村上春樹のレビュー一覧
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▼デヴィッド・ストーン・マーティンさんというのは、僕ははっきり知らなかったんですが、主にジャズLPジャケットのデザインをしたデザイナーさん。ノーマン・グランツという、まあともあれアメリカ・ジャズの黄金時代1940年代~70年代をリードしたプロデューサーさんがいて、その下で主に40年代50年代に作品を残しました。
▼村上春樹さんはもともとがジャズ喫茶の経営者だそうなんで。つまりはジャズLPを揃え聴かせるプロだった。というわけで造詣深く、この一冊は村上春樹さんが、
「僕が所有しているDSM(デヴィッド・ストーン・マーティン)がデザインしたジャズLPの好きなものを紹介して一言解説します」
という本です。深浅よりますがジャズ好きには、基本楽しい。僕はジャズは自分なりに好きですし、村上春樹さんの文章も好きなので、当然楽しみました。
▼本としては、変に気負いもなければ、変に「ジャズを知らない人にも分かってもらわねば」という気遣いも無い(笑)。それが素敵です。気負いのなさでいうと、終盤そして終わりに、「終わりにあたって」みたいな総括的な文章も全くないのが、潔くて好感。普通にとにかくLPを紹介し、雑談して、それが続いて、シュパッと終わります(笑)。「だってそれだけの本だもん」という感じです。
▼DSMさんのデザインには、「コスパ」というものが常についてまわって、それが故の自由であり興趣なんだなあとまとめてみると思いました。ウォーホールさんが手がけたジャズジャケットも、そういえばすごくDSMぽかった気が。ジャズというのも、予算産業規模でいうと、「アメリカ発(一部英国)のポピュラーなボーカル付き英語楽曲」に比べれば、本当に「アメリカの一部のローカル芸能」という感ですね。 -
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村上春樹はこういう旅行記とかエッセイを読むとなんというか力の抜けた、ちょっと変だけど普通のおじさん(この時はまだおじさんという歳ではないか)という感じがしますね。地中海の暖かな日光を思い浮かべながら読んでましたが、当の村上春樹本人は焦燥感に駆られているような印象。ギャグシーンが割に多く、ワインでも飲みながら読むといいかと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、著者が1991年〜1993年にかけてアメリカのプリンストン大学にて週に1コマ大学院の授業を受け持つことになり、小説家として、教えるのではなく“第三の新人“の作品を学生たちと読み込んでディスカッションしよう〜という形で、テキストとして取り上げた作品からいくつかを改めて読み直したものである。(その後、ボストン近郊のタフツ大学でもクラスを半年持つなど)
冒頭の『僕にとっての短編小説』にて、短編小説は長編小説の始動モーターとしての役目を果たすとし、“その女から電話がかかってきたとき、僕は台所に立ってスパゲティーをゆでているところだった“から構想が始まった「ねじまき鳥と火曜日の女たち」は「ねじまき鳥クロニクル」に、「螢」から「ノルウェイの森」に、「街と、その不確かな壁(加筆されて近年になり刊行された。この頃は150枚程度の下書きだった)」から「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に〜と、短編から長編に繋がった作品を紹介している。
著者の読書遍歴。主に海外小説を原語で読むが、海外生活を始めてから嫌でも自身が日本人であることを思い知らされ、日本に来る度に日本文学を買い漁る。自然主義的な小説や私小説は苦手で、例えば太宰治、三島由紀夫などは駄目だった。
逆に心惹かれたのは、第三の新人と呼ばれる、安岡章太郎、小島信夫、吉行淳之介、庄野潤三、遠藤周作など。他は、長谷川四郎、丸谷才一、吉田健一など。
その後、計6作品を読書案内。
言語化が上手いなという共感できるところもありながら、いまいち理解し切れない部分もあった。
それぞれの該当図書を先に読んだ方が勿論楽しめそうだが、知らなくてもなんとなく話についていける。(あらすじを説明されるものとあまりされないものがある)
私的には小島信夫「馬」が奇抜で面白かった。
馬が人の言葉を喋るとなれば、色んな解釈ができそうだ。しかし、著者(村上春樹)の解釈のように、馬は主人公の投影であるというのは最も腑に落ちる。 -
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ネタバレ【村上春樹さんの滞在エッセイ集】
村上春樹さんが滞在したことのある、アメリカ・ボストン、ギリシャの島、イタリア・トスカーナ、旅先で訪れたアイスランド、フィンランド、ラオス、アメリカの2つのポートランド、そして熊本県でのお話、思索がつづられています。
先日『#一人称単数』を読ませていただきましたが、その欠片も少し出てきて、発想の宝庫がこの経験の中に散らばっているのだろうなーと思ったりした。
村上春樹さんの経歴について、あまり知っていないのですが、特に翻訳作家としてご活躍されているので英語の習得はどうなさったのかとふと思い、調べたら特に学校もずっと日本なんですね。
本書で何度か出てくるアメリカ滞在経験、それは大人になってからで。
でも映画やジャズを通して、アメリカ好きなんだろう、と思いきや、ヨーロッパにも執筆のために滞在していたり。
時に独特な着眼点、様々なものへの好奇心が深く探求し思索する言語力と行動力を伴い、村上春樹さんの世界観が広がり続けているのだろうと感じた。
自分が暮らしてきた価値観や考え方との類似点と相違点を考え、言葉にしていたり、これまでもっていた概念を更新していく。
例えば、ラオスで根幹から変わったと書かれていた川の観念。固有の物語性を持つ宗教の実体験。
猫や鳥、羊も出てくる。虫が無理な人にはお勧めのアイスランド、いいですね。
フィンランドのハメーンリンナ訪問記では、これは#多崎つくる の巡礼のお話の下になっているのかと思いきや、章の最後の追記で、その本を想像で書いてから訪問したとあった。工芸品とかも出てきて、とても雰囲気あったけどな。想像力も豊かなのだろう。
彼がイタリア・ギリシャに滞在していたのは、1986年、30代後半。#ノルウェイの森 を考えているときだったりしたらしい。
そして、アメリカに渡ったのは90年代前半。
四半世紀経って訪れる楽しみも伝わってくる。
人生長く生きることになる場合、若い時に一度訪れた場所や、出会った人、したことを竿度する、そんな楽しみもあるのかな、と思ったりした。
だから今、興味のあることに飛び込んでいく価値があるのだろう。
将来振り返れる今を持つこととか。もう会わないかもしれない人、もう来ないかもしれない場所、たくさんある中で、記憶がよみがえるかどうかも分からないけれど、思い出って面白い。 -
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映画ドライブマイカーはこの短編集のうち「ドライブマイカー」を軸にしながら「シェエラザード」「木野」あたりの短編のイメージも用いながら再構成した話になっているのかな。
男と女、男のプライド(といってもパターナルな男性像ではなく、一見するとリベラルな男性の持つある種のプライド)。男は自分の内側の傷とうまく向き合えず、それを共有する仲間も持てず、妻や友人に本当の意味で自分の弱みをさらけ出せない。そんな男性性を描いてる作品だと思った。 -
Posted by ブクログ
一遍の量がとってもちょうどいい。
家事の合間、お風呂入る前、職場での昼休憩、、
どんな場面でもすぐにふっと別の場所に連れて行ってくれる。
そして何よりくどくない。
ユーモアを2.3滴混ぜながら彼の追体験をさせてくれるんだけど、押し付けがましくないというか、
距離感がちょうどいいというか。
時々憑依の如く文章に引き摺り込まれて
胸焼けする、、という作品もあるじゃないですか。
彼の作品にはそれがない。
彼のこの魅力的なスタンスこそが
小説に見え隠れする美しさなのかな〜とも思ったり。
あんなに苦手意識があったはるきの文章なのに
エッセイにまで手を出しているという。。苦笑
彼の作品についてあれこれ語るのは趣がないけれど、たくさん感じてしまったので記す。