平田オリザのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書のタイトルの通り、ビジネスマンとしての考え方の基礎を各業界の先人から重要ポイントを抜き出して教えてもらう形の本。
本田直之氏の著作は本作以前のものや本作以降のものもほぼ全部読んでいたため真新しい情報は特になし。
「子供は時間割があるからあれだけ多くのことを密度高く行動できる。大人も自分の時間割を作れば効率的に動ける。」という主張は参考になる。
一見、自分の行動を決めて行動することは窮屈なように感じるが、自分で選び、自分で決めたことであれば嫌なことなどないはずだ。
それに当然生活の上での優先順位は変わっていくので、時間割は適宜ブラッシュアップしていく必要がある。
なので、自分で決めた予定が窮屈になるまいかと考えることは杞憂だろう。
もちろん、「やれること」と「やらなければならないこと」の間には大きなモチベーションの差異がある。
しかしもし自分がやりたいことが「やらなければならないこと」に変わった途端にやる気がなくなるようならば、おそらくそれは本当にやりたいことでないか、あるいは強制されたことに対してはなんでもかんでも反抗してしまう悪い癖がついているかのどちらかだろう。
いずれにしても、自分の欠点を洗い出すいい機会なので、時間割を作るのはメリットが大きいように思う。
竹中平蔵氏に関しては、新自由主義を擁護・推進し日本の経済をめちゃくちゃにした経済学者、という印象を持っていた。
この人の単著は読んだことがない。
事前情報通りの主張ではあったが、本書で主張されている主題としては「経済古典を読むべし」であり、それに関しては異論なし。
自分は経済学については疎いため、改めて国富論をはじめ、きちんと読もうと決心した。
また村上憲郎氏も英語と経済学と宗教を学ぶべしと主張しており、経済学を学ぶ上では『マンキュー経済学』のミクロ編とマクロ編を読むように勧めている。
知らなかったの本なので参考にしたい。 -
Posted by ブクログ
斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。
一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業をはじめ、経済はそのようにして成長するものだと思っていた。
しかし、現在は総供給が総需要を上回っている状態。必要ないものを売るための広告やマーケティングなど、ブルシットジョブ(この本で言及してる人の多いこと!)が蔓延し、限られた利潤を確保するために「集中と選択」という言葉に現れるように、偏った資源配分をし、競争優位性のない部門は排除すべきとの考え。この競争優位性、経済合理性といった考え方は、巨大企業や金融市場が成長を続けるために流布されたもの。これが人々の価値基準や判断基準のモノサシとなり、格差やブルシットジョブを生み出すことになった。コロナ禍はその脆弱性を露呈させた。無駄を排除した結果、緊急時の備蓄がない、余剰人員を持たない保健所や医療現場、高齢者より若者を優先すべきだとの優生思想。さらに、経済かコロナ対策か、という議論自体が、経済合理性というただ一本のモノサシで語られているということ。
大学生活が単に勉強をすること、即ちオンライン授業さえ受けていれば事足りるのとは違うということもコロナ禍で見えてきた。
仕事とは何か、大学とは何をする場なのかを再考する機会を持とう、社会で当たり前とされる考え方、メディアの喧伝するものに次第に染まってしまう危うさを意識するようにしよう、そう思った。 -
Posted by ブクログ
撤退論 内田樹編 晶文社
歴史のパラダイム転換に向けて
題名に惹かれて手に取ってみたけれど
前書きを読んで学者の限界を感じた
まず仲間内で先生と呼び合うのをやめてからにしてほしい
少子化がいけないと決めつけてからの話では
答えが出ないだろう
問題は噂されている
権力を振りかざしている側の都合で
少子化を作り出して不安をばらまいていることの真偽を
確かめることが前提だろう
識者とされた多くの人が原稿を寄せた中で
唯一面白く読ませてもらったのは
『個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か』
というタイトル始まるお話だ
広い目線で現代文明が陥っている
物質至上主義の問題の急所を捉えている
いやもう一つ
夫婦で語る「撤退女子奮闘記」と「撤退のマーチ」が面白い -
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「2時間で読める教養の入り口」が売りの「学びのきほん」シリーズで、演劇と教育の話。生きる上で演劇がなぜ必要か、教育に取り入れることでどんな力を付けさせるのか、という話がとてもコンパクトに分かりやすくまとまった本。コロナやウクライナ侵攻といった世相も絡めて解説されている。「どんな多様な価値観が集まったとしても、それぞれの価値観を認めあいながら、対話をあきらめず、問題を解決して、楽しく共同体を作っていける自立した一人ひとりを育てたい」(p.111)という一貫した著者の思いがよく分かった。
おれは英語を教える人なので、そして昔演劇を少しやっていたから、演劇教育の必要性といった話がスッと入ってくる感じがするけれど、それ以上に英語教育の中で何ができるのだろう、ということを考えたりした。例えば、著者は「世界的に見れば少数派に属するハイコンテクストな日本社会の文化を背負い、日常的に使っている日本語の特徴を活かして戯曲を書いて」(p.45)いて、さらに「それを相手にわかるように、相手の文脈に翻訳して説明できる」(同)らしいが、こういう力って高校の英語で付けるものなんじゃないのかな、と思ったりする。高校では新しく「論理・表現」という科目があって、もはや英語の英の字もタイトルから外れてしまい、とにかく「英語的な」論理・表現の方法を学ぶという目標だけれど、母語である日本語との対照という観点を入れてもいいんじゃないかなあと思った。ということを考えると、もっとおれが学生時代に語用論とか日英対照みたいな分野を研究して、それを教育に活かすとかそういうことをテーマにすれば良かったのに、と今さら思うのだけど。まあ今からでも遅くないのか??「戯曲とは、世界そのものをリアルに写すための設計図ですから、事実を正確に写しとるためには、リアルな話し言葉で台詞を書かなければいけない。」(p.47)というのが、平田オリザさんの提唱する現代口語演劇、ということだそうだけど、実はあんまりこういうの見たことないよなあ、と思った。
「価値観の違う人と出会ったとき、『なんでわかんないんだよ』とキレたり、『どうせわからないだろう』と諦めたりするのではなく、対話をしながら『お互いが変わっていく』ことに価値を見出していく。本来の対話ができたときにはきっと、プロセスは面倒臭くてもそれ以上に成果を感じ、ときには喜びさえ感じるはず」(p.60)というのは、それを体験させてやれればいいよなあと思う。けどまずこの体験をおれがしたい、と思ったり。なんか年々、寛容な部分はとても寛容になる一方、不寛容な部分はより不寛容になるっていう、この傾向ってなんなんだろう、と思う。歳を取るってこういうことなんだろうか?
あとは教師として生徒をどう支援するか、というのは難しい。というかおれができてないなあと思って、反省した。「私が気をつけているのは、できるだけ子どもたちを放っておくことです。私や先生が『こうしたほうがいいよ』などと言ったところで、子どもたちはほとんど聞く耳を持ちません。友達の発表で失敗や成功を実際に目撃することで、自分たちで気づき、多くを学び、次の時間への意欲が湧いてくるのです。」(p.75)、「『子どもたちが失敗しないように』という配慮から、ある程度の水準になるように誘導してしまう先生をよく見かけます。しかし、そこで余計な口を出してしまうと、子どもたちは自分で考えることをやめてしまいます。」(p.86)って、はーいおれです、って感じだった。親には失敗させろって結構言うのに、クラスの行事とか結構おれ助けちゃうんだよなあ、というこの気持ち。まあ色々言いたいことはあるんだけど、これくらいにしておいて。
他にも「共同体の中で最も弱い人をどう活かすか」(p.75)とか、「演じるというのは(略)『自分のコンテクストを少しずつ押し広げてその役柄に近づいていく』こと」(p.93)だとか、日本人はシンパシーは得意だけど、エンパシー(「異なる他者を理解するための行為、態度、あるいは想像力」(p.100))が苦手、とか、面白かった。平田オリザさんも面白いけど、このシリーズの他のも結構読みたいな、と思った。(22/08/29) -
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VUCA感がめちゃ高まっている現在
今、そしてこれからの世界をどのように生きていけばよいのか。
それを自分のために、そして若い人達のために知りたい。
そのような気持ちで本書を読みました。
執筆者は、内田樹先生セレクトというバイアスはあるので、ものすごい多種多様な意見という感じではないですが、それでも幅広い年代と専門分野にわたっています。
そしてみなさん暗くなりがちな話題にも関わらず、暖かで柔らかい前向きな文章を書かれており、こちらも穏やかな気持ちでページをめくり続けることが出来ました。
全体を通してある程度共通だと感じたメッセージは
•現在や過去(大人、制度、システム)を信じすぎないでね
•データは大事だけど私たちは人間だよ
•自分の頭で考えてね
•支え合うって、大事だよ
•いや、そんなシンプルで簡単にまとめられることばっかじゃないからね
ということです。
これに関して私は全面的に共感します。
このメッセージの先によい未来があると信じて、若い人達にそれを伝えたいし、伝え方を考えていきたいです。
と同時に若い人達には、このメッセージと全く関係ないような、私たちが予想もしない全く新しい素敵な未来を創ってくれることも、ちょっと期待しています。 -
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日本の現在の姿に感じる寂しさを受け入れ、下り坂を降りていくメンタリティを学びました。
地方創生や、少子化問題などに対して、文化的な素養をもって選択していくことの大切さが紹介されていて、国際的に有名なアートセンターを立ち上げた城崎の話はとても印象に残りました。
下り坂という表現がネガティブに聞こえるけど、この本に書いてあるように、文化芸術との距離が近くなって、例えば生活保護受給者が観劇しても「社会と繋がってくれてありがとう」とみんなが思う世の中が実現するなら自分はスキップで坂を下れるなと思います。
そんな未来に向けてまずは自分もアートに触れようと思わされました。
地方と対比して、東京は世界的な文化芸術に触れる機会が多いと書かれていましたが、自分はそこまで恵まれてる認識がなかったです。
子供のことを考えると宝を持ち腐らせてる場合じゃないなと思います。 -
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「7人のシェイクスピア」という漫画を読んで、演劇に興味を持ったのでなんとなく読んでみた。
戯曲を書き、演劇を創るためのハウ・ツー本とのことで、確かに創作技法が丁寧に綴られていた。
創作技法はなるほどと思った。舞台設定や人物の配置、会話の展開方法などは、読者に戯曲を書いてみたい、自分にも書けるのではないかと思わせるような分かりやすさだった。
一方、現代演劇と近代演劇の区別も付いておらず、ストレートプレイは平田オリザどころかシェイクスピアですら1回しか観たことがない演劇音痴にとっては、演劇におけるリアルとは何か、演劇が市民社会に占める役割、日本文化と演劇の相性といった演劇論についてはよく分からなかった。
言いたいことは分かるが、それは演劇だけのものではないと思った。また、そもそも本書における演劇の定義が示されず、宝塚や歌舞伎が本書の「演劇」に入っているのかもよく分からずじまいだった(文脈によるようだが、非常に分かりにくい)。
また、著者は学校教育を「架空のコンテクストを強要する」として批判しているが、架空ではないコンテクストもそうない。「現実は万人の空想に支えられた楼閣である」と寺山修司も言っていた。文化も思想も架空そのものである。生まれ落ちたところのコンテクストをインストールするのはもはや本能であり、強要というのも違う気がする。著者がここで何を念頭に「架空のコンテクストを強要」と言っているのかが分からなかった(平田オリザの他の発言録等からなんとなくさす察することはできる)。
そんな調子で、全体として説明不足は否めない本だったが、手軽に読めて「入門」としては十分な内容だと思う。ただ、その説明不足は「演劇を通してコンテクストを丁寧に擦り合わせたい」という主張を空疎にしてしまい、本書においては致命的な気がした。 -
Posted by ブクログ
ざっくり理解&同意したこと:
知識に偏向した旧来の受験的能力は、情報産業の発展とともに今後ますます社会での価値を減らしていく。一方、地頭(身体的文化資産、非認知スキル)の重要性が高まっていくので、教育はそこを重視するべきだし、そうなりつつある。
気になった部分:
・根拠が曖昧で我田引水的主張が見られる。(演劇教育の提供に関する部分)
・政権への批判が多い。「22世紀を見る君たち」が読んだら思想が偏るかも。こんな記載も→「安倍首相や麻生太郎財務大臣のように、資産はあるが身体的文化資本の著しく欠如した人たち」
これは個人的意見だが、もし自分が学生だったら、やりたいなら目一杯やれる環境を与えてくれる、とか、こういうものがあるよ、と紹介してくれるくらいが良い。親や学校からあれこれ押し付けられたら反感を覚えるかもしれない。劇はあまりやりたくないし、声が小さい人の役なんて用意されて、それをやらされたくない笑