村上春樹のレビュー一覧
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「この本知ってる?」「何年か前に、本屋さんで見かけたけど買わなかったんだよね」という会話をして数日後、自分の本棚のすみっこに収まっているのを見つけた。あのとき、「人生のちょっとした煩い」というタイトルに惹かれる自分がちょっといやだなと思って書店の棚に返したつもりだったのに。
冒頭の初期作品は、ユーモラスでいきいきした印象。作家の書く喜びが前面に出ていて、そのワクワク感に同調して楽しめる。差しこまれる言葉のイメージが鮮やかで、ハッとさせられるのも心地よい。最後の2編はちょっと難解でぶっとんでいる。ひとつ読み終えるごとに、ほっと一息つきたくなる満足感。 -
Posted by ブクログ
J.D.サリンジャーの『The Catcher in the Rye(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』は野崎孝訳「ライ麦畑でつかまえて」で親しまれてきたのだが、2003年に村上春樹が翻訳権を持つ白水社からあらたな訳で『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として出版することとなった。
その翻訳に関わる経緯や翻訳中の解釈を対談を通じて解説しているのがこの書。
村上春樹は、どっぷりとこの作品に浸っていると言うよりも、少し離れた視点から眺めているようだが、それゆえに非常に深く見通している感がある。
ジョンレノンを射殺したマーク・チャップマンや、レーガン元大統領を狙撃っしたジョン・ヒンクリーについては”短絡的”な読者と切り捨てている。
村上春樹訳の『The Catcher in the Rye』は現代においては読みやすく、それ故に感じる批判もあるんだけども、この『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』を読むと、また村上春樹訳も読み返してみたくなる。
この本は、訳者村上春樹と柴田元幸(東京大学文学部助教授)と編集者の対談で、より深く『The Catcher in the Rye』を楽しめるようになっている。
また、フィッツジェラルドもかなりの部分で解説に登場してくるので、併せて読むといいかもしれない。
語り尽くすことが難しい(し、その必要もない)この『The Catcher in the Rye』は読者の個に帰するところが大きいと思う。そういう点では「you」についての訳と解釈の語りは特に興味深かった。
この本『翻訳夜話2 サリンジャー戦記』では、村上春樹と柴田元幸の他に、村上春樹が『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に載せることができなかった「訳者解説」が収められている。出版契約において、サリンジャーは訳本に解説などを掲載することを拒否しているからだ。
また、柴田元幸の「アメリカ文学史の中に『The Catcher in the Rye』を位置づける」という試みのもと描かれた『Call me Holden』が差し込まれているが、これも秀逸。あらたなホールデンの語りとなっている。
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【出版社/著者からの内容紹介】
サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の新訳を果たした村上春樹が盟友柴田元幸と、その魅力・謎・真実の全てを語り明す。
永遠の青春文学、J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の新訳を果たした村上春樹が翻訳の「盟友」柴田元幸とともに、その魅力と真実、新訳の「目玉」、小説作法のあり方、さらには特異な作家サリンジャーその人まで、縦横に語り尽くす。ホールデンが語りかける「君」とは誰か?小説のエンディングは何を意味するのか?〈『キャッチャー』の謎〉の全てがここにあります。訳書に収録できなかった「幻の訳者解説」も併録。
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【目次】
ライ麦畑の翻訳者たち まえがきにかえて 村上春樹
対話1 ホールデンはサリンジャーなのか?
・「君」ってだれだ?
・地獄めぐり
・「あれよあれよ」と
・『キャッチャー』にたどり着くまで
・怖ろしい小説
・ホールデンはどこにいる?
対話2 『キャッチャー』は謎に満ちている
・アントリーニ先生再び
・ホールデンと少年カフカ
・ハック・フィン、カポーティ、フィッツジェラルド
・反成長小説
・ホールデン語
・勝ち組でも負け組でも
・「インチキ」から遠く離れて
・しゃべりまくって逃げる
・回転木馬の「善」
・ イノセンスから愛へ
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』訳者解説(村上春樹)
Call Me Holden(柴田元幸)
あとがき(柴田元幸)
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Posted by ブクログ
これは先日レビューを書いた
「翻訳夜話」の第2段として
出版されたもの。
しかも今回はタイトルにあるように
「サリンジャー」キャッチャーインザライ
つまり、「ライ麦畑でつかまえて」
に、ついてエンエンと語ったもの。
そもそもホントはこれが読みたくて、
翻訳夜話から読んだようなもので、
話は遡ること3年前の夏。
初めて村上さんの訳で
キャチャーインザライを読んだ
所まで戻ります。
正直キャッチャーはぼくには
難解過ぎて、読みどころが
全然分からないまま空中に
放り出されたような感覚で
しがみつくように最後まで
読んだことをよく思いだします。
そこで、最後の砦として
「訳者後書き」を楽しみに
歯を食いしばって完読した所、
最後のページには
「一身上の都合により訳者後書きは
掲載できませんでした」
とのアナウンス。
がちょーん
この本を読んで分かったのですが、
むか〜しの契約で、キャッチャーの
後書きは書けないことになっていたそうで、
仕方なく、この本に再録したとのこと。
という訳で非常にありがたいやら何やらで
3年越しでようやく後書きを読むことが
できました。
それに加えて、村上さんと柴田さんの
サリンジャーをめぐる考察付きで、
ようやくライ麦畑の読みどころが
よく理解できました。
という訳でまた時間をつくって
キャッチャーインザライを改めて
楽しみたい次第です。
読むのにかかった時間:3時間
こんな方にオススメ:ライ麦ファン必読 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏が語る、
アメリカ文学のカリスマにして伝説の女性作家の第一作品集。
キッチン・テーブルでこつこつと書き継がれた、
とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな十篇。
巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。
アメリカ文学、ヘミングウェイに続きグレイスペイリー。
訳が村上春樹。
10篇の短編集なのだが、
通して思った事が、この人が書く話は、取り立てて特別な出来事を書いていない事が印象に残る。
だけども、読んでいて面白いし、何処か哀しみや憂いを含んでいる。
10篇のうちいくつかの感想を書く。
・さよならグッドラック
ある女の子の叔母が昔の話を語るお話。
叔母はある劇場の俳優と不倫をしていて、
その辺の経緯を昔話のように語る。
ヴラシュキンと言う名の俳優。
終盤、彼にとって人生がリハーサルのような物だったのねとローズおばさんが語る。
不倫はお互いのポジション設定が難しいのだろうなとか思った。
・淡いピンクのロースト
別れた旦那と子供を引き取った奥さんの話。
これもまた、男女の考え方の違いと言うべきか、
不思議な雰囲気でありながら、あたかもそれが当たり前の様に繰り広げられる。そういった構成を作り上げる事に圧巻しました。
愛の為とはなかなか言えないもんですよ。
・コンテスト
ユダヤ人の彼女とその男の話。
クイズに答えて賞金を手に入れる話。
これもまた独特の雰囲気がたまらなかった。
ホント言葉でこれだと言い表せられないような感覚が冴えわたっていると思う。このお話も結構好き。
・変更する事の出来ない直径
チャーリーと言う男が、裕福な家庭の女の子に手を出しちゃう話。
チャーリーの冷静具合とひねくれた感じが、なぜだか親近感があった。
女の子の父親とチャーリーのやりとりなんかを読んでいると、若干笑える。
・そのとき私たちはみんな、一匹の猿になってしまった。
下町で世界平和を維持する為に科学実験を行う科学おたくの青年の話。
彼は、イメージ的に頭のキレるガキ大将みたいな感じで、
仲間が自然と出来上がって最終的には毒ガスを作ってしまう。
イッツィークと言う猿は彼曰く、父親と猿との間に生まれた子供らしい。
よって彼の兄にあたるらしいが、真相は分からん。
読んでいて、不気味な感じがあった。
まぁ実の兄が猿って言う設定が不気味なのかもしれないけれど。
これはまた再読したらまた新たな発見がありそうな一冊でした。 -
Posted by ブクログ
最初のページを見たときに「え」と思った。
普通の文章ばっかりの本を想像していたら、本当にびっくりしてしまう。
安西水丸さんのイラスト、イラスト、イラスト。
それも子供の頃に垣間見た、50年代〜60年代の「アメリカ」を連想する様な、しゃれていて、それでいて片意地の張らないイラスト。
(でも書かれているアイテムは、森永のキャラメルだったりするんだけど)
村上春樹のショートショート(エッセイというよりなんかこういう感じがするなぁ)も、一遍一遍、レイアウトや文字のフォントやポイントが変わっていて、そのショートショートそれぞれの内容も全部関連ないし。
そして、安西さんのイラストとの関係も、「関係ない?」と思って見てると‥「いや、そうでもないかもしれない‥」と勘ぐってしまう程度に関わっていそうで、「読む」というより「見る」という感覚に溢れた一冊でした(村上の作品を読んで、イラストを描いたのかどうかは、巻末の対談で判明します♪)。
うん。楽しかった。
個人的にはこれは「文庫」の体裁より「書籍」の体裁のものが見たかったな〜などと思ったけど、残念ながらワタシが「村上春樹」を認知した時には、文庫のものしか手短な書店にはなかったのでした。
でもきっとこの本の書籍版は、おしゃれで、でも手にした人が構えずに楽しめそうな本じゃなかろうか。 と想像してみたくなったりして。
そういえば一カ所、面白くて思わず声を上げて笑ってしまった所があったんだけど、ラストの落ちを見て、残念だーと思ってしまった。本当だったら、ものすごくすてきでかわいいエピソードだったのにな。そのエピソードが、この世界のどこかで本当に存在していたら、こんなにすてきな事はないと思ったのだ。それくらいかわいかったな〜(ワタシの中では)。
でも、ワタシの中ではそう思っていよう(笑)。 -
Posted by ブクログ
現実だろうが、ちょっとズレた異世界だろうが、文章でつづる登場人物たちの生活に面白さがあると思いました。そういうところは、毛色は違っても、ジブリ作品にも言えることですね。異世界、異世界という言うけれども、村上春樹フィルターを通すと現実はそう見えるのかもしれないです。
(今この本を読んでいることは運命的であるのだが、そうなると、この本の内容に、今の僕に必要な啓示か何かが隠されているのだろうか。…わかりません。まだ、ね。
それに、「あった」とも「なかった」とも言いません。それによって何かが損なわれてしまいそうだからです。面白い、楽しい、それで充分じゃないですか。ね。)