平田オリザのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リアルな演劇の脚本を書くためのハウ・ツー本の体裁をとりながら、著者自身の演劇の捉え方が明らかにされています。
本書はまず、演劇をリアルなものにするために、「セミパブリック」な空間・時間を利用することや、「遠いイメージから入る」といったテクニックを紹介しています。その一方で、そうした工夫が「役者と対象、あるいは役者と観客との間で「コンテクストを摺り合わせる」こととして捉えることができるというアイディアが示され、均質性の高い日本社会においては「対話」の伝統が育まれてこなかったことなどに触れつつ、「コンテクストを摺り合わせる」という観点から演劇を包括的に捉えなおすような視座が示されることになります -
Posted by ブクログ
著者の平田オリザさんは演劇人で、
僕は大学生の頃に友人が録画してくれたNHK-BSか何かの番組で、
そこに出演されていたのを見たことがありますが、
どんな人なのかはそれから何年かを経て知ることになりました。
鳩山首相のスピーチの台本を書いていたりもしたみたいですね。
大阪大学では演劇を中心としたコミュニケーションの講義をされているようです。
僕の好きだったボウリングが出てきたり、
僕の住む街の名前が出てきたり、
前回読んだ、みうらじゅんさんの「自分無くし」に通じるような、
「演じる自分」を楽しむようにしていこうという主張だとか、
すごく自分にとって、自分とリンクした情報の載っている本でした。 -
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Posted by ブクログ
仕事柄の興味もあって読み始めた。でも実は平田オリザさんの演劇を観たことがない(笑)。まあその分、この本が自分にとって面白いかどうかという点で読めたけど。。。 前半ちょっとかったるかったけど、中盤から終盤は面白かった。しかしこの本の色分けで言うと現代演劇というのが僕は多分あまり好きではないような気がするので、職業的な関心がなかったら面白いと言えるかどうかは微妙かも。
ただ、演出ってなんなの?演技ってなんなの?という疑問を、全くもったいぶらずに、全く先入観なしで、平易に語ろうという姿勢は好感。とっても公平で冷静で謙虚であろうとする意志が感じられて、それは恐らく編集姿勢も含めて後味の良い読書で -
Posted by ブクログ
副題に演劇ワークショップのすすめとある。 平田オリザと連行(れんぎょう)の共著。どちらも劇作家、演出家です。 題名からも推察できるように、この本では”コミュニケーション能力が仕事に役立つというノンキな時代ではなくなり、コミュニケーション能力が高くないと仕事にならない時代になっている”と述べています。 そのためには、コミュニケーションの集積である演劇という力を仕事に生かして、コミュニケーション能力の向上を図ろうというもの。 劇作家であるだけに、演劇ワークショップの具体例が戯曲で掲載されています。また研修などで使えるゲーム感覚のワークも紹介されています1。 実際、これらを読んでみたが、正直しろうと
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Posted by ブクログ
劇作家の平田オリザさんの本。
自分の世界観を表現したいというところがよかった。
自分が世界を人間をどう見ているかを作品にしてそれぞれの立場でながめてもらいたいと。
穿ったところがなくて、とても魅力的な考えだった。
自分がどう見ているかというものを素直に表現できて、それを見てもらえれば。それを束縛するのは他者の視線だったり、立場だったりするわけだけど、日本ではそのしがらみが特につよい。とりわけ自分がどう思われてるかという点に苦心してしまうが素直な感性を阻害する。
価値観がバラバラになってしまった現代。一人一人が世界観をもっていて、それでいてそこだけにとどまらず多くの世界観を認めあっていく時代