村上春樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
第三の新人と呼ばれる作家たち・・・恥ずかしながら、ほとんど読んだことがなかった。
代表作といわれるものが一作、読んだことがあるかどうか。
『翻訳夜話』を楽しく読んだので、この本も読んでみようという気になったのだが・・・なかなか馴染みのない作家の、しかも初めて聞くような作品ばかりで、びっくりした。
もう少し、本文の引用があるとうれしかったけれど・・・
読んでいくと、どこか、村上ワールドに重なるような何かをもった作品たちなんだな、と思わされた。
特に、達者とされる作家(吉行淳之介や丸谷才一)の中に、ぎこちないなにか、ごつごつしたなにかを感じ取る、こだわりのようなものを感じた。
巻末についている、編集者による読書案内も、丁寧に作られていて、好感が持てた。 -
Posted by ブクログ
村上春樹さんはホントのように嘘のお話を書くのが上手い方だなぁ、ということをしみじみ感じ入りました。マイ・スニーカーストーリーなどは「えええ!?嘘でしょ?でもホントかな?」と突っこみながら読んでいたらやはり嘘だったので大笑い。ユーモアの中に知的センスと哲学がさりげなく含まれていて、誰かがそう簡単に真似できるような類のものではないとおもいます。安西水丸さんのイラストにも同じことが言えますね。真似できそうで出来ない、親近感をもたせながらどこかきわめている。そんな感じ。忘れかけていた遠い日の夢を呼び覚ましてくれる、大人のポエム、大人のメルヘン集ともいえる本だと思いました。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ6話の短編。
いくつか挙げると、
「TVピープル」は身近なところに忍び寄る謎の生命体の話。彼もTVピープルになってしまったのだろうか・・・。
「我らの時代のフォークロア」は時代のせいなのか交わることのない彼と彼女。彼に残されたのは脱力感や無力感であり、そんな終わり方がよかった。”深い哀しみにはいつもいささかの滑稽さが含まれている。”
「ゾンビ」は短すぎる世にも奇妙な物語。短い。でも、最後の一文がここまでが序章であり、この後に続く長さを物語っていておもしろい。
「眠り」は眠れなくなる女の話。不可解な現状にありながら日常を生きていくことによる自分の変化。心理描写が上手いです。ただ、どうにも結末がよくわからない。彼女は何に揺らされているのだろうか。
どれも自分の立っている場所がわからなくなるような不安定さを感じさせる謎の多い奇妙な話ばかりです。 -
Posted by ブクログ
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を訳した時のことなどを両氏があれこれ語っている内容ですが、
これは一粒で何度もおいしいような本ですね。
『キャッチャー』の巻末に理由あって載せられなかった訳者解説は読む価値があるし、
サリンジャーという人物にまつわる話もおもしろいし、
翻訳の奥深さを感じさせてくれる内容だし、
アメリカ文学の解説としても分かりやすい。
家に眠ってる米文学本でもぼちぼち読んでいこうと思いました。
『キャッチャー』の原書と野崎訳の『ライ麦畑でつかまえて』も家に眠ってるので、
時間があれば読み比べてみようかな~。
時間があれば、ですがね。
バルトは「作者の死」なんて言ってますが、
文学についてあれこれ言うのは、それはそれで楽しいことですよね。 -
Posted by ブクログ
一冊丸々キャッチャー・イン・ザ・ライであり、一冊丸々サリンジャー。こういう深い読み方ができたら、本をよむのもずっと意味のあることになるのだろうな、とおもう。サリンジャーという人間の人種的背景や育ってきた環境も含めてこの大ヒット小説を読む。この本の強い強い吸引力のようなものの元を明らかにしていく。すごく分かりやすいと同時に、色々と言われているけれどとりあえずもう一度キャッチャーを読みたい、ホールデンに会いたい、と思わされた。こんな風に本が読めたらなあ、こんな風に好きな本について話せたらなあ、と思わざるを得ない。良き本を書く人は同時に良き読み手でもあるし、わたしに介入の余地はないし、とりあえずキャッチャーを読みます。