平田オリザのレビュー一覧
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定年間近のこの歳になっても、青春を描いた本を読むのは楽しいです。
もしかしたらこの本は学校の演劇部員にとってはバイブル的なものかな?著者もそこは意識して書いたのではないでしょうか。所々に「ここはこうした方がいいよ」とか「ここにも注意した方がいいね」とか、読者に丁寧にアドバイスしてくれているような場面が数多く散りばめられているのは演劇に疎い私でも感じました。
以前に読んだ、佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」が中高の陸上部員の間で広く読まれた(たぶん)のと同じように、プロ・アマ問わず演劇の世界で頑張ろうと考えている中高生にとってはうってつけの一冊だと思います。
もちろん、演劇に興味がない人 -
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現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。
撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを -
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中高生向けの授業が増えそうなので、参考になりそうな事例を学ぼうと購読。以前からパフォーミングアートで地域活性や人材育成などに取り組んでいる平田さん。今回は子供たち向けに、これから何をどのように学ぶと良いかについての論を展開している。といっても、子供向けというよりは、子供に向き合う大人や、新人を採用する組織に向けたものでもあり、とても参考になった。世界最高クラスの知識はネット学習でいくらでも学べる時代であり、そういった形式知の多寡よりも、「クルー型」(見知らぬ仲間、多様な仲間と、いかに物事を成し遂げていくのか)を見るようになるだろうと。そうすると、このような機会を小さな頃から持つことが大事なのだ
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「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。
そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。
この「まえがき」と白井聡と -
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内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た -
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第一章 コミュニケーション能力とは何か?
p20
日本のこれまでの表現教育というものは、教師が子どもの首を絞めながら、「表現しろ、表現しろ!」と言っているようにしか見えない。そういう教員は、たいていが熱心な先生で、周りも「なんか違うな」と思っていても口出しができない。
私は、そういう熱心な先生には、そっと後ろから近づいていって肩を叩いて、「いや、まだ、その子は表現したいと思っていませんよ」と言ってあげたいといつも感じる。
p25
では、その「伝えたい」という気持ちはどこから来るのだろう。私は、それは、「伝わらない」という経験からしか来ないのではないかと思う。
p28
若者全体のコミュニケー -
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まず著者群の面子を見て、少なくとも既知の名前において、それぞれの発信することばを追いかけている人が多いことを確認。演繹的に、その他の著者についても、かけ離れた立場にはないであろうと判断。あわよくば、今後の人生指針になり得る存在と出会えることも期待。前置き長いけど、そんな考えの下、発売前から気にかけていた本書。日本学術会議任命拒否問題についても、どこかでちゃんと読まなきゃと思っていたけど、その欲求も本書で満たされた。中曽根時代から綿々と受け継がれて今に至るってのも、何とも根深くて嫌な感じ。そのあたりまで遡って、ちゃんと勉強しなきゃ。あとは、己でさえままならない自由の取り扱いを、更に次世代に伝える
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