村上春樹のレビュー一覧

  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    物語は複雑で怪奇だが、少しずつ前に進んでいる。
    青豆はリーダーに直接会い、天ゴはふかえりを一つになろうとしている。
    牛河は何もかも知っていて、それでいて天ゴを勧誘している。
    前に読んでいるはずだが、何も覚えておないことが不思議なくらい面白い。なんで全く覚えていないんだろう?
    人間の記憶は本当に当てにならないよな。同じように毎年何冊も本を読んでけど、ほとんど失われているんだろう。別に覚えているために読んでるわけではないからいいんだけど。
    青豆はリーダーを殺さないのか?殺せないか…。

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    2024年07月14日
  • フィッツジェラルド10 傑作選

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    大学生の時には全く良さが分からなかったフィツジェラルドにあらためて出合うことにしました。
    村上春樹が選ぶ10の短編と、エッセイが3編収録されています。

    基本的にどの話もお金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃんのやり取りで、感情の振り幅も行動の振り幅も「えっ?」て言うようなもので、あまり感情移入しきれない。
    しかし、「冬の夢」でも「バビロンに帰る」でも出てくる喪失には共感して「あー…」ってなる。

    そうして読み終わった後に、少し重い気だるさと諦念が残る。
    フィツジェラルドはどこかで「人生は失っていく過程だ」みたいなことを書いているらしいけれど、そうだったら、この一編一編は一つ失って、人生を一つ進む、成熟の

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    2024年07月14日
  • 村上朝日堂ジャーナル うずまき猫のみつけかた(新潮文庫)

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     著者がアメリカの生活について綴ったエッセイ本。猫好きということあって、猫の話題が多く、猫の写真もいくつか収録されている。ちなみに本人によると、外国で小説を書いたからといって、作品が変わるわけではないという。実際『ダンス・ダンス・ダンス』や『ノルウェイの森』で、どの部分をどこで書いたかを本人は覚えていないらしい。一日のスケジュールとして、午前は仕事をして、その後大学のプールで泳ぐか一時間ほど走るなどして、その後昼ごはんを食べる。午後は小説以外の仕事を進めたり、町で散歩したり、買い物をしたり、日常的な用事を片付ける。夕食後にだいたい本を読みながら音楽を聴く。こんな感じで健康的な生活を送っている。

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    2024年07月13日
  • 村上朝日堂はいかにして鍛えられたか(新潮文庫)

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    中盤がよかった。
    - 一日ですっかり変わってしまうもの
    - 果たされなかったもの
    - 全国のラブホテルの名前選手権

    苦情の手紙を出すことの難しさもわかった。一流作家でも。一般人の私などは出さないほうが懸命だ。だけど、モヤモヤした気持ちを手紙に書いて投函しないというのはいいアイディアだと思った。

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    2024年07月04日
  • 騎士団長殺し―第2部 遷ろうメタファー編(上)―(新潮文庫)

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    注文を受けて肖像画を描くからには
    発注者…つまりモデルの満足する肖像を描かなければ
    話にならないのである
    人間の心には光と闇の両面があって
    いずれも個人を形成する重要な部分であるが
    できれば闇の部分は見たくない・見せたくないと
    誰しもが考えている
    闇の部分を率直に描かれては
    大抵の人がイヤな気持ちになってしまうし
    かといって光の部分ばかり強調されたのでは
    なんだか嘘っぽくなるだろう
    光と闇のバランスをうまく調整することが肝要である
    この話の主人公は、そこの匙加減が絶妙だった
    モデルが持っているセルフイメージの
    バイアスをとらえるのが、天才的に上手かったのだと思う
    しかし彼は妻と別れたことで

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    2024年07月04日
  • デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界

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    ネタバレ

    ジャケデザインの素晴らしさから、ジャズの話をするという観点を捻った作品。自ら、「DSMのデザインしたレコードジャケットを手に取って眺めているだけでなんだか人生で少しばかり得をしたような気がしてくるのだ」と。好きなジャケットを眺めて、心を映す鏡のように見ている。そんな瞬間はレコード好きにはあるんだと思う。実際、自分も好きなジャケット、キースジャレットとかビルエバンスのジャケを見えるようにして置いているから。
    エッセーのようで、でもレコード評のようで、村上さんはきっとクラッシックな、トラディショナルな演奏が好きなんだろうと思う。随所に見られるコメントが、そういうふうに感じさせてくれる。まるで、対話

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    2024年07月01日
  • フィッツジェラルド10 傑作選

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    多作であったフィッツジェラルドの短編とエッセイを10つ集めた一冊です。

    分かっていたことではありますが、どの作品も薄暗い現実を描いています。もちろん、ハッピーエンドなんでありません。基本的に、かつての幸せや豊かさがもうそこにない人々の話です。かつての若さや美しさが失われてしまった人々の話です。

    中には、それでよかったんだよね、と声をかけたくなるような主人公もいます。「氷の宮殿」や「風の中の家族」などがそうでしょう。

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    2024年06月29日
  • ねじまき鳥クロニクル(第1部~第3部)合本版(新潮文庫)

    匿名

    購入済み

    10年ぶりくらいに再読。当時は満洲国やシベリア抑留などに関するパートが印象に残っていたけれど、改めて読むと失った妻を取り戻そうとする物語として読むことができた(あるいはこの10年の間に自分が結婚したことも関係しているのかも)。逆にモンゴル人や中国人の描き方が一面的すぎるのではないかと、そこが気になった。
    全体的に色々なエピソードやイメージ、そして家族関係や政治や戦争などあまりにも多くの要素が絡んできて読書体験としては極上と言えると思う。

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    2024年08月17日
  • 村上朝日堂の逆襲(新潮文庫)

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     1980年代、週刊朝日に連載されたエッセイを収録。現代と異なり、郊外では昼間に男が一人でぶらぶらしていると、周囲から白い目で見られる、銀行員に自身の職業は自由業や文筆家だと言ってもなかなか伝わらなかったなど、80年代の日本社会の雰囲気を感じられる。また映画鑑賞についても語る。B・C級映画は名作映画と違って良い点を自分で努力して探さなければ時間を無駄にしてしまうので、緊張感をもって鑑賞しなければならない。しかしそれがかえって記憶に残りやすいのだという。さらに読書の時間が減ったことについても興味深いことを語る。この時代から読書時間の減少について問題となっていたが、村上春樹は単に読書以外の活動に時

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    2024年06月19日
  • 回転木馬のデッド・ヒート

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    ネタバレ

    小説ではなく、聞いたままの話を文章にうつしかえたものの集まり。(作中ではスケッチと表現)。
    確かに、何かの示唆だとかテーマ性を持っているだとかいうお話達ではない、だけど面白い。

    ただ、下記の文章は刺さりました。
    『自己表現が精神の解放に寄与するという考えは迷信であり、好意的に言うとしても神話である。少なくとも文章による自己表現は誰の精神をも解放しない』
    『自己表現は精神を細分化するだけであり、それはどこにも到達しない。もし何かに到達したような気分になったとすれば、それは錯覚である。人は書かずにいられないから書くのだ。』

    お気に入りは、
    ある女性の母が、ドイツで半ズボン(レーダーホーゼン)を

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    2024年06月12日
  • 翻訳夜話

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    ネタバレ

    この本のここがオススメ

    「とにかく、いくつも、いくつも、いくつも、いくつも翻訳をやるしかないと思うんです。その中で自然に出てきます。それしかないです。頭で自分のスタイルを作らなくちゃと思って考えても、それは無理です。積み重ねの中で出てくるものだから」

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    2024年06月07日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)

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    猜疑心の強い読者なら
    当然抱くであろう2つの疑惑がある
    ①妻を寝取ったのは親友の雨田政彦ではないか?
    ➁免色渉はただのロリコン爺じゃないのか?
    もちろん主人公はそんなこと少しも考えなかった
    それはお人好しだからというばかりではない
    肖像画の制作を生業とする主人公には
    人間の本質を見抜くことについて強い自信があるからだ
    そんな自分が疑いを感じない以上
    彼らの態度に嘘は存在しないのである
    傲慢と言えなくもないが
    そのような鈍感さを保てなければ
    人間関係なんてやっていけないのだろう
    そんな彼の前に「イデア」と名乗る騎士団長が現れたのは
    夜中うるさい鈴の音の発生源を探り当ててのことだった
    イデア、すな

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    2024年06月06日
  • 村上朝日堂(新潮文庫)

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     初期のエッセイ。簡単に作れる酒のつまみを紹介したり、カキは食べられるがハマグリは食べられない、肉は牛肉くらいしか食べない、中華料理は苦手、という変わった偏食であったり、電車の切符で繰り返しミスするなど、村上春樹の人物像が垣間見える。今回のエッセイで映画に関するテーマが何箇所もあることから、生粋の映画好きであることがわかる。

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    2024年06月02日
  • デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界

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    完全なる村上春樹氏の趣味本。いつも村上春樹氏の造形の深さに驚かされる。ジャズにしろクラシックにしろ、本業は小説家ですよね?というほど詳しく、自分の考えや意見があり、深く深く感じている。この本も、まるで美術館の展示を見ているような気持ちで拝読しました。

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    2024年05月25日
  • 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

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    螢を読むと、ノルウェイの森を再読しようかなという気にさせられる。この作品は抽象的な表現が殊更に多く、正直何を言ってるかわからないものもあった。だが、描写の引出しが多いのは流石だと感じた。村上春樹が他作家と異なる点はこの引出しの多さだと思う。

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    2024年05月19日
  • デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界

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    ▼デヴィッド・ストーン・マーティンさんというのは、僕ははっきり知らなかったんですが、主にジャズLPジャケットのデザインをしたデザイナーさん。ノーマン・グランツという、まあともあれアメリカ・ジャズの黄金時代1940年代~70年代をリードしたプロデューサーさんがいて、その下で主に40年代50年代に作品を残しました。

    ▼村上春樹さんはもともとがジャズ喫茶の経営者だそうなんで。つまりはジャズLPを揃え聴かせるプロだった。というわけで造詣深く、この一冊は村上春樹さんが、

    「僕が所有しているDSM(デヴィッド・ストーン・マーティン)がデザインしたジャズLPの好きなものを紹介して一言解説します」

    とい

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    2024年05月18日
  • 騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編(下)―(新潮文庫)

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    面白かったけど、本気の入り込みまではいけずなかなか村上ワールドの読後感は得られませんでした。とりあえず2冊目が終了で後半に期待です。

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    2024年05月12日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    ネタバレ

    ギリシャにトルコ。【ギリシャ編】僕は本でアトスのことを読んで以来、どうしてもこの地を一度訪れてみたかった。そこにどんな人がいて、どんな生活をしているのか、この目で実際に見てみたかったのだ。-そこでは、人々は貧しいなりに、静かで濃密な確信を持って生きていた。 【トルコ編】トルコは兵隊の多い国。ギリシャ編とうって変わって、まあ、なかなか手強い。読んでいても、とてもとても手強い。世界は本当に広い。タフでハードな読書時間だった。ああ、面白かった。

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    2024年05月07日
  • 中国行きのスロウ・ボート

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    短編7作
    受け止める自分によって捉え方は変化する
    行間に隠れているものを探した頃もあったけど
    スッと消えてもモヤモヤ残りでも納得いかなくても
    それはそれ
    本を手に取り、読む
    それでいいのだと思ったことを、思い出した

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    2024年05月07日
  • 1Q84―BOOK3〈10月-12月〉前編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『BOOK2』までは「1Q84」世界にある「さきがけ」や、そこにある謎としての「空気さなぎ」、「リトル・ピープル」、さらには、自分の考えに凝り固まっている人たちのキモチワルさが一見正しいことのように語られるストーリーだったが。
    そんな『1Q84』も、『BOOK3』では天吾と青豆をめぐる、たんなるラブストーリーへとなだれ込んでいく。

    ていうか、たんなるラブストーリーというより、ほぼ昔のトレンディドラマ(←死語w)だ。
    村上春樹という人は、好むと好まざるに関わらず時代から逃れられない人なんだろうなーって気がしてしょうがないんだけど、この『1Q84』という小説は90年代の「月9」とか「トレンディド

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    2024年05月02日