村上春樹のレビュー一覧
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「村上春樹は短編やエッセイが読みやすいし面白いよ」、と中学時代から村上春樹の作品を愛読書とする友人からアドバイスをもらい、たまたま古本屋で手に取った一冊。
『海辺のカフカ』冒頭でなぜか挫折してしまった事実が嘘のように、読める読める。大学時代、通学時間に1ページ1ページ繰るのを楽しみに読んだ。
アメリカでの生活や、彼の哲学や思考がよく分かる。所々ウィットに富んだ文章があり、読んでいてふふっと笑ってしまう。
また、日本の自動車不買運動が起こっていた時代にアメリカに住んでいたとのこと、その文章の端々からトランプ政権へと右傾化していく保守的なアメリカ人たちの予兆のようなものが感じ取れる。丁度トラ -
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ネタバレ兄を探して欲しいという女の言動に「あれ?」と思ったマーロウ。結果として、それは正しかった訳だが。
絡んで複雑になっていく話に、どんどんのめり込んでいった。プロットが素晴らしいなこれは。シリーズで一番ミステリ色が強かったのは、水底の女だと思うが、これは女たちの心情が一番素晴らしかったと思う。
ここで漸く気付いたのだが…シリーズを通して、どんな形にせよ、女の愛がどの作品にも色濃く漂っていて、それが事件に大きな関わりを持っているのが、とても面白い。殺してしまえば、永遠に自分のものになるとか、愛した男でも自分の過去を知っていれば、口封じに殺してしまうとか、愛とは…
そして、美しいと思える表現の数々 -
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村上春樹の翻訳順ではなく、シリーズの時系列順で読んでいる。ここに来て、ミステリ色が強くなった。今までで一番、謎解き要素があった。
なんというか…女に翻弄される男たちの話なのかな、と思った。水底の女だけでなく、今までの話も。
犯人の肩を持つとか、そういうことじゃないんだけど、女に騙されていたとか利用された(多分だけど、大方そういう表現でいいと思う)男が、行き場のない気持ちを抱えて、遂に、みたいな。でも、それって仕方のないことなんだろうな。好きで好きで愛していても、とうとう我慢が出来なくなってとかって、可愛さ余って憎さ100倍とか言うし、例え一時でも、そこまで誰かを愛することが出来るのは、ちょっ -
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『思いもよらないことが起こって、思いもよらない人が、思いもよらないかたちで死んでいく。僕が一番言いたいのはそういうことじゃないかな』
『僕の文章というのは、基本的にリアリズムなんです。でも、物語は基本的に非リアリズムです』
『つまるところ、小説家にとって必要なのは、そういう「お願いします」「わかりました」の信頼関係なんですよ』
『物語とか、男性とか井戸とか、そういったものに対しては、ものすごく惜しみなく注がれている想像力が、女の人との関係においては発揮されていない…いつも女性は男性である主人公の犠牲のようになってしまう傾向がある』
『トロントの新聞によると、トロントの書店で盗まれる本は村上春樹 -
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心理療法士の河合さんと、村上春樹さん、両氏の結婚に対しての発言も面白い。
河合さん
「愛し合っている2人が結婚したら幸せになれるなんて言う馬鹿な話はない。そんなことを思って結婚するから、鬱になるんですね。何のために結婚して夫婦になるかと言ったら、苦しむために、井戸掘りするためなんだというのが僕の結論なのです。井戸掘りは大変なことです。だから別にしなくてもいいんじゃないかと思ったりするんですよ」
村上さん
「結婚とは、むしろお互いの欠落を暴き立てる過程の連続に過ぎなかったのではないかと。結局のところ自分の欠落を埋めることができるのは自分自身でしかないわけです。そしてその欠落を埋めるにはその欠 -
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★★★2021年4月★★★
読み終わってからだいぶ経つ。
本に入れた折り目を見直しつつ、印象に残ったことを書いていく。
村上「本当のリアリティっていうのは、リアリティを超えたもの」
「ボイスをよりリアルなものにしていく。それが僕らの大事な仕事」
「学生運動の頃の、言葉がまったく無駄に終わってしまったことへの怒りみたいなものが強くあった」
「トランプは人々の地下室に訴えることだけを言いまくって、それで勝利を収めたわけ」
「日本人の感覚では、あの世とこの世が行き来自由なわけです」
「僕にとっては文章がすべてなんです」
「自分がそうであったかもしれないけど、実際にはそうではない自分の姿」
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ネタバレさよなら、愛しい人
著者:レイモンド・チャンドラー
訳者:村上春樹
発行:2011年6月15日(単行本は2009.4)
早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫)
村上訳で読み返すフィリップ・マーロウ。今回は「さらば愛しき女(ひと)よ」の邦題で知られる本作品。やはり昔読んだ文庫本は見つからなかったが、不思議に話は少し覚えていた。最後の真相究明までは無理だったが。
本作品は、マーロウシリーズの2作目。訳者あとがきにも書いてあるが、マーロウの代表作で、「長いお別れ」「大いなる眠り」とならんでベスト3に上げる人が多い。今回の訳でも470ページほどあり、とても長い。しかし、掛け値なしの傑作。きっかけが、