平田オリザのレビュー一覧
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「あいつ、全然わかってねーな」
「いったい何を考えているんだよ」
街中でも職場でも、わかりあえないことから生まれる痛みは多い。
いや、他人事のように書いたが、告白すると私の頭のなかでも、冒頭のような攻撃的な言葉が浮かぶことがある。そういう言葉は「自分は正しい」ことを強く後押ししてくれる気がして、一種の高揚感さえ生むことがある。
わかりあえないことは、よくないことだと思っていた。
わかりあえる人とだけ、話せればいいと思っていた。
けれどもこの本を読んで「社会なんて、わかりあえないことだらけだ」と気付いた。
社会は、一人ひとりの人間の集合体だ。
みんな違って当然なのだから、わかりあえないのは -
Posted by ブクログ
仕事で面接をする時にコミュニケーション能力がある人が良いとよく言われるがこのコミュニケーション能力とはなんぞやと思いこの本を読みました。
内容は、コミュニケーション✕演劇と言う想定していなかった視点で展開されます。
しかし、その内容は、腑に落ちるものばかりでとても満足の内容でした。
コミュニケーション能力とは、国、文化により異なり、この違いを調整することができる能力である。
私の体験談としても、大学の時のバイトや卒業研究などで多くの知らない大人と会話をしました。
この経験があったから、今までに会話したことのない人と会話に抵抗がないんだと改めて感じました。
コミニケーション能力を鍛え -
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かなり身構えていた。私はマクベスを読むのをほんの数ページで断念した人間だ。演劇、戯曲、そういったものは自分と遥かに遠い世界にあると思っている。平田オリザ-劇作家、その文字を見て本当に私に読み進められる新書か自信をなくしてしまっていた。
その不安は、平田オリザの気さくな「まえがき」によって吹き飛ばされた。
ほんの少しだけ教育をかじった人間として、また企業に勤めてからほんの少ししか経っていないが人事に興味を持つ人間として、充分興味深い「まえがき」だった。
なにより「わかりあえない」ことから出立してみようという試みがよかった。理解するに難しくない語り口や例えで書いていてくれるのも、ちょっと苦手意識の -
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ネタバレおすすめ北海道に行くなら富良野に行ってみたい。
現在の自分が内面の問題ばかり見ていることに気付かされた。社会的問題やこれからの日本社会は成長しない成熟期へと向かっている。長く変化しない時代はきっと苦しい。その過渡期にいるのだと感じた。
しかし、辛い苦しいとばかり言ってられない。分かり合えないことからはじめよう。これからは、これまで多様性を受け入れられないことから、生きづらさを感じていた人々の多様性が力になる時代に変化している。そして、これまで以上に個人がわかりあうための能力が必要になるだろう。
本の厚みに騙された。演劇というワードから、ここまで話が壮大になるとは考えもしなかった。 -
- カート
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試し読み
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(2014/7/6)
リサイクル本、2001年の本ながら、2012年に四刷りされてる。
内容は、芝居に国や県、市の予算をつけることの必要性。
これを読んで昨年の大阪市橋下市長の文楽への補助金カットが思い出される。
私はどちらかというと橋下派。
税金なしに成り立たない芸術ならなくなってもいい気がする。
それより新しいものが生まれるエネルギーを削がないほうが大事な気がしてる。
ただ、同世代平田さんの言うことももっともで、じゃあ今の予算の使い方が国民市民を幸せにしているかといえばそれはまた別。
そもそも私はフリードマン派なので、一部の人間が金を集めて何かに使う、ということに懐疑的なのだ。
とは -
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2024年
鑑賞作品 No.19
現代の子ども・若者は本当にコミュニケーション能力が低いのか。その問いに一つの答えを出した本作。
真のコミュニケーション能力とそれを身につけるヒントを得ることができた。
子どもと関わるすべての人、
特に学校の先生に読んでほしい!
著者は、コミュニケーション学の専門家ではなく、心理学や工学の教授でもない。
しかし戯曲のプロフェッショナルである。
演劇という観点からコミュニケーションについて語るのは意外だったが、読むうちに、戯曲に精通する者でなければ気づかない視点にハッとした。
「相手の立場に立って考える」ということは大切なことである。それは誰もがわかってい -
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(2022/1/8)
2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。
日本の知性が集結している。多くの方が参加している。
読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、
もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。
この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。
私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。
一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮 -
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試し読み
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数年ぶりの再読。いま改めて読んで本当に良かった。この本好きだな。仕事で受ける社内のウザったい問い合わせに対しても優しくなれる。結局これって対話のプロセスなんだ。対話のプロセスを辿るってことはすなわちその前提に違う価値観とか背景があるということ。別に以心伝心にわかりあえなくていい。わかりあう必要もない。でも真摯に言葉を尽くして少しでもお互いを理解して歩み寄れるようになるためのプロセスを経ることは間違いなく重要。そう思えばいちいち回答するのもそんなに苦ではないような気もする。もちろん多少はイライラするけどそこは寛容に。対話のためのトレーニングの1つ。書かれていたとおり、日本語教育からは対話の目的・
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