなんですね。
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村上春樹による20世紀の終わりの頃にananに連載されたエッセイと、大橋歩による挿画。
極めて自然体のエッセイで嫌みな感じや自己主張の強さもなく微笑してしまうようなエッセイ。上手く書こうという意志が感じられないのが村上春樹の上手さなんだと逆に思う。そこに大橋さんのヘタウマな版画が挿入されているのがいいアクセントになっている。組み合わせの妙ではないか。
村上春樹はエッセイもいいということを感じる一冊。
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なんだか、いいなあ。知らない人の知らない人生の知らない思考を見ちゃっていいんですか。物事を見る角度が面白いなあ。カフェラテ片手に読みたくなる本でした。、
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自然体で描かれている文章たち。
こんなエッセイ描きたいなと実感しました。
ありのままの風景を着飾ることなく、表現できる
ことがすごいなと、小説とは違った視点で楽しめるとと思います。
ゴルフが嫌いなエピソードや、すき焼きが好きだったりとか、著者の知られざるイメージが知れます。
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相変わらず余計な事ばかり考えていて、それがとても面白いし新しい発見がたくさんある。日常のちょっとした隙間にこうした本があるとなんだか心が安らぐ。
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「村上ラヂオ」のシリーズは3冊出ている。
2「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」
3「サラダ好きのライオン」
なんと、2と3は9年ほど前に読んでいる。しかもこれが初・村上エッセイで、その発想力にいたく感動していた。
「村上春樹って、超ベストセラー作家だけど、私には理解できないかもしれないな」と、ずっと思い続けて何年だろう、「サラダ好きのライオン」を読んで、あら?面白い発想の人なんだ?!
と、村上エッセイのファンになったのである。
その後買っておいた本書を今読む。
2000年頃にアンアンに連載されていたものらしい。
アンアンの読者が、このエッセイを毎回どんなふうに読んでいたのかに興味はある。
しかし、25年後の今、私が読んでも面白い。
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村上春樹さんの着眼点や心の声が面白かった!そして知識が増えた!
本を読むと無駄な知識と教養が増えるとはこの事だなと感じさせてくれる1冊だった。50のエッセイなのでとてもひとつが短くて、なかなか1冊読みきれない人にはおすすめ。
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けんかをしない、の題がいちばん心に響いた。
開き直る、ひどい人間の割には結構検討してるじゃん、見当違いの褒められ方をして駄目になる人もいるのだから褒められなくてホクホク、などの考え方が参考になった。スキヤキに続いてスシという曲がでたけど売れなかったとか猫の自殺とか豆知識がふえた。
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著者が日常で体験したことをまとめたエッセイ本。酒のつまみとして最適な柿ピーの柿とピーナッツのバランス具合が絶妙であること、イタリア本場のパスタがおいしい反面、イタリア国境のパスタはまずい、うなぎやすき焼きがおいしい、ちらし寿司が関東と関西では別物であるなど、食に関するエッセイは割と多い。また著者のデビュー作『風の歌を聴け』が群像新人賞をとった当時について言及している。授賞式のために用意したスーツは、青山のVANのショップに行き、バーゲンで買ったという。受賞が決まり、出版社に向かって担当の編集者と会うが、そのとき編集者から「君の小説にはかなり問題があるが、まあ、がんばりなさい」と直接言われた。当時『風の歌を聴け』は物議をかもしたらさく、出版社内部でちゃらちゃらした小説で文学じゃないという声があった。さらに本書には人間の寿命、すなわち早死にした方がいいか、それとも長生きしたほうがいいかを語っている。本人としては少しでも長生きしたほうがいいと思っているが、長生きした作家の顔写真を見て、長生きするのもどうなのだろうと悩んでいる。というのも、早死にした作家は若いころのままに対して、長生きした作家は死ぬ前の姿が写真として残るためである。
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村上先生の小説はとっつきにくいイメージが勝手にあったのでためらったが、そんなのは杞憂に終わるくらい読みやすかった。
独特な見方、そしてそれを面白可笑しく言語化してしまうのが尊敬。
ユーモアたっぷりで一つ一つのお話が短めなので隙間時間にぴったり。
次作も読んでみたい。
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一遍の量がとってもちょうどいい。
家事の合間、お風呂入る前、職場での昼休憩、、
どんな場面でもすぐにふっと別の場所に連れて行ってくれる。
そして何よりくどくない。
ユーモアを2.3滴混ぜながら彼の追体験をさせてくれるんだけど、押し付けがましくないというか、
距離感がちょうどいいというか。
時々憑依の如く文章に引き摺り込まれて
胸焼けする、、という作品もあるじゃないですか。
彼の作品にはそれがない。
彼のこの魅力的なスタンスこそが
小説に見え隠れする美しさなのかな〜とも思ったり。
あんなに苦手意識があったはるきの文章なのに
エッセイにまで手を出しているという。。苦笑
彼の作品についてあれこれ語るのは趣がないけれど、たくさん感じてしまったので記す。
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大作家による小エッセー集。
村上春樹の個性ともいえるシニカルな視点で、彼の日常の些細なことを綴っている。ただそれだけ。ただそれだけど、それはそれで面白い。
その中で心に残った言葉。
というわけで、貴重な燃料をため込むためにも、若いうちにせっせと恋をしておいた方がいいと思う。お金も大事だし、仕事も大事だけど、本気でじっと星を眺めたり、ギターの調べに狂おしく引き込まれたりする時期って、人生にはほんの少ししかないし、それはなかなかいいものだ。放心してガスを消し忘れたり、階段から転げおちたりというようなことも、そりゃたまにはあるけどね。
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大橋歩の絵が好き。村上春樹の文章に良い感じにアクセントを加えてくれている。エッセイって、書き手を好きなら心地よく読めるけど、そうじゃないとちょっと息苦しいので。村上春樹初心者の私にはちょうどいい一冊でした。
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もはや5をつけたい。でも悔しいから(何が)つけない。スーパー有名村上春樹ananエッセイで、もう20年前くらいのもの。なんだろうねぇ…普通エッセイってもう少し思いつきや口語的なノリだと思うのですが、文章にすることに対する責任感が桁違いって感じ。小説読んでても思うけど。
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どなたかのレビューで村上春樹さんのエッセイは”よく晴れた夏の日に吹く風のような心地よさ”と書いておられましたが、まさに同感。
コミカルでくすっと笑えて、村上さんの考え方がこの本にも表れていて「その考え方好きだな」と思ったり。
考え方が好きって、最強ですよね。特別、ということだと思うから。
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かなり緩いエッセイ。村上春樹作品を読んだことがないと、どこか堅いイメージを持ちがちだが、村上春樹という作家も1人の人間だと感じることができる。
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読書は苦手、すぐ眠くなる私がサクサク読めました。軽やかで問いかけがあって読書の敷居を下げてもらった感じです。読書のきっかけとして良かったです。
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村上春樹のエッセイ。私は、村上春樹は小説よりもエッセイの方が好きだ。飄々とした感じの文体で、真面目なのだかふざけているのだか分からないようなことを書いているのが面白い。
特に、小説では絶対に使わないような、見方によってはくだらない「比喩」を多用するとことも好きだ。
■(海外旅行中にホテルから空港に向かう途中、ホテルにパスポートやフライトチケットを忘れたことを、ホテルから250km地点で奥様から指摘されるのだが)隣に座っていた連れが、現実という見過ごすことのできないずた袋の底から、洗い忘れていた二週間前のテニス用靴下を引っぱり出すみたいに、陰惨な疑問をひとつ持ち出してきた。
■しかし災難は、まるで小田原厚木道路の覆面パトカーのように、どこかでこっそりとあなたを待ち受けている。
特に後者。小田原厚木道路は制限速度が70kmである。箱根にドライブに行く際、相当に空いていたのでついついスピードを出し過ぎて、「どこかでこっそりと」私を待ち受けていた覆面パトカーに捕まった経験のある私は、苦笑するしかなかった。本当によく感じが出ている。
Posted by ブクログ
サクサク読めるし、時折クスッとなる表現や多彩なジョークなど、村上春樹のような文章力のある人がふざけるとこうなるのかというプロの遊びみたいなものが感じられてよかった。
Posted by ブクログ
村上春樹のイメージが、この本で変わった。
偏屈で筋の通らないことが嫌いなおじいさん、というイメージだったけど、ユーモアがあっていい具合にテキトーなおじさんだった。おもしろいなー。
へりくつではあるかも。でもそのへりくつがおもしろい。