あらすじ
「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」「羊?」「そして冒険が始まるの」 故郷の街から姿を消した〈鼠〉から〈僕〉宛に、ある日突然手紙が届く。同封されていた一枚の写真が、冒険の始まりだった。『1973年のピンボール』から5年後、20代の最後に〈僕〉と〈鼠〉がたどり着いた場所は――。野間文芸新人賞受賞の「初期三部作」第三作。
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都会で暮らす平凡なサラリーマンがあることをきっかけになんだかよくわからない茫漠とした世界に入り込んでしまう。そんな基本構図はその後の村上春樹の小説の原型になっているのだろう。全作品を読んでいるわけではないけれど、『羊』がやっぱり一番好きな小説だなと感じる。
北海道という土地の持つ欺瞞・因縁とそこから見る日本の近代という時代、戦後日本ののっぺりとしたノンポリ気質、などなど、村上春樹がそういったことをどこまで意識しているのかは知らないけれど、読む度にそんなこの小説の持つ政治性について考えさせられる。
個人的に北海道に舞台を移す下巻からが特に好きだ。札幌に旅行に行きたくなる。
鼠と主人公の友情、というかお互いがお互いに対してある種の責任を感じ合う関係性というか、そういったものもとても素敵だ。
ぜひ一読をお勧めしたい。
さぁこれから
読みやすくで良かったです、
何がって言われる時言葉探しになりますが、
やっぱり雰囲気でしょうか?
さぁこれから、
続編っぽいダンスダンスダンスを拝読致します。
あやうく順番間違えそうになりました。
風化
やれやれ。
さすがに吸い過ぎだし,飲み過ぎだろう。
とんでもない状況なのに,ジョギングしたり,ヒゲを剃ったり,食にこだわったりできるのはなぜ。
匿名
村上春樹の初期の長編小説。
主人公が食事を作ったり、掃除するところなどが細かく描かれている。村上作品は音楽のようなところがある。長編小説は交響曲である。それも綿密に計算された音楽である。羊博士が羊と交わってそれが先生のところに行き、先生から離れて鼠の中に入る。鼠は自分が死ぬことで羊を消滅させる。最後に爆破で大円団である。鼠と羊博士と先生の関係が今でもこんがらがっている。羊博士が連れてきた星の付いた羊に先生が憑かれたのだ。
現代小説なのだが呪術的なところがある。そして神話的である。そして西洋的である。
非日常の世界を描いていくのだが、そのベースに肉体的で日常的なものを綿密に積み上げていく確かな描写力があるから話が軽々しくなったり嘘っぽくなったりしないのだと思う。
主人公が羊屋敷から離れる場面で感じる懐かしいような切ないような感覚は村上作品独特なものである。