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Posted by ブクログ
まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている。
――とは『坂の上の雲』の冒頭を引いての贋作だそうだけど、この本はこのフレーズで始まる。これから衰退していくしかない日本の、この先のいき方を示唆している。
「降りていく生き方」という言葉を聞いたのはほぼ10年前のこと。日本のあり方というよりは、身の丈に合った無理のない生き方をしていけばいいんだというような話だったという記憶があるんだけど、この本はそれを日本という国のあり方として考えようというもの。兵庫県の豊岡市とか四国学院大学とかオリザさんがかかわってきた好事例が紹介される。いずれも理想的で希望がもてるような感じ。ワクワクする未来がやってきそうな感じ。
「下り坂をそろそろと下る」ってタイトルはオリザさんが自分でつけたのだろうか。内容と合っていそうで合っていない。紹介されている事例は「そろそろ」でなく大胆に、しかも下っていない感じがするよ。むしろ上っている……いや、昇っている……っていうか閉塞した現代日本とは別の次元に昇っていると思う。下りか、上りか別次元かわからないけどまずは頭を切り替え一歩踏み出せ。そろそろとでもいいから。
Posted by ブクログ
筆者自身が述べているけれど、こういうことを書いた時点で怒り出す人がいる。
でも人口減少社会という、止めようのない、そして文字通り未曾有の事態を前にして、これまでと同様の方法論が通用すると考える方が明らかに理性的でないと思う。
だから私は、これからの日本が「下り坂」であることを認めようと思うし(厭だけれど)、下り坂に逆らって上ることができない以上(それができるのがタケコプター。出せるのはドラえもんだけ)、現実的にはその下り坂をいかに「負けしろ」を少なくして下るかという命題を立てざるを得ないと思う。
タケコプターを作りたい人がいてもいいし、そんな天才があらわれてくれることを切に、心の底から願うけれど(本当に私の老後はどうなっちゃんだろう?)、あくまで現実的な話としてタケコプターの出現に賭けるわけにはいかないだろう。
ただ思うにそれは「負け」ではない。筆者自身が末尾に記しているように、新しい景色に、新しい価値観を見出す作業が必要だということだろう。
パラダイムをシフトさせて、大きな混乱のないように、新しい地平に軟着陸していくこと。そういったことが求められているのだと、改めて感じた。
Posted by ブクログ
2017/11/20 下り坂をそろそろと下る 平田オリザ
日本は「文化立国」へ大きく舵を切らなければ、犠牲者が増えるだけ
体育会価値の時代は終焉、柔らかく・しなやかな社会を作りたい
しかし安倍政権は「復古」過去の栄光の時代に戻りたい
だがそれは時代に逆行する 社会の活力は生まれない
この五年の総括は「時代不適合の国家戦略」だった
次の時代を構想できないトップは総理の資格はない
国民が不幸になるだけ
堺屋太一さんの論であるが、20年経っても踏み出せない日本死屍累々
(1)工業立国ではない (サービス業が7割)
(2)成長無く、長い後退戦(撤退戦)
(3)アジア唯一の先進国ではない (中国の後塵を拝す)
不要なもの 原発 開発 オリンピック
1.地方創生
雇用を作れば若者がターンするというのは、コインの裏側
地方は人生を賭ける魅力に乏しい→人生の充実感を作る
東京を真似るのではなく、「世界レベルの魅力」を作り出す
2.女性の活躍
自己犠牲を強いるのではなく、自己実現を応援する
そもそも子供を作ることにマイナスが大きすぎる
お金ベースの人生設計上は子供がいない方が豊か
社会システムが現代に不適合 しかし誰も改革できない
Posted by ブクログ
劇作家・演出家の平田オリザさんが、各地での街づくりの実践を踏まえた、日本社会がどうあるべきかを提起した本でした。
真の地方創生を考える前提として提起された、3つの寂しさ。日本は下り坂を降りていくしか無いという現状認識が、そうだよね!と共感。
「もはや日本は工業立国では無い」「もはや日本は成長社会では無い」「もはやこの国はアジア唯一の先進国では無い」
そして地域活性化のために、箱モノやバラマキではなく「人と共に生きるためのセンス」である文化資本を育てなければならない、という主張が新鮮で光明が見える気がします。人をいかに育てるか、育つ仕組みをどうつくるかという視点が、なかなか持てない世の中なんだと気付かされました。
小豆島、城崎、四国学院大などの実践例に励まされます。
驚くべきは2016年の刊行にもかかわらず、今の世の中に鋭く刺さること。世の中はちっとも良くなってないのかもしれないですが、希望もあると感じました。
Posted by ブクログ
今後日本が成長していくことはないということを改めて実感した。また、そのことをきちんと受け止めて、新自由主義を脱却し、新たな産業構造に基づいて文化政策を打ち出していくことの重要性に気がついた。
作者の述べる文化政策や寛容と包摂の社会は決して情緒的・感情的なものに振り切ってない。
それは極めて現実的・合理的でいて、筋の一本通った主張だった。
地方創生や大学入試、文学作品、諸外国、演劇など様々な題材を取り上げる中で、これからの日本の在り方を一貫した姿勢で見つめ直している。
日本の衰退を勇気を持って受け入れ、耐え忍んでいくためには、芸術・文化の地位を高め、対話を行なっていくことが大切だという主張は、実に説得力がある。
「成長から成熟へ」の価値観の転換点に今我々は立っているのだと気付かされた。そしてそれに気づいていない(もしくは目を瞑っている)日本人のなんと多いこと。
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