村上春樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
一つの街のほんの数時間の話だけれど多くの出来事が重なり合うことで、一人一人の人生まで想像させられる作品。
登場人物は全員謎なまま登場し、謎なまま物語が終わる。それぞれが謎な存在であるため、夜になると全く表情を変えるこの街がさらに強調される。様々な悩みを抱えているが、無意識中にそれぞれが相互的に救いあっていることを感じた。
高橋とマリの会話劇がチャーミングであり、どこか深みがあり没入できるところも魅力の一つと感じた。
この作品の視点は一人称視点ではなく、また、どの視点から物語を眺めているのか読者自身も捉えられないところも面白かった。防犯カメラの視点を飛び回っているような、天井に張り付きながら空間を見ている感覚を味わった。
個人的には他作品と比べて物足りなさを感じた。今までの作品とすこし雰囲気の違う作品で楽しめた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・初村上春樹さん。村上春樹ファンの方々からするとどういう立ち位置の物語だったんだろう?これは序の口?だとしたらもうついていけない...
・性交の描写がなんか嫌。抵抗ない、むしろ好き(っていうと違うけど)なはずなのに。自分なりに考えた結果、なんかこう...意識高い系な感じに捉えてるみたいでゾワゾワするのかも。
・カフカのターンは憂鬱で仕方なかった。大島さんとの会話なんてもう自分にナカタさん降臨させて「訳がわからないであります。」って感じで読んでた。
・結局謎は謎なままで何もわからないまま終了。一体なんだったのさ?軍の報告書まで読ませておいて、先生の破廉恥夢話まで聞かせておいて、何も分からないなんて。そりゃ無いぜ。
・ナカタさん&ホシノちゃんターンが楽しみでやっと読み終えた。2人に感謝。
「はい。ありがとうございます。それではナカタはウンコをして参ります」
「あのね、そんな大きな声で、みんなに聞こえるように復唱することねえんだよ。ほかの人はまだメシを食ってるんだからさ」 -
Posted by ブクログ
久しぶりに村上作品を読み、現代小説でありながら、かな文学を思わせるような言葉の余韻と質感を感じました。
文体も用語も徹底して平易。それでいて、意味は容易に掴ませません。
そこに「説明しすぎない美学」を見るのか、それとも「説明する気がない怠惰」と見るのか。その評価は、読者それぞれに委ねられる作品だと思います。
当初の『街と、その不確かな壁』の発表は1980年。
ガルブレイスの『不確実性の時代(The Age of Uncertainty)』は1977年に発表され、日本でも1978~79年頃に広く紹介され、「不確実性」という言葉が一世を風靡しました。
作品の発表時期を考えると、村上春樹もまた、この「不確実」という時代の空気をどこかで意識していたのではないかと想像します。
世界は、確かなものとしてそこにあるのではなく、揺らぎ続けるものとして存在する。そんな共通項を思いました。
作中、ガルシア=マルケスのマジックリアリズムに触れてくる。まさか、村上春樹氏はマジックリアリズムだったのか?と。違うな、「現実だけを書いているわけではない。しかし幻想を書いているわけでもない。」
じゃあ 何を書いてるのかしら?
そこに ポストモダニズムにも触れてくる。
そもそも「現実とは何か」が決められない。
そのあたりが、目指すところなのでしょうか?
「僕の思う壁の中」
-
Posted by ブクログ
作家・村上春樹が集めたTシャツコレクションの本。テーマ別にコレクションを紹介したもの。そもそもコレクションを意識して集めたものではなく、立ち寄ったところでの衝動買いや記念品、頂き物など自然に集まったものがほとんどらしい。中には、海外で著者の本の販促用に作ったTシャツもあるようだが、本人はこういうものは着れないと言っている。気軽に読める写真集で、こういう趣味の世界もあるのだなと思った。
自分も未使用のTシャツは数枚持っている。若い頃に旅先で記念に買ったもので、それぞれ想い入れがあるので捨てられない。ダンボールにしまってあるが、壁に飾ると日焼けするし、着ると変色したりボロボロになってしまう。Tシャツをコレクションするのは難しい。