あらすじ
作家と作品名は知っていても「未読」の古典。そんな日本近代文学の名作群を、劇作家・演出家の著者が魅力的に読み解く第一級の指南書。樋口一葉から鷗外、漱石、谷崎、川端、宮沢賢治、三島由紀夫らまで一挙50人に及ぶ名著を紹介。本を愛する読書人必読の書。
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Posted by ブクログ
『小説神髄』坪内逍遥
一八八四年、二十代半ばにしてシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』の翻訳を出版した坪内逍遥は、翌八十五年、評論『小説神髄』を発表する。
小説の主脳は人情なり。世態風俗これに次ぐ。(中略)人情とは人間の情慾にて、所謂百八煩悩是れなり。
と坪内は宣言した。これから書かれるべき小説は、勧善懲悪ではなく、人間の心理(これを坪内は人情と呼ぶ)を直接描写しなければならない。
『山椒魚』井伏鱒二
井伏作品の中で私が最も好きなものの一つは『厄除け詩集』と題された漢詩の超訳だ。有名なものは于武陵の「勧酒」の訳。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ