Posted by ブクログ
2016年11月01日
劇作家平田オリザ氏の著書。
氏が専門とする文化芸術からアプローチして、この国の大きな方向性とその国民の持つべきメンタリティをしっかりと示してくれている。文化芸術論から統治論まで昇華させることができるひとは平田オリザ氏以外いないと思う。読んだあと、「そうだよなー」と思うひとは多いのではないだろうか。
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氏は、身の程をしっかりと理解しよう。話はそこからしか始まらないと言っている。国も自治体も、誰も彼も。自治体職員としては、豊岡市の取組みはとても参考になった。城崎温泉で有名な豊岡市であるが、氏が関わった城崎国際アートセンターは今では力ある劇団が国内外から殺到しているとのことである。その話の流れで氏は「これまでの「まちづくり」「まちおこし」に決定的に欠けていたのは、この自己肯定感ではなかったか」と述べ、豊岡市長がいつも「豊岡でいいのだ」という口癖を引用して、問題提起している。まさにそのとおりだと思った。自分がいる香川県でも地元のひとほど地元の名所に行かないし、説明できない。当たり前すぎて関心がわかないのだろう。しかし、それでは自己肯定感にはつながらないし、そういった考えを持つ大人の子どもは自分の地元に対して自己肯定感をどうやって持つのだろうか。まずは、しっかりと大人が「香川でいいのだ」と心の奥から思うことが大切である。そのための、施策をしっかりと打っていくことが肝要であろう。