村上春樹のレビュー一覧

  • 人生のちょっとした煩い

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    「そのとき私たちはみんな、一匹の猿になってしまった」が良かった。サリンジャーの「テディ」や「笑い男」みたいに、人間の狂気を淡々と語っているところがなんとも恐ろしく、面白い。あくまで語り口が淡々としているのであって、そこで語られる話そのものは随分とぶっとんでいる(おまけに少年探偵団のようなわくわくさせる話でもある)。そのギャップが気に入った。

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    2018年11月09日
  • 東京するめクラブ 地球のはぐれ方

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    ついつい地球の歩き方や旅行ガイドに頼りがちな旅の仕方をしてしまう。求めた予定調和以上の興奮や発見に出会うには自ら能動的にそれらを追求する姿勢がいるのだろう。ツーリズムのコンセプトが多様化する時代ではあるが、パッケージングされた価値の外にも、その土地の魔力と魅力を見つけられるように心掛けたい。

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    2018年09月24日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    ギリシャの修道院への旅は楽しいものだった。
    私は読むだけでルクミ・アディクト になってしまった。

    ところが、トルコ編と来たら、もう、すっかり参ってしまった。村上さんのタフさに感激しながらも。

    でも面白いんだもの、文章も文体も大好きだから。またゆっくり追加の感想書きます。とりあえず、今夜の読書会に間に合った。やれやれ

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    2018年09月14日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    「ギリシャ・トルコ辺境紀行」
    ギリシャ編
    異国の異教徒が神様の国を旅するとこうなる。食事は大切。お酒もそこそこ大切だがまず食事。良い人にめぐり会えれば良い食事にありつけるということなのだろう。食事を提供してくれる場所も勿論大切だけど、そこに行くまではやはり人。

    トルコ編
    甘党でなくても、むしろ苦手でも、甘いチャイが美味しくてたまらなくなる気候なのだろう。そしてなかなか魚にありつけない、羊中心の文化。羊肉も食べればそのうち美味しくなるかもしれないのに、パンと野菜とチーズとチャイで生きる。人は親切で、こどもたちは好奇心旺盛。

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    2018年09月06日
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする(新潮文庫)

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    2人のやりとりがものすごい。

    マーラーのくだりが特に面白かった。
    カラヤンやベームが、その雑多性や猥雑性、分裂性が生理的に我慢できなくて、自分の音楽に適した容れ物になるものしか演奏してないーとか、
    ボストンの演奏はレベルの高いチームプレーでオケの音から外れるようなことはしないが、マーラーの場合は必ずしもそれが正しいとは限らないーとか、
    リヒャルトはドイツ音楽を辿ってくればその流れで読めるけど、マーラーはまったく新しいアングルが必要になってくるーとか。

    音楽教室の話は、自分もカルテットやクインテットをやるので、頷ける所が多く、気持ちが引き締まった所でもある。
    早くチェロを弾きたくなった。

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    2018年08月28日
  • リトル・シスター

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    マーロウものの中ではスレてる方らしいけど悪くない。寧ろいきいきと動くヒロイン(と言っていいのか)達に好感。

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    2018年05月24日
  • ポートレイト・イン・ジャズ(新潮文庫)

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    ものすごくジャズが聴きたくなる本。
    まあ聴いたところで私が同じように感じられるとは思わないし、違う好みもあるだろうけれど(それは本人も述べている通り)、音楽をここまで映像化したり、温度を感じられる文章で表現しているのは珍しい気がする。
    まさに全身で受け止めている感じ。
    私ですら名前を知っている人もいれば「へぇ有名だったんだ」という人もいるけれど、かなり興味深いです

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    2018年05月11日
  • 象工場のハッピーエンド(新潮文庫)

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    私が生まれた年に書かれた本だった。

    そして、水丸さんはもう、この世にはいない。


    私は、水丸さんのことを全然知らないのだけれど、
    ニュースで訃報を知った際に、

    「あぁ、村上春樹は今、何をしているのだろう?」とふと思ったことを思い出しました。

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    2018年05月03日
  • 雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―

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    フィクションだと気障に聞こえる村上さんの文体もノンフィクションだと不思議と憎めなく楽しく、旅行するにはあまりに過酷な地で散々な目にあっても「やれやれ」でやり過ごしてしまうタフさが読んでいて楽しかった。
    カフソカリヴィアの猫の話が好き。

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    2018年04月28日
  • 村上朝日堂はいかにして鍛えられたか(新潮文庫)

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    あとがきにあるが、このエッセイは、筆者にとって「精神バランスを維持するための息抜き」とあるように読者にとっても息抜きとなり、精神衛生に寄与している気がする。何かを求めて読むのではなく、自分の肩の荷を下ろすために読むような。そんな幸せの再確認かもしれない。

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    2018年04月28日
  • 村上朝日堂 はいほー!(新潮文庫)

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    この人のエッセイは読み易い。
    それぞれちゃんと練られてて安易ではない。
    こういうの読むと起承転結って大事だと思う。
    そこらに溢れている雑文とは違う。

    それにしても時代ってかわるんだなぁ、激しく。
    「うさぎ亭」とても気になる。

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    2018年04月26日
  • 若い読者のための短編小説案内

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    ネタバレ

    恥ずかしならがら、この本が村上春樹氏の本で初めて読んだ本だ。短編小説が読みたいなと思っていた頃、電子書籍の検索でこれがヒットしたので、衝動的にワンクリック購入し、そのまま放置していた本だ。

    特に村上春樹さんを読みたかったわけでもく、「いつもノーベル賞候補にノミネートされる村上さんが、案内してくれる短編小説ならきっと面白いに違いない」という発想で買ったものだ。

    ・・・が、「案内」という意味が違ってた。ブックガイドではなかった。これは、それぞれの作品をどう解釈し、どう味わうか、といった村上春樹流「文学の読み方の案内」というような本だった。ノーベル賞受賞候補・村上春樹氏の文学講演を聞いているよう

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    2018年04月07日
  • 意味がなければスイングはない

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    村上春樹における音楽論。短編集みたいな構成で、短編1つに一人(または二人)に焦点を当てて、村上春樹自身の個人体験(コンサートに行った、CDを聞き比べた等)を軸に音楽論(主にジャズ論)を語る、という構成の本。掲載されている人は聞いたことが無い人が殆どなんだけど、村上さんの独特の切り口の論を読むと、その人の音楽が聴きたくなる、という不思議な本でもある。過去においては、村上さんはウィスキーについて語っていたけど、それの音楽版という感じかな。ウィスキーの本と同様に、この本を読むと何か音楽を無性に聴きたくなるね。

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    2018年02月27日
  • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記

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    そうか~。これ、”サリンジャー戦記”ってより”キャッチャー戦記”だ。そう銘打っておいてくれれば、同作を読んだ直後にこれも読んだのに。本来は本編に同時収録されていたはずの、村上春樹による解説が収録されていることからも分かるように、これは完全に”キャッチャー”の解説本です。だから恐らく、あとがきを読むかのように、本編を読んだそのままの流れで本作を読むのが理想的。自分の記憶力の悪さもあって、細かい内容は結構忘れていたから、そのあたりが悔やまれる。それを差し引いて、名翻訳者2人の対談、っていうだけでも読む甲斐はありましたけど。

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    2018年02月02日
  • 村上春樹 雑文集(新潮文庫)

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    「小説家とは何か、と質問されたとき、僕はだいたいいつもこう答えることにしている。『小説家とは、多くを観察し、わずかしか判断を下さないことを生業とする人間です』と。
    なぜ小説家は多くを観察しなくてはならないのか?多くの正しい観察のないところに多くの正しい描写はありえないからだ——たとえ奄美の黒兎の観察を通してボウリング・ボールの描写をすることになるとしても。なぜ小説家はわずかしか判断を下さないのか?最終的な判断を下すのは常に読者であって、作者ではないからだ。小説家の役割は、下すべき判断をもっとも魅力的なかたちにして読者にそっと(べつに暴力的にでもいいのだけど)手渡すことにある。」

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    2018年01月29日
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

    購入済み

    引き込まれて

    出だしから作者の世界観に引き込まれ、色々な事を解明する過程の主人公の思いに心を掴まれました。
    出てくる登場人物は多くはないが、それぞれの立場での感情が見てるかのような錯覚に陥りました。

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    2018年01月10日
  • 高い窓

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    古い金貨をめぐる事件が発生し、私立探偵のマーロウが引き受ける。物語が進むに連れ殺人事件も発生する。運がいいのか悪いのか、マーロウは他の人に先駆けて死体を発見する。最後は見事に事件解決と相成るわけだが、その解決するシーンが格好いい。犯人を目の前にして、静かに真相を語るのだが、そこが人情味溢れる語りなのだ。また、犯人ではない、過去に利用された女の扱いもハードボイルドらしく男の優しさが滲み出てくる。なお、本書はそれほど長い作品ではないが、読むのに時間がかかった。チャンドラーの他の作品(訳者は村上春樹さんではない)を読んだ時にも時間がかかったので、もともと読み進めるのに時間がかかる作家なのだろう。

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    2018年01月05日
  • 日出る国の工場(新潮文庫)

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    ネタバレ

    これは井上ひさしを彷彿とさせる哲学書である。
    セックスを覚えた少年の様に清く正しく美しいのである。
    中でも、小岩井農場の巻は泣けた。私が丑年であるのが原因かも?知れない。この村上春樹が今や万年、ノーベル賞文学賞の候補者である。今年、それはカズオ・イシグロ氏が受賞した。

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    2017年10月18日
  • 螢・納屋を焼く・その他の短編(新潮文庫)

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    ひさしぶりに、村上春樹さんの小説を読みました。
    文章も発想も、攻めてるな、という印象が強かった。
    まだデビューから数年しかたっていないころの短編集です。

    「螢」は『ノルウェイの森』の原型にもなっている短編で、
    読んでみると、なんとなく懐かしさを感じました。
    そしておもしろかったし、
    その攻めた具合についてばかりが気になって読んでしまいましたが、
    それも小説を書くための勉強というか、
    「こういう方法論もあるんだね」ということを知るというか、
    もうこういった作品はあるから同じものはつくらないようにするだとか、
    つまりは、自分の創作を、
    より自由にするための読書体験になったかなあ、と思います。

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    2025年07月11日
  • 意味がなければスイングはない

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    この本は音楽について書かれたエッセイを集めた一冊だ。
    その冒頭の一遍はビーチ・ボーイズ、特にバンドのリーダーであった
    ブライアン・ウィルソンについて書いてある文章だ。

    ブライアン・ウィルソンという人は矛盾とミスマッチを抱えている。
    彼自身が作り上げたビーチ・ボーイズは
    アメリカのイノセンスを象徴するようなバンドだった。
    「太陽の光、海、元気な男の子と可愛い女の子の笑顔、サーフィン、オープンカー」
    彼ら自身がアルバムジャケットでサーフィンを抱えてニコニコしている。

    ところがブライアンは海に行くことはなかった。
    泳げなかったそうだ。
    だけれどもファンに求められるまま
    太陽の光に照らされる海を唄

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    2017年09月07日