平田オリザのレビュー一覧
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ネタバレ[ 内容 ]
ほんとうのコミュニケーション力とは、その場の空気を読む力などではなく、お互いの差異を摺り合わせる能力のことだ。
その力を根本から訓練する「演劇ワークショップ」の理論と理念を、現代演劇の旗手平田オリザが平易に語る。
そして全国的にも珍しい「プロ劇団」の代表である蓮行が、そのプロセスをドラマチックに開陳する。
さらに、世界中から注目を集めているフィンランドの教育メソッドにも演劇が取り入れられているといった興味深い事例や、「あくび卵発声」などの具体的なノウハウも満載。
[ 目次 ]
第1章 コミュニケーション力と演劇
第2章 K社を変えた劇的セミナー
第3章 仕事に役立つ演劇力
第4 -
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劇作家として活躍するオリザさんが十六歳の頃、高校を休学して1年余りアメリカ→ヨーロッパと旅した記録。友達との手紙のやりとりがいい。『深夜急行』に並ぶ紀行本の名作といってもいいと思う。
世界一周の予定をいとも簡単に、アメリカ→ヨーロッパ内巡回に変更してしまう柔軟さ、ヘタに旅の答えを出していないことが、かえって柔らかな強さを感じさせる。「栴檀は双葉より芳し」といったところか。旅の答えを出さなかったからか、オリザさんは今に至るまでずっと旅の途中なのだそう(文庫版あとがきより)。
ちなみに、読んだものは文庫化にあたり改題されたものだけど、もとのタイトルが奮ってる。『十六歳のオリザの未だかつてためしのな -
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[ 内容 ]
優秀な俳優の条件とは。
演出家はなぜ必要なのか。
演劇的な感動をどう起こすか。
芝居づくりの基本が誰でもわかる画期的な入門書。
[ 目次 ]
序章 演技とは何か?演出とは何か?
第1章 イメージを共有する
第2章 意識を分散する
第3章 コンテクストを摺り合わせる
第4章 観客の想像力を誘導する
第5章 実験を繰り返す
第6章 演出とは何か?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部 -
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私は
人が生きることそのものが
ある意味で「演劇」だと考えています。
配役から脚本から、演出から監督まですべてを自分が決めて演じていく演劇だと。
もしかしたら、その点では平田オリザさんと同じ方向を向いているのかもしれません。
素敵なコトバを紹介します。
「・・・・
演劇は、一生をかけるに値する、すばらしい仕事ですが、
しかしそれは、
身体や精神を病んでまでやるほどのことではない。
その一歩手前で踏みとどまれるかどうかに、
君たちの成功の鍵があります」
そうなんです。
人生は、
自分が演じかつ演出する、その2つのミカタを持っていることがとても大事なのです。
ぐんとのめりこみ、パッと全 -
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急に演劇的なワークショップができるようになるわけではありませんが、
(たぶん)
演劇がグループをチームにするそのわけや
具体的な事例をリアリティーを持って体感できる一冊。
ワークショップでは、
「これってなんのため?」なんて感じるワークがあったりしますが、
その目的がわかって、すっきりします。
また、やっぱり「コミュニケーション力って何?」と思う。
それは、
コミュニケーションスキルを効果的に使うことではなく、、
心地よい関係を作るためのエネルギーを正しく使うことなんだなぁ~ということがわかります。
そこに誰にでも万能なやり方があるのではなく、
その人にしかないやり方がそのチームごとにある -
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[ 内容 ]
日本再生のカギは芸術文化立国をめざすところにある!
著者は人気劇作家・演出家として日本各地をまわり、また芸術文化行政について活発に発言する論客として知られる。
精神の健康、経済再生、教育等の面から、日本人に今、いかに芸術が必要か、文化予算はどう使われるべきかを、体験とデータをもとに緻密に論証する。
真に実効性ある芸術文化政策を提言する画期的なヴィジョンの書。
これは芸術の観点から考えた構造改革だ。
[ 目次 ]
序章 芸術の公共性とは何か
第1章 地域における芸術文化行政
第2章 経済的側面から見た芸術文化行政
第3章 教育と芸術文化行政
第4章 文化権の確立
第5章 文化行政 -
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芸術に対して理解のない日本において、芸術の重要性を声高に叫んでいる本です。
私も感じてはいましたが、実際最前線で活動している方の意見がききたくて読んでみました。
「芸術」だから美術や音楽を想像していたんですが、「演劇」からのアプローチで、新鮮でした。
ただ、アートマネジメントを理解してたらもっと面白かったんだろうなとは思います。
あと、あとがきにも書いてらっしゃいますがあくまで平田さんの個人的意見です。
だからこそ正直ベースで語れていてそれが入ってきやすかったです。
普段から芸術はもっと公共性を持つべきだと思っていらっしゃる方にはおススメです。 -
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たいていの人がプレッシャーに負けて、ものすごくわかりやすい観客に媚びる作品か、ものすごく抽象度が高い評論家に媚びる作品を書くようになってしまうんです。
そこで自分のスタイルが守れるかどうかなんです。さらにその後また三連勝くらいしないと、新聞評論の対象にはならない。(p.52)
僕に何か主義・主張があって、それを客に納得してもらいたいということではない。「世界観はある。だからその世界観を観てもらう」ということですね(p.65)
僕はよく学生に「だんなさんが死んだ翌日に、未亡人がパチンコをやっていたらみんな白い目で見る。じゃあ、いつからパチンコを始めてもいいのか。これは誰にも答えを出せないから宗教 -
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ネタバレわかりあえないことを前提にして多様な人と生きる。
そのために演劇という手法が効果的である。
コミュニケーション力とか言われると相手を説得するとか、納得させるといった流暢性に行き着くことが多いように思う。
そうではなくて、どうでもよいようなフィラーや表現にこそコミニュケーションの本質があるんだということ。
あとはわからないことをわからないということ。それが自分には難しいなかなか言えない。
見栄ばかり気にして。
演じるとは何か。分人主義。適当な場で適当な役割を。適当なってなんだ?
自分を騙すのは演じるとは違う?じゃあ自分は自分を騙してばかり…楽しむことが大切なのかな?
コミニュケーションについて -
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人は誰しも「わかりあえない」壁に突き当たる。家族でさえ意見は食い違い同僚とも誤解が生じる。そこで試されるのがコミュニケーション能力だ。単に言葉を巧みに操る力ではない。相手の立場を想像し違いを前提に橋を架ける姿勢こそが肝要である。だが社会はしばしば「空気を読む」ことを強調し異論を控える態度を美徳としてきた。その結果対立は覆い隠され議論の芽は摘まれる。平田オリザはむしろ「わかりあえない」ことから始めよと説く。差異を直視する勇気が共生の第一歩になるからだ。意見の衝突を恐れずに対話を重ねる。そこから生まれる理解は薄紙を重ねるように確かなつながりへと変わる。
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