平田オリザのレビュー一覧
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ネタバレ高校の演劇部のお話。
学校に新しい先生、吉岡先生がやってくる。「学生演劇の女王」だったそうだが、演劇には関わりたくはないらしい。さおりは先生を何とか説得。県内強豪校からの転入生中西さんも加わり、適材適所で戦力は一気にアップ。が、吉岡先生は演劇に向き合う中で自分も芝居を本気でやりたいという気持ちが高まり、戦線離脱。残された演劇部は全国大会出場の切符を掴めるのか!
最初は。「・・・だけど。」ばかりの煮え切らないさおりの思考回路を見せ続けられて辟易する。が、吉岡先生と出会い、どんどん芝居にのめりこむ中で変わっていく。思考回路が前向きに変わっていく。まわりのみんなにも優しくなれる。何かに夢中になれるって、ほんとに素敵。この本はそれを追体験させてくれます。
もちろん、人生いいことばかりではありません。おじさんになってこの本を読むと、「大人になるということは、人生のさまざまな不条理を、どうにかして受け入れる覚悟をすることです」という滝田先生の言葉についつい頷いてしまいます。
でも、さおりは吉岡先生との不条理な別れを乗り切ました。「十八歳の私たちの前には、無限の星空が広がっている。」とても爽やかな気持ちになれる一冊でした。 -
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2020年の8月くらいに書かれた内田樹さん編のアンソロジー。
コロナをへてポストコロナに対しての中高生・大学生
に向けて30代・40代・50代・60代・70代の著作者が
指針というかメッセージ集です。
前書きの内田樹さんの『各代の著作者からの想定読者にたいするいうべき言葉は『ごめんなさい』』という部分は非常に
心に残る内容です。
20人の人からの言葉のなかで、一番よかったなあと思うのが、今回は平川さんでした。
昨年の8月と現在(2021年1月)とはまたフェーズが
変わってきているコロナの状態ですが。
やはりいろいろな矛盾が表出してきているなあと
思います。
たしかに、自分の息子も含めて、若い人たちには
今後この世界の変えられるものを、正しく変えていき
少しでも多くの人たちが生きやすい世の中にして
いってもらいたいと思います。 -
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平田オリザ(1962年~)氏は、国際基督教大卒の劇作家、演出家。劇団「青年団」主宰。東京藝大アートイノベーションセンター特任教授、大阪大学コミュニケーションデザインセンター客員教授、日本劇作家協会理事なども務める。
芝居がかったセリフではなく、日常的な話し言葉で舞台を演出する方法を体系化した「現代口語演劇理論」を提唱し、その手法は、現在の演劇界に大きな影響を与えた。
本書は、演劇(戯曲)を創るためのハウツーから始まって、現代日本における演劇の役割までを論じたものであるが、その論旨の展開はスリリングかつ見事で、演劇の世界の門外漢である私にとっても示唆に富む内容であった。
(ノウハウ以外で)印象に残った点を以下にいくつか挙げてみる。
◆近代芸術には「伝えたいこと(=テーマ)」があったが、現代芸術(演劇)の特徴は、「伝えたいこと」がなくなってしまった点である。ただ、「伝えたいこと」はないが、「表現したいこと」はたくさんあり、それは、世界とは何か、人間とは何かという、自分の内側にある混沌とした想いであり、換言すれば、私たち人間の精神の振幅、心の在りようである。
◆演劇というドラマの本質は、運命に立ち向かうにしろ、立ち向かわないにしろ、もともとは卑小な存在であった一個人が、直面する問題の中で右往左往し、人間として変化を遂げていくことである。シェイクスピア劇や忠臣蔵が長く舞台化されてきた理由もそこにある。
◆日本語は、その歴史的背景から、「会話(Conversation」(既に知っている者同士のお喋り)には向いているが、「対話(Dialogue)」(他人と交わす新たな情報交換や交流)には適していない。「対話」が重要な要素を占める戯曲を書くという行為は、日本人・日本語の「対話」の形を探るという意味も持つ。
◆演劇とは、一人ひとりが持つ「コンテクスト」(ここでは、一人ひとりの言語の内容、一人ひとりが使う言語の範囲を指す)を擦り合わせる(共有を目指す)行為である。それには次の3つの側面がある。①演劇とは他者との「対話」を中心とするものであり、舞台上の演劇作品の内部において、コンテクストの共有が必須である。②演劇を創る上で、俳優と劇作家・演出家の関係において、コンテクストの共有が必要である。③表現者と観客の間でコンテクストが共有されてはじめて、「リアル」な演劇となる。
◆上記の「コンテクストの共有」とは、「対話」を通じて行われるものである。一個人があるときは表現者になり、あるときは観客となる、「参加する演劇」を文化としていた古代ギリシャにおいては、①~③は地続きに繋がっており、常に対話を通じたコンテクストの擦り合わせが行われ、それが民主制の維持に役立っていた。
翻って、現在の世界を見ると、自国(自分)第一主義、他国(他人)についての想像力の欠如が蔓延っているが、その根本的な原因のひとつは、まさに「コンテクストの共有=対話」の欠如である。本書の示す演劇の意義というのは、予想を超えて大きな問題の解決に繋がっていると言えるのかも知れない。
(2020年5月了) -
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ネタバレ<目次>
序章 未来の漁師に必要な能力は何か?
第1章 未来の大学入試(一)
第2章 未来の大学入試(二)
第3章 大学入試改革が地域間格差を助長する
第4章 共通テストは何が問題だったのか?
第5章 子どもたちの文章読解能力は本当に「危機的」なのか?
第6章 非認知スキル
第7章 豊岡市の挑戦
終章 本当にわからない
附録 22世紀のための問題集
<内容>
劇作家、演出家で大学の教授をしている平田さんの本。豊岡市や奈義町での実践や経験から、演劇型の入試、入社(公務員)試験を実施してきているので、その言葉には深い裏付けがある。第5章は、新井紀子さんの『AI~』への反論なのだが、読んでみての感想は半々。新井さんの論は、学校現場にいて実感していることだったので、腑に落ちた。平田さんの論も筋はある。また平田さんたちの「練習問題」は採点をどうするのか?発想は面白く、効果も覿面だと思う。しっかりとしたルーブリックがあればいいのかな?また、入試の「公平性」と「公正性」の指摘は納得した。多様な人材を採りたいのなら、「公平性」は邪魔になる。公正的にすればするほど、金太郎飴のような人材しか集まらないからだ。これからの世界に必要なものは「多様性」なので、そこは考えなければならないのではないか? -
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「人口減少社会の未来学」が面白かったのでこちらも。
前書きから示唆に富んでいて面白い。
雇用保険受給者や生活保護世帯の人たちが平日昼間に劇場や映画館へ来てもらって、それに対して「社会とつながっていてくれてありがとう」と言える社会を作っていくべきではないかと。
また子育て中のお母さんが子供を保育園に預けて昼間に芝居や映画へ行っても後ろ指さされない社会を作ろうと。
これはちょっと条件反射で「子供を預けてまで…」と私も思ってしまいがちだけど、そもそもの頻度によるし、複数の子供を育てるとなると育児期間も超長距離マラソンだから息抜きとしていたもと違う形で社会とつながることもとても大事よね。
地方に必要なのは文化的な豊かさという主張に、実際に生まれた町を出てきた身としてとても同意。