村上春樹のレビュー一覧

  • さよなら、愛しい人

    Posted by ブクログ

    ▼(本文より)私には酒が必要だった。高額の保険が必要だった。休暇が必要だった。郊外の家が必要だった。しかし今のところ私が手にしているのは、上着と帽子と拳銃だけだった。だからそれらを身にまとい、部屋を出た。

    ▼言い回しの次元でしかないとも言えますが、思わずにやりとしてしまいます。小説というのは、物語というのは、結局は言い回しの次元であると言えます。パチパチ。

    ▼私立探偵フィリップ・マーロウ長編シリーズ第2作。

    ①大いなる眠り(The Big Sleep, 1939年)
    ②さよなら、愛しい人(Farewell, My Lovely, 1940年)
    ③高い窓(The High Window,

    0
    2025年01月03日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     これまで読んできた春樹作品とは違う……少なくとも私はそう思ったかな。村上春樹の小説ってプロットがなくてひたすら文体に引っ張られていく迷走感があり、私はそれが好きではあったけど『騎士団長殺し』にはすごく骨組みを感じた。タイトル、登場人物、舞台、テーマ、すべてを含めたパッケージとしての完成度をくらった。要するに超刺さっちゃいました。世界観の構造としては『ねじまき鳥クロニクル』(大好き)に似ているので対比しながら読んだんだけど、ねじまきは悪を描く作品だったけど本作は一段上をいくというか悪(白いスバル・フォレスターの男)を振り切るための『信』の話で、そう、『信』というしかない。悪に打ち勝つために必要

    0
    2024年11月02日
  • 村上朝日堂 はいほー!(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    これは村上春樹の割と内面的な部分が垣間見えるようなエッセイだった。特になんというか昔に書いたからだろうか、あまり世間を気にせずに(と言ってもある程度は気にしているのだろうが)、個人的に気に入らないことをズバッと切って批評しているような内容が多かった気がする。これは他のエッセイにはあまりなかったように思う。

    0
    2024年10月27日
  • 職業としての小説家(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     小説家になるためには、どんなことが求められるのかを著者の体験をもとに語っていく。著者によると、小説を1つ書くこと自体は簡単とまでは言わないが、誰にでも書けるという。しかし、何十年も継続して小説を書くのは困難である。これはある種の才能が必要とされる。とはいえ先ほど述べたように、小説を書くことに何らかの制約はない。言い換えると、小説家とはどんな経歴の持ち主でも参加できるプロレスリングのようなものである。
     当然の話ではあるが、小説家になる以上、できるだけ多くの本を読むことをすすめる。優れた小説、それほど優れていない小説、ろくでもない小説、どんなものでもいいので、若いうちから幅広い読書をしていくこ

    0
    2024年10月24日
  • 村上ラヂオ3―サラダ好きのライオン―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ノーベル賞を受賞したら大騒ぎになるだろうから、その前に青田買いでフライングして村上先生のエッセイを調達。今年も残念ながら受賞ならずでしたが、この本は読んで正解。ま、エッセイに関しては文句なしに面白い大先生。そういえば20年来、ほっぽり出したままになっている「ねじまき鳥」にそろそろ手を出そうかな〜という気分にしてくれました。

    0
    2024年10月23日
  • レキシントンの幽霊

    Posted by ブクログ

    短編
    村上春樹さんはなんだか流れるように美しい文章を運んでくれる
    「時間は僕のまわりを心地よく穏やかに過ぎ去っていった。まるでぴったりとサイズのあった ひとがた に自分を埋め込んだような心持ちだった」
    「そのあとでようやく、それに気がついた。音だ。
    海岸の波の音のようなざわめきーその音が、僕を深い眠りから引きずり出したのだ」
     どんな言葉も心を落ち着かせてくれるような
    そんな文章たちの一冊

    0
    2024年10月23日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    日々の中で1年近く駆けて読み終わった
    みなさんもご存知のように村上春樹ワールド全開だった
    登場人物それぞれの個性豊かな描き方が素晴らしいし不思議な井戸もあり、オカルトチックな場面もありとこの先どのような展開になるのか、ハラハラ感もあった
    私事なんですが、一気に読書するのも良いし、時間をかけて読むのもロス感を感じてまた良いもんだった

    0
    2024年10月23日
  • ロング・グッドバイ

    Posted by ブクログ

    令和におけるチャンドラーを読める幸せ。生きていてよかったと思える1冊である。清水訳も読んでいるが、それでも読む意義については、長ったらしい春樹解説を見てほしい。

    0
    2024年10月13日
  • ノルウェイの森

    村上春樹入門として、入りやすいほうかも。
    しっとりとした暗さと憂鬱な雰囲気があり、結末も読後感が良いとは言えないが、考えさせられるものがある。

    0
    2024年10月12日
  • 猫を棄てる 父親について語るとき

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    捨てたと思ったことが戻ってくることに
    それは猫だけではないことがうっすらテーマとしてある。
    基本的には戦争の話だが、
    いつの時代にもある「昔よりも今が良い環境で
    なぜ今の若者は頑張らないんだ」という考え方もある。
    一方で、経験したことのない戦争の話もあって
    今と昔が繋がっていることが文字として違和感なく入ってくる構成だった。
    おそらく、戦争だけではなくその時代背景も描写されていたからだと思われる。
    戦争特有の被害者感があまりなく
    私自身勉強になった一冊。

    0
    2024年10月11日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    1ページ目からなんかおしゃれな文章が始まったなーって好きになった。それがそのまま最後までノンストップで続く。
    舞台はアイルランドとスコットランド、その国自体に行ったことはあるけどこの本の中に出てくる場所はどれも辺鄙な田舎過ぎてとても一人で行こうとは思わないような場所。でもだからこそ興味深く読めたし、写真付きなのもかわいい。村上春樹のエッセイ、特に旅行記は本当に大好き。

    0
    2024年10月07日
  • 1Q84―BOOK1〈4月-6月〉後編―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    天吾がふかえりにムネの形が綺麗に見えるセーターを着るようにと指示を出す。それは記者に好印象を与えるからだと。(この場合の記者は男性)
    ふかえりは言われた通り夏物の、まるで出来立てほやほやのような美しいムネが浮かび上がるセーターを着て記者会見に臨む。記者は予想通り好印象で、大半の記者がふかえりに対して穏やかな記事を書いた。胸は男性にとって(女性にも言えるが)、母性の象徴ではないだろうか。子供は母親に対して結局抗わず、安心感を与える母に対して好意を持っている。記者がムネの美しいふかえりに好印象を抱いたのも、ただのエロスの象徴ではなく、母性の象徴からきたのではないだろうか。少なくとも天吾は母親に対し

    0
    2024年10月05日
  • 哀しいカフェのバラード

    Posted by ブクログ

    訳者違いの再読。
    再読って初めてかも知れない。
    でもよかった。
    時に人物の気持ちが分からない。
    でも人ってそんなもんじゃないかと思う。
    全てが合理的で他から見て分かりやすくて…みたいな人なんていない。
    それぞれに葛藤やら鬱屈やら抱えてどうにかこうにかつじつまを合わせたり、合わなくなってぐちゃぐちゃになったりしながら生きている。

    0
    2024年10月04日
  • 哀しいカフェのバラード

    Posted by ブクログ

    「愛されるもの」の立場と「愛するもの」の立場。
    両者の立場が移り変わりながら、その哀しさと憎しみが描かれた物語。
    登場人物たちは、みな異様で素直に共感することはできず、ゆえに、箱の中の出来事を見ているような感覚になる。
    けれど、そこで繰り広げられている愛憎は、「愛」の難しさ、他者を理解することの困難さを語っている。

    哀しいけど、涙がでたり、胸が激しくしめつけられたりするわけではない。
    ただ、淡々とした哀しみだけが残る。

    0
    2024年09月29日
  • ランゲルハンス島の午後(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    村上春樹のエッセイ本の中でも多分、トップクラスで文量が少ないエッセイ集だと思う。それでもこの短さの中にも村上春樹のユーモアが炸裂してて、読みやすくておもしろい。
    一番印象に残ったのは、ベルリンの映画館で観たという、「クリスチーネ・F」。この映画は、とある商店街で買ったパンフレットのひとつ(それはまだ観たことなかったけど、ジャケットの白人の女の子に目を奪われて購入したもの)がその映画だった。観たいなーと思っていたらこんなところで出会うことになるとは思いもしなかった。(別に観れたわけではないけれども)。
    でもこういうことって不思議とよくある。偶然なんだけど、それまでのことが伏線のように感じるぐらい

    0
    2024年09月27日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    貧しく人種差別も激しいアメリカ南部のある町。それぞれ熱い使命や思想、夢を持っている登場人物達が、聾唖の男シンガーにだけはその秘めた思いを語る。いつもは聞き役のシンガーも、啞のアントナプーロスだけには手を素早く動かし話しまくる。
    人は、自分の話をまっすぐに受け止めてくれる人を求めている。語りたい、理解してほしい。
    自分の思いが空回りして実現しない事は圧倒的に多い。それでも大半の人は生きていく。シンガーはなぜ死んだのか。皆、彼に話すだけ話して、彼を知ろうとはしなかったからか。
    決して幸せな話ではなく、うるさくて静かで、なぜか心地良い読書だった。不思議だ。

    0
    2024年09月22日
  • 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    映画『めくらやなぎと眠る女』が好みの映画だったので、数年ぶりに引っ張り出して読み直した。
    村上春樹の作品のなかでは長編、短編含めて一番好きな作品かもしれない。
    特に本作のなかで一番好きなのはイ・チャンドン監督で映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』だろうか。ミステリアスだがホラー的な要素もあって面白い。
    そして『踊る小人』もシュールな怖さがあってとても良い。寓話のような、ファンタジーのような雰囲気もある。
    『ノルウェイの森』の習作となった『螢』も良かった。何ならこっちのほうが良いかもしれない笑

    読後、どこか空虚さを感じるのだが、この独特な空虚さを感じるのも村上春樹作品の魅力かもしれな

    0
    2024年09月11日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。途中までは妻に振られた男のリアルな話だったのに、急に騎士団長が現れ少しづつ不思議な世界になっていく。リアルな世界はとことんリアルだからこそ、非現実的なイデアやメタファーといったものが不思議と浮かび上がり、またリアルに存在するかのように感じられた。
    メタファーの世界はとてもワクワクした。
    最終的にはユズとヨリを戻したようだが、大丈夫か?ユズは「あなたは変わった?」と聞いていたが、結局何が嫌で別れを切り出したのか曖昧だったし、主人公も別に変わろうともしていないようだった。同じことの繰り返しにならないかと不安になった笑
    最後に東日本大震災の描写があった。付け加えたのだろうか。白いスバル

    0
    2024年09月06日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    著者の作品には多くのお酒が登場するが、なるほど、お酒を造るその土地の気候、風土、歴史、伝統について、作り手への感謝について、その土地の人々について、現地に赴くことの大切さがひしひしと伝わる秀逸の一冊。

    私はウイスキー蒸溜所の見学に度々訪れるが、道中、電車やバスに揺られながらこの本を読むことがなんとも心地よいのです。

    0
    2024年09月03日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    台風が低気圧になって、雨が降ったりやんだりしている。
    雨粒が屋根を弾く音や、水溜りを車のタイヤが滑っていく音を聞きながら本を読む。

    自分にとってはこれまでの、また今の何かにつながるとてもしっくりくる本だったけれど、他の人にはどうなのかな。

    0
    2024年09月01日