村上春樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者が日常で体験したことをまとめたエッセイ本。酒のつまみとして最適な柿ピーの柿とピーナッツのバランス具合が絶妙であること、イタリア本場のパスタがおいしい反面、イタリア国境のパスタはまずい、うなぎやすき焼きがおいしい、ちらし寿司が関東と関西では別物であるなど、食に関するエッセイは割と多い。また著者のデビュー作『風の歌を聴け』が群像新人賞をとった当時について言及している。授賞式のために用意したスーツは、青山のVANのショップに行き、バーゲンで買ったという。受賞が決まり、出版社に向かって担当の編集者と会うが、そのとき編集者から「君の小説にはかなり問題があるが、まあ、がんばりなさい」と直接言われた。
-
Posted by ブクログ
村上朝日堂シリーズ。今回も著者が体験したこと、思ったことを書き連ねる。新聞の勧誘をされた際、直接いらないとは言えないから、漢字があまり読めないという嘘で、勧誘を断ることができた。ただし、日本共産党発刊の「赤旗」は例外であった。赤旗の場合、漢字があまり読めない人を考慮しているのか、漫画の欄も掲載されている。その為これまでの嘘が通用しなかったという。それ以降、読めないフリはやめた。
著者村上春樹は昔から本名で執筆活動をしているが、デビューした当時は、村上龍と角川春樹由来のペンネームだと勘違いされ、また銀行や病院へ行った際、本名が原因で面倒なことに巻き込まれるなど、ペンネームを使わなかったことに -
Posted by ブクログ
だいぶ昔に読んだ本。再読。
その頃は、二回同じ本を読まない主義というか、他にも読みたい本が山ほどある中で、後戻りしていられないという、読書を味わい尽くす使命感のようなものがあった(今もあまり変わらない)。その頃の記憶が、当時の音楽や情景に宿っていて、それは小説にも閉じ込められていたと気付く。
私にとって村上春樹はそうしたタイムカプセルの象徴であり、本書の「蛍」はストーリー自体も回想のようで、私自身の記憶と錯綜し、感情が紐解かれるようだ。そして、案外、話を覚えているものだ、というのが自分自身、意外だった。
言葉の意味も深く分からず、夢中で読んだ。その余韻に浸りながら、感受性豊かだった学生時 -
Posted by ブクログ
新潮文庫夏の100冊で手に取った1冊。叙情性豊かな短編集です。
■蛍
ノルウェイの森の元素材となった本作。文庫本2冊分のエッセンスをギュッと纏めてくれてこちらで再読した気になります。
ラストがノルウェイの森は旅に出るストーリーだったが、こちらは蛍を放つ、と言う叙情性豊かな造りになっています(ちょっとあざといかも)。
■納屋を焼く
納屋を焼くと言う男と消え去る女性。burn the barnは分かるけど何が言いたいのかは最後までよくわからなかった(納屋を焼く=殺害のメタファーのようです)。
■踊る小人
夏目漱石の夢十夜みたいな小説。踊りの上手い小人と像工場で働く僕。夢と現実。皇帝と革命。メ -
-
-
-
Posted by ブクログ
大学生の時には全く良さが分からなかったフィツジェラルドにあらためて出合うことにしました。
村上春樹が選ぶ10の短編と、エッセイが3編収録されています。
基本的にどの話もお金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃんのやり取りで、感情の振り幅も行動の振り幅も「えっ?」て言うようなもので、あまり感情移入しきれない。
しかし、「冬の夢」でも「バビロンに帰る」でも出てくる喪失には共感して「あー…」ってなる。
そうして読み終わった後に、少し重い気だるさと諦念が残る。
フィツジェラルドはどこかで「人生は失っていく過程だ」みたいなことを書いているらしいけれど、そうだったら、この一編一編は一つ失って、人生を一つ進む、成熟の -
Posted by ブクログ
著者がアメリカの生活について綴ったエッセイ本。猫好きということあって、猫の話題が多く、猫の写真もいくつか収録されている。ちなみに本人によると、外国で小説を書いたからといって、作品が変わるわけではないという。実際『ダンス・ダンス・ダンス』や『ノルウェイの森』で、どの部分をどこで書いたかを本人は覚えていないらしい。一日のスケジュールとして、午前は仕事をして、その後大学のプールで泳ぐか一時間ほど走るなどして、その後昼ごはんを食べる。午後は小説以外の仕事を進めたり、町で散歩したり、買い物をしたり、日常的な用事を片付ける。夕食後にだいたい本を読みながら音楽を聴く。こんな感じで健康的な生活を送っている。
-
Posted by ブクログ
注文を受けて肖像画を描くからには
発注者…つまりモデルの満足する肖像を描かなければ
話にならないのである
人間の心には光と闇の両面があって
いずれも個人を形成する重要な部分であるが
できれば闇の部分は見たくない・見せたくないと
誰しもが考えている
闇の部分を率直に描かれては
大抵の人がイヤな気持ちになってしまうし
かといって光の部分ばかり強調されたのでは
なんだか嘘っぽくなるだろう
光と闇のバランスをうまく調整することが肝要である
この話の主人公は、そこの匙加減が絶妙だった
モデルが持っているセルフイメージの
バイアスをとらえるのが、天才的に上手かったのだと思う
しかし彼は妻と別れたことで
自 -
Posted by ブクログ
ネタバレジャケデザインの素晴らしさから、ジャズの話をするという観点を捻った作品。自ら、「DSMのデザインしたレコードジャケットを手に取って眺めているだけでなんだか人生で少しばかり得をしたような気がしてくるのだ」と。好きなジャケットを眺めて、心を映す鏡のように見ている。そんな瞬間はレコード好きにはあるんだと思う。実際、自分も好きなジャケット、キースジャレットとかビルエバンスのジャケを見えるようにして置いているから。
エッセーのようで、でもレコード評のようで、村上さんはきっとクラッシックな、トラディショナルな演奏が好きなんだろうと思う。随所に見られるコメントが、そういうふうに感じさせてくれる。まるで、対話 -