村上春樹のレビュー一覧
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ネタバレ【自己治癒的な作業】
1995年11月に、村上春樹さんが京都にいる河合隼雄さんのところへ行き、対談されたときのお話。
書きおこしに加えて、それぞれのコメントの追記があり、より話の内容への理解を深められる形になっていました。
阪神淡路大震災とオウム真理教の地下鉄サリン事件があった年。
そして村上春樹さんは、
1994年に『ねじまき鳥クロニクル』の第1部、第2部を出し、
1995年にはアメリカから帰国後に、8月第3部を出されたところでした。
この作品を取り巻く思考が、河合先生とのお話の中で続けられていて、
とても興味深く、
私は昔に一度読んだのですが、
まったくの無知でしたので、
この対談を -
Posted by ブクログ
本読みならば一度は読んでおかなくてはいけないと思った中の1冊。
翻訳小説を読むのは何十年ぶりだし、翻訳を担当した村上さんの作品はエッセイしか読んだことがないし、なんと言っても分厚いし・・・という不安要素はあったのだが、フタを開けてみれば、元は外国語で書かれていたという不自然さがどこにもない。
村上氏がアメリカに滞在している時のことを書いたエッセイを読んでいたせいだろうか。氏の描くアメリカの風景に馴染みがあるような気がして読みやすかった。分厚いけど。
マーロウは、パンドラの箱を開けたばかりか、最後に残っていた「希望」まで引きずり出して吊し上げてしまうような、依頼された仕事はやらずに、余計なこと -
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「自己との切実なまでの対面」
本著は『めくらやなぎと眠る女』を除き、かの有名な『ねじまき鳥クロニクル』の後と、『ダンス・ダンス・ダンス』『TVピープル』の後に書かれた短編集である。
執筆された時期は作品毎に微妙に異なる。
だが読後に私が感じたのは、いずれの作品にも一貫として「自己との徹底的な対面がある」ということだ。
我々は自己との対面を避ける。特に内面的な事柄に関してだ。
背負った業や、現在進行系で抱えているものから目を背け、一時的な逃避に走る。
それは自己防衛に成りうると同時に、自身に重い枷を掛けることにもなる。
時には逃げることも良いだろう。臭いものには蓋をして、それを意識の外側 -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編でとても読みやすかった!
特に「彼女の街と、彼女の緬羊」が気に入った。
北海道の友人を訪ねる。友人も自分もお互い結婚しており、北海道と東京で別々の人生を歩んでしまっている。会話も弾まなかった。ホテルに泊まり、ビールとスモーク・サーモン・サンドウィッチをつまむ優雅で気楽な時間を過ごすが、どうしようもない退屈感に満ちている。テレビに映る田舎町の広報の女性は垢抜けないが、地味な暮らしへの誠実さがある。自分はそんな彼女に会いたいような気もするが、結局はその街になんか寄らずに東京に帰るのだと考える。
人生への強い倦怠を感じる、好みの短編だった。
一人前の大人になったが、昔の友人とも心が通わなくな -
Posted by ブクログ
注! インタビュー本なのでネタバレ設定にしていませんが、内容にかなり触れています。
年末(2023年のw)、本屋をブラブラしていた時、表紙のフクロウ(あ、みみずく…、ねw)が、なぜかミョーに気に入ってしまって、ついつい衝動買いしちゃった本。
ちなみに、フクロウとミミズクの違いは、羽毛が耳のようにちょこんと出ているのがミミズクで、頭が丸いのがフクロウということらしいけど。
ウチに時々やって来るのは頭が丸い方なせいもあって、ミミズクよりフクロウの方が好きだ(^^ゞ
……って、最近は、文章の終わりに「。」をつけたりすると怒られたり(ニュースで見た)、「、」や絵文字が多いと“おじさんの文章”と -
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ネタバレ出会いはランプライトブックホテル札幌
紀行文というジャンルに興味を抱くきっかけとなった1冊。
好きすぎるフレーズが沢山散りばめられてた。
以下、一番好きな文を紹介。
かつて住民の一人として日々の生活を送った場所を、しばしの歳月を経たあとに旅行者として訪れるのは、なかなか悪くないものだ。そこにはあなたの何年かぶんの人生が、切り取られて保存されている。潮の引いた砂浜についたひとつながりの足跡のように、くっきりと。
そこで起こったこと、見聞きしたこと、そのときに流行っていた音楽、吸い込んだ空気、出会った人々、交わされた会話。もちろんいくつかの面白くないこと、悲しいこともあったかもしれない。し -
購入済み
都会で暮らす平凡なサラリーマンがあることをきっかけになんだかよくわからない茫漠とした世界に入り込んでしまう。そんな基本構図はその後の村上春樹の小説の原型になっているのだろう。全作品を読んでいるわけではないけれど、『羊』がやっぱり一番好きな小説だなと感じる。
北海道という土地の持つ欺瞞・因縁とそこから見る日本の近代という時代、戦後日本ののっぺりとしたノンポリ気質、などなど、村上春樹がそういったことをどこまで意識しているのかは知らないけれど、読む度にそんなこの小説の持つ政治性について考えさせられる。
個人的に北海道に舞台を移す下巻からが特に好きだ。札幌に旅行に行きたくなる。
鼠と主人公の友情、と -
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本書は、村上春樹(1949年~)氏が、1995~2015年にいくつかの雑誌のために書いた紀行文をまとめたもの。大半の初出は、JALのファーストクラス向け機内誌「アゴラ」(但し、雑誌に掲載されたものより長いバージョンだそう)で、その他は、雑誌「太陽 臨時増刊」、雑誌「タイトル」、雑誌「クレア」である。2015年に出版、2018年に文庫化された。
訪れた場所は、米ボストン、アイスランド、米のオレゴン州ポートランドとメイン州ポートランド、ギリシャのミコノス島とスペッツェス島、ニューヨークのジャズクラブ、フィンランド、ラオスのルアンプラバン、イタリアのトスカーナ地方、熊本で、村上氏が過去に数ヶ月~数年 -
匿名
購入済み村上春樹の解体新書
村上春樹さんがどのように物語を紡いでいるのか、何を大切にしているのか、どのような手順で推敲しているのか。そういうあらゆる興味深いことを同じ作家の川上未映子さんが余すことなくインタビューし、それを包み隠さず村上春樹さんが答えているという濃厚なインタビュー。
そしてこのインタビューを通してわかったことはやはり村上春樹さんは稀有な作家だということ。
デビューして40年経ってなおストーリーがどんどん降ってくるなんて。そして彼の紡ぎ出す物語は今もなお新鮮で息切れを感じさせない。他の人が真似しようとしてもできないことははっきりわかる。 -
Posted by ブクログ
「村上朝日堂」シリーズ(シリーズと言っていいのかな?)
マサチューセッツ州ケンブリッジ(ボストンの隣)に住んだ、1993年から1995年にかけての滞在記で、村上さん44歳から46歳のころ。
日記であり、紀行。
紀行文好きの私としては、村上さんの紀行文が読めて、とても楽しかったです。
安西水丸さんがイラストを担当、奥様の村上陽子さんが写真を載せている。
イラストはいつもの画伯風であるが、小学生の絵と違うところは、時々危険なところ。特にP207がやばい。
まあ、村上さんの発言がそもそもヤバいのですが。
奥様の写真はボストンマラソンから始まり、アメリカの自然や、街の様子が視覚からもアメリカ感を盛 -
Posted by ブクログ
ネタバレ川上未映子さん以上のハルキストはいるのだろうか。
村上春樹さんが忘れていることまで、ディテールまで覚えていてたじたじの場面も。でも、のらりくらり「覚えていない」という春樹さんは本当に覚えてないのかもしれない。
それにしても鋭かった。特に村上作品における女性の描き方、女性の見方についてのところ。
村上さんは、文章を書くのが大好きで基本ポジティブだということ。地下一階の自我の葛藤には興味がなく、地下二階に降りようとしていること。集団的無意識みたいなところに。
文章を読んだら、カキフライが食べたくなるような文章を書きたいというのが、村上春樹さんの目指すところ。
それと忘れちゃいけない直接的なメッセー -
Posted by ブクログ
本当に村上春樹さんの紀行文は最高。
好奇心も心も満たされる
ちょうど読んでいたとろに、ロシアのウクライナ侵攻のことで、息子に「日本はどこの国とも地続きで国境を接していないから感覚としてわからないけれど、地続きで隣り合う国があるってどんな気持ちなんだろう」というようなことを話しかけられました。
村上春樹さんの旅当時はソ連(現在はジョージアとアゼルバイジャン)、イラン、イラク、シリア、ギリシャ、ブルガリアと接しているトルコの地図を2人で眺めながら「日本で生きていると他国と接している緊張感てないよね」と話し、村上さんの波瀾万丈の旅の訳がよくわかったし、接している国との関係もあるだろうから「その地域