村上春樹のレビュー一覧
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18編のショート・ストーリー。
本当に短いのに、一気に世界が変わる。
読み終えたら、今、旅行に行ってきたとか、今、夢から覚めたみたいな気分になる。
さりげない日常と、さりげない非日常と、日常に違和感なく入ってくるファンタジーと、「あの街」にまつわるノスタルジー。
『5月の海岸線』がいちばん好き。
気になったのは『かいつぶり』
よく分からない。
他にも不思議な話はいくつもあるのに、なぜ『かいつぶり』だけが気になるのだろう。ずっと、「かいつぶり」が頭を離れない。
水に関係があって、五文字で、手のひらに入るけど食べることはできない、というものを考えてしまう。
気になって仕方ないのは、その合言葉は間違っていると門番に言われたのに、そいつが出てきたからである。
読解力の限界を感じる。 -
Posted by ブクログ
▼<レイモンド・チャンドラーの長編を、村上春樹訳で発表順に再読。それが済んだら原りょうさんの作品を発表順にやっぱり再読、楽しもう>
という自己企画に沿った読書です。2~3年かかるかもしれません。その第1弾。
▼やはり傑作「長いお別れ」に比べると。いや、恐らく他のシリーズ作品全般と比べても。なんせ第1作ですから、
<フィリップ・マーローのひとり語り的文明批評>
が割と少ないですね。でもスタイルとしてはそれはもうある。
そのスタイル事態がやっぱり魅力。
▼一方で、段取りが複雑で・・・・・だいぶわからない(笑)
以下一応ネタバレっちゃネタバレですが
(ネタバレしても意味は無いと思いますが)
①高齢大富豪がいて、マーローを雇う。
②大富豪にはアッパラパーな娘がふたりいる。下の娘がサインした小切手がある。これを払えと、Aさんという男がから連絡が来た。多分何かの、下の娘の醜聞を握っているのでは。これを調べて、良い子にさせてほしい。というのが依頼。
③マーローが調査。Aさんというのは本屋さんだけど裏でエロ本を扱っている。
④Aさんを尾行していたら、とある夜中の屋敷で悲鳴。中に入ると、Aさんが射殺体になっている。そばには全裸の、「アッパラパーな下の娘」がいる。ラリッてる。
⑤どうやら、「大富豪の下の娘」をラリらせて、エロ写真を撮ったんだろう。それで大富豪を脅すつもりだったんだろう。
⑥マーローは下の娘を家に帰す。事件をもみ消そうかな、と。
⑦翌朝だったか、大富豪の家の運転手が他殺体でみつかる。下の娘に惚れていたらしい。で、この運転手がどうやら、Aさんを殺して逃げた。
⑧Aさんのエロ本事業を、乗っ取ろうと、仕事の部下だった女と、その愛人の男が暗躍する。
⑨が、その男の方は、「Aさんの恋人だった若い男」に殺される。
⑩さらに、どうやら、「アッパラパーの、上の娘」の「元旦那」と関係ある「町のヤクザ」が、この件の関係者を殺して回っている。なぜか?
⑪「元旦那」が「大富豪」と仲良しで、大富豪を脅せるから。だいぶこのあたりから不明確。
⑫マーローは一部殺人が「ヤクザやの手下だ」と確かめる作業途中につかまるが、
⑬やくざの情婦になぜか助けてもらい。脱出、反撃、現場のヒットマンたちを倒す。
・・・・というようなことなんですが、やっぱり分からない(笑) -
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村上春樹の旅行記は面白いと思う。小説よりも面白いかも、とすら感じる。
本書の最後の、あとがき的な部分で、村上春樹は、旅行記を書く意味や、それを含めた作家としての立ち位置みたいなことを話している。下記に引用する。
【引用】
でもいずれにせよ、旅行をするという行為がそもそもの成り立ちとして、大なり小なり旅行する人に意識の変革を迫るものであるなら、旅行を描く作業もやはりその動きを反映したものでなくてはならないと思います。その本質はいつの時代になっても変わりませんよね。それが旅行記というものの本来的な意味だから。「どこそこに行きました。こんなものがありました。こんなことをしました」という面白さ珍奇さを並列的にずらずらと並べるだけでは、なかなか人は読んではくれません。<それがどのように日常から離れながらも、しかし同時に日常に隣接しているか>ということを(順番は逆でもいいんですが)、複合的に明らかにしていかなくてはいけないだろうと、僕は思うんです。そしてまた本当の新鮮な感動というのはそこから生まれてくるものだろうと。
いちばん大事なのは、このように辺境の消滅した時代にあっても、自分という人間の中にはいまだに辺境を作り出せる場所があるんだと信じることだと思います。そしてそういう思い出を追確認することが、即ち旅ですよね。そういう見極めみたいなものがなかったら、たとえ地の果てまで行っても辺境はたぶん見つからないでしょう。そういう時代だから。
【引用終わり】
すなわち、村上春樹は、小説家として、自分の中にある辺境(それは、自分自身にとっての未知の自分であり、他人にも差し出せるような未知の世界)を描こうとしており、それの修業の一環(文章を書くというスキル的なトレーニングと、辺境を描くという思索的なトレーニング)として旅行記を書くことは、うってつけであるということを言っているのだと理解した。
村上春樹の小説は、途中作から自分にとっては難解で理解が追いつかなくなってしまっているが、こういった旅行記(および、そこに書かれている村上春樹の作家としての考え方)を読むと、村上春樹の小説に対しての、一種の「信頼感」が増し、また、難解な小説にトライしてみようという気にもなる。 -
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フィリップ・マーロウは、酔っぱっていたテリー・レノックスと仲良くなる。彼の妻は億万長者の娘。ある日、その彼の妻が殺され、容疑がテリーにかかる。テリーは罪を自白した遺書を遺して逃亡先のメキシコで自殺するが、テリーが犯人とは思えないマーロウは真相をつきとめようとする…。
誰が良い人で誰が悪い人なのか見極めながら読んでいくドキドキ感が続きました。怪しい登場人物が多く、気が抜けません。
お酒と中年男、美しくミステリアスな女…ハードボイルドです。
主人公マーロウの人の依頼を断れない優しいところがありつつも冷静なところや、お金には断固クリーンなところに好感が持てました。
登場人物が多く、594ページもあるけれど、キザ過ぎないカッコいいセリフで飽きることはありませんでした。最後の章は特にカッコよくて繰り返して読みました。真実にたどり着くまでが長かったからこそ楽しめたんだと思います。 -
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村上春樹の家族関係、とりわけ父親(村上千秋)についていくか語る。父親は浄土宗の寺の次男として生まれた。1917年生まれで、戦時中は日中戦争に参戦した(のちに調べたところ、1年違いで南京戦に参戦しなかったが判明した)。中国人の捕虜が軍刀で斬首されたと父親は言っていたという。無抵抗状態の捕虜を処刑するのは、国際法に反する行為であったが、当時の日本軍はお構いなく実行した。本書で紹介された本によると、当時日本軍が捕虜を処刑する際、その多くは銃剣であったらしい。このように、父親は実際に戦地に行った人であったが、戦争映画を見ることにとくに抵抗はなく、村上は父親とよく一緒に映画館へ行き、アメリカの戦争映画や西部劇を見たという。
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今回も著者が体験したことや思ったことを書いていく。日本のみでなく、いくつかの国々で生活したこともあってか、日本国内外の話についていくつか言及している。ワシントンDCに住んでいたころ、ホテルのシャワーを利用しようと並んでとき、右派ロビイストから横から割り込んで色々と言われたが、自分の後ろにいた白人男性が抗議するという経験をした。著者はアメリカ人について考えるとき、常にその二人を思い出し、力と金がすべて、あるいは公正を信じる人という図式は、どこの国にも当てはまるのだろうという。この経験から、日本にいる外国人がもしなにか困っているときは、助けるようにしている。本書はほかにも、複数の国で過ごした著者ならでは視点や洞察があっておもしろい。
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村上ラヂオシリーズの第2弾。前回と同様、著者が体験したこと、思ったことを書き綴る。オリンピックの開催地は、発祥の地アテネにするべきといい、その理由として広告代理店、土木工事など費用が無駄にかかるからだという。また日本のメディアは、選手がメダルをとれるかとれないかということに関心を持ちすぎだと批判する。このような理由からオリンピックはあまり好きではないらしい。
著者は健康的な生活を送っていることで有名であるが、この習慣をつけるようになったのは、作家としてデビューした30歳ごろで、それ以前はたばこを吸う、夜更かしを
するなど、現在とは真逆の生活習慣を送っていた。
ほかにもアイスランドの旅行で見た謎のチャンネルや、アボカドの食べごろなど、読者にあれこれと語る。 -
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著者が日常で体験したことをまとめたエッセイ本。酒のつまみとして最適な柿ピーの柿とピーナッツのバランス具合が絶妙であること、イタリア本場のパスタがおいしい反面、イタリア国境のパスタはまずい、うなぎやすき焼きがおいしい、ちらし寿司が関東と関西では別物であるなど、食に関するエッセイは割と多い。また著者のデビュー作『風の歌を聴け』が群像新人賞をとった当時について言及している。授賞式のために用意したスーツは、青山のVANのショップに行き、バーゲンで買ったという。受賞が決まり、出版社に向かって担当の編集者と会うが、そのとき編集者から「君の小説にはかなり問題があるが、まあ、がんばりなさい」と直接言われた。当時『風の歌を聴け』は物議をかもしたらさく、出版社内部でちゃらちゃらした小説で文学じゃないという声があった。さらに本書には人間の寿命、すなわち早死にした方がいいか、それとも長生きしたほうがいいかを語っている。本人としては少しでも長生きしたほうがいいと思っているが、長生きした作家の顔写真を見て、長生きするのもどうなのだろうと悩んでいる。というのも、早死にした作家は若いころのままに対して、長生きした作家は死ぬ前の姿が写真として残るためである。
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村上朝日堂シリーズ。今回も著者が体験したこと、思ったことを書き連ねる。新聞の勧誘をされた際、直接いらないとは言えないから、漢字があまり読めないという嘘で、勧誘を断ることができた。ただし、日本共産党発刊の「赤旗」は例外であった。赤旗の場合、漢字があまり読めない人を考慮しているのか、漫画の欄も掲載されている。その為これまでの嘘が通用しなかったという。それ以降、読めないフリはやめた。
著者村上春樹は昔から本名で執筆活動をしているが、デビューした当時は、村上龍と角川春樹由来のペンネームだと勘違いされ、また銀行や病院へ行った際、本名が原因で面倒なことに巻き込まれるなど、ペンネームを使わなかったことに後悔しているようである。
ほかにも、長年飼っていたシャム猫の話が繰り返し言及される。通常の猫がしなさそうな行動をとり、またその猫の寝言が人間の言葉を発したのではなどと、本1冊分にできるほどのネタがあるようだ。
翻訳のやり方についても語っている。原文を忠実に訳すために、一語一語丁寧に訳しているのだという。変に凝った訳し方をしてしまうと、かえって原文の魅力を損なってしまうので、なるべく自身の表現は表に出さない。ちなみに翻訳はあくまで趣味だと言っている。 -
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新潮文庫夏の100冊で手に取った1冊。叙情性豊かな短編集です。
■蛍
ノルウェイの森の元素材となった本作。文庫本2冊分のエッセンスをギュッと纏めてくれてこちらで再読した気になります。
ラストがノルウェイの森は旅に出るストーリーだったが、こちらは蛍を放つ、と言う叙情性豊かな造りになっています(ちょっとあざといかも)。
■納屋を焼く
納屋を焼くと言う男と消え去る女性。burn the barnは分かるけど何が言いたいのかは最後までよくわからなかった(納屋を焼く=殺害のメタファーのようです)。
■踊る小人
夏目漱石の夢十夜みたいな小説。踊りの上手い小人と像工場で働く僕。夢と現実。皇帝と革命。メタファーが物凄いが、蛍に並んで感性を触られるようで本作の中では一二を争う位好き。
■めくらやなぎと眠る女
過去に関わった友人から聞いた体を蝕むめくらやなぎと耳の聞こえないいとこのお話。正直、"?"と言う感想(読み込めばまた解釈も変わるかも)。
■三つのドイツ幻想
博物館の描写はThe・村上春樹と言う感じでなかなか良かった。