村上春樹のレビュー一覧
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購入済み
毛色の異なる村上作品
常日頃から村上作品を愛読する者として、毛色の異なる作品だと感じた。
極めて現実的な内容で、シビアで、淡々としたルポルタージュ。
あまりにシビアな部分を読んでいるうちに、本来の村上作品を超えるような幻想性を感じさえする。
しかし、面白かった。
それにしても、地下鉄サリン事件には戦慄を覚える。 -
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村上春樹作品。37歳から40歳になるまでの約4年間(ノルウェイの森やダンス・ダンス・ダンスを描いていた頃)、イタリアやギリシャなどヨーロッパ各地に住みながら、小説を書いたり翻訳をしたりしつつ、各地を旅した旅行記のような一冊。いつものような春樹節は少なく、独特な旅行記として楽しく読める。所々で紹介される奥さんとのエピソードや美味しい料理、コンサートのコメントなどが楽しい。村上春樹の小説はどれを読んでも僕には難解で距離を置いていたが、この本はとてもシンプル。こうくるとかえって物足りなくなる。人ってないものを欲しがるものだ。たとえそれが不自由であってもね。やれやれ。
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村上春樹氏の小説はあまり肌に合わないが、エッセイは大好きだ。彼の感じたことに共感でき、それでいて自分自身ではうまく表現ができないので、読むとすっきりとした気分になる。
今回は、旅をテーマにしたエッセイ集。メキシコや香川など、いろいろな旅行先の出会いやエピソードを綴っている。
メキシコやアメリカ横断は、「あるある」と思いながら読んだし、行ったことがないモンゴル・中国はやっぱりそうかと感じたし、香川のうどんを食べる旅の章は本当に面白くて、ゲラゲラと笑ってしまった。そして、香川に行きたくてたまらなくなった。
読者に行きたい!と思わせることが旅のエッセイの目的ではないが、村上氏のやや冷めた表現がなかな -
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TVピープル
自分だけが気づいている世界のちょっとした違和感がどんどん増幅して行って、ついには平穏な日常が奪われる。しかし、そのことに気づいた時にはもう遅くて、日常は帰ってこない。なぜならもう駄目だから。
TVピープルがなんで小さいのか、なんでテレビを運び込むだけなのか、妻はどうしていなくなったのか、疑問点はたくさんあるけれどなによりも哀しい話として読んだ。そもそもTVピープルって悪なるものなのかな?そこもはっきりしないところが春樹っぽい。
我らの時代のフォークロア
人生のある一時点でしか成立し得ない男女のみずみずしいケミストリーみたいなものが年月を経て、失われるのを見るとなんとも言えない寂 -
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村上春樹さんにとって小説とは何なのか、について、川上未映子さんが質問攻めにしている本でした。
村上さんは、読みやすい文体を大事にされてること、物語にメッセージや意味を込めたり伝えたりしようとはしてないこと、自我に関する悩み(やその解決)という次元で書いてはいないこと、それよりもっと、無意識(深層心理?)に近い領域で物語をかいていること、読み方は読者に委ねていること、などがわかりました。
川上さんの質問が鋭く熱心なのに対する村上さんの脱力加減というか自然体加減がすごい。面白かった。言及される作品も読みたい気持ちになった。
村上さんが人として謙虚だが小説家としてはプロ意識・自信に満ちてるとこ -
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コロナ禍で旅行に行けない今読むのにぴったり。
ギリシャのアトス半島と、トルコの黒海地方+東南部を周遊した旅のもようを綴っている。旅行記なのでかなりスラスラと読めた。
ギリシャ編ではいくつもの修道院を訪れ、出会った人や食べものを宗教的な要素にも簡単に触れつつ紹介しているが、なかなか一般的な観光客は足を踏み入れないような場所であるから興味深い。
トルコ編では、トルコのキラキラした部分だけではなく、旅で起こったことをもとにその地の雰囲気、トルコ人の気質や現地人はあまり話したくないような暗い部分に触れたりしていることに好感を持てた。クルド人の話であったり、東南部の街の雰囲気など、少し重い話題であっても -
Posted by ブクログ
作品全体に暗喩の雰囲気が漂う村上春樹がよもやプラトンについて明るくないどころか洞窟の比喩も知らないとは、、、、。
徒然に、ある種、語感だけでメタファーとイデアを持ち込んで騎士団長殺しを執筆していると考えると身震い。作品を読むたびにこの人物が象徴しているものはなんなのかなあ、わかんないなあとか思ってたけどそんなこと考える必要もないんだな。
「もやっとした総合的なものを読者がもやっと総合的に受け入れるからこそ、それぞれ自分なりの意味を見出すことができるんです。」
わかりやすいステートメントではなく、善き物語としての小説、それもわりかし長い小説という形で発信を続けていく村上春樹の作品を今後も追い続