村上春樹のレビュー一覧
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この本は。
人類へのギフトてす。
度重なる戦争で、幾度美しい地球を台無しにしても懲りることなく破壊を繰り返す愚かな人類へのギフト。
どうか人類に、このギフトの意味を受け止める度量がありますように…。
この本が創刊されたのは第二次世界大戦が勃発したばかりの頃なのです。
そして、なんと。
この本の始まりは人類が第十二次世界大戦を起こした時の話。
戦争により世界が丸ごと破壊され、人々が愛や希望を失った時。
1輪の花が1人の心を救いました。
花は人の心に愛をもう一度灯し、やり直す勇気をくれたのです。
たった1輪の花が。
絶望からのやり直しはとても大変なことなのに、人々は愛と知力で復活させました。 -
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「自我とか意識とか」
80年代末に書かれたダークな短編たち。
個人的に村上春樹の短編はもう4、5冊目になるけど、本作は全体的にダークな印象。
後に発表される『ねじまき鳥クロニクル』とか『アフターダーク』とかに続きそうな空気が全面に感じられる。
村上春樹は自我/自己とか意識/無意識みたいな対比がちょくちょく出てくる。
本作もそんな対比の中で揺り動かされる主人公たちがポップの殻を被って描かれている。でも作中に見え隠れする闇を感じずにはいられないんだよなぁ。
表題にもなってるTVピープルなんて特にそう。
奴らは大胆に姿を現しているのに、それがあたかも、
「いや、私らなんて全然無害な存在なんで -
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色彩豊かな片想いが錯綜する物語。
1930年代の大不況による貧困と差別が蔓延するアメリカ南部で暮らす人々。
主人公のミック、ジェイク、ブラント、コープランドを中心に様々な人が聾唖の白人、シンガーに心を寄せる。
シンガーが唖であるがゆえに理想の友人像を作り出し傾倒する。ただしシンガー自身はその友人たちのことを強く思っているわけではなく、心の中にはただ一人、精神病院に収容されてしまった友人アントナプーロスのみ。
理想の友人のおかげで日々の苦しい生活が救われていると感じている中、その一方通行は突然ドミノ倒しのように崩壊し、人々は孤独へと帰っていく。
こう書くととても重苦しい感じがするのだが、マッカ -
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これほど力強くも繊細な小説を読んだのはいつ以来だろう。海の向こうではファシズムが台頭しつつある暗い時代、アメリカ南部の貧困と人種差別が蔓延する小さな町に暮らすひとりの聾唖の男と、彼をとりまく4人の人びとの物語だ。
町にある夜流れ着いた大酒飲みのアナーキストは、この世の矛盾について多くの知識を蓄えはしたが誰にも理解されず、巨大な怒りを内に抱え込んで自己破壊的な暴発をくりかえしている。
一方、この町にただひとりの老黒人医師は、差別と暴力に虐げられる同胞たちへの大いなる愛とともに彼らの愚かさへの怒りに突き動かされているが、彼もまた、家族を含め誰ひとり理解者をもたない。
才気煥発な下宿屋の少女は、心の -
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ネタバレ1人でクスクス笑いながら読んだ本。
内容がどれも軽くて、重い話がなかったからスラスラ読めた。すごく面白かった。
「かなり問題がある」は、デビュー作「風の歌を聴け」がどのような気持ちで作られたのかが書かれていた。前にも球場で空を飛ぶボールを見ていると突然小説を書こうと思ったと言うのを見たのだが、やはり小説というのは突発的に書こうと思うものなのだろうか。
村上春樹の本は好き嫌いが分かれるし、ひどい言葉を言う人もいるがそう言う人は一度この「村上ラヂオ」を読んでほしいと思った。きっと村上春樹に対する思いが変わるはずだ。
「円周率おじさん」はおもしろすぎて、静かな図書室で一人で肩を震わせる変な人になって -
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ネタバレおもしろい!
初めて村上春樹のエッセイを読んだがこんなに面白いとは思わなかった。普段の小説からは考えられないシュールさやゆるさ、だけど文章はしっかりと村上春樹のものでとても新鮮だった。1つの話が2ページで終わるのも良かった。あっさりしていて、テンポ良く進めていけるのも好きだった。
安西水丸さんの絵がなかなか可愛らしくて、想像が捗った。
つけで本を買う話は、子供がツケ払いをすることが可能な町が存在すること自体が面白かった。今じゃ考えられないことであるからこそ、日本っていいなあと思う。
「千倉における朝食のあり方」を読んで、千倉に興味が湧いた。これを読むまで千倉の存在すら知らなかったが、肉屋がほと -
購入済み
コラム集なので、短くて読み易い
紙の本も持っていますが、「老眼」で小さい字を読むのがつらいので、電子書籍を購入しました。執筆当時とは時代も価値観も大きく変わりましたが、読んでいてちょっぴり笑えたり、少し考えさせられたりする点は変わらないなと感じました。でも、日刊アルバイトニュースを覚えている人って、どの位いるんだろう?今はスマホでバイト探しだものね。
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ネタバレ第2部上では、秋川家、免色、雨田具彦の過去がだんだんと明かされ始めた。
なかでも印象に残っているシーンは大きく2つ。
1つ目は「私」が秋川まりえをモデルに肖像画を描くシーン。
「何かを与えると同時に何かを受け取る。」まりえを描くことを通して、『肖像画を描くという行為=限られた時間に限られた場所でしか起こらない生命の交流』なのだと気づく。
第1部までの「私」は、『肖像画を描く行為=モデルの内部に埋もれていたイメージの発掘』と捉えていた。ギバーとテイカーではないが、画家→モデルという一方通行の関係から、画家←モデルへと相互的な繋がりを感じた...?
穴に関しても、第1部では肖像画同様の解釈で『内 -
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村上春樹著「辺境・近境」の旅に同行したカメラマン松村映三による旅の写真集。
写真週刊誌のカメラマン、いわゆるパパラッチをしていたが、ある日その仕事の内容に耐えられなくなり、退職。
独立して、村上春樹の旅に何度も同行している。
村上が松村の腕を信頼してのことなのだそうだ。
「文章には文章のパーソナリティーがあり、写真には写真のパーソナリティーがある。それぞれに独自の視線があり、独自の文法がある。それにもかかわらず、それらがお互いにははじき合わず、あるいはまたもたれ合いもしないことを、僕としては嬉しく思う。
もちろん相性というものはあるだろう。でもそこでは、映三君の鉈が切り出す薪のまっ