村上春樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
▼(本文より)私には酒が必要だった。高額の保険が必要だった。休暇が必要だった。郊外の家が必要だった。しかし今のところ私が手にしているのは、上着と帽子と拳銃だけだった。だからそれらを身にまとい、部屋を出た。
▼言い回しの次元でしかないとも言えますが、思わずにやりとしてしまいます。小説というのは、物語というのは、結局は言い回しの次元であると言えます。パチパチ。
▼私立探偵フィリップ・マーロウ長編シリーズ第2作。
①大いなる眠り(The Big Sleep, 1939年)
②さよなら、愛しい人(Farewell, My Lovely, 1940年)
③高い窓(The High Window, -
Posted by ブクログ
これまで読んできた春樹作品とは違う……少なくとも私はそう思ったかな。村上春樹の小説ってプロットがなくてひたすら文体に引っ張られていく迷走感があり、私はそれが好きではあったけど『騎士団長殺し』にはすごく骨組みを感じた。タイトル、登場人物、舞台、テーマ、すべてを含めたパッケージとしての完成度をくらった。要するに超刺さっちゃいました。世界観の構造としては『ねじまき鳥クロニクル』(大好き)に似ているので対比しながら読んだんだけど、ねじまきは悪を描く作品だったけど本作は一段上をいくというか悪(白いスバル・フォレスターの男)を振り切るための『信』の話で、そう、『信』というしかない。悪に打ち勝つために必要
-
Posted by ブクログ
小説家になるためには、どんなことが求められるのかを著者の体験をもとに語っていく。著者によると、小説を1つ書くこと自体は簡単とまでは言わないが、誰にでも書けるという。しかし、何十年も継続して小説を書くのは困難である。これはある種の才能が必要とされる。とはいえ先ほど述べたように、小説を書くことに何らかの制約はない。言い換えると、小説家とはどんな経歴の持ち主でも参加できるプロレスリングのようなものである。
当然の話ではあるが、小説家になる以上、できるだけ多くの本を読むことをすすめる。優れた小説、それほど優れていない小説、ろくでもない小説、どんなものでもいいので、若いうちから幅広い読書をしていくこ -
-
Posted by ブクログ
天吾がふかえりにムネの形が綺麗に見えるセーターを着るようにと指示を出す。それは記者に好印象を与えるからだと。(この場合の記者は男性)
ふかえりは言われた通り夏物の、まるで出来立てほやほやのような美しいムネが浮かび上がるセーターを着て記者会見に臨む。記者は予想通り好印象で、大半の記者がふかえりに対して穏やかな記事を書いた。胸は男性にとって(女性にも言えるが)、母性の象徴ではないだろうか。子供は母親に対して結局抗わず、安心感を与える母に対して好意を持っている。記者がムネの美しいふかえりに好印象を抱いたのも、ただのエロスの象徴ではなく、母性の象徴からきたのではないだろうか。少なくとも天吾は母親に対し -
-
-
Posted by ブクログ
村上春樹のエッセイ本の中でも多分、トップクラスで文量が少ないエッセイ集だと思う。それでもこの短さの中にも村上春樹のユーモアが炸裂してて、読みやすくておもしろい。
一番印象に残ったのは、ベルリンの映画館で観たという、「クリスチーネ・F」。この映画は、とある商店街で買ったパンフレットのひとつ(それはまだ観たことなかったけど、ジャケットの白人の女の子に目を奪われて購入したもの)がその映画だった。観たいなーと思っていたらこんなところで出会うことになるとは思いもしなかった。(別に観れたわけではないけれども)。
でもこういうことって不思議とよくある。偶然なんだけど、それまでのことが伏線のように感じるぐらい -
Posted by ブクログ
ネタバレ貧しく人種差別も激しいアメリカ南部のある町。それぞれ熱い使命や思想、夢を持っている登場人物達が、聾唖の男シンガーにだけはその秘めた思いを語る。いつもは聞き役のシンガーも、啞のアントナプーロスだけには手を素早く動かし話しまくる。
人は、自分の話をまっすぐに受け止めてくれる人を求めている。語りたい、理解してほしい。
自分の思いが空回りして実現しない事は圧倒的に多い。それでも大半の人は生きていく。シンガーはなぜ死んだのか。皆、彼に話すだけ話して、彼を知ろうとはしなかったからか。
決して幸せな話ではなく、うるさくて静かで、なぜか心地良い読書だった。不思議だ。 -
Posted by ブクログ
映画『めくらやなぎと眠る女』が好みの映画だったので、数年ぶりに引っ張り出して読み直した。
村上春樹の作品のなかでは長編、短編含めて一番好きな作品かもしれない。
特に本作のなかで一番好きなのはイ・チャンドン監督で映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』だろうか。ミステリアスだがホラー的な要素もあって面白い。
そして『踊る小人』もシュールな怖さがあってとても良い。寓話のような、ファンタジーのような雰囲気もある。
『ノルウェイの森』の習作となった『螢』も良かった。何ならこっちのほうが良いかもしれない笑
読後、どこか空虚さを感じるのだが、この独特な空虚さを感じるのも村上春樹作品の魅力かもしれな -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。途中までは妻に振られた男のリアルな話だったのに、急に騎士団長が現れ少しづつ不思議な世界になっていく。リアルな世界はとことんリアルだからこそ、非現実的なイデアやメタファーといったものが不思議と浮かび上がり、またリアルに存在するかのように感じられた。
メタファーの世界はとてもワクワクした。
最終的にはユズとヨリを戻したようだが、大丈夫か?ユズは「あなたは変わった?」と聞いていたが、結局何が嫌で別れを切り出したのか曖昧だったし、主人公も別に変わろうともしていないようだった。同じことの繰り返しにならないかと不安になった笑
最後に東日本大震災の描写があった。付け加えたのだろうか。白いスバル