あらすじ
ほんとうのコミュニケーション力とは、その場の空気を読む力などではなく、お互いの差異を摺(す)り合わせる能力のことだ。演劇は2500年間、人間がもともと持っているそのようなコミュニケーション力を引き出してきた。祭りの際に演劇が上演されたのは、演劇に地域のコミュニティーを形成する力があったためである。この「演劇の力」を現代に合う形で活用する「演劇ワークショップ」の理論と理念を、現代演劇の旗手平田オリザが平易に語る。そして全国的にも珍しい「プロ劇団」の代表である蓮行が、そのプロセスを解説。ある企業における演劇ワークショップの模様をドラマチックに解説する。さらに、世界中から注目を集めているフィンランドの教育メソッドにも演劇が取り入れられているといった興味深い事例や、「あくび卵発声」などの具体的なノウハウも満載。ビジネスパーソン、教員、そしてこれからの日本を動かす政治家、官僚も必読の一冊。
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Posted by ブクログ
コミュニケーションにおける演劇の必要性について、具体例を交えて分かりやすく書かれていた。これまで演劇に全く興味がなかったが、見る目が変わった。なぜ、日本人に演劇が浸透していないかの考察もあり、納得できた。
Posted by ブクログ
著者に興味を持ちまとめ読み2冊目。
蓮行さんとの共著として複眼的に進むこと、
また企業でのworkshop事例など具体的なものが出ることで、
より理解のしやすい一冊だと思う。
わかるつもりで済ませないためにも、
この中に出てくるworkshopを実践してみることで、
自身の血肉にしていこうと感じる。
演劇関連の方が、会社員としても高いパフォーマンスを成す。
初めての視点だったのに、妙に腑に落ちた。
演劇などに縁遠い人、
ことに仕事に集中する時間・意識が多い方にお勧めの一冊。
Posted by ブクログ
「ビブリアバトル」で紹介されていたチャンプ本。
難しいことが書いてないのでスルスル読めるし、
演劇ワークショップは楽しそう、
こんな研修があったら参加したいな、
具体的な発声練習も書いてあるし、と
のんきに構えてたら、ドーンと来ました最後の対談。
演劇、奥が深いです。
第二次産業から第三次産業へと社会構造が転換したことに伴い、
コミュニケーション能力が必須となり、
演劇教育が必要だという主張には、大いに共感しました。
Posted by ブクログ
演劇のワークショップを通して、コミュニケーション力をつける。ワークショップの内容が面白かった。日本には自分の考えを伝え合う力が必要なんですよねー。
Posted by ブクログ
読み易い文章と説得力ある例が好印象。
自分の世界は小さいのですね。
欧米をなんでも真似すればいいわけではないが、参考にはすべきところが沢山ありそう。
ただ、日本人はもっと柔軟に対応すべきか軸をもっと固めるべきか程度が私にはまだわからない。
Posted by ブクログ
副題に演劇ワークショップのすすめとある。 平田オリザと連行(れんぎょう)の共著。どちらも劇作家、演出家です。 題名からも推察できるように、この本では”コミュニケーション能力が仕事に役立つというノンキな時代ではなくなり、コミュニケーション能力が高くないと仕事にならない時代になっている”と述べています。 そのためには、コミュニケーションの集積である演劇という力を仕事に生かして、コミュニケーション能力の向上を図ろうというもの。 劇作家であるだけに、演劇ワークショップの具体例が戯曲で掲載されています。また研修などで使えるゲーム感覚のワークも紹介されています1。 実際、これらを読んでみたが、正直しろうとだけで始めるのはちょっと難しいような感想を抱きました。 しかし、単純に個人のコミュニケーション能力を取り上げるだけでなく、コミュニケーション環境という考え方に左右されることが述べられていてこれには合点がいきました。 それは特別に弁が立つわけでなくとも、その人がいると仕事が回るというような潤滑油になる人がいる事に、人の振りを見て気付くという効果があることです。 海外の経営学の学士コースでは実業界で活躍するためにはプレゼンテーションで演技力が必要とされるために演劇形式の授業が必須に近いとか。 結局のところ、仕事とはチーム力に違いないわけで何か一緒の作業をするためには、バラバラな感じ方、”お互いの差異を擦り合わせていく”ことに他ならない。それは決して空気を読むといったことではないという主張には納得でした。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
ほんとうのコミュニケーション力とは、その場の空気を読む力などではなく、お互いの差異を摺り合わせる能力のことだ。
その力を根本から訓練する「演劇ワークショップ」の理論と理念を、現代演劇の旗手平田オリザが平易に語る。
そして全国的にも珍しい「プロ劇団」の代表である蓮行が、そのプロセスをドラマチックに開陳する。
さらに、世界中から注目を集めているフィンランドの教育メソッドにも演劇が取り入れられているといった興味深い事例や、「あくび卵発声」などの具体的なノウハウも満載。
[ 目次 ]
第1章 コミュニケーション力と演劇
第2章 K社を変えた劇的セミナー
第3章 仕事に役立つ演劇力
第4章 これが演劇ワークショップだ
第5章 海外における演劇教育
第6章 あなたにもできる演劇ワークショップ
終章 これからの演劇の役割
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
急に演劇的なワークショップができるようになるわけではありませんが、
(たぶん)
演劇がグループをチームにするそのわけや
具体的な事例をリアリティーを持って体感できる一冊。
ワークショップでは、
「これってなんのため?」なんて感じるワークがあったりしますが、
その目的がわかって、すっきりします。
また、やっぱり「コミュニケーション力って何?」と思う。
それは、
コミュニケーションスキルを効果的に使うことではなく、、
心地よい関係を作るためのエネルギーを正しく使うことなんだなぁ~ということがわかります。
そこに誰にでも万能なやり方があるのではなく、
その人にしかないやり方がそのチームごとにあるのだなぁ~とわかる。
Posted by ブクログ
演じることで 自分を解放し
日常の仕事で 蓋になっている部分を解放する
実際のセミナーの内容が詳細に書かれていて
なるほどなぁっという感じでした
Posted by ブクログ
平田オリザさんは全7章中、執筆は2章分ながら、経験に裏打ちされた説得力ある言葉で演劇ワークショップの必要性と客観的視座を、蓮行さんはユーモアを交え、またビジネスマンにもわかるような用語をフル活用しながら、実際の演劇ワークショップがどのように行われるかをわかりやすく説明してくれています。
演劇系ワークショップに馴染みのない人にもお薦めです。
Posted by ブクログ
<要約>
役割を演じる体験を通じて、自己と他者が違うことを知り、違うからこと対話と合意形成が重要だと学ぶのだ。
<感想>
同質の人間で構成された共同体では議論が発展しない。本来共同体とは、他者理解と合意形成を経て共通のルールを共有する集団である。その前段をすっ飛ばしてルールのみが存在する共同体にコミュニケーション能力は必要なくなる。それが日本の旧い会社組織である。これから国際化が始まる日本において必要とされるのはコミュニケーション能力であり、役割を演じるという体験が重要になるはずだ。
同じ価値観の人間の中に「異文化=フィクション」を持ち込むことが有効なのだ。
<アンダーライン>
・合意を形成するためには、インプット(感じ方)はバラバラでもいいのだけれど、アウトプット(表現)は統一しなければいけない。
★「伝えたい」という気持ちは「伝わらない」という体験からしか出てこない
・「この人の立場だったら何と言うと思う?」と誘導すると、非常に意見が出やすくなる
Posted by ブクログ
学校でも、会社でも、学生の就職活動でも、どこへ行っても「コミュニケーション力」が問われる時代、そもそもコミュニケーション力とは一体どういうものか。
単に、他人と簡単に打ち解けられるとか、人前で上手にプレゼンをして人の心を掴めるとか、むろん空気を読むのが上手いとかそういうことではなく、意思の疎通が上手くいかない場面で「どうにかする力」であり、それを身につける(あるいは、そもそも持っている力を引き出す)ための訓練として演劇ワークショップが使えるよ、というのが本書の趣旨。
『インプット、感じ方は人それぞれでいい。バラバラなほうがいい。でも、それだけでは社会生活が営めない。何らかの形で集団で共有できたものを、合意できたものとして時間内にアウトプットしていこう』(本文より引用)
同質性が高かった日本でも、この姿勢がより求められるようになる。演劇ワークショップを通じて、多様性を重視しながら共通のアウトプットを作り出す力を身につけられる環境が整っていけばいいなぁと思う。