あらすじ
せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー! と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエスプリとユーモア。安西水丸画伯のイラスト入り、全31編!
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これは村上春樹の割と内面的な部分が垣間見えるようなエッセイだった。特になんというか昔に書いたからだろうか、あまり世間を気にせずに(と言ってもある程度は気にしているのだろうが)、個人的に気に入らないことをズバッと切って批評しているような内容が多かった気がする。これは他のエッセイにはあまりなかったように思う。
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さすが村上春樹だなぁと思わせる、ぎゅっと詰まったエッセイだった。これが雑誌の連載だったなんて、すごい。連載が読みたくて雑誌を買うかもしれない。
34-39の若い時期のエッセイのようで、最近のものよりも尖っているというか批判精神が旺盛な感じがするけど、独特のユーモアとか村上春樹らしさはしっかりあって読み応えがあった。
2024.6.22
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1983年から88年ごろの村上さんのエッセイ集。
「遠い太鼓」で取り上げられていた「ヨーロッパ移住する前に1年分まとめて書かされた原稿」というのは、このエッセイ(の一部)だったことがわかります。
何か心に残るものがあるか、というと、特にないのですけど、それでも、村上さんの洞察がひかる、気楽に読めるエッセイです。
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村上春樹は長編小説いくつか読んだことがあったが、エッセイは初めてでした。
エッセイなのですぐ展開から結論がありさくさく読め、村上春樹を身近に感じられました。前半(全て)と、無人島の辞書、「狭い日本・明るい家庭」が面白かったです。
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おもしろかった!最後の貧乏の話、真夏の午後に喫茶店に入ってアイスコーヒーが飲みたくても、女房と二人で「我慢しようぜ」と励ましあってやっとの思いで家にたどりついて麦茶をごくごくと飲む....とっても素敵でした。
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再読。実家から持って帰ってきた本の一冊。
やっぱりおもしろい!
特に「わり食う山羊座」はそうだ!そうだ!!と共感します。
そして今でも通用する話も出てくる。
楽しい時間でした。
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村上春樹さん 新潮社1992年5月発行
雑誌に連載されたエッセイ
長編、短編、紀行文なんでも書けちゃうのね。
クスッと笑ってしまう真面目さとおもしろさがあります。
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村上朝日堂シリーズ。
1983年から5年間のエッセイで、大部分は『ハイファッション』という雑誌での連載という。
年齢的には、34歳〜39歳とのこと。
青春は終わった、と感じたりする村上さんである。
エッセイには、それを執筆中の割と短い間に考えていることがつづられる。その新鮮さが売りでもあるのだが、
34歳から39歳の間の心理的変化は結構大きなものなんじゃないかと思う。
所々に村上さんというパーソナリティーを感じ取れる。
一冊だけ本を持って無人島に行くとしたら何を持って行く?
本なんか持って行かなくても、自分が小説を書いちゃえばいいんじゃないか(そりゃそうだ)
原稿でもなんでも、前倒しに進めてしまわないと気が済まない。せっかちゆえに生まれる、ちょっと余った時間が好き。
映画にも、ロックにも、クラシックにもとても詳しい。でも、うんちくという角度では語らない。
そして、当たり前すぎてあまり気づく人は居ないのではないかということに気づいている。
アンケートというのは不気味かつ無意味な物が多い。う〜ん、そうかも。
日本は標語が多い。これは私は怖くなった。自分が気づかなかったことに。
朝ドラの背景なんかでよく目にするアレを思い出す。知らないうちに思想統制されているのかもしれない。
「1973年のピンボール」という小説を書いた縁で、ピンボールマシーンをもらったことがある。
ちょっと古い物だったが、その単純な機械の仕組みが好きだった。
引越しの時に、欲しいと言ってくれた人に譲った。
その大きな機械が引き取られて行く様子に、老いた馬が去って行くような寂しさを感じる村上さん。
そして、若い頃の貧乏を懐古して終わる。
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村上春樹らしい言い回しが随所に見られつつ、ユーモアも楽しめる。やや尖っているかも。
寝る前に少し本を読みたい時、お風呂に浸かって10-15分本を読みたい時にオススメです。
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今回は名義を見ればわかると思いますが
画伯の存在はちょっとしかないです。
なのでファンの方は回れ右かも…
意外だったのは著者は英語の翻訳はできるけど
しゃべることは実に不得手ということ。
これ気持ちわかるな。
私もある程度は文章は理解できるけど
しゃべることができないのよ。
本当に悲しみ…
あとは生まれていない時代のお話だったので
わからないけど白子と黒子の広告って
斬新だな、と思いましたね。
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ステーキの描写があまりにも美味しそうすぎて、ステーキ屋さんに行きたくなった。。。
あとはスペースシップの話も好き。
家庭というのが暫定的な制度であって移り行くものである、て箇所とまず自由を手に入れ、それを維持するために問題を解決していくこと、という箇所は個人的に響いた。
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春樹が好きな作家を3人挙げるならスコット・フィッツジェラルド、レイモンド・チャンドラー、トルーマン・カポーティ、5人挙げるならさらにウィリアム・フォークナーとチャールズ・ディケンズと書かれている。前3人についてはいかにも春樹らしい名前だが、後2人についてはなるほどと思った。ディケンズとフォークナーねぇ。
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やっぱり春樹のエッセイは面白い。
プクッ…クスクスと思わず一人で笑ってしまう。
割かし色々面倒な事考えてるんだなぁ…春樹って人は面倒な性格なんだろうなぁ…と、思いつつも何故だが春樹のエッセイを読んでいるとその面倒さも何だか可愛く思えてくる。
今回のこのエッセイは笑える所もありつつ、でも根底にある雰囲気がちょっと切ない感じがする。
何気なくパラパラ読むには本当に丁度いい。
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この人のエッセイは読み易い。
それぞれちゃんと練られてて安易ではない。
こういうの読むと起承転結って大事だと思う。
そこらに溢れている雑文とは違う。
それにしても時代ってかわるんだなぁ、激しく。
「うさぎ亭」とても気になる。
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エッセイは、電車に乗り移動の時、短時間でかるく読めるのがうれしい。
「『スペースシップ』号の光と影」
「貧乏はどこに行ったのか?」
年月が過ぎ、社会も自分も変わって、昔は感じたことが感じられなくなる、ノスタルジックな雰囲気が気に入りました。
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この辺が一番好きかなあ。脱力感がいい感じなのは、時期と媒体とがどちらもよかったからなのかの。ハイファッションなる雑誌はまったく知らないけども。
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はいほー文庫本版。
なので絵が安西水丸さんの絵です(新書サイズのは違う方の絵です)。
色んなとこから引っ張り出したエッセイも混じってるせいか、ページが統一してない文章があります。
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「ハイファッション」という雑誌で連載されていた春樹氏のエッセイ。小説も大好きだけど、彼の本はエッセイも好き。お馴染み、安西水丸氏のゆる〜いイラストが絶妙の31編。
中でも、山羊座のやり切れなさを語った「わりくう山羊座」、東京と千葉のタクシー運ちゃんの違いを説く「千葉県タクシー・ドライヴァー」、レイモンド・チャンドラーが小説を書くコツについて持論を語る「チャンドラー方式」、一人旅の若い女の子と電車で相席になったときの戸惑う心境を語る「ひとり旅」、春樹氏御用達のコロッケ定食がとても美味しいお店の話「うさぎ亭」の5編が好みかな。
千葉県のタクシー運ちゃんは、東京に比べるとよく客に話しかけ、また顔つきが「明治のカール」風だという。春樹氏はあまり他人と会話をするのが得意ではないそうだが、タクシー運ちゃんは例外らしい。またその描写が面白い。私はあまりタクシーの運ちゃんとは話さない主義だが、千葉のタクシーにはいずれ乗ってみようかなと思った。
「ひとり旅」はクスッと笑えるいかにも春樹氏らしい話だ。ひとり旅をいていて困るのは、ひとり旅をしている女の子と会うことだ、という。それも二人きりで同席の場合。話しかけた方がいいのか、話しかけたら良いのかがよくわからない、と。そして話しかけた場合のデメリット、話しかけなかった場合のデメリットの春樹氏の妄想劇場が続く。何かこれだけでも短編の小説になりそうだ。
村上朝日堂、とつく彼のエッセイシリーズは、1984年から始まり、全部で6冊あるらしい。そして本著は3冊目。マズい、途中から読んでしまった。ってことで、最初から読みます!これ、面白いです。
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20年前の村上春樹
新書の大きさの黄色い表紙のきれいな本です。
村上さんは5年くらい前に「世界の終わり…」がはじめてですが、いっときはまってしまってい〜っぱい読みました。村上春樹のちょっとエロいとことがボクのお気に入りですが、このエッセイは気ままな随筆というかんじで楽しく読むことができました。
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村上春樹が雑誌に連載していたもの、その他を集めて編んだエッセイ集。オリジナルは平成元年というから1989年の発行。35年前のものである。
30強のエッセイが収められているが、興味を持てないもの、全く面白いと感じなかったもの、逆に、なかなか興味深いと思ったもの等、自分的には玉石混淆のエッセー集だった。
村上春樹が、朝日新聞の記事の引用から始めた「日本長期信用銀行のカルチャー・ショック」という題名のエッセイがある。引用された朝日新聞の記事の部分を下記する。
【引用】
ごくごく一部とはいえ、女子行員が制服から私服に変わったことは、やや大げさにいえば、日本長期信用銀行の男子行員にとって、カルチャー・ショックだった。全員まとめて「女の子」だったのが、競争相手の「同僚」へ。それが文字通り目に見えた。
(昭和60年12月9日・朝日新聞)
【引用終わり】
昭和60年、1985年というのは男女雇用機会均等法が施行された年である。おそらく、日本長期信用銀行でも、いわゆる女性の総合職を採用し、その人たちには、女子行員が来ていた銀行の制服を渡さなかったのだろう。だって、総合職なのだから、男と同じく制服は着せない。
この文章に対しての村上春樹のコメントは下記の通り。これも引用する。
【引用】
僕はこの手の文章は個人的にあまり好きではない。たしかに状況を要領よくまとめてはあるが、ひっくくり方が単純明快すぎて、今ひとつ文章全体に信頼感が持てない。読んでいて、本当にそうなのかなと疑問が湧いてくる。
【引用終わり】
日本長期信用銀行の男子行員が、本当に「カルチャー・ショック」を感じたのだろうか(そんなわけないよね)?とか、特に何も感慨を覚えなかった人も、関心を持たなかった人も、私服も良いな、と思った人もいるはず(というか、カルチャー・ショックを感じた人の方が少なかったのでは?)である。
こういう紋切り型の、いかにもありそうで、話としても面白いという文章とは全く別の文章を書こうとして作家は苦労しているはずである。
村上春樹は、エッセイで、自分が感じた違和感を冗談まじりに書いているが、本当は「冗談じゃないよ」と思っていたのではないか、とも感じる。
時々、このように、作家としての片りん(?)をのぞかせるエッセイがあり、それらは村上春樹の本音がにじんでいて面白かった。
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この本に収録されている「チャンドラー方式」は小説を書くコツが一部公開されており、村上春樹の頭の中をのぞくようで面白い。本のタイトルは忘れてしまったがレイモンド・チャンドラーから小説の書き方(それでチャンドラー方式と呼んでいる)を学んでおり、それによると、まずデスクとひとつ定めることからはじまる。次に文章を書くときに必要な道具を、そのデスク上にそろえておく。そして毎日ある時間、それはたとえ文章を書く気分でない日でもデスクの前に座って過ごす。これがチャンドラー方式らしい。
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一つ一つがかなり短いので、移動中とかちょっとした時間に最適。何気ないテーマの中にも村上春樹らしい哲学的な考察が随所に見られるところが好き。自分のフィーリングと合うエッセイを書く作家を見つけられると楽しい。他にもどんな作者がいるのか探す価値あり。
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ジム・モリソンのための「ソウル・キッチン」は素晴らしかった。
ー1971年には1983年なんていう年が本当に僕の身にまわってくるとは想像することもできなかった。それでも1983年は実際に、何の感動もなく僕の上に降りかかってきて、僕は今でもジム・モリソンとザ・ドアーズのレコードを聴き続けている。僕は34歳で、まだ夜に火をつけることができない。
また、「狭い日本・明るい家庭」の家族に対する認識も彼らしいものだと思った。
ー家庭というのはあくまで暫定的な制度である。それは絶対的なものでもないし、確定的なものでもない。はっきり言えば、それは通りすぎていくものである。