村上春樹のレビュー一覧

  • リトル・シスター

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    チャンドラーのほかの作品と同様。ミステリとしてはさほどではない。話が妙にこみいっているわりに、驚きの真相や、ハラハラの展開もない。本書の読み所は、そこじゃない。

    疲れている。いつになく、ふてくされて、毒づいて、空虚で。そういう、疲弊したマーロウ=チャンドラーが実に味わい深い。

    例えば以下のようなところ。

    ”ふん、映画スターがなんだ。ベッドを渡り歩く達人というだけじゃないか。おい、もうよせ、マーロウ、今夜のお前はどうかしているぞ。”
    (p138)

    ハードボイルドだ。村上春樹や、原リョウさんへの影響を与えたのは、「長い別れ」より本書かもしれない。本書の先に、この2人の日本作家を感じた。

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    2024年10月11日
  • もし僕らのことばがウィスキーであったなら(新潮文庫)

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    2024.10.03~2024.10.11.

    大学時代ぶりに再読。
    今日に至るまでに、オーセンティックバーで2年ほど働く機会があり、当時よりずっとウィスキーとバーが近くなった。

    そんな経験を踏まえて読んでみると、この本はじっくりと過ぎるバーでの時間を、ゆるりと思い起こさせてくれる。それが電車の中や、職場であっても。
    口の中にジワリと広がるウィスキーの刺激と、薄暗いオレンジ色の照明、少しだけ緊張する背筋。
    本を読み進めていると、必ずそこに体も心も持って行かれた。それくらい、この本は、あの空間の再現性を持っていた。

    p105-l1
    彼が完全にくつろいでいるということだった。こんなにくつろいで

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    2024年10月11日
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)

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    小説家の村上春樹は、指揮者の小澤征爾も驚嘆するほどの鋭い耳を持っている。
    そして、クラシックに関する造詣も深い。
    時には、小澤も知らないような知識を披瀝して小澤を驚かせる。
    村上春樹は、若い頃ジャズ喫茶を経営していたので、ジャズに関する知識は尋常ではないと思っていたが、クラシックに関しても同様だ。
    音楽に対する、途轍もない情熱を持っているのだ。

    その情熱が小澤征爾を刺激して、通常では語らないようなことまで語り出す。
    ボストン•シンフォニーでのエピソード、師であるカラヤンとバーンスタインの差などが続々と出てきて「えっ、そうだったの」と感嘆しきり。
    極付で面白い。

    中でも、ジャズ•ピアニストの

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    2024年10月08日
  • カンガルー日和

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    ネタバレ

    村上春樹さん…有名すぎる小説家の方ですが、あまり読んだことがなく…なんだか難しそうなイメージがあって、手を出せずにいました。

    でもある時「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」というタイトルを何かで聞いてから、気になってしまって。このタイトルだけでもうわくわくして開いてみたら、え?8ページ…。短くてびっくりだったのですが、とても読みやすかった。

    小説を読んでいると、目から入ってくる文字を頭の中で映像化していくわけだけど、村上春樹さんの小説ってなぜだか背景が海外になってしまう。この100%も、ヨーロッパのお洒落な街並みが自動的に脳内で設定されてしまって、そして素敵

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    2024年10月08日
  • カンガルー日和

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    18編のショート・ストーリー。
    本当に短いのに、一気に世界が変わる。
    読み終えたら、今、旅行に行ってきたとか、今、夢から覚めたみたいな気分になる。
    さりげない日常と、さりげない非日常と、日常に違和感なく入ってくるファンタジーと、「あの街」にまつわるノスタルジー。
    『5月の海岸線』がいちばん好き。
    気になったのは『かいつぶり』
    よく分からない。
    他にも不思議な話はいくつもあるのに、なぜ『かいつぶり』だけが気になるのだろう。ずっと、「かいつぶり」が頭を離れない。
    水に関係があって、五文字で、手のひらに入るけど食べることはできない、というものを考えてしまう。
    気になって仕方ないのは、その合言葉は間違

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    2024年10月08日
  • 海辺のカフカ(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ナカタさんとカフカの2つの物語で構成されている
    ナカタさんは山の話から、カフカは家出から。最初読んだ時にこの山の話はなんだ?と思ったけど読み進めていくうちにジョニーウォーカー、空から魚が降るなど繋がりがあって面白い。
    カフカと大島さんの話はいつも難しすぎる。大島さんはなんであんなにカフカに良くしてくれるのだろう、なんで15歳の時の佐伯さんが現れたんだろう、ナカタさんは一体何者なんだろう たくさん疑問があるのでそれが下巻で分かるのが楽しみ

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    2025年09月09日
  • 東京奇譚集(新潮文庫)

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    久々の村上作品。短編なので、頭が疲れている時でもスルスル入ってくる。これを機に村上作品にまたハマりそう。と思わせてくれる一冊だった。

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    2024年10月06日
  • 東京奇譚集(新潮文庫)

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    読みやすかった。どの短編も不思議ながら小気味よく終わる。品川猿が好き。また読み返せば、違う感情も生まれてくるだろう。半日も掛からず読み終えた。おもしろい。

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    2024年10月06日
  • ラオスにいったい何があるというんですか?

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    村上氏が訪れた国について書かれた紀行文。
    その国の風土や景色の美しさ、そこに住む人々の人柄、料理の美味しさ等が率直な文章で書かれている。
    旅には、実際に行って経験してみないと感じ取れない何かがある、それは間違い無いだろう。
    個人的には、タイトルにもあるラオスに1番行ってみたくなった。

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    2024年10月06日
  • 大いなる眠り

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    ▼<レイモンド・チャンドラーの長編を、村上春樹訳で発表順に再読。それが済んだら原りょうさんの作品を発表順にやっぱり再読、楽しもう>

    という自己企画に沿った読書です。2~3年かかるかもしれません。その第1弾。

    ▼やはり傑作「長いお別れ」に比べると。いや、恐らく他のシリーズ作品全般と比べても。なんせ第1作ですから、

    <フィリップ・マーローのひとり語り的文明批評>

    が割と少ないですね。でもスタイルとしてはそれはもうある。
    そのスタイル事態がやっぱり魅力。

    ▼一方で、段取りが複雑で・・・・・だいぶわからない(笑)


    以下一応ネタバレっちゃネタバレですが
    (ネタバレしても意味は無いと思います

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    2024年10月06日
  • さよなら、愛しい人

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    大学時代に別訳のを買っていたが、読んでおらず。最近、チャンドラーを春樹訳になったのを気づきそっちを読んでみた。訳者自身が翻訳を楽しんでいるというのもわかるような文章だった。ほかにも訳があるようなので、しばらく読むつもり。

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    2024年10月06日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(下)―(新潮文庫)

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    アートと音楽の本、と言っても過言ではないくらい芸術をコアとしたストーリー展開で、とっっってもたのしめました。じわじわと出てくる伏線と、それを綺麗に回収するラスト。臨場感のある最後の地下世界のシーンは空想の世界なのになぜか情景が手に取るようにわかる不思議。あとは主人公と免色さんの会話の丁寧さと、あとは素直に真っ直ぐ隠し事をせずにぶつけ合うコミュニケーションが個人的にすごく好きでした。

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    2024年10月01日
  • 職業としての小説家(新潮文庫)

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    村上Radioの声で読んでいた。何故、村上春樹はこんなに英語が出来るのか?という疑問を話していたことがこの本を手に取ったきっかけ。216ページあたりからバッチリ答えが載っていた。皆んなが真似できる訳ではないけど、軸のブレなさが本当にかっこいい。悩んだり迷った時に村上春樹ならどう考えるか想像してみたら割と答えが見つかりそうな気がする。

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    2024年09月30日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    私のような、物語内での「?」を考察できないようなことを、解き明かしてくれる本でした。時々、本の中にちんぷんかんな発言や、行動があったりするんですが、私の場合、「よう分からんかったが、面白かったからいいか。」で、終わるんですが、この本読んで、少し、考えるようにしようかなと思いました。村上さん、案内ありがとうございました。

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    2024年09月30日
  • ねじまき鳥クロニクル―第2部 予言する鳥編―(新潮文庫)

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    再読
    クレタ島に行きたい

    「君たちが結婚してから6年経った。そのあいだに、君はいったい何をした? 君がこの6年の間にやったことと言えば、勤めていた会社を辞めたことと、クミコの人生を余計に面倒なものにしたことだけだ。今の君には仕事もなく、これから何をしたいというような計画もない。はっきり言ってしまえば、君の頭の中にあるのは、ほとんどゴミや石ころみたいなものなんだよ」、綿谷ノボルはそう言った。そして僕は彼の言い分が正しいことを認めないわけにはいかなかった。客観的に見てみれば、僕は確かにこの6年の間に意味のあることなんてほとんど何ひとつしなかったし、頭の中にあるのはゴミや石ころみたいな代物だ。僕は

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    2026年02月01日
  • 辺境・近境

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    村上春樹の旅行記は面白いと思う。小説よりも面白いかも、とすら感じる。

    本書の最後の、あとがき的な部分で、村上春樹は、旅行記を書く意味や、それを含めた作家としての立ち位置みたいなことを話している。下記に引用する。
    【引用】
    でもいずれにせよ、旅行をするという行為がそもそもの成り立ちとして、大なり小なり旅行する人に意識の変革を迫るものであるなら、旅行を描く作業もやはりその動きを反映したものでなくてはならないと思います。その本質はいつの時代になっても変わりませんよね。それが旅行記というものの本来的な意味だから。「どこそこに行きました。こんなものがありました。こんなことをしました」という面白さ珍奇さ

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    2024年09月26日
  • ティファニーで朝食を(新潮文庫)

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    映画では有名だけど、まだ見たことはない。
    ただ主役のオードリーだけは頭にある。
    だからはじめは、顔がチラついて集中できなかった。でも読んでいくうちにそれもなくなり、自分なりのホリーが動きまわった。若く、可愛らしく、いきいきと、今を精一杯思うがままに!
    「何年かあとに、何年も何年もあとに、あの船のどれかが私をここに連れ戻してくれるはずよ。私と、九人のブラジル人の子供たちをね。
    どうしてかといえば、そう、子供達はこれを目にしなくてはならないからよ。この光と、この川を。私はニューヨークが大好きなの」
    今でもたぶんホリーは、どこかの街で、動きまわっている。それは、ブラジルかもしれないし、ニューヨークか

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    2024年09月18日
  • レキシントンの幽霊

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    粒揃いの短編集。
    不思議な体験は、現実に起こりそうな物もあり、ファンタジー色の強い物もある。
    恐怖を扱った作品は、「怖い」を楽しむ、いわば娯楽としての恐怖小説とは少し異なる気がする。
    「怖い」はどこから来るのか?なぜ「怖い」という感情が湧くのか?と、いろいろ考えさせられた。
    この作品集で描かれる恐怖は、心が受けた深い傷から滲み出るもの、怖いけれど楽しいもの?想像に過ぎないもの?、女の心の中の恐ろしさ、人間の心の奥に残った消えることのない恐れの記憶が絶望的な未来を予感させるものなどさまざまである。気が付いていないだけで、まだ他にも隠されているかもしれない。

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    2024年09月17日
  • ロング・グッドバイ

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    フィリップ・マーロウは、酔っぱっていたテリー・レノックスと仲良くなる。彼の妻は億万長者の娘。ある日、その彼の妻が殺され、容疑がテリーにかかる。テリーは罪を自白した遺書を遺して逃亡先のメキシコで自殺するが、テリーが犯人とは思えないマーロウは真相をつきとめようとする…。

    誰が良い人で誰が悪い人なのか見極めながら読んでいくドキドキ感が続きました。怪しい登場人物が多く、気が抜けません。
    お酒と中年男、美しくミステリアスな女…ハードボイルドです。
    主人公マーロウの人の依頼を断れない優しいところがありつつも冷静なところや、お金には断固クリーンなところに好感が持てました。

    登場人物が多く、594ページも

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    2024年09月13日
  • レキシントンの幽霊

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    少し寂しくて読んだ後不思議な気持ちになる短編集
    とても想像力を掻き立てられました、
    個人的に「七番目の男」が好き

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    2024年09月09日