村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏が語る、
アメリカ文学のカリスマにして伝説の女性作家の第一作品集。
キッチン・テーブルでこつこつと書き継がれた、
とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな十篇。
巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。
アメリカ文学、ヘミングウェイに続きグレイスペイリー。
訳が村上春樹。
10篇の短編集なのだが、
通して思った事が、この人が書く話は、取り立てて特別な出来事を書いていない事が印象に残る。
だけども、読んでいて面白いし、何処か哀しみや憂いを含んでいる。
10篇のうちいくつかの感想を書く。
・さよならグッドラック
ある女の子の叔母が昔の話を語るお話。
叔母はある劇場の俳優と不倫をしていて、
その辺の経緯を昔話のように語る。
ヴラシュキンと言う名の俳優。
終盤、彼にとって人生がリハーサルのような物だったのねとローズおばさんが語る。
不倫はお互いのポジション設定が難しいのだろうなとか思った。
・淡いピンクのロースト
別れた旦那と子供を引き取った奥さんの話。
これもまた、男女の考え方の違いと言うべきか、
不思議な雰囲気でありながら、あたかもそれが当たり前の様に繰り広げられる。そういった構成を作り上げる事に圧巻しました。
愛の為とはなかなか言えないもんですよ。
・コンテスト
ユダヤ人の彼女とその男の話。
クイズに答えて賞金を手に入れる話。
これもまた独特の雰囲気がたまらなかった。
ホント言葉でこれだと言い表せられないような感覚が冴えわたっていると思う。このお話も結構好き。
・変更する事の出来ない直径
チャーリーと言う男が、裕福な家庭の女の子に手を出しちゃう話。
チャーリーの冷静具合とひねくれた感じが、なぜだか親近感があった。
女の子の父親とチャーリーのやりとりなんかを読んでいると、若干笑える。
・そのとき私たちはみんな、一匹の猿になってしまった。
下町で世界平和を維持する為に科学実験を行う科学おたくの青年の話。
彼は、イメージ的に頭のキレるガキ大将みたいな感じで、
仲間が自然と出来上がって最終的には毒ガスを作ってしまう。
イッツィークと言う猿は彼曰く、父親と猿との間に生まれた子供らしい。
よって彼の兄にあたるらしいが、真相は分からん。
読んでいて、不気味な感じがあった。
まぁ実の兄が猿って言う設定が不気味なのかもしれないけれど。
これはまた再読したらまた新たな発見がありそうな一冊でした。 -
Posted by ブクログ
最初のページを見たときに「え」と思った。
普通の文章ばっかりの本を想像していたら、本当にびっくりしてしまう。
安西水丸さんのイラスト、イラスト、イラスト。
それも子供の頃に垣間見た、50年代〜60年代の「アメリカ」を連想する様な、しゃれていて、それでいて片意地の張らないイラスト。
(でも書かれているアイテムは、森永のキャラメルだったりするんだけど)
村上春樹のショートショート(エッセイというよりなんかこういう感じがするなぁ)も、一遍一遍、レイアウトや文字のフォントやポイントが変わっていて、そのショートショートそれぞれの内容も全部関連ないし。
そして、安西さんのイラストとの関係も、「関係ない?」と思って見てると‥「いや、そうでもないかもしれない‥」と勘ぐってしまう程度に関わっていそうで、「読む」というより「見る」という感覚に溢れた一冊でした(村上の作品を読んで、イラストを描いたのかどうかは、巻末の対談で判明します♪)。
うん。楽しかった。
個人的にはこれは「文庫」の体裁より「書籍」の体裁のものが見たかったな〜などと思ったけど、残念ながらワタシが「村上春樹」を認知した時には、文庫のものしか手短な書店にはなかったのでした。
でもきっとこの本の書籍版は、おしゃれで、でも手にした人が構えずに楽しめそうな本じゃなかろうか。 と想像してみたくなったりして。
そういえば一カ所、面白くて思わず声を上げて笑ってしまった所があったんだけど、ラストの落ちを見て、残念だーと思ってしまった。本当だったら、ものすごくすてきでかわいいエピソードだったのにな。そのエピソードが、この世界のどこかで本当に存在していたら、こんなにすてきな事はないと思ったのだ。それくらいかわいかったな〜(ワタシの中では)。
でも、ワタシの中ではそう思っていよう(笑)。 -
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現実だろうが、ちょっとズレた異世界だろうが、文章でつづる登場人物たちの生活に面白さがあると思いました。そういうところは、毛色は違っても、ジブリ作品にも言えることですね。異世界、異世界という言うけれども、村上春樹フィルターを通すと現実はそう見えるのかもしれないです。
(今この本を読んでいることは運命的であるのだが、そうなると、この本の内容に、今の僕に必要な啓示か何かが隠されているのだろうか。…わかりません。まだ、ね。
それに、「あった」とも「なかった」とも言いません。それによって何かが損なわれてしまいそうだからです。面白い、楽しい、それで充分じゃないですか。ね。) -
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正直言って、本書で紹介されているミュージシャンの作品を好んで聴かないので(決して嫌いというわけでなく、あくまで現在はという意味で)、あまり楽しめないかと思っていたんですが、読んでいるうちにそのミュージシャン自身や彼が作る音楽の物語が、立ち上ってくるように感じられてきて、それぞれのミュージシャンの項がひとつの短編小説のように読めました。
特にブライアン・ウィルソンの項はとりわけ美しいです。
小雨の降りしきるワイキキの夜、僕はステージに立つブライアンを待っている。
語られるビーチボーイズの歴史。
イノセントなポップソングを歌っていた幸せな時代から、ブライアンがドラッグに溺れ、バンドが崩壊していった悲しい時代・・・
そのキャリアの中で数々のものを失っていったブライアンだけども、今また、僕の前で歌っている。
この、やむことのない雨が降るワイキキの夜に。 -
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女は散漫で思いつくままに喋るから、話があっちこっちに飛ぶ、なんて云われます。ええ、思いあたりますとも。この小説も筆者の思考の流れるままにひょいと飛躍するところがあるので、ぼやっとしてると置いてきぼりを食らうことがあります。でもちゃんと帰ってくるから大丈夫です。
そんなわけで、時代とか社会背景とか民族がなんちゃらとか、そういう問題はいっさい置いといて、ようは50年代のガールズ・トークだと解釈すると、もろもろ腑に落ちました。原題は“The little disturbances of man”なんですけど、訳者の村上春樹センセイは「女の人生の煩いのモトはたいてい男だからね、フフフ」といいたいのかもしれません。
もしあなたが、親しい女ともだちと週末の午後のお茶会に、小説より奇なる人生のちょっとした煩いをとりとめもなくおしゃべりする習慣があるなら、グレイス・ペイリーという新しいメンバーのための椅子を用意してあげてください。 -
Posted by ブクログ
村上春樹と松村映三の辺境・近境 写真篇を読みました。村上春樹のコクのある文章と松村映三の味のある写真で構成された10年以上前の旅行記でした。二人のコンビネーションが他の土地に旅行したときのわくわく感を醸し出していて、面白い読み物になっています。ところで、村上春樹はSF作家である、という意見を聞きました。確かに考えてみると私の気に入っている「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」や「アフターダーク」「海辺のカフカ」などはSFと言っても遜色のない構成になっています。語り口が独特で読みやすいので、純文学系のように錯覚してしまいますが。まあ、面白く読めて、何か考えさせられる小説であれば、どの分野であっても大歓迎な訳ですが。
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村上春樹の音楽エッセイ集。
音楽はとても個人的なものなので、周りの評価がどれだけ高くても、自分の感性に合わないものは好きにはなれない。
たとえ、それが自分の好きな作家が愛する音楽だったとしても同じことです。
そういう意味では、好きな作家の音楽エッセイを読むというのは、ちょっぴり勇気が必要かも・・・などと、思いながら読み始めました。
しかし、「音楽についてそろそろ真剣に、腰を据えて語るべきではないか」という帯書きのとおり、その真摯な文章に最初から引き込まれます。
村上作品の中には、色々な音楽が挿入されているし、知識が豊富であることは周知の事実かもしれませんが、この本で取り上げられている音楽やアーティストは、本当に幅広い。
そこに、新しい出会いを見つけるも良し、旧知の音楽について語られる内容に共感するも良し。
いずれにしても、読み終わった後に、音楽が聴きたくなることは確実です!