あらすじ
作家と作品名は知っていても「未読」の古典。そんな日本近代文学の名作群を、劇作家・演出家の著者が魅力的に読み解く第一級の指南書。樋口一葉から鷗外、漱石、谷崎、川端、宮沢賢治、三島由紀夫らまで一挙50人に及ぶ名著を紹介。本を愛する読書人必読の書。
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Posted by ブクログ
これまで何気なく手に取り、理解出来たりできなかったりした日本の小説(文学)について、その系譜というか流れについてわかりやすく解説してある。こういう解説を探していたが、ようやく見つかった。
ここで取り上げられている本のうち、ざっと半分くらいは読んだことあるが、作家間の関係性とか、そういう作品が生まれる時代背景を知ることができた。読書意欲を改めて掻き立てられる、私にとって素敵な一冊となった。
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100分で名著を見て、オリザさんのおすすめをもっと知りたいと思い、購入!
期待通りの内容で、どの本も読みたくなった!
全部読むのが、当面の目標!
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 日本近代文学の黎明
第2章 「文学」の誕生
第3章 先駆者たち、それぞれの苦悩
第4章 大正文学の爛熟
第5章 戦争と向き合う文学者たち
第6章 花開く戦後文学
第7章 文学は続く
<内容>
朝日新聞の読書欄に連載した「古典百名山」を加筆修正したもの。高校日本史の授業で、近代文学史を教えるにあたって、作品の概要のみを簡単に話すしかなかった(もともと作品はほとんど読んでいなかった…)のだが、これを読むと、近代文学の歴史的経緯や各作家の苦悩がわかりやすく伝わり、近代文学を持ち込んだ坪内逍遥からして、「何を書けばいいかわからない」状態だったことがわかり、面白かった。それが夏目漱石あたりから、わかるようになり、大正期には「日本近代文学」が花開いたのだとも。もちろん漏れた作家も多数いるが(室生犀星や武者小路実篤など)、ネタとしては十分な分量である。
Posted by ブクログ
『小説神髄』坪内逍遥
一八八四年、二十代半ばにしてシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』の翻訳を出版した坪内逍遥は、翌八十五年、評論『小説神髄』を発表する。
小説の主脳は人情なり。世態風俗これに次ぐ。(中略)人情とは人間の情慾にて、所謂百八煩悩是れなり。
と坪内は宣言した。これから書かれるべき小説は、勧善懲悪ではなく、人間の心理(これを坪内は人情と呼ぶ)を直接描写しなければならない。
『山椒魚』井伏鱒二
井伏作品の中で私が最も好きなものの一つは『厄除け詩集』と題された漢詩の超訳だ。有名なものは于武陵の「勧酒」の訳。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ