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自分を把握し、他人とイメージを共有する、画期的な演劇入門! 現代演劇の旗手が公開する芝居のメカニズム台詞を自然体で話すコツとは? 俳優陣と演出家がイメージを共有する方法とは? 演劇的な感動はどうやって起きるか? 世界に広まる平田メソッドをわかりやすく説く。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
演出家が書く演技と演出について。 そもそもプレゼンとかコミュニケーションに役立つような何か知見がないもんかと手に取った本だが、期待以上に面白くて。 名作の条件とは「社会的テーマ」と「人間的テーマ」の両極がしっかり描けているかどうか。刑事ものでカツ丼が出るのは、刑事とか容疑者という社会的な人物がいる...続きを読む場面で「食べる」というきわめて人間的な行為を挟むことで、よりその人物たちの人間的な存在を強調するんだって。 最近みたフジテレビの「それでも、生きていく」なんかはまさにこれを象徴してて、被害者家族と加害者家族という究極な社会的テーマに、家族愛や人間の尊厳を掘り下げて描いていた。少し笑いの要素なども添えて。 俳優陣の演技力に加えて、こうした演出効果がうまかったんだなあと今更感心。今後映画やドラマを見る目がちょっと変わるかも。 演劇ってのは時間の流れの中の芸術だが、絵画にしてもこの本に書いてある様々な演出のさじ加減を意識することで、伝えたいものの幅が広がるような気がする。ビジネスにも通ずるところはある。 新しい気づきが多かったため星5つ!
何に、はっとしたかと言えば、『コミュニケーションの出発点は、「人それぞれ、言葉から受けるイメージが違う」という点にあると考えています。』というくだりだ。最近そのことばかりを考えていたから。自分が勝手に定義している言葉と、相手が考えている言葉は全く違うものであるから。それを「摺り合わせる」ためだけに、...続きを読むコミュニケーションをしているといっても過言ではないだろう。だからこそ、何をすると、どうなる、というイメージをあらかじめ共有していることは、虚構を本物に見せやすい。言葉にはそして、必ずコンテクストがついてくる。見えないコンテクストを見えるようにして、ことばにくっつけてやると、そこにシチュエーションが生まれる。ということらしい。 また、部分にわけるのではなく、複雑なものを複雑なまま記憶すること、の重要性について触れられていることにもびっくりした。まさに頭のよい子が育つ家は、これを狙っているから。人間というのは、細かい理屈で動いているのではなく、複雑なモノを無意識に同時並行に動かしたとき、いいものが生まれてくるようだ。これはつまり、理屈の通りが良い人が必ずしも、センスがいいわけではない、ということに通ずるのだろう。 いずれにしても、平田オリザという人が、これだけ自分の暗黙知を言葉にできることに驚いた。本当に。逆に言えば、普段からこれだけのことを意識的にはっきりと自覚しながら演出を行っているという事だろう。そういう人がいる、という現実に本当に驚いた。 自分の人生を演出する必要がある全ての人間に必読の一冊。
(01) 演劇は生きることそのものではないが,生きることに少し似ていると著者は締め括る.その似る姿は,この人間はあの人間に似ていながら,かつ互いに他者であり続けることに相似している.人間社会と個人生活を映し出す演劇ではあるが,それは観るものにとっても演じるものにとって,社会や個人そのものではないが,...続きを読む似たものとして舞台において提示されている.ワークショップの試みは,他者を通じて社会や個人を探る行為でもあり,そのものの延長に演劇があるとも言える. 著者の経験的な理論から近代演劇史に基づいた理論(*02)までが,テスト的なテキストを用い,ワークショップ成功のポイントを示しながら論じられていく.動作や言葉が織りなす他者との関係性がワークショップには現れており,その関係性に介入するのが演出の役割とも考えられ,同時にそれは社会の改革や個人のカウンセリングにも通じる手法でもあるのかもしれない. (02) スタニスラフスキーが俎上に,あるいは槍玉に挙げられる.また,ブレヒトの演劇理論についても触れられる.宗教とカルト,ワークショップとメソッドは,時に人生を壊し,社会を壊す危険性があることを示している.人は木になることはできないが,木を強制させられ,その強制に演者自らの意志を集中し,没入する危険は,演技という行為のどこかにいつも潜んでいる.ブレヒトの「なーんちゃって」という覚醒は,その洗脳や没入から救い出す手立てとして論じられていく.集団や社会の現代的な問題を視野に入れた指摘と言えるだろう.
演劇を長くやっている事のあるけど、あらためてなるほど、と思う事が多かった。ことばにするむずかさを感じる事もある中で、オリザさんのことばは端的でわかりやすくしてくれる。わかりやすく感じるのは演劇をやっていることもあると思いますが。
演出家平田オリザさん著作イプセン人形の家、チェーホフかもめ等の等身大の演劇により約140年前位に誕生した 演出家。漫画ガラスの仮面的スタニスラフスキー的内面探究重視演技か小劇的観客の感情移入を拒否するブレストのなーんちゃって演技かいい演技、いい演出とかよくわからない。
20代の頃によく演劇を観ていましたが、このような芝居を作る側のマニュアルを読むことで演劇への理解がさらに理解が深まると思いました。 プロではない学生演劇、翻訳もののお芝居も観たことがありますが、その時の違和感はこういうことだったのねと納得しました。 翻訳ものは単に役の名前がエリーだのトニーだのと日本...続きを読む人同士で呼び合うから違和感があるのかと思っていましたが、それだけではなく、この本でいうところの西洋のコンテクストと日本人のコンテクストは違うからなのですね。 脚本をつくり、役者とコンテクストのすり合わせを組み立てていく脚本家のお仕事の大変さもよく分かりました。
これはかなりタメになった。出来ればそのうち手元にしっかりと置いておきたいぐらい。平田オリザさんの戯曲は恥ずかしながら未読なのだけど、そのうち読みたいとは思った。
「ですから私たちは、主体的に喋っていると同時に、環境によって喋らされているのです。」 読もうと思った理由:プレゼンスキルの向上のため 大切なのは違和感なく話すこと。人それぞれに癖があり、また、自分が思っていることと相手が思っていることの間にある”相違”を意識しなければならない。話すほうも聞く方も人...続きを読む間的存在であるので、違和感なく話をするには手順が必要である。
仕事柄の興味もあって読み始めた。でも実は平田オリザさんの演劇を観たことがない(笑)。まあその分、この本が自分にとって面白いかどうかという点で読めたけど。。。 前半ちょっとかったるかったけど、中盤から終盤は面白かった。しかしこの本の色分けで言うと現代演劇というのが僕は多分あまり好きではないような気が...続きを読むするので、職業的な関心がなかったら面白いと言えるかどうかは微妙かも。 ただ、演出ってなんなの?演技ってなんなの?という疑問を、全くもったいぶらずに、全く先入観なしで、平易に語ろうという姿勢は好感。とっても公平で冷静で謙虚であろうとする意志が感じられて、それは恐らく編集姿勢も含めて後味の良い読書でした。
演技・演出の世界なんて知るはずもないが、興味を持って読んでみた。 今後も役に立ちそうなことを3つに挙げてみる。 ・イメージを共有する際は、共有しやすいものからしにくいもの移っていくとよい。 ・観客にいくつかの想像の選択肢を与えて想像を膨らませたなら、答えを見せてその想像力を閉じてあげなくてはいけな...続きを読むい。その際、観客が予想した通りの答え、予想しない答えを提供できる。 ・社会的な話によりリアリティを感じさせるならば、人間的な話を間に挟む。逆もまた同じ。対比することで、現実味が増す。
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