村上春樹のレビュー一覧
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Page Turnesで三宅香帆さんが紹介していた本書。村上春樹としては数少ない「女性が主人公」の小説で、今再読するとフェミニズム小説であったことに気づくと。
今の時代に初めて読む私にとっては、村上春樹のフェミニズムとしてすんなり入ってくるけど、これを1993年に書いたと思うと、その視点の鋭さに驚かされる。
特にラストの「眠り」。歯科医の夫にかわいい子ども、幸せを絵に描いたような家庭の妻が心の闇に堕ちていく。イメージ的には、フワフワしはじめてグニャグニャになって最後飲み込まれるみたいな。村上春樹調の美しい文体が故に、ホラーのような恐ろしさを感じる。
全体的にどう理解すれば良いかわからない -
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村上春樹の旅行記。色んなとこに行く。
①イースト・ハンプトン(アメリカ)
②からす島(無人島・山口県)
③メキシコ
④香川県
⑤ノモンハン村(モンゴル)
⑥アメリカ横断
⑦兵庫県神戸市
戦争や震災、麻薬カルテルなどシリアスな面もあったがどこに行っても冷たいビールは美味しそうだった。あとうどん。
旅先では、目でしっかり色んなものを見て、頭の中に情景や雰囲気や匂いや音なんかを、ありありと刻み込むことに意識を集中し、とにかくそこにある現実に自分を没入させることがいちばん大事。
いちいち写真を見なきゃ姿かたちが思い出せないようなことって、そもそも面白い生きた文章にはならない、良い考え方。 -
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ネタバレエッセイが面白かったので購入して読んだが、あまり心惹かれる小説ではなかった。
高校時代の完璧に調和の取れた5人の関係は、性的な欲望を抑制したことによる緊張をはらんでおり、それに耐えかねた1人が、主人公を犠牲にすることで自己の保存を図った。と言うのが、主人公が至った結論である。左様ですか、という感じである。なんとも現実味が無い。
小説全体を通して斬新な言い回しや比喩が散りばめられており、断片的には頷ける洞察もあった。しかし、極めて衒学的というかスノッブというか、ちょっと他の人とは目の付け所が違うぞ、と言いたげな調子だし、何か深淵なことが描かれているような雰囲気を出している割に、読後には驚くほ -
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【2026年9冊目】
クロニクルは終わりに向かって走り始めた。これはぼくの、あるいは声を失った少年の、はたまた一人の獣医師の、もしくはやり遂げられなかった中尉、または手紙を書き続ける少女の記録だ。妻を取り戻すため、痣を抱えたぼくが目指す終着点とは――ねじまき鳥クロニクル第三部完結編。
また、ナチュラルに井戸に入り込むやんって思ったんですけど、井戸って、イド、つまり「無意識の領域で本能的な欲求や衝動を司る部分」とかけてるんでしょうね、これは気づかない私が鈍かったです。とはいえ、あまりにもナチュラルに井戸の底で座り込むものだから、この先の人生で井戸の底で過ごすのが趣味の人に巡り合っても、「村上春 -
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多分、この本を読むのは3度目。
それなのに、毎回初めて読んだような気持ちになる。
私の記憶力が悪いから
と言われればそれまでだけど。
最初に読んだのは20代前半。
オシャレな雰囲気にのまれていた。
次に読んだのは30代。
学生時代の夏休みを振り返る僕に何となく共感した。
そして40代後半の今。
こんな言葉が並べられていたんだと驚く。
レーゾン・デートル。
今では良く使われるこの言葉に、私は20代の頃触れていたんだと知る。
その意味もよく理解できず、読んだことすら忘れていた。
僕の回想を通じて語られる、女の子との思い出やお金持ちへの感情。嘘か本当か分からない牛の胃の内容物や父親の靴磨き -
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ネタバレ【2026年8冊目】
妻が家を出ていったらしい。なんの心当たりもない僕は途方に暮れ、結果として井戸の底に座り込んだ。頭上に見える半月、見えなくなってからの真の闇。妻はどうして出ていってしまったのか、小さなショルダーバッグとクリーニング店から回収した衣服だけを持って。「僕の周りには女性が多すぎる」――ねじまき鳥クロニクル第二部。
シンプルに可哀想って思いましたが、だからといって、「ちょっと考えごとしたいから井戸の底に下りるか」とはならないし、危機感がなさすぎる。なんで間宮中尉の話聞いた後にそんな決断できるんだ。
主人公から欠落しているものが、もともとだったのか、それとも加納姉妹の出現によっ -
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【2026年7冊目】
弁護士事務所を辞めたぼくは、専業主夫として日々を過ごしていた。正体不明の女から電話を受けたり、いなくなった猫を探して路地裏に行くとカツラのバイトをする女の子に会ったり、謎の姉妹の身の上話を聞いたり――僕の人生は少しずつ変容を見せようとしていた。
全く覚えてないのですが、再読です。「村上春樹さんの小説って、よくパスタ茹でてるよな〜」とか思いながら読み始めたら初手から茹でて笑ってしまいました。あと、サラダもよく作りますよね。
第一部を読み終えましたが、物語の行き着く先がどこになるのか全く予測がつかなくて、ぼくこと岡田亨と一緒に不思議な心地で物語を辿っていきました。
間宮 -
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映画がやたら有名だが、未視聴で読んだ。
(よくパッケージに採用されている、オードリー・ヘップバーンが肘をついている写真くらいは知っている)
登場から退場までホリーらしい自由奔放さで、周囲を振り回しつつも結構な人が好いてくれるという、まさに物語のメインヒロイン。
解説にて訳者は、ホリー=オードリー・ヘップバーンという認知度が高すぎて、原作のホリーはまた違うので、あの映画の写真を表紙にしないで欲しいと頼んだらしい。
実際読んでみて、オードリー・ヘップバーンは容姿として完成されすぎており、大人っぽい。
原作では19歳の少女として、行動は大人の模倣というか、なんらかのキャラクターを演じているように発 -
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ネタバレちょいと“界隈”で、村上春樹が話題なのと、翻訳家として知る柴田元幸との対談はおもしろそうと、長野湯田中の古本屋で、というか、古民家を再利用したフレンチレストランの奥の和室に古本コーナーのある、ちょっと面白いお店で見つけたもの。
柴田氏の翻訳は、近年ではエドワード・ゴーリーの絵本の訳者として目にするなどしていて、実は、もう大御所の、なんなら鬼籍に入られているような方かと思っていた。本書を読んで、存命なのはもとより、村上春樹より年下なんだと驚いたりもした。
本書は、柴田が自分の大学の学生たち、若手翻訳者などとのセッションに村上春樹をゲストに招いて、翻訳とは、文章とは、といった日本語の表現に