あらすじ
僕の考えていることが本当に正しいかどうか、わからない。でもこの場所にいる僕はそれに勝たなくてはならない。これは僕にとっての戦争なのだ。「今度はどこにも逃げないよ」と僕はクミコに言った。「僕は君を連れて帰る」僕はグラスを下に置き、毛糸の帽子を頭にかぶり、脚にはさんでいたバットを手に取った。そしてゆっくりとドアに向かった。(本文より)
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Posted by ブクログ
10/10
“救うためには、救われなきゃならない。”
想像することが、ここでは命取りになる。
ナツメグ、シナモン、バット、井戸、サングラス、声帯、心臓、馬、日食、コンピューター。並んだ語群が示すのは、単なるモチーフの羅列ではない。第3部は第1部・第2部と別の世界に移行したかのようであり、むしろ作品全体の集大成として、作者の音楽的なテーマと技術が一気に噴き出す場だった。
僕が感じたのは、ツイン・ピークスの初期と『ザ・リターンズ』の差異のような段差だ。前段が導入と配置なら、第3部は深淵に沈めるショーケース。静かに、だが確実に読み手を異界へ押し込む。結果として「別格感」が生まれる。これは散らかった伏線の回収というより、作者の思想とイメージを総動員して読者の無意識を揺さぶる試みだ。
無意識と愛の戦い、縦に深い冒険劇
この部は「自己の無意識」と「自己の愛」との戦いだ。精神的にも肉体的にも侵され続けた者が、井戸の水を呑み続けるように過去を抱える。横の広がりはそこまでないが、縦の深さが尋常ではない。幻想・夢・過去・現実が混線し、それらが一本の縦糸へと束ねられていく。それは読み進めるほどに頭がぐらつく体験だが、同時に文学がもっとも先鋭的に機能する瞬間でもある。
ラスボスは外ではなく内にある、
この物語の根源的な敵は「他者」でも制度でもなく、人間の奥底に潜む切り離せない欲望だ。復讐や裁きの物語に見えながら、最終的に立ち上がるのは“内的な課題”。それを二人で背負うという形の救済だ。救いは完全な回復ではなく、共有されることでかろうじて成立する種の救済だと僕は読んだ。
「救い」と「救われる」 二人で交わす救済
シナモンとナツメグ、岡田とクミコ、岡田とメイ、マルタとカルタ。これらのペアは、個人の限界的な救いを互いに分け合うための器だ。単独では越えられない深さを、相互に補い合うことでようやく前へ進める。そこに血の匂いはない。感情と身体があるにもかかわらず、奇妙なほど淡々と、冷たい光の中で事態は進む。血がないことが却って残酷さを増幅させる。
官能について:嫌う理由があっても、魅かれる理由もある
村上春樹の官能描写は賛否を分ける。だがここでの官能は、映画的でもアダルトでもない。生の現前。抱き合い、涎、喘ぎ、叫び。が、読者の目の前で生々しく展開される。僕はそれを、作者が人間の根源的な衝動をかき出す美学と見なしている。嫌う人が多いのも理解できる。でも、だからこそこの小説は読者を揺さぶる。文学の機能を剥き出しにする力がある。
文学的風格について
『カラマーゾフの兄弟』や『源氏物語』のような「王者の風格」はこの作品にないかもしれない。だがそれは欠点ではない。王者的な威圧よりも、僕を昂らせる何か。生理的で即物的な強度。がここにはある。形式と技巧と感情が混じり合い、現代文学としての独自性を際立たせる。
さすがの村上作品
自分が年をとってきて、青少年時代に読んだ感想とは違った感想を持つようになった。
あのころの紙の手触りや本の重さもよかったが、電子書籍で上下巻、3部構成など村上作品を持ち歩ける幸せ。
表紙を眺めてると、全て欲しくなってしまう
Posted by ブクログ
『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいると、ただ物語を追っているだけのはずなのに、心が勝手にこれまでの人生を整理し始めるような感覚に陥る。村上春樹の小説、とりわけこの作品には、読者の過去や感情を静かに掘り起こしてしまう奇妙な力があるように思う。
読み進めるうちに、物語の感想を書いているつもりが、いつの間にか自分自身の感情の記録を書いているような状態になっていた。
物語の始まりは、行方不明になった猫を探すという小さな出来事だった。しかし謎の電話、加納マルタとの出会い、そして笠原メイなど、不思議な人物が現れるにつれて、物語は少しずつ日常から外れていく。その過程で感じたのは、人は一緒に長く過ごしていても、相手のことを本当に理解しているとは限らないという感覚だった。
主人公は結婚して長い年月を共にしてきた妻クミコのことを、実はほとんど知らなかった。彼女の過去や苦しみ、そして心の奥にある闇は、主人公にとっても見えないままだった。この「近くにいるのに理解できない距離感」は、この物語の静かな恐ろしさでもあるように感じた。
第一部で特に印象に残ったのは、間宮中尉がノモハンで涸れた井戸に落とされる場面だった。井戸の底の暗闇の中で、彼は一日に数秒だけ差し込む光を見つめながら生き延びる。そしてその瞬間に「自分の人生はそこで終わった」と感じ、その後の人生を、生きているのに生きていないような感覚で過ごしてきたと語る。
その一節を読んだとき、なぜかそれが他人の話には思えなかった。大学時代や精神科病院で働いていた頃、私自身も何かに全身全霊で打ち込めるものがなく、ただ「死んでいないだけ」のような状態で日々を過ごしていた時期があったからだ。
また、加納クレタが語る「痛みを失った瞬間から生を実感できなくなった」という感覚も強く心に残った。苦しみから解放されたはずなのに、その代償として世界の手触りそのものを失ってしまう感覚。それは間宮の語る虚無とも重なり、主人公の空洞化した人生ともどこか響き合っているように思えた。
第二部では、猫が消え、クミコが消え、さらに加納クレタや笠原メイも主人公のもとから去っていく。人々が次々と主人公の世界から離れていく様子が印象的だった。そして井戸の底へ降りていく場面は、異世界へ入るというよりも、自分自身の深層心理へ潜っていく行為のように感じられた。
この作品では、主人公を取り巻く現在の物語と、ノモハンの歴史が互いに響き合っているように思える。個人の問題と歴史の暴力がどこかでつながり、井戸という場所を通して人間の深い部分へと降りていく。これはユングの言う集合的無意識の世界にも近い構造なのではないかと感じた。
第三部まで読み終えたとき、正直に言えば「結局何だったのかよくわからない」という感覚も残った。しかし振り返ってみると、この作品は明確な答えを提示する物語ではなく、むしろ自分の内側を探る旅のようなものだったのではないかと思う。
そして物語の終わりで感じたのは、主人公が確かに変わったということだった。彼は多くのものを失い、考え、向き合い、そして最終的にはクミコを許し受け入れるという行動へとたどり着く。完全に理解できないものを抱えながら、それでも関係を選ぶという姿勢は、物語の最初の「空っぽだった主人公」とは明らかに違っていた。
作中に登場する「ねじまき鳥」は、世界のネジを巻いている存在として描かれている。私はこの鳥を、世界を動かす力の象徴として感じた。同時にそれは、世界を観測する存在であり、物語を見つめている読者の立場にもどこか重なっているように思える。読者は物語を観測しているが、その観測によって物語は成立する。そう考えると、読者自身もまた物語の一部であり、世界を回すネジの一つなのかもしれない。
『ねじまき鳥クロニクル』は、不思議な物語というよりも、自分の内側を掘り下げていく読書体験だった。読み終えた今でもすべてを理解できたわけではない。それでもこの小説を読むことで、自分の人生や感情をこれまでとは違う角度から見つめ直すことができたような気がしている。
Posted by ブクログ
笠原メイの手紙。少年の夢と現実。週刊誌。ナツメグ。そして岡田くん。
視点が増えて多面的になり、飽きずにどんどん読める。
ナツメグもシナモンもいいキャラ。
509ページもあり、かつ改行少なくて文字びっしりだけど、退屈に感じることは全くなかった。
さらに、まさかの牛河。嬉しすぎる。牛河の独り言のような長話が好きすぎる。
牛河だけじゃなく、随所で1Q84を彷彿とさせられた。
井戸。影。月。暗闇。カティサーク。
春樹さんこのあたり好きですね。
Posted by ブクログ
飼い猫の失踪をきっかけに、主人公はさまざまなものを失い、また得ていく。
やたら井戸に潜りたがるところが、『騎士団長殺し』の主人公と重なる。井戸が他世界と繋がっている所も。村上氏は井戸や穴に何かこだわりがあるのだろうか。ちなみに本作の私の推しは笠原メイ。唯一の癒しキャラです。全体的に暗めな作品だけれども、彼女だけはいつもマイペースに生きているように見えてなんだか可愛らしい。
長編ということもあり全て読むのにかなり時間がかかった。結局ねじまき鳥は、人生を狂わせる象徴ということなのだろうか。
(p406 ねじまき鳥の声を聞いた者は避けがたい破滅へ向かう)
色々と読み返したら発見できる箇所が多いだろうと思う。
Posted by ブクログ
村上春樹の小説は4作品目だが、一番抽象的でかつ面白く感じた。最後の一冊は駆け抜けるように話が進んでいき、村上春樹らしい表現でストーリーが進んでいきおもしろかったです
Posted by ブクログ
圧巻のラストでした。
トオルとクミコは再会することができるのか、夢の中で繰り広げられる物語が刻々と暗闇をより深い闇に誘われる。
最後は少し難しい展開かなと実感しました。
新キャラクターの赤坂ナツメグ、シナモン親子も
キャラが際立って、とても印象に残りました。
Posted by ブクログ
難しい内容の小説でした。
虚構と現実、夢と現実、、の世界を巡る、というストーリー展開で、なかなか掴みづらい感じでした。
でも村上春樹らしい哲学的な文章で引き込まれました。
村上春樹さんはやっぱり、好きな作家さんです。
Posted by ブクログ
物語の紡ぎ方が非常に上手。小さな欠点は吹き飛んでしまう。他作品でも出てくる「穴の中」は、井戸とホテルの廊下が示している。久々の再読ですが、暴力的な場面が多いのには新たな驚きがあった。細かい部分は全然覚えていないので、新鮮に楽しめました。
日中戦争がこんなに深く描写されていたことに、驚きがありました。
Posted by ブクログ
第1部の最初の一行で、主人公は台所でスパゲティをゆでていました。「泥棒かささぎ」の序曲を口笛で吹きながら。
第3部を読み終えるまでは、これほど壮大なスケールの物語だとは予想していませんでした。主人公の岡田トオルはこれといった特徴もなく、国境を超えないし、戦地に赴くこともないし、物理的な移動距離はさほどないのですが、夢と現実、生と死の世界をさまよいます。クロニクル(年代記)とタイトルにあるように、過去の時代についても描かれ、戦争の残酷さ、理不尽さは読むのが辛くなりました。
戦時下、中国大陸にいた獣医は、思います。「世界というのは、回転扉みたいにただそこをくるくるとまわるだけのものではないのだろうか」と。
大きな喪失を体感した時は、すべての世界が閉じ、回転扉の別の仕切りの中に移動させられたような、まったく別の世界に放り出されたような気持ちになるのかもしれません。
でも、連続性がないはずの世界は、後の世代の岡田トオルに結び付き、輪のようにつながっているのです。
岡田トオルは、枯れ井戸の底の暗闇の中で、精神の深層世界を探ります。生死の境界へとさまよう旅は、痛く、苦しく、恐ろしくもありましたが、読書でなければ知ることのできない(現実にはしたくない)体験でした。
Posted by ブクログ
全体的を通して、間宮中尉の話とメイちゃんの考察が特に印象に残りました。
このシリーズを読んでいた1ヶ月、ずっと暗い気持ちでした。それだけ世界観に引き込まれていたということだと思います。
Posted by ブクログ
緊張感あり圧倒的な読書体験でした。
折に触れて戦争の場面が出てくると、歴史の上に立っていることに気づく。複雑で難解さは、何かを理解したというより、考えはじめたというような読後感。
Posted by ブクログ
オーディブルで。3巻は長かった。
著者らしい性的な話を含んだ抽象的な不思議な話は、
騎士団長殺しに似ている。
登場人物は、変な人しか出てこない。
でも、笠原メイは賢い。
Posted by ブクログ
☆4.5くらい。
妻がいなくなるという、村上春樹的なおきまりから物語が動き始める。
主人公とその周りの再生を描く中で、主人公がちゃんと闘っているのがいい。絶望しすぎていない。
人との出会いが救いになっているのかもしれない。
それぞれが抱えている地獄が、すさまじい。
Posted by ブクログ
3部作通して戦争の描写が沢山出てくるが臨場感が半端なく息を呑む。
クミコの幼少期のことや兄の関係など最後まで判然としないところがあってちょっともやる。わたしの読解力が足りないということだろうか…100分de名著見てみようかな。
Posted by ブクログ
⭐️4.5
笠原メイの手紙が好き。私もあんな手紙書きたい。
物語に展開がバタバタっとあったからか、3が一番面白かった。笠原メイが、ミドリちゃんポジで、クミコが直子ポジかな〜とか思った。生と死で!
岡田トオルは、奥さんを愛していた、少なくとも取り戻すために必死だった。でも、愛の物語でいえば、「1Q84」の魅力の方が勝る。なんか、ねじまきの方は、こじんまりしたダサい必死さがあって、その良さはあったなぁと思います。その件については、もうちょっとよく考えてみます。あとは、軍隊関係の描写が多かったのも印象的。ナツメグとシナモンのネーミングも好きやったよ。
Posted by ブクログ
3部作….長かった、、、3部作通して3週間あれば読み終わるだろうと鷹を括っていたら第3部が異様に長くて3部作全部読み終わるのに1ヶ月かかってしまった…..
こんなに長い期間、一つの小説の世界に浸っていたのは久しぶりだ。ちょっと疲れたから、一旦短編を挟もう。
ちなみにこれは高校生の時に読んだけど、動物園のくだりで挫折。その後大人になってからも同じ箇所で挫折。今回三度目の正直で読破できた。
動物好きだからいつも動物園のくだりで嫌になってしまっていた。
今回最後まで読めて良かった。
物語として、プロットがとにかく面白かった。
サブストーリーも一個一個ハラハラドキドキして面白いし、何よりある種の歴史小説として自分の知見が大きく広がった。
色んな魅力のある、それぞれ際立ったキャラクターが出てくるのも好き。
うーん、、、やはり村上春樹の最高傑作と謳われるだけあるな……面白かった。
デタッチメントからコミットメントに大きく転換を図ったエポックメイキングな小説。
うむ。。。。
デタッチメントな初期の作風が好き(風の歌を聴け、国境の南太陽の西、世界の終りとハードボイルドワンダーランドなど)なんだけど、
このコミットメントしていく姿勢を貫いたねじまき鳥クロニクルは、村上春樹の職業小説家としての覚悟を感じた。
文章を使って闘っていく覚悟を。
うん、、、何度も読み返す小説ではないかもしれないけど兎に角読み応えがあった。
そうだね、面白い以上に
今まで読んできた本の中で最も読み応えのある本だった。
優れた小説だ。
Posted by ブクログ
3部作を3ヶ月で読もうと思っていたけれど4ヶ月かかって今、読み終えることが出来ました。長かった。よくわからないところがあったけれど私はやはり村上春樹さんの本の世界が嫌いじゃないようです。物語の終わり方の文章が特によかったのでそう思えたのかな。
Posted by ブクログ
村上春樹初心者ですが、騎士団長殺しと同じような転生と再生をテーマにしているような気がします。利得と代償の等価交換的な世界観なんだろうか。雑な感想ですんません。
Posted by ブクログ
クミコと私。夫婦関係は良くも悪くもなく普通。
猫が居なくなった。
謎の女から電話。加納マルタと加納クレタ。
クミコがいなくなる。手紙が届く。
ねじまき鳥。綿谷ノボルの警告。苛立ち。
間宮中将の戦争話。
井戸の中から想像の世界へ。顔にアザができる。
加納クレタと関係を持ち海外に行かないか誘われる
断る。新宿にいて間宮中将の言っていたように人をとにかく眺める。赤坂の女、ナツメグに合う。
ナツメグの仕事を引き継ぐ。井戸のある場所を買い、久美子を取り戻す決意をする
ねじまき鳥クロニクル。ナツメグの父の戦争時代。顔にアザがあったことを知る。間宮中将の過去。
井戸に入り、綿谷ノボルがバットで殴られたニュースを見る、逃げ出し208号室に。いつもの女がいる。
他の男が入ってきて、バットで殴り殺す。夢から覚め、井戸に水が出ていることに気づく。死を覚悟したがシナモンに助けられる。現実ではあざが消え、綿谷ノボルが脳溢血で倒れる。シナモンのパコソンにクミコから連絡。これから綿谷ノボルを殺しに行くとのこと。笠原めいのところに行く。久美子は判決を待っている。
Posted by ブクログ
読み終えた。ついに初めての村上春樹作品を読み終えた。
この作品は研究しがいがあるだろうなと思ったけど、でもやっぱり全部が全部伏線として繋がってないといけない事はないんじゃないかなとも思った。つまり、読み終えた今、クミコと綿谷ノボルの因果とか、加納姉妹、ノモンハンやシベリアでの出来事、他のいろんなことの繋がりを全部分かった訳ではないが、別に無理やり探さなくてもいいよねって。
おもしろかった。
不思議で暗くて面白い世界だった。
村上春樹読めると気づかせてくれてありがとう〜
牛河のキャラクター、結構好き笑
Posted by ブクログ
僕の考えていることが本当に正しいかどうか、わからない。でもこの場所にいる僕はそれに勝たなくてはならない。これは僕にとっての戦争なのだ。「今度はどこにも逃げないよ」と僕はクミコに言った。「僕は君を連れて帰る」僕はグラスを下に置き、毛糸の帽子を頭にかぶり、脚にはさんでいたバットを手に取った。そしてゆっくりとドアに向かった。
Posted by ブクログ
毎年、うちの庭のあたりでも、ねじまき鳥と言えそうな声の鳥がギィィィと啼くんですよ。透明な薄皮一枚文向こう側の世界っていうのが、村上春樹さんの世界なんじゃないでしょうか。僕らは事物の表を見て生きていて、村上世界の住人はその裏側にいるような気がします。だから、ねじまき鳥だって、実は存在していて、それをねじまき鳥と呼ぶのが村上世界のほうなだけなんじゃないですかね。
これまでの2部と違って、時間軸が定まっていないような
比較的パラレルな(というか点在かなぁ)作りになっていました。感じが違う。
それでもやっぱり面白かったです。
多彩な比喩が、読むというリズムに軽快なソロパートを奏でるような、
なんていう僕の比喩はなっていませんが、良いアクセントになっていました。
特徴ですな、この比喩を多用するというところは。
また、牛河というおもろいキャラクターも登場する。
前2部に出てきた加納マルタ・クレタとかがでてこなくなって、
笠原メイも手紙だけの登場になり、主人公の「僕」もそれまでと
雰囲気が変わり、どこか現実離れしてしまうのがちょっと後ろ髪をひくように
残念に感じられて読み進めていくことになるのだが、
ぐいぐい読ませるものがあります。
これは村上春樹好きならば読んでおくべき作品ではないかと思います。
Posted by ブクログ
【2026年9冊目】
クロニクルは終わりに向かって走り始めた。これはぼくの、あるいは声を失った少年の、はたまた一人の獣医師の、もしくはやり遂げられなかった中尉、または手紙を書き続ける少女の記録だ。妻を取り戻すため、痣を抱えたぼくが目指す終着点とは――ねじまき鳥クロニクル第三部完結編。
また、ナチュラルに井戸に入り込むやんって思ったんですけど、井戸って、イド、つまり「無意識の領域で本能的な欲求や衝動を司る部分」とかけてるんでしょうね、これは気づかない私が鈍かったです。とはいえ、あまりにもナチュラルに井戸の底で座り込むものだから、この先の人生で井戸の底で過ごすのが趣味の人に巡り合っても、「村上春樹の作品みたいですね」と驚かずに済んでしまいそうです。
第三部は、視点がぼく以外の多岐に渡り、結構混沌とはしてましたが、最後まで読み切るとなんとなく、繋がってたんだな感があって不思議でした。ちょっとずつ伏線を回収しているというか。もちろん、村上春樹の作品の特徴として全部が全部はっきりと書かれているわけではないんですけど。それが味のひとつと言えるのかもしれない。
今作は他の作品に比べて、登場人物にちゃんと名前が割り当てられていていいですね。一番好きなのは「サワラ」ですけど。可愛すぎる、私もネコを飼ったら名付けたい。
村上春樹を味わうにはとても良い作品だとも思いますし、同時に「これ、村上春樹の作品だっけ?」と混乱させる要素もあるので良いなと思いました。ちょびっと玄人向けな気がしないでもないですが、私は好きな作品でした。
Posted by ブクログ
以前、100分で名著で取り上げられていたので読んでみた。
村上春樹を読み慣れていないので、どういう感想を持ったらよいのかわからないような不思議な物語。
登場人物の中で唯一理解できたのは、笠原メイだったが、それは一番マトモだったから?
Posted by ブクログ
第1部と第3部とでは、まるで別の話のような展開でした。
後半の方が村上ワールドっぽかったかな。
この話は2度目に読むと多分、違った感想が出そう。
いくつかのアナザーストーリーが順に進行して行くけど、繋がりがよく分からずに読み進めていると「?」ってなる。
ストーリーについては、結局明確にはクミコさんのことがハッキリしないまま。
笠原メイさんも少しかわいそうだったかな。
もうちょっと優しくしてあげてもよかったと思った。
そういう世界線のストーリーの展開も見てみたかったなあ。
結局、タイトルにもなってる「ねじまき鳥」とは何のために存在したのだろう。
そもそもの設定も含め、ハッキリしない(ハッキリさせない)展開でした。
読み手の感じ方でストーリーの解釈もその数だけありそうな、そんな物語でした。
Posted by ブクログ
笠原メイの存在が物語の面白さを引き出していると感じた。主人公を中心に、多くの登場人物の関わり合いにワクワクさせられたし、繋がりという観点からそれぞれの心の空虚とそれを満たそうとする関わり合いに良さを感じた
Posted by ブクログ
異変は、飼い猫がいなくなった事から始まった。その後妻がいなくなり、奇妙な女達との対話、知人からの謎の形見分けなど、不思議とも言い切れない絶妙な出来事が起こる。
霊能者、戦時中の暴力などあらゆる事象が主人公に集約し、妻を取り戻すための物語。