【感想・ネタバレ】最後の瞬間のすごく大きな変化のレビュー

あらすじ

村上春樹が挑む、伝説の女性作家、傑作短篇集。

たった3冊の短篇集で、50年の間、圧倒的支持と尊敬を受けつづけている、まさに稀有な作家、グレイス・ペイリー。NY・ブロンクス生まれ。
ストレートにタフだけれども、温かく、ちょっとはぐれたおかしさがたまらない。どの場面も熱い血が脈打っていて「いったんはまりこむと、もうこれなしにはいられなくなる」(訳者あとがき)
「長距離ランナー」「父親との会話」等名品17篇収録。村上春樹訳で贈る、20世紀最高の女流作家、アメリカ文学シーンの生きた伝説。

※この電子書籍は1999年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

最初はタフな(登場)人物達だな、と読んでいてちょっときつかったのですが、だんだんそれが気持ちよさに変わりました。読んだ後、気持ち良く鍛えられて、自分まで少しタフになれたような感覚になれました。

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2016年01月29日

Posted by ブクログ

男は「生きる」が、女は「生活」する。
だから男のやるバカは笑えるけど、女のやるバカは本気で、ときにイタイ。
それが主婦だったりすると生活感が圧倒して本気度がいや増ししちゃって。
この本に出てくる女のひとたちは、みんな必死に生活をしながら、一途に本気のバカをやっている。
それがなんともかなしくておかしく、書き手の目線の密着度のせいかあはれにまで到達してしまっている。
意外なことにわたしはそんな女性が好きなんだなあと気付かされてしまった。
何度も読み返す。泣き笑い笑い泣き。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

現存するアメリカ人作家のなかで、最も敬意を抱かれているグレイス・ペリー。最初はかなりかじりにくい文章で(逆に噛めば噛むほど滲みでてくるのですが)、もちろん物語としての面白さは確実です。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

 村上春樹の翻訳は柴田元幸直系というか、基本的にシンプルに読みやすいものというイメージがある。本作は短編集ということで、お前も読みやすそうだと思って手に取った。そうだろ?
 しかし本作の原文は難解ともいえる文体だそうで、村上春樹の翻訳もそれに呼応してかすらすらとは読みにくい感じにはなっている。
 ところがやはり非凡な視点を持った短編集である。お前みたいに骨のある小説が読みたいやつはぜひ手に取るがいい。

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2019年12月26日

Posted by ブクログ

外国のホテルの部屋でたまたまつけたテレビでやっている、とてもドメスティックで上質な昼ドラを見ている感じ。アメリカの複雑に絡まった移民文化に由来する難解さと普遍的な下世話さを軽やかに縒り合わせた語り口が滋味深い。寡作だという作者の続く作品も読もうと思う。

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2015年06月07日

Posted by ブクログ

文庫が出てすぐ買っていたんだけど、あまりにもかけ離れていて、数ページではじき返されてしまった。8年たった今気まぐれに読み始めると、すごく近く感じた。自分も大人になったんだーと風呂で読みながらぼんやりと感じた。

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2014年03月16日

Posted by ブクログ

〈人生のかすかな苦みが込められた短編集〉

著:グレイス・ペイリー

日常のちょっとした苦み溢れる出来事をウィットにとんだ素晴らしい文章で優しく包んだ短編集です。

まれに耳にするような話や身近な出来事、それらはビターなものであるはずなのに何かすごく愛しい。

村上春樹曰く、そんな「中毒性のある」「もうこれなしではいられなくなる」文章。

たった三作の短編集で文壇のトップに居続けているペイリーおばあちゃん、感服しました!

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2012年03月05日

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内容(「MARC」データベースより)
「自由な半時間ができると、窓辺に座る。彼女は待っているのだ。」 たった三冊の短篇集で、40年間、圧倒的支持と尊敬を受け続けている作家グレイス・ペイリーの不思議な小説世界を村上春樹訳でおくる短篇小説集。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

私にはまだ難しすぎたかも知れない。整ってるんだけども「え、これ誰?いつ出た?」みたいなところが多かったんですが、私だけでしょうか。カタカナ苦手だなあと改めて思った。ところどころ怖かった。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

本国で非常に根強い人気のある作家なのだそう。(訳者によれば)。難解、とかいうことらしいが、それは用いられている語句の問題というより、語り口やいくつかのレベルでの空白によるのではないかと思う。小難しい、という感じはしない。短い一遍を読み終えた後、読み流すことも可能なのだけれど、腑に落ちない何かがあってつい読み返してしまうといった味わいの本。個人的には近年の収穫である。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

時々だしてきて、一つ二つ読んでみる。が、なかなか読み込めなくて同じ章を何度読んでいることか。
でも、やっぱりこれはこの先も続くのだろう。

一つ印象に残ったところ
人の生涯なんて、実はそれほど長い期間ではないのだ。そんな短い人生の中で相手の男の資質を知り尽くすことなんてできないし、あるいはまた相手の言い分の根底にたどりつくこともできやしないのだ。

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2021年05月02日

Posted by ブクログ

# 最後の瞬間のすごく大きな変化

面白いか。面白いとはいえない。
最初の方は読みにくかったが、だんだんペースに慣れてきて、最後の方はテンポよく読めた。
しかし終わってみるとほとんどのディテールは思い出せない。部分的に思い出せることもあるからそれでいいのか。
筋を追って順に語れるということはない。そもそも筋というものがあるのか。
でもいろいろな状況や考え方や観念が書き込まれているのは確か。
きちんと理解することは簡単ではないだろう。

移民、黒人、ユダヤ人、未婚の母、娼婦など、差別される人々が中心に登場する。
それぞれに苦労を抱えているが、みんな何となくあっけらかんと生きている。

“男たるもの、亭主だろうが、息子だろうが、下宿人だろうが、朝食の席には髭を剃ってつくものです” p.34
“人はすべて、現実の人間であれ架空の人間であれ、人生においては決定されていない運命を享受する権利を有しているのだ。” p.232

## 必要な物
よく分からない

## 負債
思い出を語ることによって楽になる。
友人の物語を代わりに語る。
ってこと?

## 道のり
思い出せない

## 午後のフェイス
フェイスが老人ホームに入っている父母に会いに行く。
フェイスは父親に逃げられた母子家庭で、忙しい生活のためなかなか会いに行けない。
フェイスが帰るとき、父が駅まで送ってきてくれる。
比較的長い作品でたくさん書き込まれていたがほとんど覚えていない。

祖父
パパ
ダーウィン夫人:ママ。老人ホーム「ユダヤの子どもたち」に入っている
チャールズ:兄。子どもがいる
フェイス:子どもがいる
ホープ:妹。子どもがいる
イェンタ:老人ホームに入っている人
リカルド:フェイスの最初の夫
シリア・ヘーゲルシュタイン:老人ホームに入っている人
エッシー・シャイファー:老人ホームに入っている人
スロヴィンスキー:ダーウィン夫人の隣人
テッシー:スロヴィンスキーの娘。フェイスの幼なじみ

## 陰鬱なメロディー
思い出せない

## 生きること
友人のエレンが死ぬ

## 来たれ、汝、芸術の子ら
キティーとその時の夫ジェリー・クックが何やら話している。
ジェリーのビジネスについて。
タイトルは最後の方でラジオから流れる歌詞。

## 木の中のフェイス
フェイスは木の上に上り、母親たちが公園で話しているのを聞いている。
自分も会話に参加したり、息子と話したりもする。
デモを行う人々が近くを通りかかったりする。

## サミュエル
電車の中でふざけていた黒人の子どもたちの内、サミュエルが電車から落ちて轢かれて死ぬ

## 重荷を背負った男
隣の妻と不倫した男が、その夫から妻とともに撃たれる。
命は助かり、夫は逮捕される。

## 最後の瞬間のすごく大きな変化
アレクサンドラの家に若い男が転がり込む。
男はタクシー運転手で、アレクサンドラを客として載せたときに知り合ったのだろう。
男は何かのコミューンに属していて、音楽をやっている。

## 政治
母親のグループが公聴会で歌を歌う

## ノースイースト・プレイグラウンド
公園で未婚の母たちがあつまって子どもを遊ばせている

## リトル・ガール
田舎から出てきた少女が、黒人の男に声をかけれれてレイプされ、窓から落ちて(落とされて?)死ぬ

## 父親との会話
父親に小説を書いてみせる。ダメ出しをされ、第二稿も提出する。

## 移民の話
ジャックの父母がどのようにしてポーランドからニューヨークに移り住んだか

## 長距離ランナー
フェイスがマラソンを始める。
走っているうちに子供の頃に住んでいた地域を通りかかり、子供の頃に住んでいたアパートにしばらく住まわせてもらうことになる。
戻ってきて家族との生活を再開する

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2018年10月24日

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簡潔な言葉で強く語りかけてくる文体に、これまでにない衝撃を受けました。

芸術はあまりにも長く、人生はあまりにも短い。
難解な文章を目の前に、しみじみとそう思う。

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2017年04月22日

Posted by ブクログ

原典はとても悪文らしく、春樹氏も翻訳に苦労したらしい。ところどころ素敵だな、と思えるところはあっても全体的には確かにとても読みにくい。タイトルのつけ方のセンスがとてもよい。

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2015年12月21日

Posted by ブクログ

 「たった3冊の短編集で、50年の間、圧倒的支持と尊敬をうけつづけている、・・・」と裏表紙に記載あり。P307村上春樹の解説には「グレイス・ペーリーの物語と文体には、いったんはまりこむと、もうこれなしにはいられなくなるという、不思議な中毒性があって、・・・」この作者にはまるには読み込みが足らない(笑

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2014年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初全然だめで、しばらく積読状態が続くも、終盤にかけてやっとなんだかわかってきて、わかってくるとこれがもうものすごくいい感じ。ひょっとすると最初に訳者解説から入ると入りやすいかもしれない。

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2014年05月18日

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タイトル、表紙、村上春樹訳というところに惹かれて学生の時に買ったけど、あまりの読みにくさに度々挫折。
その癖の強さときたら、村上春樹もあとがきで「一度や二度読んだくらいでは、なかなか内容が理解できない」と記しているほど。
アメリカの歴史に詳しければもっと読みやすいのかな。

19世紀アメリカの貧困層から中流層の人々の日々の暮らしの目線から社会や時代について語られているのだが、文体が非常に奔放で、筆者の意識と言うか目線があっちこっちに飛んでいく感じでついていけない。
フェイスの話だけはかろうじて理解できた。

もう一度読みたいとは思わないけど、「これは!」と思う表現が多かったのも確か。

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2014年03月25日

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物語って読む時の年代で、印象が変わる。20代で読んだ時はよくわからなかったが、もう一度読んだらうんうんと少し伝わった。でも、作者の心に近づくにはまだ十分じゃない気がする。この本は3年後にまた読みたい。どんな風に変わるかな…。

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2014年02月23日

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生ける伝説的な女流作家の短編集。文章の流れがそのまま意識の流れになっているようなリズムで、読み進めるのは簡単だけど意味をつかまえるのは相当に難しい。何度か再読して真価を発揮しそうな作品群です。

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2011年09月14日

Posted by ブクログ

「人生はうまくいかないものだ」
とすれば
「『人生はうまくいかない』という点において僕の人生はなかなかうまくいっている。」
そういう草食的人生観を落ち込んだ時に処方することがある。
屁理屈である。でもどれだけ立派な理屈だって人生を語ることはできない。

この本から得たものはほとんどないと言ってよい。おそらく、年をとるごとに色を変えていく小説ではないかと思う。ああ、10年後の僕よ、この小説をどう思う?ハタチってのはやっぱりガキなんだろうか?なぁ。もう結婚した?

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2009年12月22日

Posted by ブクログ

このタイトルだけで小一時間、思考できる。笑
訳は村上春樹さんなのですが、何故か内容よりも彼のあとがきが一番印象に残っています・・・。(酒井)

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

そんなに読みにくくない文章、のはずなんですが、意味が難解。むずかしいです。何回も何回も読み返してようやく理解できる。全部読むのに相当骨が折れました。それでもまだいまいち深くまで解ってないんじゃないか、これと思ってしまう体たらく。まだまだ読者としての力がついてないぜ自分!村上春樹さんの役ということですが、全然村上の匂いがしない。表題作の「最後の瞬間の〜」のタイトルが凄く好きなんですが、想像していた内容と全く違っていて逆に面白かったです。何故か「しぬまでにしたい10のこと」的な内容を想像していたんですね。この人はああいう内容の文章は書かないだろうなぁ。1年後ぐらいに再読して、どれくらい自分に読解力がついたか計りたいです。すんなり理解できたら絶対面白いと思うんだけどなぁ…。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

自伝とも言われる「主人公・フェイスもの」と「同時代的民間伝承」(村上氏による言葉を引用)で構成される短編集です。
 なかでも私は「フェイスもの」のラストに収録された「長距離ランナー」が印象的でした。
 274ページに、「私は既に人生の多くの時間を、寝ころんだり、立ち止まったり、じっと眺めたりすることに費やしてきた。だから走ることにする」という文章があります。この文章に私は彼女の意欲の表れを感じました。そして、私もがんばろうと思える勇気をもらいました。人生は長い。
作品を通して、生きることの困難さを考えさせられました。うまくいかないことばかり。汚いことばかり。遠回りばかり。しかしそれはやむをえないという、彼女がもたらす作風のざらざらした読み応えの奥にある意味。
 外国という舞台で読むとまた日本の作品とはひと味違ったリアルさがそこにありました。なんだか怖かった。

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2009年10月07日

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