村上春樹のレビュー一覧

  • ねじまき鳥クロニクル(第1部~第3部)合本版(新潮文庫)

    匿名

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    10年ぶりくらいに再読。当時は満洲国やシベリア抑留などに関するパートが印象に残っていたけれど、改めて読むと失った妻を取り戻そうとする物語として読むことができた(あるいはこの10年の間に自分が結婚したことも関係しているのかも)。逆にモンゴル人や中国人の描き方が一面的すぎるのではないかと、そこが気になった。
    全体的に色々なエピソードやイメージ、そして家族関係や政治や戦争などあまりにも多くの要素が絡んできて読書体験としては極上と言えると思う。

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    2024年08月17日
  • 村上朝日堂の逆襲(新潮文庫)

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     1980年代、週刊朝日に連載されたエッセイを収録。現代と異なり、郊外では昼間に男が一人でぶらぶらしていると、周囲から白い目で見られる、銀行員に自身の職業は自由業や文筆家だと言ってもなかなか伝わらなかったなど、80年代の日本社会の雰囲気を感じられる。また映画鑑賞についても語る。B・C級映画は名作映画と違って良い点を自分で努力して探さなければ時間を無駄にしてしまうので、緊張感をもって鑑賞しなければならない。しかしそれがかえって記憶に残りやすいのだという。さらに読書の時間が減ったことについても興味深いことを語る。この時代から読書時間の減少について問題となっていたが、村上春樹は単に読書以外の活動に時

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    2024年06月19日
  • 回転木馬のデッド・ヒート

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    小説ではなく、聞いたままの話を文章にうつしかえたものの集まり。(作中ではスケッチと表現)。
    確かに、何かの示唆だとかテーマ性を持っているだとかいうお話達ではない、だけど面白い。

    ただ、下記の文章は刺さりました。
    『自己表現が精神の解放に寄与するという考えは迷信であり、好意的に言うとしても神話である。少なくとも文章による自己表現は誰の精神をも解放しない』
    『自己表現は精神を細分化するだけであり、それはどこにも到達しない。もし何かに到達したような気分になったとすれば、それは錯覚である。人は書かずにいられないから書くのだ。』

    お気に入りは、
    ある女性の母が、ドイツで半ズボン(レーダーホーゼン)を

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    2024年06月12日
  • 翻訳夜話

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    この本のここがオススメ

    「とにかく、いくつも、いくつも、いくつも、いくつも翻訳をやるしかないと思うんです。その中で自然に出てきます。それしかないです。頭で自分のスタイルを作らなくちゃと思って考えても、それは無理です。積み重ねの中で出てくるものだから」

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    2024年06月07日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)

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    猜疑心の強い読者なら
    当然抱くであろう2つの疑惑がある
    ①妻を寝取ったのは親友の雨田政彦ではないか?
    ➁免色渉はただのロリコン爺じゃないのか?
    もちろん主人公はそんなこと少しも考えなかった
    それはお人好しだからというばかりではない
    肖像画の制作を生業とする主人公には
    人間の本質を見抜くことについて強い自信があるからだ
    そんな自分が疑いを感じない以上
    彼らの態度に嘘は存在しないのである
    傲慢と言えなくもないが
    そのような鈍感さを保てなければ
    人間関係なんてやっていけないのだろう
    そんな彼の前に「イデア」と名乗る騎士団長が現れたのは
    夜中うるさい鈴の音の発生源を探り当ててのことだった
    イデア、すな

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    2024年06月06日
  • 村上朝日堂(新潮文庫)

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     初期のエッセイ。簡単に作れる酒のつまみを紹介したり、カキは食べられるがハマグリは食べられない、肉は牛肉くらいしか食べない、中華料理は苦手、という変わった偏食であったり、電車の切符で繰り返しミスするなど、村上春樹の人物像が垣間見える。今回のエッセイで映画に関するテーマが何箇所もあることから、生粋の映画好きであることがわかる。

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    2024年06月02日
  • アンダーグラウンド

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    全777ページと膨大ではあるが、インタビューをまとめたものなので読みやすく、サクサク読むことができる。千代田線でばら撒かれたサリンの掃除をして亡くなってしまった方だったり、ほぼ植物状態だった女性などは衝撃だった。
    また、症状が出てくるのが遅く、なんとか同僚らと出会うことを期待してバス停まで行き女性社員と会うも事件のことは知らず貧血か何かだと思われていたが、偶然にも地下鉄事件を知っている男性社員が通りかかり、救急車を呼ぼうにも手が回らないということでタクシーで病院へ行き、事なきを得たという話が、その偶然通りかかり男性視点と、助けられた男性視点があって印象的だった。p397〜418
    全編通して読ん

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    2024年06月06日
  • デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界

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    完全なる村上春樹氏の趣味本。いつも村上春樹氏の造形の深さに驚かされる。ジャズにしろクラシックにしろ、本業は小説家ですよね?というほど詳しく、自分の考えや意見があり、深く深く感じている。この本も、まるで美術館の展示を見ているような気持ちで拝読しました。

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    2024年05月25日
  • 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

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    螢を読むと、ノルウェイの森を再読しようかなという気にさせられる。この作品は抽象的な表現が殊更に多く、正直何を言ってるかわからないものもあった。だが、描写の引出しが多いのは流石だと感じた。村上春樹が他作家と異なる点はこの引出しの多さだと思う。

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    2024年05月19日
  • デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界

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    ▼デヴィッド・ストーン・マーティンさんというのは、僕ははっきり知らなかったんですが、主にジャズLPジャケットのデザインをしたデザイナーさん。ノーマン・グランツという、まあともあれアメリカ・ジャズの黄金時代1940年代~70年代をリードしたプロデューサーさんがいて、その下で主に40年代50年代に作品を残しました。

    ▼村上春樹さんはもともとがジャズ喫茶の経営者だそうなんで。つまりはジャズLPを揃え聴かせるプロだった。というわけで造詣深く、この一冊は村上春樹さんが、

    「僕が所有しているDSM(デヴィッド・ストーン・マーティン)がデザインしたジャズLPの好きなものを紹介して一言解説します」

    とい

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    2024年05月18日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)

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    面白かったけど、本気の入り込みまではいけずなかなか村上ワールドの読後感は得られませんでした。とりあえず2冊目が終了で後半に期待です。

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    2024年05月12日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    ギリシャにトルコ。【ギリシャ編】僕は本でアトスのことを読んで以来、どうしてもこの地を一度訪れてみたかった。そこにどんな人がいて、どんな生活をしているのか、この目で実際に見てみたかったのだ。-そこでは、人々は貧しいなりに、静かで濃密な確信を持って生きていた。 【トルコ編】トルコは兵隊の多い国。ギリシャ編とうって変わって、まあ、なかなか手強い。読んでいても、とてもとても手強い。世界は本当に広い。タフでハードな読書時間だった。ああ、面白かった。

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    2024年05月07日
  • 中国行きのスロウ・ボート

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    短編7作
    受け止める自分によって捉え方は変化する
    行間に隠れているものを探した頃もあったけど
    スッと消えてもモヤモヤ残りでも納得いかなくても
    それはそれ
    本を手に取り、読む
    それでいいのだと思ったことを、思い出した

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    2024年05月07日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉前編―(新潮文庫)

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    『BOOK2』までは「1Q84」世界にある「さきがけ」や、そこにある謎としての「空気さなぎ」、「リトル・ピープル」、さらには、自分の考えに凝り固まっている人たちのキモチワルさが一見正しいことのように語られるストーリーだったが。
    そんな『1Q84』も、『BOOK3』では天吾と青豆をめぐる、たんなるラブストーリーへとなだれ込んでいく。

    ていうか、たんなるラブストーリーというより、ほぼ昔のトレンディドラマ(←死語w)だ。
    村上春樹という人は、好むと好まざるに関わらず時代から逃れられない人なんだろうなーって気がしてしょうがないんだけど、この『1Q84』という小説は90年代の「月9」とか「トレンディド

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    2024年05月02日
  • 心は孤独な狩人(新潮文庫)

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    孤独は前提であると言っていたのは糸井重里だった気がするけれど、人間が生きる上での前提である孤独を再認識するような小説だった。

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    2024年04月30日
  • アンダーグラウンド

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    地下鉄サリン事件をリアルに捉え、社会学、心理学にも通ずる。各事象の背後に確かに存在する人間と人生、の重要性を改めて教えてくれる。

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    2024年04月30日
  • 遠い太鼓

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    村上春樹はこういう旅行記とかエッセイを読むとなんというか力の抜けた、ちょっと変だけど普通のおじさん(この時はまだおじさんという歳ではないか)という感じがしますね。地中海の暖かな日光を思い浮かべながら読んでましたが、当の村上春樹本人は焦燥感に駆られているような印象。ギャグシーンが割に多く、ワインでも飲みながら読むといいかと思います。

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    2024年08月17日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    本書は、著者が1991年〜1993年にかけてアメリカのプリンストン大学にて週に1コマ大学院の授業を受け持つことになり、小説家として、教えるのではなく“第三の新人“の作品を学生たちと読み込んでディスカッションしよう〜という形で、テキストとして取り上げた作品からいくつかを改めて読み直したものである。(その後、ボストン近郊のタフツ大学でもクラスを半年持つなど)

    冒頭の『僕にとっての短編小説』にて、短編小説は長編小説の始動モーターとしての役目を果たすとし、“その女から電話がかかってきたとき、僕は台所に立ってスパゲティーをゆでているところだった“から構想が始まった「ねじまき鳥と火曜日の女たち」は「ねじ

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    2024年04月26日
  • ラオスにいったい何があるというんですか?

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    【村上春樹さんの滞在エッセイ集】

    村上春樹さんが滞在したことのある、アメリカ・ボストン、ギリシャの島、イタリア・トスカーナ、旅先で訪れたアイスランド、フィンランド、ラオス、アメリカの2つのポートランド、そして熊本県でのお話、思索がつづられています。



    先日『#一人称単数』を読ませていただきましたが、その欠片も少し出てきて、発想の宝庫がこの経験の中に散らばっているのだろうなーと思ったりした。



    村上春樹さんの経歴について、あまり知っていないのですが、特に翻訳作家としてご活躍されているので英語の習得はどうなさったのかとふと思い、調べたら特に学校もずっと日本なんですね。

    本書

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    2024年04月24日
  • 女のいない男たち

    購入済み

    映画ドライブマイカーはこの短編集のうち「ドライブマイカー」を軸にしながら「シェエラザード」「木野」あたりの短編のイメージも用いながら再構成した話になっているのかな。
    男と女、男のプライド(といってもパターナルな男性像ではなく、一見するとリベラルな男性の持つある種のプライド)。男は自分の内側の傷とうまく向き合えず、それを共有する仲間も持てず、妻や友人に本当の意味で自分の弱みをさらけ出せない。そんな男性性を描いてる作品だと思った。

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    2024年08月17日