「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」 山中伸弥 羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏
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京都産業大学での講演・対談シリーズ「マイ・チャレンジ一歩踏み出せば、何かが始まる!」
...続きを読む。どんな偉大な人にも、悩み、失敗を重ねた挫折の時があった。彼らの背中を押してチャレンジさせたものは何だったのか。
「BOOK」データベースより
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すごい人たちの講演と対談をまとめたものです。
山中伸弥さんと羽生善治さんが何となく好きなので買ってみました。
この講演・対談は大学で行われたものだそうです。
講演・対談の趣旨としては、
『最近の大学生たちは「あの人と自分は最初から違う人種」とか「あの人は特別だから」というある種の線引きを最初にしている。
なので「あの人のようになりたい」とか憧れをもつこと自体少なくなっているように感じられるけど、実は一流の人たちも自分たちと同じような人間で自分らとそんなに違わないんだよということを、若者にも知ってもらいたい』
みたいな感じです。
最近の若者が、っていうわけでもないと思うけどね。。
最近の若者をうみ出してきた最近の中高年がこういうおまじないを唱えて生きてきた結果、最近の若者がそれを受け継いでるだけで。。。
年齢問わず、今を生きる多くの人がある程度は当たり前に持ってる考え方なんじゃないかしら。
「あの人と自分は最初から違う」っていうのは真実でもあるのだが、都合よく線引きするにとても便利な言葉だと思う。
「あの人と自分は最初から違うから、自分には無理」という思考をいろんな場面で使うようになっちゃうと、あんまりよろしくはなさそう。
あと、相手が芸能人だと「芸能人なんだからこれくらい言われるの当然」みたいに、芸能人特別枠でバッシングすることもよくある気がする。
けど、私はこれも個人的にあんまり好きじゃない。
なんか、自分と違う枠で都合よく扱って、大事なことが色々見えなくなったり気づけなくなってく気がして。。
こないだワイドなショーで髭男爵の人が、一般人から浴びせられる辛口評価にたいして
「その厳しい目、自分自身の人生に向ける勇気ある? あるんやったらいいんですけど」
って言ってたんだけど、それよね。
なんか、他人を別枠扱いにして、自分自身のいたらなさや努力不足から逃げてんのはあんまりかっこよくないなぁと思うのよね。
まぁかといってストイックに生きるのはしんどいし、適度に活用するくらいならアリだと思うけどさ~。私だって時々「あの人は最初から違うわ」とか言うし。
ただ、使いすぎには気を付けたい。
話は戻りますが、本の内容について。
講演や対談を本におこしたものなので読みやすいです。
すぐ読めます。
そんで、グッとくる一言も多いです。
経験値をたくさん積んでる人は、経験値を集約して、極めてシンプルな理論を確立させてるなぁ、というのを全体を通して感じました。
またこのシンプル理論がなんともいい具合に響くのだ。
こういうシンプル理論は、40年近く生きてきた普通レベルの私でも多少あるんだけど、バラバラしてたいろんな経験とか知識の集合の中から共通項を発見するってなかなか面白いのよね。
世の理を発見した気になる、みたいな?
学者さんに将棋の名人、映画監督などジャンルは違うけど、その道を極めた人の話は面白い。
世界に名を成すような人だけでなく、近所のママ友とか、別の職種の友達とか、普通の人たちでも、話してみるとその人なりの仕事論とか、その人が見つけた真理とか垣間見えるときがあってすごく面白いなぁと思う。
偉人じゃなくてもさ、人の生きざまを知るってのはそれだけで面白いもんですよね。
家族も同じで、親の生きざまも意外と知らないから、年取ってから若い頃の話を聞いて新発見することもあるし。
うちのじいさんに至っては、亡くなってから実はバツイチだったって聞いて家族一同びっくりだもんね(笑)
この本のなかではそこまで各自の人生を掘り下げてるわけでもないので、「こんなすごい人も実は若い頃は普通だったんだ」と思うにはちょっと物足りない感はあるんだけど、でもやっばその人の人となりを知れるので面白いです。