村上春樹のレビュー一覧
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大学生の時には全く良さが分からなかったフィツジェラルドにあらためて出合うことにしました。
村上春樹が選ぶ10の短編と、エッセイが3編収録されています。
基本的にどの話もお金持ちの坊ちゃん、嬢ちゃんのやり取りで、感情の振り幅も行動の振り幅も「えっ?」て言うようなもので、あまり感情移入しきれない。
しかし、「冬の夢」でも「バビロンに帰る」でも出てくる喪失には共感して「あー…」ってなる。
そうして読み終わった後に、少し重い気だるさと諦念が残る。
フィツジェラルドはどこかで「人生は失っていく過程だ」みたいなことを書いているらしいけれど、そうだったら、この一編一編は一つ失って、人生を一つ進む、成熟の -
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著者がアメリカの生活について綴ったエッセイ本。猫好きということあって、猫の話題が多く、猫の写真もいくつか収録されている。ちなみに本人によると、外国で小説を書いたからといって、作品が変わるわけではないという。実際『ダンス・ダンス・ダンス』や『ノルウェイの森』で、どの部分をどこで書いたかを本人は覚えていないらしい。一日のスケジュールとして、午前は仕事をして、その後大学のプールで泳ぐか一時間ほど走るなどして、その後昼ごはんを食べる。午後は小説以外の仕事を進めたり、町で散歩したり、買い物をしたり、日常的な用事を片付ける。夕食後にだいたい本を読みながら音楽を聴く。こんな感じで健康的な生活を送っている。
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Posted by ブクログ
注文を受けて肖像画を描くからには
発注者…つまりモデルの満足する肖像を描かなければ
話にならないのである
人間の心には光と闇の両面があって
いずれも個人を形成する重要な部分であるが
できれば闇の部分は見たくない・見せたくないと
誰しもが考えている
闇の部分を率直に描かれては
大抵の人がイヤな気持ちになってしまうし
かといって光の部分ばかり強調されたのでは
なんだか嘘っぽくなるだろう
光と闇のバランスをうまく調整することが肝要である
この話の主人公は、そこの匙加減が絶妙だった
モデルが持っているセルフイメージの
バイアスをとらえるのが、天才的に上手かったのだと思う
しかし彼は妻と別れたことで
自 -
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ネタバレジャケデザインの素晴らしさから、ジャズの話をするという観点を捻った作品。自ら、「DSMのデザインしたレコードジャケットを手に取って眺めているだけでなんだか人生で少しばかり得をしたような気がしてくるのだ」と。好きなジャケットを眺めて、心を映す鏡のように見ている。そんな瞬間はレコード好きにはあるんだと思う。実際、自分も好きなジャケット、キースジャレットとかビルエバンスのジャケを見えるようにして置いているから。
エッセーのようで、でもレコード評のようで、村上さんはきっとクラッシックな、トラディショナルな演奏が好きなんだろうと思う。随所に見られるコメントが、そういうふうに感じさせてくれる。まるで、対話 -
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1980年代、週刊朝日に連載されたエッセイを収録。現代と異なり、郊外では昼間に男が一人でぶらぶらしていると、周囲から白い目で見られる、銀行員に自身の職業は自由業や文筆家だと言ってもなかなか伝わらなかったなど、80年代の日本社会の雰囲気を感じられる。また映画鑑賞についても語る。B・C級映画は名作映画と違って良い点を自分で努力して探さなければ時間を無駄にしてしまうので、緊張感をもって鑑賞しなければならない。しかしそれがかえって記憶に残りやすいのだという。さらに読書の時間が減ったことについても興味深いことを語る。この時代から読書時間の減少について問題となっていたが、村上春樹は単に読書以外の活動に時
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ネタバレ小説ではなく、聞いたままの話を文章にうつしかえたものの集まり。(作中ではスケッチと表現)。
確かに、何かの示唆だとかテーマ性を持っているだとかいうお話達ではない、だけど面白い。
ただ、下記の文章は刺さりました。
『自己表現が精神の解放に寄与するという考えは迷信であり、好意的に言うとしても神話である。少なくとも文章による自己表現は誰の精神をも解放しない』
『自己表現は精神を細分化するだけであり、それはどこにも到達しない。もし何かに到達したような気分になったとすれば、それは錯覚である。人は書かずにいられないから書くのだ。』
お気に入りは、
ある女性の母が、ドイツで半ズボン(レーダーホーゼン)を -
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猜疑心の強い読者なら
当然抱くであろう2つの疑惑がある
①妻を寝取ったのは親友の雨田政彦ではないか?
➁免色渉はただのロリコン爺じゃないのか?
もちろん主人公はそんなこと少しも考えなかった
それはお人好しだからというばかりではない
肖像画の制作を生業とする主人公には
人間の本質を見抜くことについて強い自信があるからだ
そんな自分が疑いを感じない以上
彼らの態度に嘘は存在しないのである
傲慢と言えなくもないが
そのような鈍感さを保てなければ
人間関係なんてやっていけないのだろう
そんな彼の前に「イデア」と名乗る騎士団長が現れたのは
夜中うるさい鈴の音の発生源を探り当ててのことだった
イデア、すな -
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全777ページと膨大ではあるが、インタビューをまとめたものなので読みやすく、サクサク読むことができる。千代田線でばら撒かれたサリンの掃除をして亡くなってしまった方だったり、ほぼ植物状態だった女性などは衝撃だった。
また、症状が出てくるのが遅く、なんとか同僚らと出会うことを期待してバス停まで行き女性社員と会うも事件のことは知らず貧血か何かだと思われていたが、偶然にも地下鉄事件を知っている男性社員が通りかかり、救急車を呼ぼうにも手が回らないということでタクシーで病院へ行き、事なきを得たという話が、その偶然通りかかり男性視点と、助けられた男性視点があって印象的だった。p397〜418
全編通して読ん