村上春樹のレビュー一覧
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世間一般で言うところの「不倫もの」なのだけど、当作をそれだけで括ってしまうのはあまりにも短絡的すぎる。人間は決して完全ではないし、抑え切れない思いを抱いてしまうことは誰にでも起こり得るはずだ。(自分は村上春樹自身もそうであると信じている。それでなければこれだけの描写はできないと思う)
少年と少女が大人になり再会した、幼かった当時では明確に表現できなかった気持ちをはっきりと認識した、そして苦しい思いを抱きながら全てを捨てる決意までしかけた、というストーリーを村上春樹は繊細なタッチで綴っている。リストのピアノ協奏曲とか、スター・クロスト・ラヴァーズとか、登場する楽曲からも想像力を掻き立てられる。当 -
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原文と照らし合わせながら、村上春樹訳の文章を時間をかけてじっくり読んだ。表題作だけ読んだ。
読み終えた後、泣き出したい気持ちになった。ホリーはbelongできる場所(ホリーはそれを「ティファニーのような場所」と語る)を見つけられたのだろうか。それは天の上にしかないのではないか、そんな考えに駆られた。実際この物語の中には「天」や「神」を彷彿とさせる言葉がたくさん出てくる(冒頭でジョーベルが作ったカクテルの名前は「White Angel」だし、サリー・トマトの弁護士と連絡を取っていた場所、そしてドク・ゴライトリーと話したのも「ハンバーグ・ヘブン」というお店だった。他にも天や神を思わせる単語はたくさ -
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ネタバレ前提として、少女への強制性交などの極悪非道な現象が、我々の住む現実世界に存在することを認知しなければならない。そのような認知を現実の新聞等から得ている人以外は、胸糞悪すぎて読めない可能性がある。だが、村上春樹は真剣に「オウム真理教的な宗教」を掛け合わせつつ、物語でしか伝えられないことを伝えようとする。
村上春樹はこの小説によって一作家としての捨て身の挑戦を行っている。本当の倫理を書くためには、肉が切られることを許すほかない。文学史に名を残す作家が60歳で生涯をかけて語らねばならぬと決意(たぶんしたはず)した作品は常に新しい。これほど女性視点から思考を展開した春樹作品はない。 -
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2010年に新潮文庫出読んで以来の再読(村上春樹訳)。最近村上春樹訳の小説がアタリが多く、折角なので読んでみることに。また、昔読むきっかけになったアニメ映画『秒速5センチメートル』(以下、単に『秒速』という。)の実写映画を観たことも、『草の竪琴』を思い出すきっかけになった。
【表題作】
初読の頃は主人公たちを脅かす存在に非難の気持ちを抱きながら読んだものだけど、今回はなんというか、もっとフラットな気持ちで、まさにおとぎ話を読むように味わった。
「あるいは我々の誰にも、居場所なんてものはないのかもしれない。ただし我々は、それがどこかにあることを知っている。それがもし見つかったとしたら、 -
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この本は、2回目です。
前回は、紙で普通に読書。
今回はオーディブルで。
ついにオーディブルデビューです。
今年のやりたいことリストのひとつ「オーディブルで聴き読みをする」をクリア。
ナレーションの人には申し訳ないけれど、1.5倍速で聴きました。この程度だと本来の声を損なわない感じがあり、かつ効率も良いかなと。
散歩したりランニングしたりしながら読書ができるなんて感動でした。
前置きは、さておき
久しぶりの村上春樹氏の本。
100キロマラソンで、マラソンに遠ざかってしまった話し。トライアスロンの話し。
走ること
体にも心にも、創作にも。人間関係にも。
読んでいると、全てにプラスに作 -
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村上春樹さんがランナーということを知らなかった。ふと見つけたので手に取った。
著者がランニングを通して考えたこと、感じたこと、そしてランニングに対してどのように向かい合っているかが記されている。
著者にとって、世界や自分を捉えるためには、本業である「書く」ことに加えて、ランニングが眼鏡のような役割をしているなぁと感じた。
眼鏡をかけることで世界が良く見えるようになるように。
ランナーの自分も共感できることが非常に多く、楽しみながら読むことができた。
思っていることをここまできれいな日本語にできたら、生きるのは楽しいだろうなぁ。
自分も、思っていることを文字にする、というか文字にすることを