村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「眠り」が読めたので、この本を買ってよかった。他の作品はどうなのかというと、おもしろいのだけれど、手放しにそれをおもってはいけないような何かがある。ひとりの友人と村上春樹についての話をするときに、その人は作品性をこんなふうに評する。何もない、残らない、と。この一言二言だけを言ってもそのテクストの全ては伝わらないにちがいない。どうか曲解はしないでほしい。ここでそれを深く説明したりはしないけれど、たまたま耳に入った街の声くらいにおもってほしい。ただ友人に言われて僕はなんだか腑に落ちる。読み終わるときにその先、がないような気になる。読み方の問題はあるとおもうけれど。
「眠り」はよかった。ああ、ちゃん -
Posted by ブクログ
この本、タイトルだけ読むと村上春樹が好きな短編をおもしろおかしく紹介してくれる本に思える。 いや実際にそうなのである。しかし、本書は他の作家の作品の評論を通して、村上春樹的小説あるいは小説家の在り方を示した作品と言える。その意味では「職業としての小説家」に近いものはあるだろう。
自己について語るとき自己自身について語るよりむしろ、他者について深く深く掘り下げていき、他者に対しての自分のスタンスを示すことがかえって自分自身についての解像度をあげる。
だからこそ、村上春樹自身が紡ぐ長編と同じくらいエッセイや本書のような非小説も同じくらい好きなのだ。
もちろん吉行淳之介や丸谷才一の作品は是非とも読ん -
Posted by ブクログ
村上春樹ファンにとって、村上春樹を知れる嬉しい一冊。
印象深かったのは、なんといっても、村上春樹が小説家になったきっかけの逸話。
そんなささいなことで、天才は目覚めるのだなと思った。
そして、そういった出来事は、誰にでも起こるかもしれない、という言葉は、とても勇気づけられた。
また、村上春樹からの何かを書きたいと思っている若い人へのアドバイスとして、
「書けないときにはべつに無理に書かなくてもいいんじゃないか」と言っていることに、村上春樹もそう思ってるのかと嬉しくなった。
その他のことでいうと、海外暮らしでの、日本との違い、アメリカという国のことを知ることができて、とても面白かった。
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Posted by ブクログ
のらりくらりとした師匠と優秀な弟子の対談みたいな、2人のやり取りが絶妙。
村上春樹の読者は内的な読書を求めてるとか、壁抜けの話とか、今まで村上さんの小説を読みながら感じていた感覚が言語化されていくのが面白い。本人の言葉だから納得感もある。
女性の描かれ方について聞くところは、川上さんのストレートな質問がスリリングで、でも村上春樹小説の理解者としての部分も聞き手として見えてきて、絶妙なバランス感覚で面白かった。
最終章、小説の書き進め方を数字のメモを見返しながら話していくところは、ものづくり論としても興味深かった。「書き飛ばし」のくだりとか。
村上春樹さんの本も川上未映子さんの本ももう一 -
購入済み
毛色の異なる村上作品
常日頃から村上作品を愛読する者として、毛色の異なる作品だと感じた。
極めて現実的な内容で、シビアで、淡々としたルポルタージュ。
あまりにシビアな部分を読んでいるうちに、本来の村上作品を超えるような幻想性を感じさえする。
しかし、面白かった。
それにしても、地下鉄サリン事件には戦慄を覚える。