村上春樹のレビュー一覧
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珍しくまえがきがあり、今作に関しては必要だと思い書いたと著者。
ドライブ・マイ・カーは数年前に映画化し、カンヌ国際映画祭などで話題になった。
映画は未視聴だが、読んでみると確かに映像化しやすそうなわかりやすい話だった。
個人的にはやはりイエスタデイが面白かった。
元々関西に住んでいた等ではないのに、阪神タイガースが好きすぎて関西弁を勉強し、ホームステイまでして、完璧な関西弁を習得した東京人。
大学受験に失敗したのがきっかけで幼馴染と疎遠気味で、友人に対しいい女ではあるからお前デートしてみろとすすめてきて、彼女も承諾して一緒に映画を観に行くなど、なんだかノリが面白い。
関西弁は親しみやすさやユーモアもあって、憧れる気持ちもわかる。 -
Posted by ブクログ
風の歌を聴けに続き今作でも派手な出来事は起こらなかった。
それでも読みながら感じる心地良さは村上春樹独特の文体があってこそだろう。
1つの何気ない出来事に対する比喩が多く、物語の進むスピードが遅いため時間の進みがゆっくりに感じる。現実離れした壮大な世界観であったり、細かな比喩表現によってその作品の世界観に入り込むことがほとんどがだが、本作を呼んでいる時は現実世界とは違う時間の進み方といった点で世界観に入り込むことができた。
内容的には"僕"のパートがお気に入りだった。突如現れた双子やピンボール倉庫など少し現実離れした要素が多く楽しめた。
"鼠"パートは一見地味に感じたが、街を出る決心をした鼠が今後どうして行くのかが気になる。
ゴルフ場のシーンや霊園のシーンなど霧がかった情景を思い浮かべるシーンが多く、鼠がしていたように濃霧の霊園の中で車でヘッドレストに頭を預けて1人静かに読んでみたくなった。 -
Posted by ブクログ
フランス映画のような作品。
物語の展開よりもノスタルジックな雰囲気を楽しむもの。個人的にちょうど全てに意味と効率を求められるような現代に疲れていたので、明確なメッセージを押し付けられない作品には心地よかった。責任に縛られず掴みどころなく漂うのも若物の特権かもしれない。
直接関係はないが、今とは違う時代背景にも思いを馳せた。便利すぎず思考する時間のある学生は今より随分と大人びているし、現代の方が社会的な自由度を得ているはずの女性が、この時代の方が自立しているように感じる。これはおそらく小説の中の話だけでは無いはず。
村上春樹のデビュー作と知らずに急いで手に取った一冊。何度か挫折して敬遠していた村上春樹デビューとなった。 -
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【2026年101冊目】
小説家、村上春樹が紡ぐ他人から聞いた話や自分の話。半ズボンが理由で離婚した両親を持つ女性、謎の電話と嘔吐に悩まされ続けた男、バカンス先で出会った車椅子の親子との話などなど、ちょっぴり不思議な話が詰まった短編集。
短編集なので、ふとした瞬間にページをめくってゆっくりと読みました。小説家でいることで、他人が話をしてきたがるそうで、他人の話を聞くのが苦ではない作者が蒐集した話が詰まっている、かと思いきや、作者自身が体験した話も入っています。あと、「珍しくセックスに纏わる話出てこないな〜」と思っていたら、途中からがっつり出てきて「やっぱりな」と思いました笑
ジャンルの異なる話が詰まってて面白かったです。村上春樹入門としてもいいかもしれません。 -
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雨が降る日。雨音は思考をそこに止める。雨粒は何事をも停滞させてしまう。仕方がない。
今日は何もしたくないなと思って本を読んだ。以前のようには、ままならない思いとか、べつに気取っているわけではないけれど、ページをめくる指先ひとつを見てみても、そこに介在する意識、無意識の狭間のような、掴みどころのない感じ。わかりやすい感情とか、伝わりやすい思いとか、ときに面倒で、重くてしようがない。
“初恋”の、記憶をこえた“幻影”だなんて都合がよくて、それを自覚しているから悩みは尽きないだなんて。たとえば混雑する駅の構内や、波のように人々が行き交う横断歩道とか、よくも誰とも衝突せずに皆は器用にやり過ごすものだと、ぼくなんか、半ば呆れているけれど、想いの強さや深刻さ、まるで“幻影”を目の当たりにしているみたいな気分がするし、それらの“衝突”を避けるべく、あるいは、それが“幻影”なら、あえて衝突させてみたり。人混みでの“やり過ごしかた”と似ているような気もするし。きっと、皆は上手くやり過ごせてる、やり過ごさざるを得ない、ということかもしれません。
「最後の恋と決めた。それを初恋と呼ぶ」
adieuは『ダリア』という曲で、そう歌う。
幾度か重ねた末の“最後の恋”が“初恋”だなんて。そう。きっと、めぐりめぐった恋だからこそ“初恋”だったと気づくんだ。
初めての恋を大切にしまい込む。そんな気持ちは理解できるけれど、思い出したくない“初恋”があり得ることだって、同じく理解できる。それが“恋”だと自覚がなくても、最後を意識したことで、想うことができる“初恋”だって、きっとあると信じたい。
それだけに“初恋”って深くて、重いもの、なのかな。執着せざるを得ないほど手離せないものなのかな。ぼく自身なら、どうだろう。覚えているかな、初恋なんて。無自覚のまま忘れてしまったものか、それとも忘れようとして、うまい具合に忘れたものか。どちらにしても、さて、ぼくは覚えていないのです。
後々振り返り、あれを“初恋”にしておこう、そんな“初恋”の記憶もあったような、なかったような。忘れてしまったのなら、それはそれでつまらないものですね。
兎にも角にも男性の、“その”時点での“振り返り”。そう。そこで振り返ってしまうから、男性ってダメなのよね。女性は、さっぱりとケリをつけてしまうのに。
結局、いまの場所から動けない、踏ん切りがつかない。いわゆる男性の“業”ということなのでしょうか。こんな“オチ”でいいのかな。 -
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村上春樹のデビュー作、
短そうだったので軽い気持ちで。
大学生の主人公が夏休みに帰省した数週間の出来事が描かれる。
海が近くにある港町、
近所のバーで旧友とビールを飲んで、
夜は父親の靴を磨き、
レコード屋で働く女性と出会い、
何の事件もない一夏が淡々と描かれる、ノスタルジーを感じるような小説だった。
私の実家の近くには夜にいったら必ず旧友がいてしっぽり飲めるようなバーはないし海もないけど、少しだけ帰省したくなった。
旧友が、この夏が終わったら主人公は東京に戻っていってしまうことに、自分だけ地元に取り残されている感覚を味わっている所に寂しさを感じた。