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アメリカのケンブリッジに住んだ1993年から1995年にかけての滞在記。ボストン・マラソンに向けて昂揚していく街の表情、「猫の喜ぶビデオ」の驚くべき効果、年末に車が盗まれて困り果てた話、等々なごやか(?)なエピソードの中に、追悼特集で報じられたニクソン元大統領の意外な一面や、帰国後訪れた震災後の神戸の光景がキラリと光る。水丸画伯と陽子夫人が絵と写真で参加した絵日記風エッセイ集。
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Posted by ブクログ
「村上朝日堂」シリーズ(シリーズと言っていいのかな?) マサチューセッツ州ケンブリッジ(ボストンの隣)に住んだ、1993年から1995年にかけての滞在記で、村上さん44歳から46歳のころ。 日記であり、紀行。 紀行文好きの私としては、村上さんの紀行文が読めて、とても楽しかったです。 安西水丸さんが...続きを読むイラストを担当、奥様の村上陽子さんが写真を載せている。 イラストはいつもの画伯風であるが、小学生の絵と違うところは、時々危険なところ。特にP207がやばい。 まあ、村上さんの発言がそもそもヤバいのですが。 奥様の写真はボストンマラソンから始まり、アメリカの自然や、街の様子が視覚からもアメリカ感を盛り上げてくれる。猫要素多し。最後の方まで読んでからP85のアヒルの写真を見ると2度美味しい。 今まで読んだ「村上朝日堂」は、村上さんの頭の中で熟成された感じで、いわば内なる宇宙だったのが、今回はアクティブに大自然の中で動き回っている感じがする。リアルタイム感、臨場感がある。 今までがアクティブではなかったということではありませんが。 ボストンマラソンへの参加、モンゴルへ行って苦手な羊肉を無理に流し込んだこと、車の盗難に遭って、保険代理店の担当の女性がどうしようもなかったことなど、非日常なネタにも事欠かない。 アメリカの大学で先生をするということ自体がそもそも、非日常ですが。 「猫のピーターのこと」はシングルカットして1冊の絵本になったらいいな、と思えるお話でした。 じわっと感動しました。 そしてまた、若い頃の貧乏を回想して終わる。
「うずまき猫」はうまくみつかりましたでしょうか?と締めくくられてるけど、「うずまき猫」ってなんだろう? 村上春樹氏のエッセイです。 1994年~95年の米国滞在中の話題が中心。 この時期、村上さんは長編小説「ねじまき鳥クロニクル」を執筆している。 比較して読むと、エッセイ中に、ねじまき鳥クロニク...続きを読むルと似通った表現や記述がみられて面白い。 さて、本作のタイトルである「うずまき猫」であるが、これ、本文には一度として登場しない。 村上さんのエッセイらしく、本作には猫はたくさん出てくるが、うずまきにはなかなか結び付かない。 先の「ねじまき鳥クロニクル」の小説中では、「ねじまき鳥」というのは、けっきょく主人公自身のことであった(と思う)。 それと比較すると本作の「うずまき猫」は、村上さん自身のことなのだろうか。 うずまき、つまりは、外国で、世間のゴタゴタにぐるぐると巻き込まれ、翻弄される村上さんのことを言いたかったのかもしれない。 〜しかし車を一台盗まれるというのが、これほど面倒きわまりない結果をもたらすものだとは僕も知らなかった。(中略)あちこちたらいまわしにされて、居留守を使われたり不親切な扱いを受けたり、時間は無為に流され、ストレスはたまっていく。(中略)。「そうか、世間とはこんなに面倒なものなのか、まあ何事も経験だな」と鷹揚に構えていたいところだけれど、実際にはとてもそんなこと思えないですよ。ただの消耗である。〜 (p140、わざわざこんな忙しい年末に、車を盗まなくたっていいだろうに) とにかく、村上さんはのエッセイは、村上さんが苦労している時がいちばん面白いので、本作はとても面白いです。 うずまき猫に限らず、村上さんの猫にむける優しい眼差しが感じられる一冊です。
"「うずまき猫」はうまくみつかりましたでしょうか?” あとがきの最後の一文を読んだとき、それまでおもしろいおもしろいと読んでいたのが一気にはっとさせられた。夢中になって読みふけっていたその時は、うずまき猫はうまく見えなかった。 少したって考えると、日頃の出来事や思い考えていることの「うずま...続きを読むき」のなかで「小確幸」を探しみつけることなのかなと思った。それがこの話を一層おもしろくしているのだなぁ。
海外旅行の移動中やホテルで、読んだ。 我ながらいい本えらんだなぁ。 1993-95年のケンブリッジ滞在記。 写真のピントのあわせかたがステキだ。 中華料理アレルギー、草食、猫が喜ぶビデオについてのレポート、学生時代飼っていたピーターのこと、スカムバッグ、ドラッグ、車が盗まれたことについてなど。 奥さ...続きを読むんといい関係なんだなあ。 そしてすぐに下ネタ想像する。ふん。 村上春樹って意外とふつうの人なんだねって思える。そんないっさつ。 息抜きにどうぞ。
結局ケチなんじゃないかと言われそうだけど、決してそういうのではない。生活の中に個人的な「小確幸」(小さいけれども、確かな幸福)を見出すためには、多かれ少なかれ自己規制みたいなものが必要とされる。たとえば我慢して激しく運動した後に飲むきりきりに冷えたビールみたいなもので、「うーん、そうだ、これだ」と一...続きを読む人で目を閉じて思わずつぶやいてしまうような感興、それがなんといっても「小確幸」の醍醐味である。そしてそういった「小確幸」のない人生なんて、かすかすの砂漠のようなものにすぎないと僕は思うのだけれど。 *・*・*・*・ 福岡からの帰りで読む。村上さんてエッセイほんと面白い! こういう海外暮らししてみたいよねぇー
村上春樹が、ボストン近郊のケンブリッジという場所に住み、タフツ大学というが医学に所属している時にかかれたエッセイ。94年春から95年秋にかけて、「SINRA」という雑誌に連載されていたものに、加筆・修正を加えて1冊の本としたもの。 非常に軽い感じのテンポの良さを感じるエッセイ。 このエッセイが書かれ...続きを読むている期間中、村上春樹は長編小説を執筆中だったらしくて、ご本人も書かれているが、ご本人にとっては、ある種の気分転換にもなっていたようだ。 私は、全体的に言えば、村上春樹は小説よりも、このようなエッセイや旅行記的なものが好きなので、本書も楽しく読んだ。
春樹さんが、ボストン近郊のケンブリッジに住んでいた1993年夏からの二年間にわたる滞在期。連載されていたのはほぼ30年前となるけれど、いま読んでもあまり時代を感じさせないのは春樹さんのライフスタイルゆえなのかも。 安西水丸さんの絵日記風イラストと、奥さま撮影のスナップ写真がいっぱいなのもうれしい。地...続きを読む元の猫ちゃんたちかわいいな〜。 滞在中は地元ランナーとしてボストン・マラソンに出場したり、家の前の芝生で"ことおよびリス"を発見したり、中華料理アレルギー(!)なのに中国に旅行したり、通信販売にハマって「猫の喜ぶビデオ」を注文したり、年末には車が盗まれて困り果て、遅々としてすすまない修理や保険の手続きに辟易したり。 春樹さんのユーモラスで愛嬌のある文章で日常を覗かせてもらえ、くすくす笑って肩の力を抜きながら読める楽しい一冊です。アヒル・オン・ナ・ヒル。 とくに意識したわけではないそうだが、『うずまき猫のみつけかた』というタイトルなだけあって、ふれあってきた猫ちゃんのエピソードもいっぱいです。 春樹さんが猫の気持ちを想像するときの感性というか、「こんなふうに思ってるのでは」という予想の解像度がすごく好き。 ファンにはおなじみの茶色の虎猫・ピーターは、独身時代に住んでいた三鷹のアパートの近くで拾って、結婚のおりには新居(陽子夫人のご実家。布団屋さん)にも連れていったが……と続くのだけど、春樹さんとピーターの関係が微笑ましくて、ちょっとさみしいけれども愛おしかった。 あとがき。「『うずまき猫』はうまくみつかりましたでしょうか?」とあるけれど、うずまき猫って結局なんだったんだろう?
著者がアメリカの生活について綴ったエッセイ本。猫好きということあって、猫の話題が多く、猫の写真もいくつか収録されている。ちなみに本人によると、外国で小説を書いたからといって、作品が変わるわけではないという。実際『ダンス・ダンス・ダンス』や『ノルウェイの森』で、どの部分をどこで書いたかを本人は覚えて...続きを読むいないらしい。一日のスケジュールとして、午前は仕事をして、その後大学のプールで泳ぐか一時間ほど走るなどして、その後昼ごはんを食べる。午後は小説以外の仕事を進めたり、町で散歩したり、買い物をしたり、日常的な用事を片付ける。夕食後にだいたい本を読みながら音楽を聴く。こんな感じで健康的な生活を送っている。またp204、205でマリファナの吸引について書いてある。本人の経験上、マリファナはタバコより害が少なく、中毒性もないと語っている。
村上春樹のエッセイはだいたいゆるく面白い。 このエッセイ集は比較的まじめ(?)なトピックが多く感じました。 個人的に猫が好きなので猫の話&写真が多くて読んでて楽しかったです。結構だらだら読み、笑える話で笑っていたのですが(特にコウタローの話)、最後のピーターと地震の話は切なかったです。 時代もあ...続きを読むると思うけど…村上春樹さん。猫を飼うならしっかり室内飼いして下さい。
奥さんがひとりでラーメン食べに行って女子高生にひそひそされて結局村上さんが怒られるくだりめちゃめちゃ笑ってしまった。中華アレルギー(?)ってのもあるんだな…。原因が気になるところ。
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村上朝日堂
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